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育成組織の練習場など松本市に支援要請   (2011年12月29日号より)
プロサッカーのJリーグ2部(J2)入りする松本山雅FCは26日、ホームタウンの松本市に対し、幼児−高校年代の選手を育成する下部組織「ユースアカデミー」の練習場の確保や整備への支援、市の出資金を2000万円増資して計3000万円とするなどの要望書を提出した。
要望はほかに▽トップチームが専用できる天然芝練習場やクラブハウスの整備▽ホームゲーム時にアルウィンと松本駅前などを結ぶシャトルバス運行費用への全額または一部助成−など計8項目。
下部組織が優先か専用で使える練習場は、Jリーグが2013年から実施する、一定の要件を満たしたクラブだけの参加を認める「クラブライセンス制度」の必須項目で優先度が高い。市内の学校などのグラウンドを借りて転々としながら練習し、夜間照明などの設備も整っていない現状は要件を満たさないと、Jリーグから指摘を受けている。
山雅運営会社の大月弘士社長(46)は「税金を使わせてもらうことに理解が得られるよう、クラブが市のためにできることを実行する」とし、菅谷市長は検討を約束した上で、「J入りで増える県外からの観客の飲食や宿泊、観光などで山雅を活用させてもらいたい」と応じた。
(山岡史明)
ピッチ外の戦い 主務・丸山浩平さん   (2011年12月24日号より)
主務はチームのマネジャー。丸山浩平さん(32)は2006年にクラブ運営法人の事務局員になり、09年からは主務として常にチームと共に行動してきた。地域リーグからJリーグに上がるまでの戦いを経験した一人だ。
練習場所の確保や、用具の準備と片付け、練習試合の調整、遠征の手配、試合中の給水…と、その仕事は多岐にわたる。「自動車レースにたとえれば選手はドライバーで、われわれはメカニック。日々、腕を上げなければならないのは同じ」
安曇野市豊科出身。東京で放送作家や構成作家を目指す自称「ニート」だったが06年に帰郷し、友人の紹介で山雅で働き始めた。
サッカースクールの手伝いや生徒の送迎、アウェー応援バスツアーの手配や添乗…。当初はほぼ無給で、自腹を切って仕事をしたが、「山雅で社会とのつながりを得た」。
主務1年目は「これ以上足踏みしたらチームがなくなる」と思うほどの重圧を感じながら選手と共に戦い、JFLに昇格した。
今季途中から指揮を執った加藤監督によく怒られた。「何のために自身のレベルを上げ、誰のために持てる力を発揮するか」。選手が問われた言葉を、わが事と受け止めた。
「山雅に関わり始めたころは分からなかったが、皆が幸せになる過程に携われた」。監督の問いには来季、アルウィンに毎回1万人以上の観客を呼び、試合を見て喜んで帰ってもらうための準備に力を尽くすことで、答えるつもりだ。
(山岡史明)
ボイスIの声 柿本倫明コラム(14)   (2011年12月24日号より)
山雅の来季J2昇格が決まりました。最終的に4位を確保できたのは、昨季より選手個々の能力が高かったのが一つの要因だと思います。JFLでは頭一つ抜けていた。そのため、試合に出た選手が注目されますが、彼らが活躍できたのは、陰で頑張る控えがいたからです。
僕は昨季まで、Jでプレーしたことがない若手に自分の経験を話し、上を見させてきました。やんちゃな彼らでしたが、練習後に夜遅くまでアルバイトをし、よく頑張っていました。
しかし、今の山雅のメンバーは、何かが足りなくてJに残れなかったり、入れなかった選手たちです。J2では組織で戦うことが必要になるでしょう。
僕は今年、山雅のアンバサダーとして活動し、小学生−高校年代の選手育成にも携わりました。人前で話すのは相変わらず苦手ですが、気持ちを伝えるのは少しうまくなったかな?教えただけ伸びる子どもの育成は、とてもやりがいがあります。
講演後に「また来て話してほしい」と言われたり、「サッカー教室の講師を柿本さんに」と依頼されたり。自分にしかできない仕事があり、必要とされる場所がある−。選手時代は分からなかったことに気付かされると同時に、あらためて松本の人たちの温かさを感じることもできました。
そんな松本の方たちの熱い気持ちに応えるために、これからも僕にできる精いっぱいの恩返しを続けていけたらと思います。
最後までご愛読ありがとうございました。J2山雅と、今後の柿本に期待してください。
(終わり)
そこが知りたい「チャントはどうやって作るの?」   (2011年12月20日号より)
質問・松本山雅FCのチャント(短い応援歌)は、どうやって作っているの。
(松本市・10歳・女児)

選手を鼓舞したり、サポーターの気持ちを盛り上げたりと、山雅の応援には欠かせないチャント。覚えやすく、乗りがいい曲が多いが、いったいどうやって作っているのだろうか。

サポーター集団ウルトラスマツモトの疋田幸也代表に聞くと、「選手を応援するチャントと、チームを応援するチャントの2種類がある。メロディーは歌謡曲や、自分たちで作曲したものなどさまざま。選手チャントは新入団選手が発表になる2月から、ウルトラスのみんなで候補を出し合って決める」と言う。
選手チャントは具体的にどう決めるか。疋田さんの話を整理すると、まず選手のイメージや、トレーニングマッチなどを見てプレーの特徴をつかみ、メロディーや歌詞を制作。FWの歌詞には得点を願い「ゴール」、DFには堅固な守備を期待し「とりで」「守護神」、サイドの選手には「駆け上がれ」「走れ」という言葉を使うなど、ポジションを意識したフレーズを入れる場合が多いそうだ。
例えば、故松田直樹選手のチャントは、コールリーダーの小松洋平さんが作詞作曲。小松さんは「松田選手は、16年間所属した横浜F・マリノスのイメージが非常に強く、長い間歌われたチャントもあった。山雅で新たに頑張ってほしいという思いを込め、『松本の松田直樹』というフレーズを最初に決め、メロディーもオリジナルにした」と話す。
では、選手の反応はどうか。FWの塩沢勝吾選手に聞いたところ、「自分のチャントを作ってもらったのは、Jリーガーだったころを含めても初めて。背中を押され、プレーで応えようという気持ちになる」とのこと。
チームチャントは、選手入場時に歌う「中央線」など、疋田さんがウルトラスを立ち上げた8年前から歌い継がれている曲もある。

J2入りが決まり、来年は初めてアルウィンに足を運んで実際の試合を見ようという人も多いのではないか。チャントにも注目して楽しむのもいいかもしれない。
山雅にJ1の洗礼 天皇杯4回戦横浜Mに4失点   (2011年12月20日号より)
サッカーの第91回天皇杯全日本選手権は17日、4回戦の7試合を各地で行った。Jリーグ勢以外で唯一16強入りした県代表の松本山雅FC(JFL)は、横浜F・マリノス(J1)と富山県総合運動公園陸上競技場(富山市)で対戦し、前半は1失点と健闘したが後半に3失点して0−4で完敗した。
山雅は前半28分に右サイドを破られ、クロスのクリアミスをゴール前に詰めた横浜MのFW小野に決められ先制を許した。
後半28分にも相手シュートの跳ね返りが競り合いでこぼれたところを、小野にミドルシュートされて2失点目。その2分後にカウンターから小野に頭で3点目を決められ、42分にもDF陣がボールを持った小野に引き付けられ、左から上がったMF中村にダメ押しされた。
前回優勝のJ1鹿島はJ2京都に0−1で敗れ、同2位のJ1清水はJ2千葉を2−0で下して8強入り。今季のJ1王者でクラブワールドカップに出場した柏と、J1名古屋の試合は21日に行う。

来季J2入りを決めた山雅が、今季J1で5位の横浜Mに真っ向勝負を挑み、4失点の完敗。「引いて守る戦い方はしない」(加藤監督)という戦前の言葉通り前線からボールを奪いに行き、前半12分にはFW木島徹が横浜Mの元日本代表DF中沢を振り切ってGKと1対1になり、シュートを足で阻まれるなど惜しい場面も。
徐々にペースを取り戻した相手に先制され、運動量が落ちた後半は互角の展開だった前半と一転して守勢に。攻守の切り替えが早く、数的優位を保ってボールを動かす相手の攻めに耐え切れず、先に2点目を奪われて万事休した。
一昨年2回戦の浦和、今大会3回戦の新潟と、天皇杯で過去2回J1勢を破った山雅だが、いずれもリーグでつまずき、上のカテゴリーへの昇格が危ぶまれる状況でチームが一丸となり、早い時間に先制して後は守りに徹したパターン。
状況的にもその法則が当てはまらない今回、先制された時点で3度目の「ジャイアントキリング(大物食い)」は遠のいた。
2トップの木島兄弟が突破を図るが、彼らがボールを失うと終わりという攻撃は、一人がボールを失っても前線に次々と選手が現れてフォローし、分厚い攻めを続ける相手のそれと、明らかな差があった。
加えてハットトリックした横浜Mの18歳、小野はユース育ちと、クラブの総合力の違いも歴然。しかし、山雅はその差を肌で感じ、来季以降Jで戦うために必要なことを知るために、あえて正面から勝負を挑んだ。
「JFLとは一つ一つのプレーの質が全く違う。目指すところが明確になった」とMF小松。「シーズンの中で、1試合の中で、悪い時は我慢し、いい時とのギャップを少なくする精神的なコントロールができるか否かの差」。最後の指揮を執った加藤監督は、来季以降Jで戦う選手たちにそう言い残した。

一方は緑、一方は青に染まった両ゴール裏はともに、8月に急死した元日本代表の松田直樹選手が、山雅でも昨季まで16年間在籍した横浜Mでも付けていた背番号「3」のユニホームであふれた。運命的な巡り合わせで実現した両チームの対戦を見ようと訪れた観客は1万人余り。その約半数が山雅のファンとサポーターだった。
松本市梓川の40歳の男性は「マツ(松田選手)はこの試合をきっと楽しみにしていたので、一緒に連れて来た」と、亡くなって以後しまっていた、似顔絵を描いた応援旗を持参した。
横浜Mサポーターの井上誠さん(44、横浜市)は「今季はもう『山雅の松田直樹』の顔をしていた。マツを受け入れ、短い間でもあんなに愛してくれた山雅サポーターに感謝している」と、頭を下げた。
完敗の結果に、山雅側のスタンドから大きなため息が漏れた。高山淳さん(40、松本市神林)は「『もっと頑張れ、Jは簡単じゃないぞ』と、マツが教えた」と、選手らにいっそうの奮起を促した。
(山岡史明、倉科美春)
誕生「J2松本山雅」   (2011年12月15日号より)
サッカーJFL(日本フットボールリーグ)で今季4位となった松本山雅FCの、Jリーグへの入会が12日、正式に決まった。長野県で初のJリーグクラブの誕生だ。松本山雅は13日、来季の選手契約について発表、選手の大半が残留しJ2での戦いに備える。
入会は、東京都内で開いたリーグ臨時理事会で承認された。これを受けて同夜、松本市の松本城公園で開いた昇格報告会。市民やサポーター約1200人が詰め掛け、「J2松本山雅」誕生を祝いながら、一層の躍進を願った。
壇上に立った松本山雅運営会社の大月弘士社長は「午後4時37分、正式に昇格承認の連絡を受けました」と報告。「くしくも今日は12月12日。背番号『12』のサポーターのために、精いっぱい汗を流していきたい」と力を込めた。菅谷昭市長は「天国の松田直樹選手もともに喜び、さらなるチームの飛躍にエールを送っていることでしょう」と祝った。
シーズン途中から指揮を執った加藤善之監督は目頭を押さえながら「昇格を報告できることが本当にうれしい」とあいさつ。選手を代表し、須藤右介主将が「来季はもっと厳しい戦いが待っている。選手全員でこれからも戦い続ける」と決意を語ると、集まった人は応援歌「勝利の街」の大合唱で応じた。
母、弟と訪れた松川村の岡本杏佳さん(11)は「とてもうれしい。Jでも大暴れしてほしい」と声を弾ませた。松商学園高2年の久保田晃平君(16、松本市和田)は小学生時代から山雅ユースに所属し、「僕の入団当時は観客も数えるほど。今を想像できなかった」と感慨深げ。「トップチームがJリーグに所属することは、自分たちにとっても誇りで励みにもなる」と喜んだ。

松本山雅FCは、MF木村勝太、GK山本剛、DF佐藤由将の3選手と来季は契約しないと発表した。
今季リーグ終了時に所属した選手26人のうち、期限付き(レンタル)移籍中の2人を除く21人には来季も契約する意志を伝えた。残留すればMF今井昌太(上松町出身)、MF小松憲太(塩尻市出身)の両選手をはじめ、計7人が山雅のJリーグ入りとともに初めてJリーガーになる。
Jを目指し元プロ選手らが加入した06年以降、毎年3分の1から約半数の選手を入れ替えて強化を図ってきた山雅。J2初年は既存の戦力をベースに有力選手を補強し、30人程度で臨む見通しだ。
(取材班)
新たな挑戦 J2の戦いへ   (2011年12月15日号より)
松本にプロサッカーJリーグのクラブが誕生−。今季JFLで4位の成績を収め、経営や組織などの基準も満たした松本山雅FCのJリーグ入会が認められた。来季からJリーグ2部(J2)に参戦し、次は1部(J1)を目指して全国の21チームと競う。
山雅とともにJFL3位の町田ゼルビア(東京)の入会も認められ、J2は来季22クラブに。Jリーグが2008年に掲げた目標数に達し、リーグ全体ではJ1(18クラブ)と合わせて計40クラブになった。
J1とJ2は、戦力やクラブの経営規模など、さまざまな面で差が大きい。今季J2からJ1に昇格した3チームは、柏レイソルが史上初めて昇格1年目で初優勝という快挙を成し遂げたが、ヴァンフォーレ甲府とアビスパ福岡は1シーズンで来季再びJ2に降格。
クラブの営業収入(10年度)もJ2平均が9億2600万円なのに対し、J1は30億円。ホーム試合の観客動員もJ1クラブは平均1万7000人余と、J2の3倍近い。山雅にとってJ1はまだ具体的な目標とはいえず、まずはJ2の中、上位への定着を目指すことになるだろう。
一方、これまではJFLの中のJ準加盟クラブで、成績や経営面など一定のハードルを超えたクラブがJ2入りするだけだったが、来季からはJ2とJFLの入れ替えが始まる見込み。
「“共生”から“競争”の時代に移る」(大東和美・Jリーグチェアマン)ことで、J2下位に甘んじれば1年でJFL降格もあり得るなど、厳しい戦いが待つ。

【J2とは】
国内サッカー最上位のJリーグ(日本プロサッカーリーグ)の2部。今季は20チームが争い、1−3位(FC東京、サガン鳥栖、コンサドーレ札幌)が来季の1部(J1)昇格を決めた。
◆大会方式 ホーム&アウェー方式の総当たり2回戦(本拠地と敵地で1試合ずつ)。22チームとなる来季は各チーム42試合を戦い、勝ち点の合計で順位を決める(勝ち点が並んだ場合は得失点差)。
J2は来季から原則日曜に開催(J1は土曜)。
◆J1との入れ替え J1下位3チームが自動降格は今季と同じだが、J2からJ1へは来季からリーグ戦の1、2位が自動昇格し、3番目のクラブは新たに実施するトーナメント方式のプレーオフ(仮称)で決める。
リーグ戦の3位対6位、4位対5位で準決勝を行い、勝ち上がった両チームによる決勝の勝者がJ1に昇格する。準決勝は3、4位チームの本拠地、決勝は中立の会場で各1試合。引き分けの場合はいずれもリーグ戦の上位チームを勝者とする。
(山岡史明、倉科美春、長岩将弘)
J入りの原動力 熱いサポーターたち   (2011年12月15日号より)
山雅のJ入りの原動力になったのは、地域リーグ時代から熱心な応援を続けてきたサポーターだ。
ゴール裏の熱気が観客を引き寄せ、松本市のアルウィンで行った今季ホーム17試合(震災復興支援試合を含む)の平均入場者数7460人は、今季のJ2に当てはめると6位に相当。1−4位のクラブはいずれもJ1経験があり、5位鳥栖(7731人)も来季J1昇格を決めたことを考えれば、動員力はすでにJ2上位だ。
クラブと共にJを目指してきた彼らの思いは−。

福島県いわき市の打越照子さん(60)もこうしたサポーターの一人だ。同市出身の渡辺匠選手を応援しようと、体調を崩して休んだ夏場の2試合を除き、ホームだけでなくアウェーにも足を運んで約5メートルの大旗を振ってチームを鼓舞。12月11日に松本市のアルウィンで行ったソニー仙台との今季最終戦も訪れ、「皆との触れ合いが心の支えだった」とサポーターに感謝した。
「たくみおばちゃん、やったよJに行けるよ」。試合開始前、サポーターが次々と声を掛けてくる。福島弁で誰とでも打ち解ける気さくな人柄と、女性ながら約4キロの大旗を堂々と振る打越さんはちょっとした有名人だ。「たくみおばちゃん」と親しまれている。
01年から、渡辺選手が所属するチームの応援に駆け付け、大旗を振る。だが、今年はJFL開幕直前に、東日本大震災と福島第1原発事故が起きた。
いわき市は原発から50キロ圏内。当時はガソリンスタンドにはほとんど燃料がなかった。毎日スタンドに通って少しずつため、4月3日にアルウィンで行ったFC東京との震災復興支援チャリティー試合に訪れた。「私たちは生きている。地震にも放射能汚染にも負けていないという姿を知ってほしかった」
11日現在、同市の空間放射線量は松本市とほぼ同じ、毎時0.08マイクロシーベルト。しかし、近所から若い家族がいなくなったり、仕事で訪れた東京で「いわきの服を着て来ないで」と差別をする人に出会ったり。打越さんにとってはまだまだつらい状況が続く。
「ここで力いっぱい応援し明日への活力をもらっていた。快く受け入れてくれた松本の人たちにお礼を言いたい」と笑顔を浮かべた。

なぜこれほどまでにサポーターが増えたのか。03年にサポーター集団「ウルトラスマツモト」を立ち上げた疋田幸也さん(36、松本市波田)は、松本の住民としてのアイデンティティーを、山雅の応援で実感できるからではないかと分析する。
「自分が住む街の名前を力いっぱい叫ぶ機会はほとんどないが、やってみると最高に楽しい。これまでと変わらず、どんな人でも歓迎し、皆で試合を楽しむスタジアムを守っていきたい」と話す。
一方、07年からウルトラスの3代目コールリーダーを務める小松洋平さん(25、東京都荒川区)は、サポーターの増加によって生まれた多様な応援スタイルに驚きを感じている。
例えば、得点後にタオルマフラーを回す習慣は、サポーターの中から自然発生したもの。JFLに上がってからは、選手のチャント(短い応援歌)に合わせ、振り付けを考えて踊る人や、小松さんの掛け声なしでスタンドからコールが起こることも多かった。
「自分なりの観戦の楽しみを見つける人が増えた」と、サポーターの成熟ぶりを実感。今後は、新たなコールリーダーの育成も検討している。
(倉科美春)
Jリーグの大東和美チェアマン会見要旨   (2011年12月15日号より)
山雅の入会を承認した臨時理事会(12日)後、Jリーグの大東和美チェアマン(63)が記者会見し、新たに加わる2クラブへの期待や、今後のJ2の在り方などを話した。
−山雅への期待は。
「非常に多くのサポーターや熱心なファンの声援を受け、今季のホーム1試合当たり入場者数(7460人)はJ2の平均(6423人)を上回った。今後はアウェーのサポーターが松本に行くなど、経済効果を含めて活性化される。Jの舞台で素晴らしいパフォーマンスを見せてほしい」
−Jで存続していくために必要なことは。
「月並みな言葉だが、身の丈に合った経営が大事。山雅は来季6億円余の事業規模を考えていると聞いた。J2にはもっと低いクラブもあり、それでしっかりやってくれればいい。過去も(クラブを運営する法人設立以来、8年間一度も赤字を出しておらず)黒字体質でやっているので心配していない」
−山雅と町田が入会し、Jは発足20年目で40クラブになる。
「(40クラブは)一つの目標で、これで終わりではない。これまでは成績が悪くても全クラブがJにとどまったが、来季から(JFLクラブとの)入れ替え制度を設ける方向で検討している」
−今後のJ2は。
「J2のクラブは経営や事業の規模、観客数などで格差があるが、来季からプレーオフを導入するなどで徐々に活性化を図る。2012−13年にかけて始めるクラブライセンス制度(=リーグが各クラブの経営状況などを毎年審査して免許を交付。取得できない場合は降格など厳しい措置を検討中)で細かくチェックし、指導していく」
今季4位でJ2へ アルウィンに緑の紙テープ舞う   (2011年12月13日号より)
Jへ力を合わせ−。サッカーJFLの松本山雅FCは今季最終戦の12月11日、来季Jリーグ2部(J2)入りの条件を満たす4位が確定し、紙テープ約7200本を投げ入れたサポーターらと、応援に感謝する選手が共にJ入りを祝った。松本山雅の加盟を正式決定するJリーグ臨時理事会は、12日午後開かれた。
松本市のアルウィンで行った最終戦は、結果が成績に反映しない震災復興支援試合だったが、山雅のJFLの試合で過去最多の1万1956人が来場した。
試合後のセレモニー。片山真人選手が発したチームのスローガン「ワン・ソウル(思いは一つ)」の掛け声を合図に、スタンドから一斉に紙テープが宙に放たれると、選手に向かってシャワーのように降り注いだ。
「J2昇格おめでとう」と書いたプラカードを持参した小岩井悠羽さん(20、松本市渚2)は「4日はインターネットで結果を知り、パソコンの前で泣いた。今日は選手に直接『おめでとう』と言えてよかった」と、満面の笑みを浮かべた。
ホーム最終戦完敗 ソニー仙台に0−3   (2011年12月13日号より)
JFLは10、11日、東日本大震災で延期した前期1節を行った。前節に今季リーグ全試合を終えて3位の松本山雅FCは11日、松本市のアルウィンでソニー仙台FC(宮城)との勝ち点が付かない震災復興支援試合に臨み、後半に3失点して0−3で敗れた。
4位町田ゼルビア(東京)が最終戦に勝って勝ち点合計61とし、59の山雅を上回り3位に。山雅は4位で今季を終えた。Jリーグ準加盟で条件を満たした両クラブが、来季Jリーグ2部(J2)に参入する。
山雅は前節から先発9人を入れ替え、今季これまで途中出場が多かったり、出場そのものが少なかった選手を起用。
前半は無失点でしのいだが、後半3分にゴール前に放り込まれたFKを頭で合わされて先制を許すと、14分にPKを与えて2点目を失い、ロスタイムにも相手のカウンターで失点。攻撃はMF今井やDF阿部らが再三チャンスをつくったが、全体的にかみ合わず決定力を欠いた。
JFLは今節で今季全日程が終了。2チームがJ2入りするほか17位ジェフリザーブズ(千葉)も退会して来季は3チーム減に。このため、活動拠点が被災して後期17試合だけに参戦し、最下位に終わったソニーを含む下位全チームが、地域リーグへの自動降格や入れ替え戦を免れて残留する。

山雅のJFL最終戦は、勝ち点が付かないエキシビション。すでに来季J入り条件を満たし、最終3位か4位かは町田の結果次第という動機づけが難しい一戦だったものの、完敗の結果に「4位以内を決めて満足している。それが緩い」と加藤監督。
今季ホーム最終戦の配慮に加え、17日に天皇杯4回戦のJ1横浜F・マリノス戦を控えて相手の偵察も意識し、これまで出場機会が少なかった選手を多く起用した。が、同じく控え組で天皇杯の県代表を勝ち取った長野パルセイロとの県選手権決勝や、J1新潟から金星を挙げた天皇杯3回戦で見せた驚異的な底力は出せずじまい。
昨季に加入後、公式戦初の出番がきたGK山本は「2年間、サポーターの前でプレーできる日を待っていた」。しかし、ゲーム勘の鈍りは隠せず、DFとの意思疎通を欠いて失点し、「中途半端なプレー。申し訳ない」と唇をかんだ。
「J2で戦うには選手個々の判断が自分勝手で、技術も粗雑。が、追い詰められた時の精神的なタフさはこのチームの強み。どう総合力につなげるか」
近くゼネラルマネジャーに戻るであろう加藤監督は、J2入り初年の目標にJ1昇格のチャンスがある6位以内を掲げ、今季を締めくくる横浜M戦はベストメンバーで臨むと明言。これまでのように全くの「挑戦者」ではいられない現有戦力が、Jでどれだけやれるかを量る機会になる。
(山岡史明、倉科美春)
JFL2年目 底力で重圧に打ち勝つ   (2011年12月13日号より)
JFL2年目の山雅は18チーム中4位。「優勝してJへ」というシーズン当初の目標は達成できなかったが、過密日程の最終盤に5連勝するなど、他チームを上回る戦力が最後に底力を発揮。3−5位を争った町田ゼルビア(東京)、V・ファーレン長崎の足踏みもあり、来季Jリーグ入り圏内の4位以内に滑り込んだ。
「J入りへ勝負の年」と位置付けた今季、元日本代表DF松田という異例の大物をはじめ、元Jリーガー7人を含む8選手を補強して臨んだ。しかし、キャンプでチームの方向性が定まらず、東日本大震災でリーグ開幕が1カ月余り遅れた間も模索が続き、開幕5戦は1勝2分け2敗と、2年続けてスタートダッシュに失敗。
33戦中8戦を終えた時点で12位と振るわず、クラブは4季目の吉沢監督の解任を決断。「上向きつつある」と、手応えを得ていた選手の間には、そのタイミングに反発も起きたが、後を託され監督に就任した加藤GMは「J入り後も通用するサッカー」を掲げてそれまで以上に厳しい練習を課し、選手間の競争を促した。
劇的な監督交代の直後に3連勝、7戦続けて負けなしと立て直しに成功したが、古傷の右膝が回復してピッチ上の指揮官になりつつあった松田が8月2日の練習中に急性心筋梗塞で倒れ、2日後に急死という悲劇が襲う。直後は選手も激しく動揺したが、逆に長いリーグでモチベーションの維持に苦しみ、まとまりを欠いたチームに求心力が生まれた。
7、8月に4選手を中途補強し、FW船山、MF大橋、DF飯尾は後半戦の主力に。9、10月は2連敗後に4連勝、一時は首位に勝ち点4差の3位に浮上したが、その後の下位相手の3戦を2分け1敗と取りこぼし、自力の4位以内が消滅。
後がなくなった最後の5試合は、計10得点、1失点と攻守に持てる能力を出し、控え主体でJ1新潟を破った天皇杯の金星もチームに勢いを与えた。
Jと比べて低い個々の技術を運動量と組織で補い、守備的な戦術を採るチームが多いJFLで、失点より得点を重視し、あえて選手の能力に任せる攻撃的なサッカーを続けた山雅。加藤監督の信念に基づくJ入り後を見据えた戦いは、成績面で他を圧倒することはできなかったが、最後にJ入りの重圧に打ち勝つ自信や精神力となって実を結んだ。
(山岡史明)
念願のJへ。神林で800人見守る   (2011年12月6日号より)
松本山雅、念願のJへ−。サッカーJFL(日本フットボールリーグ)で4日、今季リーグの最終戦となった松本山雅は、アウェーの宮崎県で、ホンダロックSCに2−0で快勝した。5位のV・ファーレン長崎が敗れ、山雅は来季Jリーグ入り条件の4位以内が確定。プロクラブ設立による地域活性化を目指して2004年にJ入りを表明後、8年で目標を達成することが確実になった。
12日のJリーグ臨時理事会で承認されると、山雅の入会と来季Jリーグ2部(J2)参入が正式に決まり、県内初のJクラブが誕生する。
昨年、Jリーグに準加盟した山雅は、事前の入会審査で成績面以外の条件となるホーム試合の観客動員数やクラブ財政などで高い評価を受け、運営組織や地元自治体の松本市の支援体制なども問題ないとされている。
山雅の運営会社の大月弘士社長(46)は試合後、「素人集団だった運営組織、チーム、支援してくれるスポンサー、サポーター、ボランティアのそれぞれが、できることをやり続けた結果。他のクラブにはまねができない」と振り返った。
運営会社の前身のNPO法人初代理事長で、元プロ選手を監督に招いてチーム強化を図るなどJへの道筋を切り開いた八木誠副社長(46)は「一番大事なのはサポーター。J入り後も地域に愛されるクラブであり続けるのが使命」と強調した。

松本市の神林体育館で開いたパブリックビューイングには、事前にチケットを購入した約800人が詰め掛け、ステージ奥に設置された240インチのスクリーンで、運命の一戦を見守った。
正午の開場前から長い行列ができた。先頭の宮下昭則さん(48、筑北村坂井)一家は「おちおち寝ていられなかった」と、午前7時すぎに到着。長女の愛美さん(9)は「絶対に勝ってくれる」。
試合開始当初は隣接する公民館での催しに配慮し、大声や鳴り物は自粛。前半を0−0で終え、安曇野市堀金の五十嵐浩士さん(42)は「ボールはキープできているので、あとはシュートの精度」と、後半に期待した。
山雅は後半7分に先制すると、音出しが可能になった直後の24分に追加点を奪い、興奮は最高潮に。試合終了とともに4位以内確定がアナウンスされ、会場は喜びが爆発した。
松本市筑摩の磯部信一さん(38)は「うれしくて言葉が出てこない」。家族や親戚と訪れた沢谷佳世さん(30、同市神林)は「負ける気はしなかった。最高です」。長女の美結さん(7)は「うれしい」と、きょうだいやいとこと抱き合って号泣した。

松本山雅FC1965(昭和40)年、JR松本駅前にあった喫茶店「山雅」の客有志が山雅クラブ(SC)を結成。国体県選抜選手らが加入し、70年発足の北信越リーグに第1回から参加。2004年、松本市を拠点とするプロサッカークラブ設立を目指す若手経営者らの後押しでJリーグ入りを表明し、翌年、現チーム名に。地元企業などの協賛金で元プロ選手らを獲得し、昨年JFLに昇格した。運営組織を株式会社化、資本金1億円余のうち約3000万円を占めるサポーターなどの個人持ち株会が筆頭株主だ。
(山雅取材班)
今季最終戦 Jの扉開く ロックに2−0   (2011年12月6日号より)
JFL松本山雅FCは4日、今季リーグ最終戦でホンダロックSC(宮崎)に2―0で勝ち、今季初の5連勝で勝ち点を59に伸ばした。この日、勝ち点55でともに1試合多く残す4位町田は勝ったが5位長崎は敗れ、長崎が11日の最終戦で勝って勝ち点3を加えても58にとどまるため、山雅の3位または4位が確定した。
前半を両チーム無得点で折り返し、山雅は後半7分、MF大橋の左からのFKを逆サイドのFW船山がコースを変えて蹴り込み先制。24分にも大橋の右からのFKにDF飯田が頭で合わせて加点。守っても運動量が持ち味の相手に走り負けず、2戦続けて零封した。
上位は首位SAGAWAが勝って勝ち点を67とし、最終節を待たずに2年ぶり3度目の優勝を決め、JFL昇格初年の長野が2位。山雅と同様にJリーグに入会申請している4位町田も4位以内がほぼ確実になり、町田は11日の最終戦で勝つか引き分けると3位、負けると山雅が3位になる。山雅の最終節はソニー仙台FC(宮城)との勝ち点が付かない震災復興支援試合(11日・松本市のアルウィン)。

この日、自らが勝っても町田、長崎に勝たれて最終戦も連勝されれば来季Jリーグ入りはなく、引き分けでは2戦を残す両チームが1勝すれば上回られ、負ければ両チームが引き分けでもJ入りは絶望的。敵地で迎えた最終戦で、山雅にできるのは勝つことだけ。それを実現したチームに、追い風は最後までやまなかった。
「無心でやるように言って送り出したが、前半は硬さでゲームにならなかった」と加藤監督。左右から攻める相手に対し、両サイドバックのDF玉林と鉄戸がタッチラインの外へ蹴り出す場面が多いなど、いつもより慎重な選手の胸の内が見て取れた。
そんな張りつめた緊張を、船山の先制弾が解きほぐした。大橋のFKはヘディングが強い飯田の頭上を越えてバウンド。「いいボールがきた。触るだけだった」と、シーズン途中にJ2栃木からレンタル移籍で加わった助っ人が大一番で仕事をすると、長崎がリードされている情報も控え選手からピッチに伝わり、押せ押せムードに。
前日の練習での対話で、「ようやく飯ちゃん(飯田)のほしい所が分かった」と、これも途中加入の大橋が再び蹴り上げたFKは、今度は今季何度もチームの窮地を救った飯田のヘッドにどんぴしゃり。「前線が点を取ってくれるから、僕らも必死に守る。チームは今が一番いい状態」と言い切る守備の要が2点目を挙げ、勝利を確実にした。
「JFLの中では環境がいい山雅は、選手にとってぬるま湯。彼らを鍛え上げ、Jで戦える選手に育てる。それだけをやってきた」。開幕後8戦の不振でクラブが吉沢前監督を解任、6月から残り25戦の指揮を執った加藤監督は試合後こそ涙を見せたが、すぐにいつもの厳しい表情に。「今日の相手にこんなサッカーをしていてどうするのか。これで自分が満足したら、選手も終わり」
高い能力が一つにまとまらず、突き放す指揮官に時に反発。切り札として期待された松田選手の急死で受けたダメージも大きく、もがき続けた選手たち。何度も閉ざされそうになったJの扉を最後にこじ開けたのは、苦しみの中で培われた彼らの力だった。

【選手コメント】
GK(1)石川「小さいころからの夢がやっとかなった。どきどきしている」
DF(4)飯田「今季前半は結果が出ず、ふがいなかった。失点が多く、前線で守ってセカンドボールを拾う戦い方を攻撃陣に主張できなかったのも、苦しんだ要因の一つ。やっと終わった」
MF(5)小松「子どものころJリーグの試合を見てプロ選手を目指した。長野県でサッカーをする子どもたちが増えればうれしい」
MF(7)北村「緊張感がある試合が続いていたので、正直ほっとした。こんなに待たせてしまいサポーターには申し訳ない。マツ(松田)さんと一緒に上がりたかった」
MF(8)弦巻「目標のJ入りを達成し、めったにない経験ができた。試合に出られない時は我慢した。もう少し得点したかったし、もっとやれる。やらなければ」
FW(11)片山「自分が初めて入団した4年前は小さなチームだった。たくさんの人の思いが集まり、ここまでチームが大きくなったのだと実感して涙が出た」
DF(14)玉林「たまたまシーズン終盤に出番がきた。皆でJに上がったという思い。自分が入団する前にチームをJFLに昇格させた選手たちにも感謝したい」
DF(16)鉄戸「山雅に来てよかった。応援してくれる家族や、九州まで駆け付けてくれるサポーター。自分を支えてくれた皆に感謝したい」
MF(17)久富「キャンプの時から皆でJを目指して頑張ってきた。もう一度Jでプレーする自信が付いた。もっと活躍したい」
FW(19)塩沢「控えでアップしながら鳥肌が立ったのは今日が初めて。県内(上田市)出身の自分にとって山雅でプレーするのは励み。Jに上げる目標を達成することが、サポーターの応援への感謝だと思っていた」
MF(20)須藤主将「スタンドでこぶしを握り締めて見ていた。マツさんは頼り過ぎると力を貸してくれないので普段は頼まないが、今日は『どうか勝たせてください』と必死で祈っていた」
DF(23)多々良「皆の力でJに上がれた。失点しても慌てなくなったのは成長。相手をゼロに抑えれば、後半に点を取って勝てる。シーズン終盤は勢いに乗った」
GK(25)白井「フィールドの皆を信じていた。大卒1年目でこんな体験ができたのは、これからの選手生活の大きな糧になる」
MF(27)大橋「(前所属の)韓国でプレーした時は昇格争いとは無縁だった。選手としてあと何年できるか分からないが、負けられない状況の下での戦いは大きな経験になった」
DF(28)飯尾「苦しいところで皆が頑張れば負けない。初めから最後の5戦のようにできていれば、もっと簡単に上がれたはず。このチームの弱点だったが、だいぶ変わった」
MF(30)渡辺「震災もありつらい年だったが、この瞬間を迎えられてうれしい。地元の福島県いわき市から応援してくれる人もいる。お礼を言いたい」
FW(32)船山「緊張や焦りで難しい試合だった。J昇格を決めた時、ここにいたことはうれしい。途中加入後の自己評価は50点ぐらい」
FW(33)木島良「当初はマツと二人で『自分たちが何とかしなくては』という気持ちが強過ぎた。マツの死後、最年長の自分が何とかしなくてはならなくなった。カードをもらうとチームにも自分にもいいことがない。終盤は余裕が出てきた」
(山岡史明、倉科美春)
地元出身の誇り胸に チーム在籍最長・MF今井   (2011年12月6日号より)
チーム在籍最長5季目のMF今井(上松町出身)は、その瞬間をベンチで迎えた。「Jリーガーになるために、山雅でプレーしてきた」生え抜き。地元出身の誇りを胸に、この日を夢見てチームと共に成長してきた。
07年入団。1、2年目は練習後に日帰り入浴施設の調理場で8時間のアルバイト生活。3年目から徐々にサッカーに専念できる環境になったが、チームはJFLに上がるまで3年を要した。
自身がJリーガーになるチャンスは2度あった。
1度目は学生時代。プロを目指して高校から県外に飛び出し、大学では関西学生選抜にも選ばれ、卒業後にJ2クラブ入りが決まりかけていた。が、評価してくれた監督が解任され、ご破算に。失意の帰省中にJを目指す山雅の存在を知り、当時の辛島監督に自分のビデオを送り、入団が決まった。
再び機会が訪れたのは2年目の08年。天皇杯でのプレーが目に留まり、J2クラブから獲得話が舞い込んだ。が、チームはJFL昇格を目指して瀬戸際の戦いの最中。
「山雅をJFLに上げ、自分はJへ」のつもりで話を先送りした。シーズン終了後に「J側の経営難で獲得はなくなった」と聞かされ、「頭の中が真っ白になった」。
「山雅でJを目指す運命」。そう思い直して3年。08年に結婚した元サッカー選手の妻、麻希さん(27)も“同志”として支えてくれた。その間に「松本のどこへ行っても応援される雰囲気を感じるほど」チームへの支持は広がった。
Jを目指した5年間で、共にプレーした選手は63人。このうち8月に急死した松田選手を含め、これまでに38人がチームを去った。
「27歳で初めてJリーガーになるかもしれない選手は、そういない。でもゴールじゃない」。Jで活躍する姿を、支えてくれた家族やプロを夢見る信州の子どもたちに見せたい−。そのスタートラインに立つ日を見据えた。
待ち望んだ歓喜に沸く松本   (2011年12月6日号より)
敵地で4日、悲願のJ2昇格を決めた松本山雅FC。ホーム地の松本市でも、多くの人が平たんではなかった道を振り返りながら、待ち望んだ歓喜をかみしめた。
ホームグラウンドのアルウィンには、近くの神林体育館で行われたパブリックビューイングの観戦を終え、訪れるサポーターの姿が見られた。8月に急逝した松田直樹選手に、J2昇格を「報告」するためだ。「やったよ、マツ(松田選手)」「ありがとう」などと声をかけたり、アルウィンに向かって手を合わせたり。「松田コール」も起こった。
山形村の浜浦宏和さん(23)は「『苦しみ悩めば、それだけ昇格の喜びも大きくなる』という松田選手の言葉を実感している」。塩尻市広丘高出の吉村秀章さん(37)は「いろいろなことを乗り越え、昇格をつかんだチーム。来季もこのメンバーで戦えればいい」と願った。
松本市中央1の飲食店「かとちゃん」には多くのサポーターが詰め掛け、祝杯を挙げた。店主の加藤順一さん(53)も、パブリックビューイングに参加。本来は定休日だったが、店を開けた。「まだ通過点のひとつ。街ぐるみでもっと盛り上げていければいい」と、期待を込めた。
同市大手4の飲食店「やきとりはうすまるちゃん」も定休日だったが、営業。店主の丸山篤史さん(56)は、入り口の上に自作の横断幕を掲げ、訪れたサポーターらを沸かせた。「必ず昇格すると信じ、試合前から作業に取りかかった。山雅は松本の財産です」と、丸山さんは満面の笑みを浮かべた。
(長岩将弘)
Jへの戦い大詰め 4日最終戦   (2011年12月1日号より)
JFL松本山雅FCのJリーグ2部(J2)入りを懸けた戦いが大詰めを迎える。現在3位の山雅は他チームより1試合多く消化しており、12月4日が今季リーグ最終戦。この日勝って4位町田ゼルビア(東京)、5位V・ファーレン長崎のいずれかが敗れると、山雅は来季J2入り条件の4位以内が確定する。
現在、勝ち点56の山雅は、最終戦に勝つと59。同55の町田と長崎は残り2試合で1敗でもすると最高58で山雅を上回れず、山雅は3位か4位で来季J入りが確実になる。
山雅は、最終戦に勝っても、町田と長崎がそろって残り2連勝すれば5位。山雅が勝って両チームが1勝1分けだと勝ち点59で並び、得失点差の争いに。得失点差20の山雅が町田(30)を上回るのは難しく、最終戦が1点差勝ちだと長崎(21)にも追い付けない。
山雅は引き分けると両チームが1勝、負ければ2分けでも勝ち点で上回られるため、4位以内が厳しくなる。
山雅と同じく4位以内で来季J入りが決まる町田も絶対に負けられず、2年後のJ入りを目指す長崎も、山雅と町田がそろってJ入りすれば最大22チームとされるJ2が定数に達し、来季以降のJ入り条件がより厳しくなることが予想されるため、1枠を残しておきたい戦い。3チームの争いはし烈だ。
(山岡史明)
次節展望(前期2節)対ホンダロック   (2011年12月1日号より)
JFLは12月3、4日が東日本大震災で延期した前期2節。山雅は4日、ホンダロックSC(宮崎)と宮崎県小林総合運動公園市営陸上競技場で対戦する。前節(11月27日)2−0で下した相手を敵地で再び破ることだけが自らJに近づく手段だ。
山雅は19得点でランキング首位タイのMF木島徹が前節の退場で出場停止。決定力の低下は避けられないが、けがで前節欠場した攻撃の司令塔MF大橋は間に合いそう。他のメンバーに大きな変更はないだろう。
ロックは前節山雅に敗れて3連敗、引き分けを挟み6連敗と不振だが、ホーム最終戦と目前での山雅のJ入り決定阻止が強いモチベーションに。前節温存した快足MF下木屋の起用や、連敗中は得点がないFW陣の入れ替えなどで、より攻撃的な布陣が予想される。
後期17節 4連勝で3位浮上 ロックに2−0   (2011年11月29日号より)
JFLは11月27日、後期17節を行った。リーグ残り2試合で5位につける松本山雅FCは9位ホンダロックSC(宮崎)と松本市のアルウィンで対戦し、2−0で勝った。山雅は今季2度目の4連勝。勝ち点差2の3位町田が敗れ、同1の4位長崎が引き分けたため、山雅は両チームを抜いて3位に浮上した。
山雅は前半21分、相手クリアボールを奪ったMF久富が右サイドを駆け上がってクロスを入れ、DF飯田が頭で合わせて先制。
後半開始直後は左からゴール前に持ち込み、MF北村のパスを逆サイドに詰めた久富が押し込み加点。17分にMF木島徹が2度目の警告で退場し、1人少なくなったが相手の決定力不足にも助けられて零封した。
2位長野が勝って勝ち点60とし、山雅は今季3−5位が確定。山雅が次節(12月4日)勝ち、共に1試合多く残す町田、長崎のどちらかが敗れれば、山雅は来季Jリーグ入り条件の4位以内が決まる。
山雅が引き分けるか負けて町田と長崎が勝つと山雅の5位が決定。それ以外のケースは町田、長崎の最終戦(12月11日)の結果次第で山雅の順位が決まる。

山雅は勝ち点が付く試合ではホーム最終戦。信州ダービーと松田選手急死直後の試合に次ぐ、今季3番目に多い観客9600人が見守る中、出番に奮起した若手の活躍で絶対に勝たなければならない一戦をものにし、J入りに向けて自ら追い風を吹かせた。
前々日の練習で痛んだMF大橋に代わり、リーグ5試合ぶり出場の久富が先制点をアシスト。これまで不得手の左での起用が多かったが、「今日は得意の右。最初から全力で飛ばした」というチーム最年少の21歳は、待望のJFL初ゴールとなる追加点も挙げ、流れを引き寄せた。
出場停止の須藤に代わるボランチは23歳のMF小松。開幕前の練習試合で大けがを負い、癒えた後もベンチ入りすらなかったが、天皇杯でJ1新潟を抑えた守備力を買われて今季リーグ初出場。「この日のためにやってきた。勝たなければ次(の出番)はない」と、最後まで走り切った。
「代わって入った選手も平常心でやってくれた。チーム全員で勝ち取った白星」と加藤監督。1週間後に同じ相手と敵地で戦う最終戦は、得点源の木島徹も出場停止で欠くが、「誰が出てもやれることを示せた」とDF飯尾。指揮官も選手も、最終盤にきて整ったチーム力に手応えを得ている。
町田と長崎が下位相手に取りこぼし、見かけの順位は上回ったが、ともに1試合多く残す両者が2勝すれば勝ち点で抜かれる。
山雅にできるのは、最終戦を今季初の5連勝で飾ることだけ。「出られない人たちに代わり、僕らが頑張るしかない」と小松。あがき続けたシーズンの最後に、チームはJへの糸を必死にたぐり寄せようとしている。
(山岡史明、倉科美春)
松田選手の追悼試合 来年1月22日横浜で   (2011年11月29日号より)
サッカー元日本代表で、8月に急死した松本山雅FCの松田直樹選手を追悼する「メモリアルゲーム」が来年1月22日、横浜市日産スタジアムで開かれる。2002年ワールドカップ(W杯)日韓大会に松田選手と共に出場した中田英寿さんら当時の代表選手や、J2横浜FCの三浦知良選手らが出場を予定し、山雅もチームで参加する。
山雅と、松田選手が昨季まで16年間在籍したJ1横浜F・マリノスの現役・OB、元代表や松田選手と親交があった選手の「ナオキ・フレンズ」の3チームが参加。山雅−横浜M、フレンズ−横浜Mの2試合をする。
大会の収益は、主催者で松田選手の元チームメートらが設立した一般社団法人が管理し、子どもたちへのサッカー普及・育成活動などに使う。
30日までオリジナルデザインの前売り入場券販売をインターネット(http://pia.jp/v/matsudanaoki/)で受け付け、申し込み多数の場合は抽選。コンビニエンスストア端末などでの一般販売は12月4日から。大会事務局電話03・3545・7345(午前10時−午後5時)
前期6節 金沢の猛攻しのぎ希望つなぐ勝利   (2011年11月26日号より)
JFLは23日、東日本大震災で延期した前期6節を行った。5位の松本山雅FCは7位ツエーゲン金沢と石川県西部緑地公園陸上競技場(金沢市)で対戦し、2−1で辛勝。山雅は今季3度目の3連勝。勝ち点差2で追う3位町田、同1の4位長崎もそろって勝ち、来季Jリーグ入り圏内の4位以内を目指す山雅は依然5位のままだ。
山雅は後半13分にMF須藤から中央でパスを受けたMF木島徹が先制。29分には途中出場のFW木島良が、相手GKのミスキックを得て加点。
39分に1点をかえされ、直後に須藤が2度目の警告で退場になるなど終盤は劣勢を強いられたが、なんとか1点差を守り切った。
山雅は勝ち点が付く残り2試合とも連勝すると、いずれも1試合多く残す2位長野が1分け2敗、町田が1勝2敗、長崎が1勝1分け1敗以下の成績だった場合に、それぞれを最終的な勝ち点合計で上回ることができる。しかし、次節で敗れて長野と町田、長崎が勝つと、山雅の今季5位以下が決まる。

10日前に山雅にアウェーで敗れた金沢はホームで雪辱を期し、開始直後から6連続CKの猛攻。何度も決定的な場面をつくったが、山雅はFW塩沢が相手の最初のシュートをはね返すなど全員でゴールを死守した。
後半終盤の相手の反撃も退場者を出しながらしのぎ、「山雅の気迫が勝った」(上野・金沢監督)と敵将がたたえた必死の守りで、来季J入りへの希望をつないだ。
DF鉄戸を出場停止で欠き、代役と目された李も前日の練習で足を痛めて離脱。玉林が左に回り、右にリーグ4試合ぶり先発の多々良が入った急造の守備ラインは「相手の守りが整う前に前線へ配球できず」(加藤監督)、前回の対戦時のような効果的なロングボールが出ない。
ならばと気を吐いたのが木島兄弟。兄の良輔が後半序盤からピッチに立つと、直後に弟の徹也が絶妙な飛び出しを見せ、ランキング首位に並ぶ今季19点目のゴールで先制。良輔も続き、直前のCK時の接触で脳震とうを起こした相手GKのミスを逃さず加点した。
前半をベンチで見ていた良輔はハーフタイム、「(相手に)狙われていた」多々良を呼び止め、マークの外し方を助言。そんな兄を弟は「『自分の出場よりチームの勝利』という意識を強めている。マツ(松田)さん亡き後の最年長者の自覚だろう」と、頼もしげに見やる。
2試合連続の兄弟アベック弾で、中2日の敵地連戦を連勝で乗り切った。が、町田はこの日も大勝し、長崎は下位に先制されながら逆転勝ち。上位が取りこぼさなければ順位は変わらず、自らが敗れても来季J入りは絶望的。残り2試合、薄氷を踏む戦いが続く。
(山岡史明、倉科美春)
次節展望(後期17節)対ホンダロック   (2011年11月26日号より)
山雅は次節(後期17節)の27日、9位ホンダロックSC(宮崎)と松本市のアルウィンで対戦する。勝ち点が付く試合では今季ホーム最終戦。上位の取りこぼしを期待するには絶対に勝つしかない。
山雅は金沢戦で、今季2回目の警告2度による退場処分を受けた須藤がリーグ最終戦まで2試合の出場停止。主将不在のボランチはMF北村に攻撃的な弦巻、守備的な小松のどちらを組み合わせるかでチームの性格が決まる。
震災による日程変更で各チームとも次節、次々節と同じ対戦が続き、ロックとは今季初顔合わせ。リーグ最多の11引き分けと粘り強いが、ここ5試合は1分け4敗、わずか1得点で計13失点と大敗が目立つ。山雅は白星優先ながら、順位が得失点差で決まる場合に備えて得点を重ねたい。
後期16節 仙台に無失点勝利 優勝は消滅   (2011年11月22日号より)
JFLは19、20日、後期16節を行った。5位の松本山雅FCは20日、18位のソニー仙台FC(宮城)と仙台市ユアテックスタジアム仙台で対戦し、2|0で勝った。逆転の可能性があった3位町田、4位長崎もそろって勝ち、来季Jリーグ入り圏内の4位以内を目指す山雅の順位は5位のまま。
山雅は前半5分、相手ボールを奪ったFW船山のパスをFW木島徹が決めて先制。後半15分には左CKにDF飯田が頭で合わせたシュートのこぼれ球を、途中出場のFW木島良が押し込んだ。守備陣も何度かあった相手の決定機を防ぎ、リーグ2戦連続の無失点。
首位SAGAWAが2位長野に勝って勝ち点を61に伸ばし、残り3戦全勝でも計59にとどまる山雅は優勝の可能性が消えた。山雅はいずれも1試合多く残す長野を勝ち点4、町田を2、長崎とは1差で追う。

リーグ4位以内に向け、勝ち点が付く残り4試合で全勝を期す山雅。4日前の天皇杯3回戦は、GKを除き前節(13日)金沢に快勝した先発メンバー10人を温存し、J1新潟から金星を挙げたのはいわば別チームだった。
この日はその10人が再び先発。引き分けすら許されない重圧の下、J1相手の勝利のような、感動的なゲームは望むべくもなかったが、いま最も必要な結果を出して役目を果たした。
震災でリーグ前期は参戦できず、他チームより少ない試合数で残留争いを強いられている相手は、最下位とはいえ戦意は高い。が、「こちらがレギュラー組」と自負を口にする船山が、相手の連携ミスを突いて開始早々の先制点をお膳立て。
早い時間に先制したことで受け身になったが、後半は修正して再び前線から相手ボールに迫り、CKから加点。2点差となり、攻めに転じた相手に押し込まれる場面もあったが、「以前より攻撃陣の守備の意識が上がった。要所でセカンドボールを拾えたので失点しなかった」と飯田。
「選手の気持ちの緩さ、格下相手という思いが見えた」。加藤監督は試合後、勝利への気迫や、さらに追加点を奪いにいく貪欲さがなかったと選手を責めたが、今は白星を重ねるしかない。
「優勝してJへ」という今季当初の目標はついえた。が、それ以上の力があることはJチームを相手に証明済み。あとは発揮する気持ちが伴うかだけだ。
(山岡史明)
次節展望(前期6節)対金沢   (2011年11月22日号より)
山雅は次節(震災で延期した前期6節)の23日、7位ツエーゲン金沢と石川県西部緑地公園陸上競技場(金沢市)で対戦する。ソニー戦とほぼ同じメンバーで臨み、中2日のアウェー連戦で体力的に厳しい一戦になる。
DF鉄戸が警告の累積で出場停止。代わりはDF李だろう。前線は動きが重かったFW片山に代えて木島良かFW塩沢の先発起用も。
金沢は19日に敗れ2連敗。中3日のホーム連戦は有利だが、今季13勝のうちホームは4勝止まり。前回敗れた雪辱を期し、攻撃的にくるなら山雅は守ってカウンターを狙い、相手の運動量が落ちる後半に主導権を握りたい。
山雅の意地 J1撃破 天皇杯3回戦新潟に1−0    (2011年11月19日号より)
サッカー日本一を決める第91回天皇杯全日本選手権は16日、3回戦の16試合を各地で行った。県代表のJFL松本山雅FCは、Jリーグ1部(J1)アルビレックス新潟と新潟市東北電力ビッグスワンスタジアムで対戦し、1−0で競り勝った。山雅は4回戦(12月17日・会場未定)でJ1横浜F・マリノスと対戦する。
Jリーグ勢以外で唯一、勝ち残った山雅は初の16強入り。J1を倒したのは09年の浦和レッズに続き2度目。08年のJリーグ2部(J2)湘南ベルマーレ、今大会2回戦のJ2横浜FCを合わせ、Jチームからの白星は4個目になった。
山雅は前半5分、DF李鍾民(イ・ジョンミン)選手の右コーナーキックにDF多々良敦斗選手が頭で合わせて先制。その後もシュートは同数、守りではボールをよく追って相手のミスを誘うなど、前半は互角の展開。
後半は得点を狙って攻撃の人数を増やした相手に守備の時間が続き、何度かピンチを迎えたが体を張ってゴールを割らせず、最後まで走って1点を守り切った。

来季のJリーグ入りが懸かるJFLのリーグ戦で、後がない状況の山雅。4日後も敵地での試合が控え、J入りと関係ない天皇杯は、J1相手の晴れ舞台ながらGKを除いて主力を温存し、リーグ戦で途中出場が多い選手や、最近の試合から外れた選手を起用。
「J入り優先」と割り切った上での挑戦だったが、「『意地を見せよう』と皆で言い合った」と、この試合の主将を務めたFW木島良輔選手。後半は個々の能力で上回る相手の攻勢に防戦一方になったが、激しい雨の中でもゴールを守る集中力と相手ボールを追い続ける運動量は最後まで衰えなかった。
MF小松憲太選手(塩尻市出身)は今季リーグ戦出場ゼロながら、新潟の攻撃のキーマン、ブラジル人のミシェウ選手を厳しくマークし、完封勝ちに貢献。「守備は自分の仕事。加えての攻撃参加が足りないから、常には使ってもらえない」と自身のプレーを省み、金星にも満足の言葉はなかった。
平日夜の観客4842人のうち、敵地に駆け付けた山雅サポーターは1000人近く。J1チームのゴール裏に負けない応援で勝利を後押しした。
4回戦の相手は、8月に急死した松田直樹選手が昨季まで16年間在籍した横浜M。決勝点を挙げた多々良選手は「マツ(松田)さんがここまで運んでくれたのかな」。J入り決定後の一戦となれば、この上ない供養になるだろう。
(山岡史明)
戦士の誓い(11)須藤右介のキーワード「日々、熱く」   (2011年11月17日号より)
今季ここまでリーグ28試合のうち、不在は出場停止の1戦だけ。主将としてピッチに立ち続ける。「JFLは能力は高くないが、ハングリーな選手が多い。隙を見せるとやられる」。彼らのひたむきさに、自分が今このカテゴリーにいる意味を教えられる。
心は熱く、頭は冷静に−。
今季序盤は交代や途中出場が続き、チーム成績も低迷。6月に吉沢前監督が解任され、「自分を信頼し、主将に指名した前監督に結果で応えられなかった」。クラブが苦渋の選択をせざるを得ない状況をつくったことにも、責任を感じた。
その2カ月後には松田選手が急死。
「同じポジションを争うマツさんに弱みを見せたくない」と、助言を仰ぐことは多くなかったが、衝突を恐れず他人のミスを指摘する松田選手の厳しさを「言われて怒るのは図星だから」と受け止めた。導き手の死に言葉を失い、一人になると涙があふれた。
横浜FC時代から続けるブログも閉じた。自身の言動への誤解や、チームに対する批判の書き込みが相次いだためだ。「ファンには申し訳ないが、余計なことを考えずに済む」。サッカーに集中することを選んだ。
終盤にきて、J昇格は瀬戸際の状況だ。「働きながらプレーする相手に土壇場でやられたりするのは、自分が煮えたぎっていないから。もう一段階、ギアを上げて熱さを見せる」。相手を焼き尽くすほどの熱が、自身とチームを高みに導くと信じて。
(おわり)
(この企画は山岡史明が担当しました)
ボイスIの声 柿本倫明コラム(13)   (2011年11月17日号より)
アンバサダーの仕事の一つに、皆さんに話をする講演があります。
小中学生には、夢や目標を持つことの大切さを伝えます。僕のこれまでの人生を「折れ線グラフ」にし、プロになった時は上向き、クビになったら下向き、J1でプレーした時は上へ、J2に移籍したら下へ…という具合に、目で見ても分かるように話します。
山雅でJFL昇格を達成し、夢がかなうのですが、決して右肩上がりでなく、山あり谷ありのグラフです。人は挫折を経験して成長する。夢はかなえたら終わりではなく、新たな目標を持つことでいっそう成長できる−。そう話し掛けます。
企業経営者の皆さんに招かれた時は、「チーム力」について話しました。僕が主将を務め、JFL昇格を決めた一昨年の体験です。
大勢の人間がまとまり、力を発揮するにはコミュニケーションが大事。選手皆で一緒に飯を食いに行き、たわいない話をしていると、やはり話題はサッカーのことになる。そこで相手の本音が聞けるし、自分の考えも伝えられる。そうやってチームをまとめたことを紹介しました。
先日の高校サッカー県大会では初めて試合の解説をやらせてもらい、プロ選手の経験を背景に、自分の見方や分析を皆さんに伝える面白さを感じました。現役時代から心掛けているのは「言葉に責任を持つ」ということ。皆さんに耳を傾けてもらえるよう、きれいごとや間違いを避けて誠実に臨みます。
次節展望(後期16節)対ソニー   (2011年11月17日号より)
JFLは11月19、20日、後期16節を行う。5位の松本山雅FCは20日、18位のソニー仙台FC(宮城)と仙台市ユアテックスタジアム仙台で対戦する。来季Jリーグ入りが可能な最終4位以内のために、上位が敗れるの待つしかない山雅は、自らの取りこぼしは絶対に許されない。
山雅は今節を含めてリーグ残り4試合。金沢に快勝した前節とメンバーに大きな変更はないだろう。
東日本大震災の被災地が拠点のソニーは今季、リーグ前期を欠場して後期1節(7月3日)から参戦したが、相手に勝ち点が付かない復興支援試合を含め、ここまで18戦3勝。
ただ、天皇杯2回戦でJ1仙台に延長の末1−2で惜敗するなどもともと地力がある上、地域リーグ降格圏を脱する15位以上という目標もあり、最下位とはいえ全く侮れない。
JFL後期15節 希望つなぐ快勝 金沢に2−0   (2011年11月15日号より)
JFLは12、13日、後期15節の9試合を行った。6位の松本山雅FCは13日、4位のツエーゲン金沢(石川)と松本市のアルウィンで対戦。山雅は来季Jリーグ入り圏内の4位以内に向け、どうしても白星が必要な上位との一戦に2|0で快勝し、順位を一つ上げて5位になった。
山雅は前半33分、DF飯田からのロングフィードを受けたMF木島徹が、MF大橋とのワンツーでゴール前に抜け出し先制。
後半30分には左から大橋がゴール前にボールを入れ、ポストになった途中出場のFW塩沢が後ろに戻し、走り込んだMF船山が決めて追加点を挙げた。
守備も、元日本代表FW久保ら金沢の攻撃陣を封じ、5試合ぶりに無失点で抑えた。
上位は、そろって白星を挙げた首位SAGAWA、2位長野、3位町田まで順位は変わらず。下位に大勝した5位長崎が山雅と共に金沢を抜き4位に。

下位相手のここ3戦を2分け1敗と取りこぼし、残り全勝しても現時点で自力の4位以上がない山雅にとって、2戦を残す金沢は勝てば上回ることができる唯一の上位。引き分けか負けだとJリーグ入りへの期待が一気にしぼむ瀬戸際の一戦に快勝し、今季の残りに希望をつないだ。
チームが目指すのはパスをつないでゴールに迫る攻撃だが、前線からボールを奪いに来る相手に対応し、この日は守備ラインの裏を狙うロングボールを多用。木島徹と大橋のパス交換が決まった先制点は、DF飯田の自陣からの長いパスが起点だった。
相手守備陣を押し込んで中盤を間延びさせ、出足よくセカンドボールを拾って前線に配球し、2点目はフリーでボールを持った大橋のパスから。3カ月ぶりに先発したDF玉林ら守備陣も、孤立した相手の攻撃陣を落ち着いて封じた。
策がはまった加藤監督は「常にゴールを奪いにいく姿勢を表現できた」と、ベンチでにんまり。柴田コーチは「勝ちパターンがないチームだが、遅ればせながら(戦い方の)引き出しが増えた」と、今後に生きる白星だと強調した。
山雅は、勝ち点がつく残り4試合を全勝しても、共に5試合を残す4位長崎が3勝1分け1敗、3位町田は3勝2敗以下でないと勝ち点で上回れず、厳しい状況は変わらない。
木島徹は「『上位に勝たなければ』と、前節(秋田戦)より気持ちが入った」。大橋も「相手が上位で(下位相手より)気持ちが乗った」と言う。次戦(20日)の相手は最下位のソニー仙台。目前の相手でなく、見えない上位と目標のJ入りを意識して戦えるかが、勝負の鍵を握る。
(山岡史明、倉科美春)
次節展望(後期15節)対金沢   (2011年11月10日号より)
JFLは12、13日、後期15節を行う。6位の松本山雅FCは13日、4位のツエーゲン金沢と松本市のアルウィンで対戦する。山雅は来季Jリーグ入り圏内の4位以内に向け、絶対に白星が必要だ。
上位の残り試合を見て、山雅は勝てば順位が一つ以上確実に上がるのは現時点でこの試合だけ。負けか引き分けだと、今後上位の取りこぼしがあっても4位以上の可能性はいっそう低くなる。天王山には信頼度が高いメンバーで臨むだろう。
今季初対戦の金沢は、下位相手とはいえここ2戦計8得点と攻撃が好調だ。今季13勝のうち9勝は敵地。前節出場停止の元日本代表FW久保も復帰する。最短2年後以降のJ入りを目指しJ2の残り2枠を可能な限り空けておくためにも、山雅の来季J入りを阻む動機づけは強い。
J入り遠のいた黒星   (2011年11月8日号より)
JFLは5、6日、後期14節を行った。4位の松本山雅FCは6日、11位のブラウブリッツ秋田と秋田市八橋運動公園陸上競技場で対戦。2度先行されながら追い付いたが、後半終盤に勝ち越され2−3で敗れた。7試合ぶりに黒星を喫した山雅は、来季Jリーグ入り圏内の4位以内から6位に後退した。
前半19分に秋田がCK後の連続攻撃で先制。山雅はロスタイムにFW片山が倒され、PKをMF木島徹が決めて同点としたが、直後の相手キックオフから失点。
山雅は後半4分、ゴール前で倒された木島徹が2本目のPKを決めて再び追い付くと、その後は一方的に攻め続けたが得点できず、逆に38分、カウンターで攻め込んだ相手を倒し、PKで決勝点を与えた。
上位は、共に白星の金沢と長崎が山雅を抜いて4、5位に浮上。首位SAGAWA、2位長野も順当に勝ち点を伸ばし、3位町田は引き分けた。

主導権を握られた前半と打って変わり、後半は相手の3倍以上のシュート16本を放った山雅だが、決定的な場面はことごとくGKらに防がれるか枠外。10本を数えたCKも、気迫だけで押し込もうとする強引さが目立ち、相手の必死の守りをいなせない。
最後は相手カウンターを守りに行ったFW船山がPKを与えたが、前半終了間際にやや幸運なPKを得て同点に追い付きながら、直後に「軽く緩んだかもしれない」(DF飯田)と、ワンプレーで奪われた2失点目が本当の決勝点だった。
前節から中2日。下位相手に2戦続けて引き分けた流れを変えようと、けがや疲れがたまった選手を休ませ、サイドバックは右に3カ月ぶりの阿部、左は2カ月ぶりの李を起用するなど先発5人を入れ替えたが、劇的な効果は表れなかった。
山雅は残り5試合。全勝しても首位SAGAWAが残り5戦で2勝、2位長野が6戦で3勝すれば追い越せず、すでに直接対決がない町田、長崎も6戦で5勝されれば上回れないため、現時点で自力の4位以内は消滅。
2試合の対戦を残す金沢だけが唯一、自力で上回れる上位だが、金沢にも6戦で5勝されれば追い越せない。山雅は全勝を前提に、なおかつ他の上位の取りこぼしを待つ厳しい状況に追い込まれた。
混戦の今季、上位がすんなり勝ち続けるとは考えにくい。が、今は山雅も攻守に決定的な形を欠く。「勝ちたい気持ちが足りないのでなく、それ以上に受け止めなけらばならない現実」(加藤監督)をどう打開するか。1週間後にホームで金沢との天王山第1ラウンドを迎える指揮官の言葉に、明確な答えは見当たらなかった。
(山岡史明)
次節展望(後期14節)対秋田   (2011年11月5日号より)
山雅は次節(後期14節)の6日、11位ブラウブリッツ秋田と秋田市八橋運動公園陸上競技場で対戦。中2日の強行日程に加え、長距離移動が伴う敵地での一戦を乗り切れるか。
山雅は今季14得点のFW木島徹が、出場停止が明けて復帰。船山または片山とツートップを組むか、サイドで攻撃の起点になる。
秋田とは今季開幕戦で対戦し、先制しながら逆転負け。秋田はその後、8戦白星なしなど不調が続いたが、直近の10戦は5勝3敗と徐々に調子を上げている。前回決められた逆転弾を含め、ここまで15得点のFW松田には絶対の注意が必要だ。
JFL前期3節 痛い足踏み武蔵野と2−2   (2011年11月5日号より)
JFLは2、3日、東日本大震災で延期された前期3節のうち5試合を行った。3位の松本山雅FCは3日、15位の横河武蔵野FC(東京)と松本市のアルウィンで対戦。1点リードされて迎えた後半ロスタイムに追い付き、2−2で引き分けた。下位相手に2戦連続で引き分けた山雅は、順位を一つ落として4位。
山雅は前半24分、DF鉄戸のスルーパスを受けたFW片山が決めて先制。しかし、31分にCKを武蔵野FW小林に頭で決められ、前半は1−1。
後半に入り押し込まれる時間が増えた山雅は、23分にゴール前の敵味方の交錯から失点。終盤はDF飯田を前線に上げてパワープレーを続け、最後は途中出場のMF弦巻が放ったシュートの跳ね返りを片山が押し込んだ。
白星の6位町田が山雅を抜いて3位に浮上。共に勝った首位SAGAWAは勝ち点50を超え、長野は2位をキープした。

試合後、観客にあいさつに向かおうとしたDF鉄戸は、しばらく動けなかった。「出し尽くした」。土壇場で追い付いた選手たちの顔には、安堵と共に疲労の色が濃くにじんだ。
1点ずつ取り合い、その後は互いに決定機がつくれない消耗戦。徐々にセカンドボールが拾えなくなり、2点目を奪われたのは「走り負け」だった。
「うちの選手ではどうしようもなかった」(依田・武蔵野監督)と、敵将がかぶとを脱いだ終了間際の猛攻も、切羽詰まるまで気迫が前面に出ない、これまでと同じ展開。
これで下位相手のホーム3連戦は1勝2分け。Jリーグ入り圏内の4位に入るが、2位以下の競合他チームより1試合多く消化しており、実質的な順位はそれ以下といえる。
「『勝たなければ』と気持ちが先走り、慌て、ミスが起きる。プレッシャーに対して自身をコントロールできない」と加藤監督。が、この日の先発のうち9人は元Jリーガー。幾多の修羅場は経験済みのはずだ。
「相手に負けず、走り切り、食らいつく。チームのためにどれだけ出せるか」とDF飯尾。残り6試合。選手たちの「Jに上がりたい」本気度が問われている。
(山岡史明)
戦士の誓い(10)鉄戸裕史のキーワード「勝ち点3」   (2011年11月3日号より)
前節(10月30日)は実質最下位のジェフリザーブズを相手に引き分けて勝ち点1。自身のミドルシュートがCKにつながり、相手のオウンゴールを誘ったが、直後に痛恨の失点。「いまは勝ち点3を積み上げるだけ。内容より結果」と言い切る攻守の担い手は、終了後に悔しさをにじませた。
JFLで例年上位の佐川滋賀やホンダは、選手個々の実績は山雅に見劣りするが、全員が最後まで走り続ける。「必要なのは運動量。Jに上がらなければ意味がない山雅の選手たちが、なぜハードワークしないのか」とは、チームと自身に対する問い掛けだ。
「もう一度Jでやりたい」と、J2鳥栖を解雇された翌2009年のシーズン途中に、当時北信越リーグの山雅へ。JFL昇格を決めた全国地域リーグ決勝大会では、初戦のPK負けで絶対に白星が必要な2戦目に決勝弾を放つなど、意気込みをプレーで表した。
以来、左右を問わない不動のサイドバックだが、あのころの生きのよさが、最近は影を潜めたようにも見える。「J入りに向けて残り試合が減り、緊張している」と言うが、それだけではなさそうだ。
「毎試合出られることに甘んじ、小さくまとまろうとしている自分が許せない」と唇をかむ。もちろん、今のポジションは実力で勝ち取った。が、たとえ出場が約束されなくても、より厳しい競争の中で切磋琢磨(せっさたくま)を望む。その熱さとおとこ気は、半端ではない。
ボイスIの声 柿本倫明コラム(12)   (2011年11月3日号より)
少し昔話をします。僕がお世話になった人たちのことです。2000年にJ1福岡を1年でクビになった僕は翌年、シンガポールのクラブでプレーしました。テストに合格し、「海外でサッカーをする機会は滅多にない」と、思い切りました。
現地で得点を重ねた僕を日本に呼び戻してくれたのが、福岡時代のサテライト監督で、01年にJ2大分の監督になった小林伸二さん(現J1山形監督)。福岡の時から目を掛けてくれていた人です。
大分がJ2を制し、翌年J1に上がると出場機会が減りましたが、1試合だけ出た時のプレーが認められ、J2湘南からレンタル移籍の話がきました。監督に恩義を感じていた僕は断るつもりでしたが、小林さんは「お前自身のためになると思うなら行け」と言ってくれました。
もう一人忘れられないのが、大分と湘南でチームメートだった浮気哲郎さん(現J2岐阜コーチ)。
04、05年に湘南でチーム得点王になった僕は、ある選手とのあつれきに悩んでいました。そんな時、「考え過ぎるな。人生は真っすぐじゃなく、曲がりくねっているから楽しい」と、諭してくれたのが浮気さんでした。
どんな時も自分を見ていてくれる人がいる。それを信じ、やり続けることで道が開ける。そうやって僕は選手を続け、今は山雅にいます。サッカー界は狭いですが、アンバサダーとして広い社会に出た今も、「人とのつながり」を大事にしようと決めています。
JFL後期13節 勝利目前でジェフと1−1   (2011年11月1日号より)
JFLは10月29、30日、後期13節を行った。リーグ4連勝中の松本山雅FCは30日、17位ジェフリザーブズ(千葉)と松本市のアルウィンで対戦。後半43分に相手のオウンゴールで先制したが、直後の終了間際に失点し、1−1で引き分けた。
山雅は前後半を通じてボールを支配したが、相手GKの好守にも阻まれて得点できず、迎えた終盤にCKが相手DFに当たってゴールを割り、幸運な形で先制。
しかし、直後の相手キックオフからCKを与え、競り合いのこぼれ球を蹴り込まれ、追い付かれた。
前節後の10月26日に次節を消化したホンダロックに抜かれ、暫定4位だった山雅は勝ち点1を加え、合計43でFC琉球、ロックと並び得失点差で3位。連敗を3で止めた長野が5位から2位に再浮上し、2−8位が勝ち点計45−42の1勝差でひしめく。

後半残り2分。山雅は右CKが直前に投入されたFW片山の背中をかすめ、コースが変わってジェフDF安川に当たり、待望の1点をもぎ取った。が、選手もサポーターも勝利を確信した2分後、CKに相手が合わせたボールが先ほどは不運の安川の目の前に落ち、舞台は暗転。手にしかけた勝ち点3がするりと逃げた。
「1シーズンに1度あるか」という加藤監督の嘆きは完敗を喫した9月の讃岐戦後と同じだが、警戒していた相手のセットプレーによる失点。
「あれ以外は、ほぼはね返した。切り替えて集中していたが…」とGK白井。得点時は派手に喜んだ片山も「(ボールが)落ちた所が悪すぎた。絶対に気を抜いてはいなかった」と振り返る。
ならば今季限りでチームがなくなる実質最下位を相手に、取りこぼしともいえる勝ち点1にとどまった原因は何か。
後半序盤の2度の決定機を相手の好守に阻まれたせいもある。が、加藤監督は「サイドを切り崩す選手がいない。(FWの)木島良と船山の足元ばかりでは…」と、攻めが単調だったと分析。
「サイドからも、後ろからもボールが入らなかった」と木島良。両サイドや中盤の押し上げを鈍らせ、相手を脅かさない安全なパス回しを選択させたのは、「まずは、やられてはいけない」(MF北村)という、失点を避ける意識だったか。
「攻守のバランスは取れている。あとは決めるだけ」と加藤監督。確かに山雅の出来が悪かったわけではない。だからこそ混戦を抜け出し、Jリーグ入りを決めるのがそう容易ではないことを、まざまざと見せつけられた一戦だった。
(山岡史明、倉科美春)
次節展望(前期3節)対武蔵野    (2011年11月1日号より)
山雅は次節の3日、東日本大震災で延期された前期3節で横河武蔵野FC(東京)とアルウィンで対戦する。3戦前に敵地で対戦した際は2−0で勝ったが、運動量で勝る相手に前後半を通じて押し込まれる苦戦だった。
山雅はFW木島徹が次節まで出場停止。FW船山と組むツートップは、ジェフ戦は似たタイプの木島良を起用したが、「ロングボールやクロスの標的になる選手がいない」(加藤監督)ため、片山か塩沢になりそうだ。
互いに連戦ながら今節の試合が土曜日だった武蔵野は、山雅より1日多い中4日で臨み、体力的に有利だ。
次節展望(後期13節)対ジェフ   (2011年10月27日号より)
JFLは29、30日、後期13節を行う。前節に今季初の4連勝で3位に浮上した松本山雅FCは30日、17位のジェフリザーブズ(千葉)と松本市のアルウィンで対戦する。
山雅はFW木島徹が今季2度目の警告の累積で、今節と次節が出場停止。代わりの片山か塩沢は、得点が欲しい。短時間の途中出場が続くMF今井は先発復帰の可能性も。実質最下位を相手に得点を重ね、町田との得失点差を詰めたい。
初勝利まで15戦を要するなどシーズン序盤から低迷を続けるジェフは、経営難などを理由に今季限りでの活動終了を決めている。チームとしての目標はないが、来季の移籍先を探す選手にとっては、1戦ずつが自身をアピールする機会。若手が多く、勢いに乗らせないよう気を付けたい。
JFL後期12節 今季初の4連勝 栃木に3−1   (2011年10月25日号より)
JFLは22、23日、後期12節を行った。5位の松本山雅FCは23日、11位の栃木ウーヴァFCと松本市のアルウィンで対戦し、FW木島徹の2得点などで3−1で快勝した。山雅は今季初の4連勝。2位長野、3位長崎が敗れたため、山雅は今季最高タイの3位に順位を上げた。
山雅は前半44分、FW船山の左クロスを木島徹が中央で決めて先制。後半26分に同点とされたが、2分後に途中出場したばかりのFW木島良がFKのこぼれ球を持ち込み再びリード。37分には中央の木島良から右でパスを受けた木島徹が3点目を奪い、試合を決めた。
白星で勝ち点3を加えた山雅と町田が長崎を抜いて勝ち点42で長野と並び、得失点差で町田が2位、長野が4位。長野は3連敗、首位SAGAWAも2連敗。上位は2−7位が勝ち点合計42−39の1勝差でひしめく混戦。

前日に長野と長崎が下位相手に取りこぼし、勝てば一気に2位浮上もあり得た一戦。勝ち点で並び得失点差で上回る町田が首位SAGAWA(佐川)を破ったため3位にとどまったが、山雅は下位相手のホーム3連戦の初戦をきっちりと勝ち切り、終盤にきていよいよJリーグ入りラインの4位を越えた。
リーグ3試合ぶり先発の木島徹が前線に入ったことで、攻撃は前節と見違えるほどスピードアップ。兄の木島良も出場直後のファーストタッチで勝ち越し点を奪い、最後は兄のお膳立てで弟がゴール。「JFLのFWでは力量が抜けている」(加藤監督)兄弟初のアベック弾が、山雅の個々の能力の高さを象徴した。
試合後、加藤監督は「ターゲットは佐川」と、まだ上を追う立場であることを強調。一時は最大13の開きがあった首位との勝ち点差は4に縮まったが、勝ち点で並んだ町田と長野より1試合多く消化していることもあり、「一つ一つ勝っていくしかない」と、順位には無関心を装う。
相手ボールを奪い、1、3点目の起点になったMF須藤も「昨季も一時4位に迫ったが、最後は7位。J入りは甘くない」と、主将らしく気を引き締めた。
2点を加え、今季14得点でランキング2位タイとした木島徹だが、兄のゴールを喜んだあまりに遅延行為で警告を受け、今季2度目の累積で次節から2試合の出場停止に。
これで今季は4.5試合に1試合の割合で出場停止になった計算。「上位の金沢戦(11月13、23日)で頑張る」と本人は意に介さないが、その得点力は山雅のJ入りを左右しかねないだけに、惜しい。
(山岡史明、倉科美春)
戦士の誓い(9)弦巻健人のキーワード「質」   (2011年10月20日号より)
「いいトラップをすれば、いいパスが出せる。クリアも慌てなければ、味方へのパスにできる」。攻守の切り替え役がこだわるのは全てのプレーの「質」。広い視野を持ち、自分にボールがくる前に次の展開を予測するなど、上質なプレーが「上でやるために必要」と自覚している。
今季ここまで6得点は、DF飯田と並びチーム2位。特に吉沢前監督の解任直後に3戦続けて得点し、チームを3連勝に導いて加藤監督による立て直しに道筋をつけた。
小学生から東京ヴェルディの下部組織で育ち、数々の全国タイトルを手にして常に年代別ユース日本代表の中心にいた。
「プロになるのは当たり前」だったが、1年目に東京VがJ1からJ2に落ち、若手を起用する余裕がなくなる中、当時中国リーグだったファジアーノ岡山(現J2)へレンタル移籍。
「周囲のレベルに合わせて全力でやらず、無駄に過ごした」という後悔から、昨季途中に移籍した山雅では言うべきことを言い、ボールもほしい場所に要求するようにした。
ユース時代に指導した柴田コーチも「ボールを奪われてもふてくされたり、人のせいにしなくなった。自分を正当に評価できるようになった」と、精神的な成長を認める。
「JFLは今季限りの通過点にし、早くJに戻って『あんな時もあったな』と思えるようにしたい」。柔らかな物腰で仲間やファンに愛される若き才能の、その意志は固い。
ボイスIの声 柿本倫明コラム(11)   (2011年10月20日号より)
J入りを懸けるリーグ戦も残り9試合。周囲の期待がプレッシャーとなってのしかかり、「絶対に勝たなければ」という気持ちが先走り、闘志が空回りする−。山雅が北信越リーグ時代にも経験したことです。
そんな時は何かを変えるより、それまでやってきたことを冷静に続けるのが大事です。先日の天皇杯2回戦はJ2の横浜FCに勝ちました。一昨年にJ1浦和を破ったことが、JFL昇格につながったのを思い出します。その後の試合でリズムが悪くなると、「あの時(浦和戦)を思い出して、しっかり守ろうぜ」と、選手間で言い合ったものです。
今後は総力戦になりますが、たとえピッチに立っていなくても、チームに全く必要ない選手はいません。1月のアジア杯で優勝した日本代表のザッケローニ監督は、1試合も出場機会がなかったDF森脇良太選手(広島)を「皆を盛り上げ、チームを支えてくれた」と、たたえました。
一人一人に必ず役割がある。今季は皆、「松田選手のために」という思いが強いでしょう。加えて試合に出る選手は、控え選手のおかげで自分がプレーできる−という気持ちで戦ってほしい。そうなれば、チームは一つにまとまるはずです。
選手としてちやほやされるのは一瞬。その間に人間性を磨かなければ引退後、「チームプレー」が求められる社会に出て働くのは難しい。選手はサッカーに関係がない職業の人と交わるなどして、心も鍛えてほしいです。
次節展望(後期12節)対栃木   (2011年10月20日号より)
JFLは22、23日、後期12節を行う。3連勝で5位に浮上、勝ち点でJリーグ入り圏内の4位と並んだ山雅は23日、11位の栃木ウーヴァFCと松本市のアルウィンで対戦。山雅は上位の結果次第で最高2位まで順位を上げる可能性がある。
山雅は前節、最後まで相手にボールを支配される苦しい試合を乗り切った。今節は出場停止明けのMF弦巻を起用し、2トップは好調な船山と前節MFで途中出場した木島徹の組み合わせで得点力アップを狙うか。
栃木は上位との対戦が続いたここ6戦は白星こそないが、前々節は町田にシュート18本を浴びながら無得点に抑えて引き分けに持ち込むなど粘り強い。リーグ3位タイの12得点を挙げているFW若林が、2試合の出場停止が明けて復帰するのも怖い。

栃木ウーヴァ戦(午後2時開始)の23日は、アルウィンがある信州スカイパークの陸上競技場で「県民スポーツフェスティバル」、やまびこドームで「信濃の国楽市楽座」が催され、通常の山雅のホーム試合で開放される臨時駐車場が使えない。このため山雅の運営会社はアイシティ21(山形村)と松本駅前から運行するシャトルバスの利用を呼び掛ける。
アイシティ発は通常より約2時間早い午前9時半から、試合開始まで随時運行。中学生以上片道200円、往復400円。松本駅前(松本バスターミナル)発は通常と同じ午前11時、正午、午後1時発。同片道500円、往復1000円。共に小学生は半額。
当日はシャトルバスの利用者先着1500人に、山雅FCのエンブレムとロゴをデザインしたハンドタオルをプレゼントする。松本山雅電話88・5490
JFL後期11節 守勢に耐え武蔵野に2─0   (2011年10月18日号より)
JFLは15、16日、後期11節を行った。6位の松本山雅FCは15日、15位の横河武蔵野FC(東京)と東京・西が丘サッカー場で対戦し、2−0で勝った。山雅は順位を一つ上げて5位。今季2度目の3連勝で、Jリーグ入り圏内の4位に勝ち点で並んだ。
山雅は前半5分、相手のパスミスでボールを得たFW船山が先制。その後は前後半を通じて相手に主導権を握られ、守勢が続いたが無失点で切り抜け、後半39分にDF飯田が頭で追加点を奪った。
白星を挙げた山雅と町田が勝ち点3を加え、引き分けで同1の金沢と勝ち点合計39で並び、得失点差で町田が4位、金沢が6位。首位SAGAWAと2位長野は共に黒星で、長野は2連敗。

山雅は開始早々に相手のミスで先制。しかし、その後はセカンドボールが拾えず、最後まで中盤を支配される苦しい展開。相手の決定力のなさに救われて無失点でしのいだが、加藤監督は「1点取って『負けられない』と消極的になった。まだ上位を追う立場なのに、これでは残り9試合を戦えない」と、さえない表情だった。
苦戦の原因は運動量の少なさだ。1週前の天皇杯2回戦でJ2横浜FCを破った時に見せた、攻守の素早い切り替えは皆無だった。2点目をアシストするまで、ほとんど攻撃参加しなかったDF鉄戸は「『安全に』という気持ちが働いた。最初にボールを奪いに行く味方が決まらず、苦しくなった」。
自身今季6得点目で試合を決めた飯田も、本業の守備について「前でボールが奪えないため、相手を引き込んで最終ラインで止める『応急処置』をした」と説明。「天皇杯で横浜FCに勝ち、ふわっとした状態」(船山)だったのは否めない。
それでも耐えて勝ち点3を積み上げたのは大きい。「選手は『無失点で』と、腹をくくって守っていた。交代や戦術変更でバランスを崩すのは避けた」と加藤監督。
J入りに向けて彼我のプレッシャーが増す今後は、やりたいことができす、精神的に我慢を強いられる状況が続くはず。「こういう勝ち方も選手の蓄積になる」(同監督)のは間違いないだろう。

●…武蔵野FW小林(昨季まで山雅に在籍)「ボールは持てるが得点できない、今季を象徴する試合。飯ちゃん(飯田)がゴール前に上がっているのにマークを外すなど、守りでも詰めの甘さが出た。(自身は途中交代で)不完全燃焼です」
(山岡史明)
天皇杯2回戦 横浜FCに完勝、主導権握り続け   (2011年10月13日号より)
サッカー日本一を決める第91回天皇杯全日本選手権は8、10、12日、各地で2回戦を行った。県代表でJFLの松本山雅FCは8日、Jリーグ2部(J2)の横浜FCと松本市のアルウィンで対戦し、2−0で快勝。3回戦(11月16日・新潟市)に進んだ。
山雅は格上の相手に対して前半から押し気味に試合を進め、後半8分にFW片山真人選手がシュートを決めて先制。2分後にFW船山貴之選手がPKで2点目を挙げた。
横浜FCは後半途中から「カズ」ことFW三浦知良選手を投入して反撃を試みたが、山雅は粘り強く守り得点を与えなかった。
1万1000人余が観戦。松本市神林の会社員大久保衛さん(42)は「目指すJ2のチームに勝てたのは大きい」。息子の駿君(10)は「楽しい試合だった。Jで戦える強いチームになってほしい」と期待した。
山雅の2回戦突破はJリーグ1部(J1)浦和レッズを破った一昨年以来。4回戦まで勝ち進むと、8月に急死した松田直樹選手が昨季まで16年間在籍したJ1横浜F・マリノスとの対戦が濃厚だ。

来季J2入り圏内のJFL4位以内を目指し、現在6位につける松本山雅FC。Jリーグ勢と対戦する天皇杯2回戦以降は、自分たちの力を推し量る機会の位置付けだ。
相手はJ2の20チーム中、現在リーグ15位と元気がない横浜FCながら、攻撃で主導権を握り続けて守備も零封し、完勝といえる内容。J入りに向けて弾みをつける1勝にできるか。
山雅は前半、船山や左MF久富らが前線へ飛び出し、放ったシュートは相手の2本を大きく上回る7本。終了間際の相手の決定機はMF須藤が防ぐなど、攻守でペースをつかんだ。
後半も立ち上がりのピンチを防ぐと、中盤でボールを奪って速攻を仕掛け、相手DFの中途半端なクリアを片山が拾って先制。直後にDF渡辺のロングパスに抜け出した船山が倒され、PKで加点した。
「勝負にこだわるより、これまでやってきたことを継続し、課題を確認」(加藤監督)しようと、攻撃は相手守備ラインの裏をしつこく狙い、守備は先に失点しないことを徹底。相手のミスの多さにも助けられ、会心のゲームを見せた。
これで天皇杯での対Jリーグ勢の戦績は、初対戦の08年以降3勝3敗。試合後、選手とスタッフは、一昨年に浦和を破った時のような歓喜の輪をつくらなかった。先発のうち当時5人だった元Jリーガーは、この日は9人。Jに勝ってもおかしくない能力は、本人たちが自覚している。
2カ月前まで横浜FCでプレーしたDF飯尾は「双方ともチームがばらばらという問題は同じ。が、今日の山雅は一人一人が頑張り、皆が一つになった」。片山も「Jを食おうと、挑戦者に徹した」。リーグ残り10試合で、全ての相手にその姿勢を貫けるかが、J入りの鍵を握っている。

●…横浜FW三浦 「勝つことが全て。試合に集中するため、(死去の直後に弔問にも訪れた)松田選手のことは考えないようにした。
素晴らしい雰囲気の中でプレーでき、山雅サポーターに感謝している。Jリーグを目指して今後も厳しい試合が続くだろうが、どんな結果になっても地域のサッカー熱を冷まさず、町を挙げてチームを支えてほしい」
(山岡史明、倉科美春)
次節展望(後期11節)対武蔵野   (2011年10月13日号より)
JFLは15、16日、後期11節を行う。リーグ2連勝中の山雅は15日、15位の横河武蔵野FC(東京)と東京・西が丘サッカー場で対戦。山雅が勝ち、上位の金沢と町田が敗れるか引き分けると、山雅は最高4位まで順位を上げる可能性がある。
山雅は前々節の退場で2試合の出場停止だったMF木島徹が復帰し、船山、片山のツートップを軸にした攻撃に厚みが加わる。チーム2番目の6点を挙げているMF弦巻は警告の累積で出場停止だが、天皇杯2回戦で攻守に鋭い動きを見せたMF北村も遜色ない。
今季初対戦の武蔵野は、昨季まで山雅に在籍したFW小林がチーム首位の5得点と気を吐くが、総得点19は山雅の半分以下。山雅はミスなく守り、堅守の相手ゴールをこじ開けたい。
横浜FCに2−0で快勝   (2011年10月13日号より)
サッカー日本一を決める第91回天皇杯全日本選手権は8、10、12日、各地で2回戦を行った。県代表でJFLの松本山雅FCは8日、Jリーグ2部(J2)の横浜FCと松本市のアルウィンで対戦し、2−0で快勝。3回戦(11月16日・新潟市)に進んだ。【関連記事10、11面に】
山雅は格上の相手に対して前半から押し気味に試合を進め、後半8分にFW片山真人選手がシュートを決めて先制。2分後にFW船山貴之選手がPKで2点目を挙げた。
横浜FCは後半途中から「カズ」ことFW三浦知良選手を投入して反撃を試みたが、山雅は粘り強く守り得点を与えなかった。
1万1000人余が観戦。松本市神林の会社員大久保衛さん(42)は「目指すJ2のチームに勝てたのは大きい」。息子の駿君(10)は「楽しい試合だった。Jで戦える強いチームになってほしい」と期待した。
山雅の2回戦突破はJリーグ1部(J1)浦和レッズを破った一昨年以来。4回戦まで勝ち進むと、8月に急死した松田直樹選手が昨季まで16年間在籍したJ1横浜F・マリノスとの対戦が濃厚だ。
JFL後期10節びわこに3−2 先行逃げ切り2連勝   (2011年10月4日号より)
JFLは1、2日、後期10節の8試合を行った。6位の松本山雅は2日、14位のMIO(ミーオ)びわこ草津(滋賀)と対戦し、3―2で勝った。山雅は2連勝で5位の町田と勝ち点36で並び、得失点差で6位。
山雅は前半10分、FW船山からパスを受けたMF弦巻が先制。2分後にはMF大橋からパスを受けた右DF多々良がゴール前まで運び2点目を挙げた。29分に自陣でボールを失い失点したが、36分に弦巻のパスをFW片山が決め、3―1で折り返した。
後半も追加点を狙って攻めたが、23分にカウンターを受けて失点。その後も押し込まれたが、1点差を守り切った。
上位は2位長野が5位金沢に敗れ、金沢が4位に。山雅の他に来季Jリーグ入りの可能性があるJ準加盟2チームは、町田が11位栃木ウーヴァと引き分けて、山雅との得失点差は11。讃岐は変わらず9位。
リーグ残り11戦で始まった、現在11位以下チームとの6連戦。Jリーグ入り圏内の4位を勝ち点差2で追う山雅は、一つも取りこぼせない切羽詰まった状況だが、この日はここまでリーグ最多失点の相手から序盤に2点を奪い、スタンドにも楽勝ムードが漂った。
ところが、前掛かりになった相手をいなせず、弦巻のミスでボールを失ったのを端緒に失点。
木島兄弟の出場停止で7戦ぶりに先発の機会が回ってきた片山が発奮し、前半に3点目を挙げたものの、後半は押し込まれる場面も目立ち、CK後にカウンターを食らって再び1点差に。
前節の完封勝ちで上向いたかに見えた守備だが、「やってはいけないミスから」(加藤監督)を含め、点の失い方は相変わらず。下位を相手に理想的な形で先行しながら、最後は逃げ切るのが精いっぱいだった。
それでも2連勝に選手はほっとした表情。全得点に絡んだ弦巻によると、前節の琉球戦前に選手だけでミーティングをしたといい、「全員が考えを言い合った。若手は『もっとチームを盛り上げる』と話し、ベテランには『引っ張る』という声が多かった」という。
「前節は守備陣が踏ん張り、ゼロに抑えてくれた。今日もよくはね返してくれた」と片山。失点は守備陣のせい、逸機は攻撃陣のせい−と責任を押しつけ合う悪い雰囲気を変えようと選手が努力したことが、連勝につながったとも言えよう。
次節は15日。その前に山雅は天皇杯2回戦のJ2横浜FC戦(8日・アルウィン)を挟む。格上相手に好戦し、苦しみながら結果を出している現状に「勢い」をプラスしたい。
○…山雅DF多々良(JFL2季目で初ゴール)サイドバックで使われるようになってから、チャンスがあれば得点したいと思っていた。大橋さんからパスをもらって中央を見たら誰もいなかったので、シュートという選択肢が浮かんだ。
(山岡史明、倉科美春)
戦士の誓い(8)北村隆二のキーワード「楽しむ」   (2011年9月29日号より)
試合で撮影した選手の写真を後で見ると、背中越しに振り返っている姿が誰より多い。サイドチェンジでチャンスをつくり、危険な場面に顔を出せるのは、常に敵味方の位置取りを確かめ、次の展開を予測する視野の広さがあればこそだ。
「例えば自分が相手ボールを奪うのに、最初に守備に行く味方をどう動かし、敵をどこに追い込むか−など、サッカーにはいろんな楽しみがある」
Jリーグ入り後を見据えるチームは今季、カウンター主体から脱却し、ボールを支配する戦い方を目指した。「結果はもう一つ及ばなかったが、パスをつないで相手をそらし、ポゼッション(保持)する、『サッカーしてるな』という楽しさがあった」
その中心だった故松田選手には「そこに(パスを)出せるのはリュウジ、お前しかいないよ」と褒められ、ミスすると、「らしくないなあ」と嘆かれた。
「あの人に認められ、『自分は間違ってなかった』と確信できた」。松田選手の熱さに触れ、ベテランの助言が若手を育てる可能性もあらためて知った。
昨季はチーム最多のリーグ32試合に出場(うちフル出場23)し、不振打開のためにFWも務めたが、今季は途中交代やベンチスタートが多く、フル出場はここまで3戦。
「やっていることは(昨季と)変わらないし、試合に出ればやれる自信もある」が、気に病んで振り向いたことはない。「だって、楽しめなければサッカーじゃないから」
ボイスIの声 柿本倫明コラム(10)   (2011年9月29日号より)
山雅のユースアカデミー、U―15(中学年代)の合宿や試合に同行するようになり、子どもたちと接する機会が増えました。プレーに対してアドバイスをしたり、シュートの練習を指導したり。伸び盛りの彼らに関わるのは、大きなやりがいと責任を感じます。
僕が子どもたちに一番伝えたいのは、一人の人間として成長してほしいということです。あいさつをきちんとする、スパイクなど物を大切にする、サッカーができる環境を与えてくれる両親や、試合に出場できないけれどチームを支えてくれる選手に感謝の気持ちを持つ|といったことを大切に指導しています。
山雅で3年間一緒に戦った修ちゃん(小沢修一さん)も現在、U―10(小学4年チーム)の監督をしています。顔を合わせると、子どもの指導についてよく話し合います。
昨季、主力から外れて試合に出場できない期間が続いた時、僕が「主将を辞めさせてくれと頼もうかな」と、漏らしたことがありました。すると、修ちゃんが「柿さんがいるからチームがまとまる。試合に出る、出ないは関係ない。主将は柿さんしかいない」と言ってくれ、ずいぶん救われました。穏やかで優しく、サッカーに一生懸命向き合う修ちゃんは、今でも大切な仲間です。
JFL昇格など、山雅の歴史に深く関わった僕らが今、スタッフとして働いている。学ぶことや伝えたいことはたくさんあります。
修ちゃん、いつか二人でトップチームを指揮しよう。
次節展望(後期10節)対びわこ   (2011年9月29日号より)
JFLは10月1、2日、後期10節のうち8試合を行う。前節の白星で6位に浮上した松本山雅FCは2日、14位のMIOびわこ草津(滋賀)と松本市のアルウィンで対戦する。
山雅は今節勝つと、上位の結果次第でJリーグ入り圏内の4位まで上がる可能性が。逆に取りこぼすと上位が再び遠ざかるだけに、2戦前の高崎戦の二の舞は避けたい。
前節に乱暴行為で一発退場したMF木島徹は2試合、警告累積のFW木島良は1試合の出場停止。前節得点に絡んだFW片山ら控え攻撃陣には先発のチャンスだ。
びわこの今季6勝はほぼ下位相手で、上位には通用していない。9ゴールのMF半田ら攻撃力はそこそこだが、21戦で46失点はリーグ最多。山雅は立て続けに得点し、早めに相手の戦意をそぎたい。
松本大の山雅「スタめし」第2弾 2日のホームゲームで提供   (2011年9月29日号より)
松本大健康栄養学科「スタジアム食『スタめし』プロジェクトチーム」の学生は、10月2日のサッカー松本山雅FCのホームゲーム(松本市アルウィン)で提供する「スタめし」を完成させた。4月発売した「三色勝吾飯」などに続く第2弾で、弁当や菓子など4種。県内産の食材を使い、地元の業者と共に開発するなど、食を通し、山雅だけでなく地域も応援する。
「てりやきチキン丼」(650円、ホテルブエナビスタが販売)、「信州Fly(フライ)リゾット」(300円、同)、「プルーンとおいもの山雅フィン」(350円、中島屋降旗米穀が販売)、「ピザ風おやき」(200円、マル井が販売)。ワサビやキノコ、プルーンといった県の特産品を取り入れた。
限定販売で、「しつこくねばってボールを鶏にいく!」(てりやきチキン丼)など、それぞれにキャッチフレーズが付いている。おやきは今シーズン中販売する。
「試合だけでなく、食を通しても楽しみを提供したい」(松本山雅取締役の窪田浩明さん)と、地域貢献、地域活性化といった山雅、松本大の両者の思いを託したメニューだ。「てりやきチキン丼」を考えた小野有紗さん(健康栄養学科4年、長野市)は「県の特産品を広めるきっかけになればうれしい」としている。
(八代啓子)
JFL後期9節琉球に1−0 自力浮上の大きな白星   (2011年9月27日号より)
JFLは23−25日、後期9節の9試合を行った。勝ち点30で8位の松本山雅FCは25日、勝ち点差2で6位のFC琉球(沖縄)と沖縄市陸上競技場で対戦し、後半にFW船山が得点して1−0で勝った。山雅は連敗を2で止め、順位を6位に上げた。
山雅は後半29分、左サイドのMF大橋からパスを受けた途中出場のFW片山がシュート。GKがはじいたボールをゴール前に詰めた船山が押し込み、これが決勝点。
後半15分にMF木島徹が相手選手の顔を蹴ったとして一発退場になった数的不利をはね返し、守備陣もDF飯尾、鉄戸が痛んで途中で退いたが、相手の拙攻にも助けられ、3戦前の同じ琉球戦以来の無失点でしのいだ。
山雅は上位相手に自力で順位を上げる大きな白星で、Jリーグ入り圏内の4位に勝ち点差2に迫った。上位は1−3位のSAGAWA、長野、長崎が順当に勝ち、東日本大震災の影響で後期から参戦のソニー仙台が4位の町田から今季初勝利を挙げた。
次節展望(後期9節)対琉球   (2011年9月22日号より)
JFLは23−25日、後期9節の9試合を行う。8位の松本山雅FCは25日、6位のFC琉球(沖縄)と沖縄市陸上競技場で対戦。残り少ない上位との直接対決をものにし、Jリーグ入り条件の4位以内に向けて順位を上げたい。
山雅は前々節は今季最多の4失点、前節は後半ロスタイムに失点して2連敗。松田選手の急死や連戦があった8月の疲れからかチーム状態が悪く、特に負担が掛かっている守備陣の不調が目立つ。攻守のバランスを見直し、長距離遠征の一戦をどう乗り切るか。
琉球は3戦前に山雅と対戦。前回は雑な攻めが目につき0−1で敗れたが、その後に上位の金沢を3−0で下すなど地力がある。前節の試合が台風で延期になり、中2週のフレッシュな状態で臨んでくるのも怖い。
JFL後期8節 16位高崎に逆転負け   (2011年9月20日号より)
JFLは17、18日、後期8節1日目と2日目の計6試合を行った。8位の松本山雅FCは18日、16位のアルテ高崎(群馬)と松本市のアルウィンで対戦。後半ロスタイムに勝ち越しを許し、1−2で逆転負けした。山雅は前節に続く黒星で今季2度目の2連敗。
山雅は前半38分、MF須藤がゴール前にスルーパスを送り、走り込んだMF弦巻が決めて先制。しかし5分後、高崎に左サイドからの長いクロスを合わされ、追い付かれた。
後半、山雅は攻撃的なMF大橋やFW木島良らを投入して勝ち越しを狙ったが、連携のミスが目立ってパスがつながらず、決定機がないまま迎えたロスタイム、奪われたボールをゴール前に運ばれ、手痛い失点を喫した。
山雅は暫定8位(18日現在)に。上位は長崎と町田が勝ち、それぞれ暫定3、4位に浮上した。

今季まだ2勝と低迷する相手に土壇場で決勝点を奪われ、山雅はよもやの黒星。ミスから失点を重ねた前節の悪い流れを断ち切ろうと先発3人を入れ替え、布陣も両サイドを突く4−4−2に変えたが、実らなかった。
前半序盤はボールが回ったが、何度かあった決定機を逃すと守備がほころび始めた。相手のシュートミスもあり先に得点したものの、安全に試合を運ぶべき終了間際に失点。
逆転を許した場面も、攻めながらボールを奪われ、いったんは奪い返したが、パスミスが致命傷に。加藤監督は「試合の状況やプレーしている場所、時間帯などに応じた適切な判断ができない。稚拙」と嘆いた。
悪い流れはチームワークにも影響する。「得点できないのは攻撃陣のせい、失点は守備陣のせい−と、責任の押しつけ合いになっている」と弦巻。柴田コーチは「マツ(故松田選手)という、文句を言わせない存在がいなくなったため」と、大黒柱を失った弊害が、精神面でも現れ始めた−と分析する。
残り12試合。Jリーグ入り条件の4位以内の、例年の目安である勝ち点60に届くためには、10勝2敗か9勝3分けの成績が必要だが、今の山雅には現実的な数字ではない。
加えて上位との直接対決は、次節の琉球戦と金沢との2戦を残すのみ。上位が例年にない混戦の今季、今後の星のつぶし合いで4位のラインが下がる可能性はあるが、すでに自力でのJ入りは不可能な状況だ。
他力本願であるが故に、絶対に許されない下位相手の取りこぼし。試合終了直後、沈黙したホームの観客の目には、来季のJ入りに黄信号がともったのが見えたのだろう。
(山岡史明、倉科美春)
戦士の誓い(7)石川扶のキーワード「緊張感」   (2011年9月15日号より)
11日の讃岐戦は、山雅ゴールを守って実質2季目で自身初の1試合4失点。「ボールを動かすサッカー」を掲げるチームは、中盤で数的優位をつくろうと守備ラインを上げたが、ボールを失うミスを連発。GKはラインの背後を狙う相手の脅威にさらされ続けた。
「『引いて守ってカウンター』が多かった昨季と比べ、いい緊張感がある。が、ラインを上げるなら前線も含めてボールを追い、(相手に)自由に蹴らせないでほしい」
どう攻め、どう守るというチームとしての意志統一がない−と、大量失点にいら立ちを隠せなかった。
俊敏さを生かしたセービングや思い切りのいい飛び出しで、昨季途中からレギュラーに定着。今季は自主トレ中に左膝を痛めた影響で、新人の白井に開幕スタメンを譲った。
それでも「必ず出番がくる」とくさらずに準備を続けられたのは、ほとんど試合に出られなかった一昨季や、巡ってきたチャンスをものにした昨季の経験があったからだ。
GKは山雅で唯一、元Jリーガーがいないポジション。石川自身もGKとしては背が低く、「相手に『穴』だと狙われている自覚がある。だからこそ『やれるぞ』というところを見せたい」。
チームはいまだに上昇気流に乗れずにいるが、「J昇格を果たして当然のメンバー。こういう緊張感の中で戦えるのは幸せ」。守護神はさまざまなストレスを前向きな性格で力に変え、ゴールに迫る相手へと向かう。
ボイスIの声 柿本倫明コラム(9)   (2011年9月15日号より)
今年の国体(10月・山口県)出場を懸けて8月21日、北信越国体で福井県選抜と対戦しました。
成年男子長野県選抜は、社会人北信越リーグ1部の上田ジェンシャンやアルティスタ東御の選手が主体です。
僕も県選抜入りを目指し4月に再び選手登録しました。僕が出場すれば、より注目が集まる。北信越リーグの選手たちの頑張りを多くの人に見てもらえば、長野県のサッカーがさらに盛り上がる|と思ったからです。何よりもう一度、ボールを追い掛けたかった。
6月から身体づくりを始め、週に2回ほどランニングや一人でボールを使った練習をしました。時間が合えば修ちゃん(小沢修一さん=山雅ユースアカデミーコーチ)とも走り、そのかいあってか、2人とも県選抜に選ばれました。
県選抜の仲間との出会いは、新しい財産です。合宿などで仲良くなり、いろいろな話を聞かせてもらいました。学校の先生をしたり、工場で働いたりしながら、大好きなサッカーを続ける彼らが、あらためてその面白さを教えてくれました。
だからどうしても勝ちたかった。試合は長野がほぼボールを支配したものの、練習でできていた前線への縦パスがうまく通らず、チャンスがないままセットプレーから失点。0|2で敗れました。
まだまだ皆と一緒にプレーしたかった。やり切れない思いです。再び彼らとプレーできることを信じ、アンバサダーの仕事を続けていきます。
次節展望(後期8節)対高崎   (2011年9月15日号より)
JFLは17−19日、後期8節の9試合を行う。前節の黒星で順位を8位に下げた松本山雅FCは18日、16位のアルテ高崎と松本市のアルウィンで対戦。下位相手に確実に白星を挙げ、混戦の上位に踏みとどまりたい。
山雅は前戦、試合への入り方に集中力を欠き、パスミスも連発して今季最多の4失点。立て直しを図る一戦は、選手が問題点を意識して臨むことが重要だろう。目指すパス回しで相手を崩す攻撃は、まず守備で良いリズムをつくるのが前提だ。
高崎は前節の秋田戦で引き分け、連敗をようやく5で止めた。今季まだ2勝と低迷、下位とは引き分けが多く、連敗中は上位に1点差負けが続いた。山雅は、前監督の解任直後に対戦した前回(6月12日)は5−1で大勝。今回も取りこぼしは許されない。
JFL後期7節 今季最多失点で完敗   (2011年9月13日号より)
JFLは10、11日、後期7節の9試合を行った。5位の松本山雅FCは11日、10位のカマタマーレ讃岐(香川)と香川県丸亀市の県立丸亀競技場で対戦し、2−4で敗れた。山雅の4失点は今季最多。順位は8位に後退した。
山雅は前半7分にCKから先制されると、14分にも中央右を破られ2点目を失った。37分にFW木島良がゴール前で倒され、PKをMF木島徹が決めて1点差で前半を折り返したが、後半6分にも失点。
17分に木島良が倒されて得たFKを、DF鉄戸が直接決めて再び1点差としたが、23分にDFラインとGKの間へのロングパスを通され、4点目を奪われた。
上位は金沢が長崎と入れ替わり3位に浮上。山雅と同様に来季Jリーグ入り圏内の4位以内を目指すJ準加盟2チームは、町田が5位、讃岐は山雅と勝ち点で並び、得失点差で下回る9位につけた。

ホーム試合の平均観客数が2000人余と伸び悩む讃岐は、Jリーグから指摘も受け、山雅戦に合わせて大がかりな集客作戦を展開。過去最多の1万1000人余の前でチームも今季最多の4得点とハッスルし、山雅はその引き立て役でしかなかった。
前後半ともゲームへの入り方が悪く、守備の集中力を欠いて早い時間帯に失点し、終始追い掛ける展開。DF鉄戸が「流れが悪かった」と嘆くように、守りのミスがことごとく失点につながり、攻撃はボールが回らずセットプレー頼みに。
山雅の加藤監督は「こういう試合は今季初めて。1年に1度くらいある」と、お手上げのポーズ。
一方、讃岐の北野監督は「攻守とも山雅対策が完璧にはまった。今季の転換点になる試合」と胸を張った。J入りを争う準加盟同士の一戦に懸ける意気込みの差が、プレーに表れたと言われても仕方がない内容だった。
「前線のタレントを生かすため、守りは4バックとMF須藤で耐える」(加藤監督)という“攻守分業”的な戦い方に、4失点の守備陣は「チームとして統一感、一体感がない」と、納得がいかない口ぶり。
結果が出ないと不協和音が漏れるが、確かに個人の能力任せでは、この日のようにミスが多発した試合をしのぐのは難しい。リーグはすでに残り13試合。今後の追い上げを期待するには、連携やチームワークに不安要素が目立つ一戦だった。
(山岡史明)
次節展望(後期6節)対讃岐   (2011年9月8日号より)
JFLは10、11日、後期7節の9試合を行う。2連勝で5位に再浮上した松本山雅FCは11日、勝ち点3差で10位のカマタマーレ讃岐(香川)と香川県丸亀市の県立丸亀競技場で対戦。Jリーグ入りを争う同じJ準加盟クラブを相手に、今季2度目の3連勝なるか。
山雅は県選手権決勝、リーグ前節、天皇杯1回戦と、1週間で3戦の日程を全て白星で乗り切った。起用めどが立ったMF大橋ら新戦力との連携を、試合を通じてどう深めていくかが課題になる。
JFL初年の讃岐は、シーズン序盤は競り合いをものにし上位につけたが、7−8月に4連敗するなど息切れ。山雅と同様、J入り圏内の4位以内に向けて負けられない。8勝全てが1点差勝ちの勝負強さ、1試合に3点失ったことがない堅守は健在だ。
長野銀行が応援定期 11月末まで販売   (2011年9月6日号より)
長野銀行(本店・松本市渚)は11月30日まで、サッカーJFLで戦う松本山雅FCの活動を支援する「応援定期預金」を販売している。
個人、法人が対象。1口の預け入れ金額は10万円以上、1000万円未満。スーパー定期(1年)の店頭表示利率に年0・08%を上乗せする。募集金額200億円。
預金者には専用証書ホルダーや同FC関連グッズを贈る。預け入れ総額の0・01%相当額(上限200万円)を同行が負担し、活動資金として寄付する。本店電話27・3311
JFL前期5節琉球に1−0 新戦力軸に2連勝   (2011年9月3日号より)
JFLは8月31日、東日本大震災で延期した前期5節の残り2試合を行った。8位の松本山雅FCは7位のFC琉球(沖縄)と松本市のアルウィンで対戦し、MF船山のゴールで1−0で勝った。山雅は今季2度目の連勝で5位に浮上した。
山雅は前半から押し気味に試合を進め、ロスタイムに新加入のMF大橋を起点にパスをつなぎ、最後は船山が頭から飛び込み先制。後半は決定的な場面がつくれず一時は押し込まれたが、相手の雑な攻めにも助けられて零封した。
山雅は勝ち点を30とし、現時点で来季Jリーグ入り圏内の4位との勝ち点差は1。次節(後期7節)は10位のカマタマーレ讃岐(香川)と敵地で対戦する。

テスト期間を経て加入したばかりの大橋が奪って前線に送り、木島良が右から上がった弦巻に渡し、弦巻から中央の船山へ。起点となった大橋のフィードから船山のヘディングが決まるまで、ボールは一度もピッチに落ちずダイレクトにつながった。
アシストの弦巻が「きれいだった」と繰り返す、元Jリーガー4人による鮮やかなボール回し。「感性が似た選手を並べると、こういう攻めができる」と加藤監督。平日夜にもかかわらず、アルウィンに詰めかけた6000人以上の観客を沸かせた。
前節5試合ぶりに無失点だった守備陣も、J出場264試合のベテランDF飯尾を新たに加え、安定感が増した印象。相手の逸機も多かったが、2戦連続の零封勝ちは好材料だ。
天皇杯予選の県選手権決勝を、控え選手主体で制し、温存した主力で中2日の試合をもくろみ通りものにした加藤監督は「(松田選手の急死で)8月は精神的、身体的にコンディションを整えるのが難しかった中で、選手はよくやっている」。
山雅はリーグ残り14戦。例年の4位の目安となる勝ち点に到達するには、あと9−10勝が必要だ。
「松田選手と共に」の思いを示すために作った巨大な旗が客席から見守る中、新戦力が攻守の軸を担った勝利。このまま白星を積み重ねることができれば、今季終了時に「新生の船出」と語られる一戦になるだろう。

8月から半年契約でJ2栃木から期限付き(レンタル)移籍した船山は、出場3戦目での初ゴール。「弦巻と『あんなプレーがしたいね』と話していた。完璧」。決勝点にもなったイメージ通りの得点に胸を張った。
2009年関東大学1部リーグの得点王。年代別のユース日本代表で一緒だった弦巻は、小学生の時からの友人だ。DF飯田は流通経済大の先輩で気心が知れた仲。出場機会を求めて移籍したチームに、すぐに溶け込んだ。
「ボールを持って考える時間が長い。そのため距離感がおかしくなったり、攻撃のリズムが悪くなったりする」と、チームの弱点を指摘。この日は間髪を入れないミドルシュートも放ち、相手ゴールを脅かした。
「自分は縦に突破したり、抜け出したりするのが得意」と、似たタイプの木島兄弟と共に相手守備の裏を狙う。キープ力を生かして「ため」をつくることもできる。初得点が、高い能力の発揮につながるか。真価が問われるのはこれからだ。
(山岡史明、倉科美春)
サッカー県選手権決勝 粘りの山雅が4連覇   (2011年8月30日号より)
サッカーの第91回天皇杯全日本選手権予選を兼ねる第16回県選手権の決勝は28日、松本市のアルウィンで行った。JFLの県勢2チームが対戦し、松本山雅FCがAC長野パルセイロを延長の末にPK戦で破り、4連覇を達成。4年連続6度目(97年当時は山雅クラブ)の天皇杯出場を決めた。前後半90分は両チームとも決め手を欠いて得点できず、試合は延長(前後半10分ずつ)に突入。
延長後半2分、長野がFKを起点にMF浦島のゴールで先制したが、山雅はロスタイムにFW片山が相手DFとGKの連携ミスを突いて同点とし、勝負の行方はPK戦に。
両チーム8人ずつが決め、先攻の長野は9人目がバーに当てて失敗。山雅は9人目も決めて競り勝った。
天皇杯は、都道府県代表やJリーグ、大学王者など計88チームが出場。県代表の山雅は9月3日の1回戦で福井県代表の丸岡フェニックス(北信越リーグ2部)と対戦。勝者は10月8日の2回戦でJ2横浜FCとの対戦が決まっている。会場はともにアルウィン。

山雅にとって長野戦3年ぶりの黒星が迫った延長後半ロスタイム。相手DFが頭で後ろに戻したボールはGKが捕球できず、ゴール前を転がった。「誰ひとり諦めていなかった。あそこは常に狙っている」と片山。相手のミスを逃さない値千金の同点弾で、PK戦に持ち込んだ。
3日後にリーグ戦を控える山雅は、主力を温存して控え主体の布陣。一方の長野も出場機会が少ない2選手を試し、シュートを1本ずつバーに当てるなど、互いに決定力を欠いた。
山雅は後半、MF北村が左太もも裏を痛め、けがの右足に痛み止めの注射を打って強行出場したDF渡辺も限界に。DF飯田とMF須藤を投入せざるを得なくなり、「後半残り15分で攻撃の交代カードを切るプランが崩れ、耐える展開」(加藤・山雅監督)に。
延長後半立ち上がりに守備のマークがずれて先制を許し、県王者の座を長野に明け渡す時がきたかと思われた。が、「相手は意地を見せたい控え選手たち。手を抜いたらやられる」(薩川・長野監督)と敵将が警戒した通りの粘りを見せた。
柱だった松田選手が急死し、チームは大きな痛手を受けたが、その後もJ入りに向けて現旧のJリーガーを次々と獲得。「今日は選手層の底上げをにらんだ試合。リーグ残り15戦はメンバーを固定して戦う」と加藤監督。
控え選手にとってチャンスはさらに少なくなるが、「与えられた時間で結果を出し、自分の出場機会を増やす」(片山)という姿勢が競争を生み、チームを強くする。主力のけがや出場停止で彼らの力が必要になった時、長野と対等に戦えた自信を胸にピッチに立てるはずだ。

PK戦で相手が外し、決めれば勝ちの重圧が掛かる場面で、山雅の9人目は今季公式戦初出場のMF小松(塩尻市出身)。思い切りよく蹴り込み、「信州ダービーは地元選手の存在をアピールする場に」(加藤監督)という起用に応えた。
シーズン前の3月の練習試合で左足の靱帯(じんたい)などを痛め、全治4カ月の重傷を負った。手術後も思うように回復せず、「まともに動けるようになったのは今月半ば」と、もどかしい日々を送った。
リハビリの支えは、急死した松田選手の「お前と組んでプレーしてみたい」というひと言。PKを蹴る前は「マツ(松田)さんが見てるから大丈夫」と、仲間に励まされ、緊張から解き放たれた。
「誰よりも走ろうと必死でやった。2時間近い試合をフルに戦えたのは、大きな自信になる」と小松。自分を認めてくれた松田選手の言葉を胸に、これからもひたむきに走り続ける。
(山岡史明、倉科美春)
次節展望(前期5節)対琉球   (2011年8月30日号より)
山雅は31日、東日本大震災で延期したJFL前期5節で、7位のFC琉球(沖縄)とアルウィンで対戦する。勝ち点27で8位の山雅は、Jリーグ入り圏内の4位との勝ち点差が現時点で4。上位とこれ以上離れると苦しくなるだけに、白星で追走したい。試合は午後7時開始のナイター。
山雅は県選手権決勝で温存したFW木島徹や船山、MF弦巻ら主力組が先発する。J2横浜FCから移籍したDF飯尾、6月まで韓国Kリーグの江原FCに所属し、練習生を経て入団した技巧派MF大橋も今節から出場可能だ。
今季初対戦の琉球は、直近はジェフ、秋田と下位に連敗中。けがから復帰のベテランMF永井秀を起用して立て直してくるか。
28日は天皇杯県予選・決勝戦 好調の長野パルセイロと対決   (2011年8月25日号より)
天皇杯全日本選手権の県予選を兼ねた県選手権は28日、決勝を松本市のアルウィンで行い、松本山雅FCとAC長野パルセイロのJFL2チームが県代表の座を争う。
両者の決勝は4年連続。山雅クラブ−長野エルザ時代を含め、過去5度の対戦はすべて山雅が制した。山雅は2008年の県選手権決勝以降、長野と9戦6勝3分け。今季リーグも1勝1分けで、3年間負けていない。
天皇杯で県代表は、1回戦(9月3日)で福井県代表と、勝つと2回戦(10月8日)は「カズ」ことFW三浦知良を擁するJ2横浜FCと当たる。会場はいずれもアルウィン。
ぜひとも出場したい組み合わせだが、山雅は3日後の31日がリーグ前期5節・FC琉球戦。J入りが懸かるリーグにベストメンバーで臨み、決勝は控え主体で戦う構え。
「控えといっても試合に出ているメンバー。勝たなければ」と加藤監督。チームの底力が試される一戦だが、21日に前期5節を終えている長野は、ベストの布陣が濃厚。リーグ3連勝で2位につける好調な相手に苦戦は必至だ。
戦士の誓い(6)多々良敦斗のキーワード「勉強」   (2011年8月25日号より)
敵地で黒星を喫した町田戦(7月30日)の後半ロスタイム。町田FW勝又が、左から中央に切れ込む。1点を追う山雅は前掛かりで、多々良だけが勝又とにらみ合う。間合いを測ること数秒。勝又の右足が動くのと同時に前へ。が、ボールはゴール内を転がった。
飛び込むとかわされ、下がると相手のシュートコースが広がる難しい局面。「うまくいってない。自分を追い込み、視野が狭くなっている」。対戦前に口にした不安は、守備陣全体に共通するかのような3失点だった。
大卒2年目。「昨季『できた』と思った部分は、自分の中での『OK』だった。本当はできていない」。
昨季は元Jリーガー以外の新加入でただ一人、開幕鳥取戦のスタメンに名を連ねた。PK二つを与え、「これほどできないのか。終わった」とメンバー落ちを覚悟したが、その後も主力を担い、リーグ23試合に出場。
最も成長した一人として、今季もここまで15戦に先発。同じポジションの先輩で、元日本代表の松田から戦術的な動きなどを教わり、「自分の小ささを知った。サッカー観を変える必要がある」ほど、強い刺激を受けた。
その松田はもういない。Jで260戦余に出場したDF飯尾の加入で、ポジション争いも厳しさを増した。
「一つできてもまた、次の課題が生まれる。毎日が発見」。練習も試合も、納得して終われることは少ない。だから、学び続けるしかない。
ボイスIの声 柿本倫明コラム(8)   (2011年8月25日号より)
今年2月に初めてマツ(故・松田直樹選手)と一緒に食事をしました。「山雅をJリーグに上げる。そのために来た」と話す姿は力強く、「この人なら山雅を任せられる」と思いました。そのマツが突然、世を去りました。
一緒にピッチに立ったのはたった一度。僕のメモリアル試合の時でした。「俺、今日はカキより目立ってヒーローになるよ」とマツが言い、僕が「やめてよ」と返す。試合前のロッカールームで冗談を言い合いました。
マツが横浜F・マリノスの退団セレモニーで口にした「サッカーは最高だ」という言葉を最近、実感します。アマチュアとして国体の県成年男子チームでプレーしていますが、サッカーは本当に楽しい。現役にこだわり、プロ選手で居続けるマツを、うらやましく感じた時もありました。
今回の訃報で、「松本山雅」の名は世界中に知れわたりました。「松田直樹が最期を迎えたチーム」に対する世間の関心は高く、山雅は多くの人々の注目を浴びながら、Jを目指すことになります。
来年、Jに上がるのは当然のことです。が、そのためにも、マツがくれたアドバイスに、がんじがらめになってはいけない。マツのようにプレーしたくても、個人の能力には差があるのです。
選手はマツが残してくれたものを消化し、自分を見失わず地に足を着けてやってほしい。でも、彼の熱い気持ちは、全員がそのまま受け継いでほしいのです。
県選手権で東御に3−0 天皇杯懸け長野と決勝   (2011年8月16日号より)
サッカーの天皇杯全日本選手権予選を兼ねた第16回県選手権は14日、準決勝2試合を行った。JFLの県勢2チームが登場し、松本山雅FCはアルティスタ東御(北信越リーグ1部)と伊那市陸上競技場で対戦。3−0で勝ち、6年連続の決勝(28日・松本市のアルウィン)出場を決めた。
山雅はFW片山が前半18分に先制し、43分にも加点。後半29分にDF飯田がCKに頭で合わせて3点目を奪い、格下の相手を退けた。J2横浜FCから加入したDF飯尾が後半から出場した。
準決勝もう1試合は、JFLのAC長野パルセイロが上田ジェンシャン(北信越1部)を1−0で下した。山雅と長野の決勝は4年連続6度目。
JFL前期4節 びわこに2−0 暫定7位に   (2011年8月13日号より)
JFLは10、11日、東日本大震災のため日程を変更した前期4節のうち4試合を行った。9位の松本山雅FCは10日、13位のMIO(ミーオ)びわこ草津(滋賀)と滋賀県湖南市民グラウンド陸上競技場で対戦し、2−0で勝って暫定7位に浮上した。山雅は5試合ぶりの白星。連敗を2で止めた。
須藤、多々良の出場停止でセンターバックに渡辺、ボランチに北村を起用した山雅は前半19分、左CKにDF飯田が頭で合わせて先制。
その後は何度かあった決定機をものにできず苦しんだが、後半37分にFW船山からゴール前でパスを受けたFW木島徹が2点目を挙げた。山雅の警告・退場者ゼロは今季2度目。
この他の試合は、首位のSAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCが17位ジェフリザーブズ(千葉)に1−3で敗れる波乱。
山雅は次節(前期5節)で31日、FC琉球(沖縄)と松本市のアルウィンで対戦。天皇杯県予選の県選手権準決勝(14日)は、アルティスタ東御と伊那市陸上競技場で対戦する。
一緒にJへ行こう 山雅試合に1万人   (2011年8月9日号より)
JFLの松本山雅FCは7日、チームの要だった松田直樹選手が4日に急逝した後、初めてとなる試合を松本市のアルウィンで行った。SAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCに1−2で敗れたが、1万人近い観客が詰め掛け、悲しみを乗り越えて戦うチームに声援を送った。
松田選手の死を悼んで競技場内に設けられた献花台には花を手向ける人が並び、ファンが書き込める掲示板は「松本を選んでくれてありがとう」「一緒にJに行こう」などのメッセージで埋まった。
試合前には山雅サポーターから松田コールが起き、客席のあちこちからおえつが漏れた。両親と訪れた同市平田東の堀舜介君(10)は「帰ってきてゴールを決めてほしい」と涙。母の美和さん(38)も「松田選手の気持ちを受け継ぎ、頑張ってほしい」と声を詰まらせた。
試合後にも再び松田コールが。同市波田の池田千尋さん(36)は「勝ってほしかったが、選手の気合は伝わってきた。これからも応援し続け、Jの舞台で松田コールをしたい」。同市村井町北の西村映津湖さん(64)は「松田さんが一番悔しいはず。ファンも一緒に悲しみを乗り越え、その思いに応えたい」と話した。
勝利で送れず SAGAWAに1-2   (2011年8月9日号より)
JFLは6、7日、後期6節を各地で行った。勝ち点24で9位の松本山雅FCは7日、同34で首位のSAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCと松本市のアルウィンで対戦し、1−2で敗れた。山雅は2連敗で、順位は9位のまま。山雅は前半9分、右から中央へパスをつながれ先制を許した。34分に左CKをDF飯田が頭で合わせたがポストに阻まれ、43分にはMF須藤が2度目の警告で退場。
後半13分にショートCKから、途中出場のMF北村が上げたクロスを飯田が頭で決めて同点。しかし、19分にFKから勝ち越され、34分にはDF多々良が2度目の警告で退場。9人になり万事休した。
佐川滋賀は6連勝。山雅との勝ち点差は13に開いた。今節白星の町田ゼルビアとAC長野パルセイロ、引き分けのHonda(ホンダ)FCが勝ち点29で2位グループ。

3日前に急逝した元日本代表、松田が所属したチームの直後を報じようと、多くのマスコミが詰めかけた注目の一戦。大きな雷鳴が響いて試合開始が1時間遅れる間、観客の中から松田の応援歌が自然発生的に湧き上がるなど、異様な興奮がアルウィンを包んだ。
山雅の選手は松田の背番号「3」が入ったバンドを腕に巻き、試合前に行った黙とうで肩を組んだ。「負けられない」。その思いは痛いほど伝わった。
が、チームは大黒柱を突然失ったショックに加え、けがや出場停止で主力数人が脱落。J2栃木から加入したばかりの未知数なFW船山に懸けるしかない苦境で、5連勝中の首位と渡り合うのは難しかった。
「マツ(松田)さんの、心から湧き出る闘志を意識してプレーしたが…」と、2度の警告で前半に退場した主将のMF須藤。気持ちが空回りし、冷静さを欠いた自分を責めた。
左足に痛み止めの注射を打ち、途中出場したFW木島良は「(精神的に)サッカーができる状態じゃない。が、マツはそれを喜ばない」と奮闘。しかし、ラインを高く保って前線から圧力を掛け、きっちりボールをつないで両サイドへ展開する相手と比べ、個人技に頼る山雅の攻撃は単調に過ぎた。
「選手たちはまだ未熟だと、マツが教えた。自分のプレーに責任を持ち、磨くことに集中しなければ成長しない」と加藤監督。松田がいる、いないにかかわらず、Jリーグ入りは選手一人一人の真剣味に懸かっている−。そう言いたげだ。
今季リーグも半分を終え、目標の「優勝してJ入り」は難しくなりつつある。松田直樹という「観客に感動を与えること」を生きがいにした名手が、競技人生の最後に山雅を選んだのはなぜか。
自身のプレーで見る者を一喜一憂させ、最後にJ入りの喜びを分かち合う−。松田が呼んだ1万人近い観客を目にし、残った選手たちは山雅でしか味わえない醍醐味(だいごみ)に気付くことができるだろうか。
(山岡史明)
次節展望(前期4節)対MIOびわこ草津   (2011年8月9日号より)
JFLは10−17日、東日本大震災で延期した前期4節の7試合(横河武蔵野─佐川印刷は9月14日)を行う。山雅は10日、13位のMIO(ミーオ)びわこ草津(滋賀)と滋賀県湖南市民グラウンド陸上競技場で対戦。両者の顔合わせは今季初で、共に中2日の強行軍。
山雅は前節退場したMF須藤とDF多々良を出場停止で欠き、DF飯田と組むセンターバックの経験があるのはサイドバックのDF阿部と、今季出場がないDF佐藤だけ。3バックも考えられる。
びわこは直近は下位に2連敗だが、MF半田は計3得点と好調。ここまでランキング3位タイの8得点を挙げており、注意が必要だ。守備はリーグ最多の39失点。山雅は早めに先制、加点して突き放したい。
松田選手が急逝 34歳 意識戻らないまま   (2011年8月6日号より)
2日午前の練習中に倒れ、救急搬送された松本市の信大病院で治療中だった、サッカーJFLの松本山雅FC(同市)所属で元日本代表の松田直樹選手は4日午後1時6分、急性心筋梗塞のため同病院で死去した。34歳。
松田選手は、同病院に到着時、既に心肺停止の状態。チームドクターで同病院勤務の百瀬能成医師(35)らによると、治療で微弱ながら自己心拍が再開し、人工心肺で血流や呼吸を維持していた。
しかし、3日夜から血圧が徐々に低下。薬剤を投与したが血圧が上がらず、自己心拍がなくなり死亡が確認された。3日に脳波の検査をしたが脳幹反射がなく、脳死状態で意識が回復する見込みはなかったという。
会見した医師らによると、心肺蘇生に有効な自動体外式除細動器(AED)を使うべき事例だったが、松田選手が倒れた同市の梓川ふるさと公園にAEDはなく、チームも常備していなかった。
臨終には母親の正恵さん(69)、姉の真紀さん(42)、兄の浩太郎さん(39)らが立ち会った。「関係者や選手、サポーターの皆さんから温かい応援をいただき、直樹も家族も勇気づけられました。大切な仲間と大好きなサッカーをすることができ、本当に松田直樹は幸せでした」というコメントを出し、クラブ運営会社の大月弘士社長(45)が会見で読み上げた。
大月社長は「目標のJリーグ昇格に向け、松田選手の遺志を受け継ぎ、クラブ一丸となって頑張っていく」と話した。
松田選手は群馬県出身。16年間所属したJリーグ横浜F・マリノスを昨季限りで解雇され、今季、Jリーグ入りを目指す山雅に加入。これまで行われたリーグ16試合中、15試合にフル出場し、2002年日韓ワールドカップにも出場した高い技術と豊富な経験でチームを引っ張った。
Jリーグ1部出場385試合(17得点)は史上9位。フル代表での国際Aマッチ出場は40試合(1得点)。
(山岡史明)
ファンらの祈り届かず 悔しさ嘆きの声   (2011年8月6日号より)
松田選手の回復を祈る仲間やファン、サポーターの願いは届かなかった。山雅やJリーグ時代の選手らが次々と信大病院を訪れ悲しみの対面をし、サポーターらは山雅のホーム競技場アルウィン(松本市)で花を手向けるなどした。
山雅のチームに松田選手の訃報が届いたのは、7日の次節に向けて松本市内で行った練習試合の後。加藤善之監督(47)は「『頑張ってこれから一戦ずつ勝ち、チームがいい状況になった時、必ず松田が戻ってくる』と、選手に言ったばかり。非常に残念というか悔しい」と、嘆いた。
病院に駆け付けた選手たちは、山雅のユニホームを着た松田選手の遺体と対面した。
横浜F・マリノスでも共にプレーし、親友だった木島良輔選手(32)は「簡単に死ぬやつだと思っていなかった。一緒にサッカーするために山雅に来たのに、自分だけ置いていかれた。厳しい…」と声を詰まらせた。
塩尻市出身の小松憲太選手(23)は今季けがで出遅れ、まだ試合に出ていない。「マツ(松田)さんに『お前とボランチを組んでみたい。お前は伸びるから頑張れ』と言われたのを励みに、リハビリもしてきた。マツさんの言葉を信じて頑張りたい」と涙を拭った。

「魂があるならここに来ると思った」。塩尻市広丘の会社員男性(37)は仕事を終えてアルウィンに駆けつけた。「やり残したことがまだたくさんあるのに。マツが山雅に来た意味は何だったのかな。残された選手のこれからのプレーの中でそれを見つけたい」と沈痛な表情で話した。
安曇野市三郷の男性(52)は「感謝の言葉を書いてほしい」と、模造紙を用意。次々に訪れるサポーターが「ありがとう」「一緒にJに行こう」などと書き込んでいった。
「来てくれてありがとう。楽しかった」と書いた松本市菅野小4年の永瀬晴一君(9)は「これからもこれを着て山雅の試合を見る」と、松田選手の背番号「3」が入ったユニホームを見せた。
家族5人で訪れた塩尻市広丘の吉村秀章さん(37)は「たとえサッカーができなくてもいいから戻ってきてほしかった。マツなら、そこからまた絶対に立ち上がれたはず」と悲しんだ。
松田直樹選手 急性心筋梗塞で倒れる   (2011年8月4日号より)
サッカーJFLの松本山雅FC所属で元日本代表の松田直樹選手(34)が2日、練習中に倒れ、松本市の信大病院に搬送された。同病院によると急性心筋梗塞で、人工心肺装置で血流を維持しているが意識はなく、危険な状態が続いているという。
松田選手は同日午前9時半から、梓川ふるさと公園(同市梓川梓)で行われた練習中、15分間のランニングを終えた同58分ころ、突然倒れた。
チームスタッフや駆け付けた救急隊が救命処置をし、救急車で搬送。途中でドクターカーに乗せ換え処置を続けたが、10時50分ころ同病院に着いた時は心肺停止の状態だった。
治療した同病院高度救命救急センターの今村浩医師は「自発的な鼓動はあるがとても弱く、ほとんど人工心肺で賄っている。非常に厳しい」と話した。
山雅FCによると、松田選手は7月31日の練習試合に出場し、1日は休み。日頃体の不調を訴えることはなかったという。
次節展望(後期6節)対SAGAWA SHIGA   (2011年8月4日号より)
JFLは6、7日、後期6節を行う。前節9試合ぶりの黒星で9位に順位を落とした山雅は7日、首位のSAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCと松本市のアルウィンで対戦。午後6時半開始のナイター試合。
山雅は主軸3人をけがや出場停止で欠いた前節、攻守の切り替えの遅さなどで3失点。攻撃もMF陣の押し上げがなく前線が孤立し、精彩を欠いた。
今節もFW木島徹とMF渡辺が出場停止で、台所事情は苦しい。復帰するMF弦巻や、J2栃木からレンタル移籍で加入したFW船山に期待したい。
佐川滋賀は7月の5連勝で2位に勝ち点差6をつけ、独走態勢に入った。ここ5試合は3得点のFW御給の他に8人で8得点と、どこからでもゴールを奪う。山雅は逆転負けした前回の対戦を踏まえ、きっちり守って最低でも引き分けたい。
支柱不在の窮地 チーム内にも動揺   (2011年8月4日号より)
今季のJFLも半ばに差し掛かった松本山雅FCに衝撃が走った。卓越した技術と豊富な経験で攻守を担い、チームの精神的支柱にもなっていた松田が、練習中に突然倒れた。生命が危ぶまれる状態で、近い復帰は絶望的。7日には首位SAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCとの一戦を控え、山雅は松田不在でJリーグ入りに挑まなければならない窮地に陥った。
2日夜、医師らが松田の病状を説明した信大病院(松本市)の記者会見場。詰めかけたマスコミが去った後、中止になった練習後の経過を説明するため、全選手が集められた。
表情は一様に硬く、ほぼ全員が無言で机に突っ伏す姿に、チームが受けた精神的な痛手の深さと、動揺の広がりが見て取れた。
「選手は冷静に戦える状況ではないが、やるべきことをやるように伝える」と加藤監督。前節の町田ゼルビア戦の完敗を受けてこの日の朝、「ベテランが苦境を打開し、若手は彼らを追い越し、J昇格に向けて頑張ろう」と、訴えた直後に、最も頼りにするベテランが倒れた。
「マツ(松田)さんは二つ先、三つ先のプレーを読んで動いている。判断ミスはほとんどない」「何げなくボールを止めているが、あのトラップはすごい」
山雅の、特に若手たちは、これまで見たことがない松田の高いレベルの戦術眼と技術に脱帽。自己流を貫く練習の姿勢には反発も漏れたが、試合に入ればいち早く危機を察知して相手の攻撃の芽を摘み、無駄と思われる場面でもゴールを狙って走る姿に「一流のプロ」を見ていた。
「勝てなかったのは俺のせい」と繰り返した開幕戦から、少しずつその自負が影を潜め、直近の公式戦出場となった7月23日のホンダFC戦後は「山雅は経験が足りない。少しずつ成長しているが、まだまだ」と話した松田。
自分の力だけでは勝てないことに気付き、チームを育てる意識を明確にした矢先の悲劇。「山雅を『全国区』にする」元日本代表の挑戦がどんな形でも続くことを、今は祈るしかない。
(山岡史明)
ボイスIの声 柿本倫明コラム(7)   (2011年8月4日号より)
山雅の選手育成組織「ユースアカデミー」のU─18(18歳以下)チームがこのほど出場した全国大会、日本クラブユース選手権(前橋市ほか)に、僕も同行しました。
出場24チームのうち、22チームがJリーグのユースという、全国の高校世代の中でもトップレベルの選手がそろう大会。山雅U─18は1次ラウンドで敗退しましたが、選手たちにはいい勉強になったと思います。
初戦の相手はヴィッセル神戸U─18。技術や組織力で圧倒的に勝る相手に開始直後から得点され続け、0─18と惨敗。
山雅は組織的な戦い方ができていなかった。試合の映像を見せながらアドバイスしたところ、2戦目の川崎フロンターレU─18戦、3戦目の横浜FCユース戦では、中盤をコンパクトに保った攻撃ができ、得点機も生まれました。
ユースは、Jリーガーを目指す手段の一つです。強いユースチームがあれば、地域のサッカーのレベルアップにもつながると思います。
北信越は現在、アルビレックス新潟ユースが一強の状態です。有名なユースには地元だけでなく、県外からも入団希望者が集まります。山雅が選ばれるには、トップチームを含め、もっと実績が必要でしょう。
山雅の育成組織でプレーしている子どもたちが高校生になる時、高校サッカー部だけでなく、「ユースでプレーする」という選択肢があるようにしたいです。
JFL後期5節 町田に完敗1−3 9位に後退   (2011年8月2日号より)
JFLは7月30、31日、後期5節の9試合を各地で行った。2位と勝ち点差1、得失点差で7位の松本山雅FCは30日、8位の町田ゼルビア(東京)と東京・町田市陸上競技場で対戦。1−3で敗れて9位に後退した。山雅は9試合ぶりの敗戦で、加藤監督は就任8戦目で初黒星。
山雅は後半4分、パスミスから相手のカウンターを受け、GK石川がはじいたシュートのこぼれ球を押し込まれて先制を許した。31分にも相手2トップの連携で加点され、終了直前に途中出場のFW木島良が決めて1点を返したが、ロスタイムにも失点した。
前線へボールが運べない山雅は、前半にFW片山を木島良に代えたが、個人技に頼る攻撃は単調。後半34分にFW木島徹が相手DFへの暴行で一発退場になり、追い上げに水を差した。
上位はSAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCが首位を独走し、山雅との勝ち点差は10に。2位グループはFC琉球とHonda(ホンダ)FC。
次節展望(後期5節)対町田    (2011年7月28日号より)
JFLは30、31日、後期5節を行う。7位の松本山雅FCは30日、勝ち点差1で8位の町田ゼルビア(東京)と町田市立陸上競技場で対戦。同じJリーグ準加盟クラブでJ入りの直接の競争相手を、前回同様にたたいておきたい。
5月22日の前回対戦で、山雅は後半にセットプレーから2点を奪い完封勝ちした。しかし、今節は、警告の累積でMF松田、前戦の退場でMF弦巻がそれぞれ出場停止。特に開幕から全15戦にフル出場し攻守の柱でもある松田の不在は大きい。ここ数戦、先発から外れているMF北村、渡辺らにはチャンスだ。
町田は今季、上位相手に勝ち切れない試合が多く、前節も下位の秋田に敗れるなど波に乗れていない。が、リーグ最多得点の攻撃力は健在。FKなどで8点を挙げているMF鈴木は要注意だ。
JFL後期4節 ホンダに10人で辛くもドロー    (2011年7月26日号より)
JFLは23、24日、後期4節の9試合を行った。5位の松本山雅FCは23日、 3位Honda(ホンダ)FCと松本市のアルウィンで対戦。後半終了間際にFW木 島良のゴールで追い付き、1−1で引き分けた。山雅は8戦連続で負けなしだが、7 位に順位を落とした。
前半30分にミドルシュートで先制された山雅は、後半開始から木島良を投入して徐 々に攻勢に転じたが、20分すぎにMF弦巻が2度の警告を受けて退場する苦しい展 開。粘る山雅は44分、相手パスをカットしたMF松田のスルーパスに反応した木島良が ゴールを決め、辛くも追い付いた。
上位は首位SAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCが引き分けを挟み5連勝で、2 位との勝ち点差を6に広げた。2−6位が引き分けるか敗れたため、白星を挙げた7 位AC長野パルセイロが2位、8位V・ファーレン長崎が3位に浮上した。

大荒れの4分間だった。後半21分、MF弦巻が相手に意図的にぶつかったとし、2 枚目のイエローカードが出された。その判定をめぐり、選手が次々と審判に詰め寄り 、試合が中断した。同様に退場者を出した3日の長野戦では、選手に対し「もう少し冷静にやってほしい 」と注文を付けた加藤監督も、相手選手やコーチの言動に激高。周囲が必死に制止する場面もあった。
前回0-3で敗れた攻撃的な相手に対し、守備重視のワントップでカウンターを狙っ たが、フィジカルが強く素早いボール回しの相手にセカンドボールが拾えず苦戦。今季最多のカード7枚が、いら立ちを象徴した。「相手にもカードを出すべきプレーがあったのに、なぜ出さないのか」「Jリーグの審判は判定について説明する。JFLの審判も納得できるよう説明をしてほしい」
試合終了後、監督や選手は口々に審判に対する不満を訴えたが、チーム全体で抗議をしても、一度出た判定は覆らない。
10人になってからは、相手を上回る気迫で負け試合を引き分けに持ち込んだ。戦いに必要な闘志はそういう形で見せるべきだ。
7560人の観客はこの騒動をどう見ただろうか。観客の中には子どももいる。山雅の試合は、選手や監督が望む望まないにかかわらず、今や大きな影響力を持つ。
山雅を支えているのは「レベルの高いプロスポーツを松本で見られるようになれば、もっと地域が楽しく幸せになるはず」という人々の思いだ。
「勝つためなら何をしてもいい」という姿勢でJを目指すのは、山雅の使命ではない。

○…J1福岡から途中加入したDF李鍾民(イ・ジョンミン)が先発の左サイドバックで初出場。前半は同じサイドのMF鉄戸が前線に上がったこともあり、守備重視の慎重なプレー。鉄戸が右サイドバックに回った後半は、何度かオーバーラップ して好機をつくった。
韓国人特有の対人の強さに自信を持ち、パス回しや組織的なプレーを身に付けようと来日した。チームでただ一人の左利きも期待され、この日はFKを2本任された。フリーで居ながら味方からボールが出ない場面もあり、「どう要求すべきか、コミュニケーションを深める必要を最も感じた」。自在にプレーできるようになるのに、もう少し時間が掛かりそうだ。
(倉科美春、山岡史明)
ボイスIの声 柿本倫明コラム(6)    (2011年7月21日号より)
10日の「NSQプレゼンツ震災復興支援柿本倫明メモリアル試合」には約3500人もの方が来てくださいました。ありがとうございました。
みんなの拍手と歓声に迎えられ約半年ぶりにピッチに立った瞬間、感動で震えました。「帰ってきた」と思いました。
アルウィンで大勢の人の前で試合ができる、名波浩さんをはじめすごい先輩が駆け付けてくれ「柿本ドリームス」のメンバーとして一緒にプレーできる、懐かしいチームメートの顔もある─。たくさんのうれしさが混じり合い、試合中も笑顔を隠せませんでした。
4点目の取り方が、一番僕らしかったかな。大西(康平さん)が右サイドから上げたセンタリングに合わせ、ダイビングヘッド。大西─柿本のホットラインは健在でした。
応援も感動的でした。特に印象的だったのは、ドリームスの選手を応援する際、彼らの現役時代のチャント(短い応援歌)を歌ってくれたこと。先輩たちも「山雅のサポーターはすごいな」と感心していました。誇らしかったです。
この試合は、山雅で6年間プレーした修ちゃん(小沢修一さん)の引退試合でもありました。それをきちんと伝えたかったので、セレモニーのあいさつで触れたら、「俺、涙ぐんじゃったよ」と言ってました。二人で「(試合を)やって良かった」と喜びを分かち合っています。
松本はサッカーの楽しさを思い出させてくれた場所。子どもたちにその楽しさを伝え、松本のサッカーの発展に貢献したいと、あらためて思います。
次節展望(後期4節)対Honda FC    (2011年7月21日号より)
JFLは23、24日、後期4節を行う。前節の引き分けで3位から5位に後退した松本山雅FCは23日、勝ち点差1で3位のHonda(ホンダ)FC(静岡)と松本市のアルウィンで対戦。午後6時半開始のナイター。
山雅は前節、FW木島徹が決定機を逃し、片山と途中出場した塩沢の両FWも決定力を欠いた。ツートップの一角は出場停止明けのFW木島良に頼らざるを得ないか。
ホンダとの前回の対戦はボールを支配され続けて0−3。完敗で目が覚めた山雅は、誰が最初にボールを奪いに行くかを明確にする−など守備を改善し、その後に立ち直った。序盤から攻撃的にくる相手をしっかり食い止めてカウンターを狙い、相手の足が止まる後半に勝負を懸けたい。
戦士の誓い(5)木村勝太のキーワード「原点」    (2011年7月21日号より)
2007年10月21日、大阪・万博記念競技場でのJ1、G大阪−甲府戦。4日前に19歳になった甲府の新人は、3点リードされた劣勢を覆すべく、後半からピッチに送り出された。視線の先に日本代表MF遠藤がいる。屈強のDFシジクレイを背負ったが「怖くて逃げた」。
スターたちと同じ場所でプレーした記憶。「ただ楽しかった。もう一度あの舞台に立ちたい」。木村がJを目指す原点だ。
昨季はリーグ29試合に出場し、全34戦でベンチ入り。攻守のバランスや位置取りに良さを見せる一方、時折のぞく弱気や運動量の不足が指摘された。
危機感を持った今季は、アルバイトを辞めて練習に専念。「マツ(松田)さんに影響を受け、気持ちが表に出せるようになった」。先の監督交代後も試合で使われ、今季の自分に自信を持った。
筋力測定の数値はチーム1。身体能力の高さは折り紙付きだが、「瞬時にスイッチが入らない。生かし切れていない」と水谷一直トレーナー。もっとやれるはず−。チームの期待は大きい。
20歳でJを解雇され、「どうしたらいいか分からなかった」という若者は、山雅で少しずつたくましくなろうとしている。「あの時は自分が通用するなんて思ってなかった。でも、今度Jに戻ったら、彼らと対等に勝負したい」。持てる力を存分に発揮したなら、その時は遠い先ではないはずだ。
JFL後期3節 玉林同点弾で長崎と1−1    (2011年7月19日号より)
JFLは16、17日、後期3節の9試合を行った。引き分けを挟んで4連勝中で3位の松本山雅FCは17日、7位V・ファーレン長崎と長崎県佐世保市総合グラウンド陸上競技場で対戦。1−1で引き分け、5位に順位を落とした。
前半32分に中央を崩され、得点ランキング首位の長崎FW有光に先制された山雅は同40分、MF木村が右サイドをえぐってマイナスに入れたクロスを、DF玉林が左足で豪快に蹴り込み同点。今季初先発の玉林は、山雅在籍2季目で初得点。
山雅は後半、MF今井らを投入して勝ち越しを狙ったが、猛暑で運動量が落ち、相手の攻勢をしのいで引き分けた。
上位はSAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCが引き分けを挟み4連勝で、頭一つ抜け出した。2位以下は勝ち点24−22で9チームがひしめく混戦。
次節展望(後期3節)対V・ファーレン長崎    (2011年7月14日号より)
JFLは16、17日、後期3節を行う。前節6−0の大勝で3位に浮上した松本山雅FCは17日、勝ち点差1で7位のV・ファーレン長崎と長崎県佐世保市総合グラウンド陸上競技場で対戦する。
5月8日の前回対戦で、山雅は、前半に先制しながら後半は運動量が落ちて主導権を失い、カウンターに抜け出した得点ランキング首位の長崎FW有光を倒し、引き分けた。昨季から3戦連続で有光にPKを与えている守備陣は注意したい。
山雅は、出場停止明けのDF飯田が復帰し、セットプレーでの得点機が増える。J1福岡から加入したDF李鍾民(イ・ジョンミン)は今節から出場可能で「けがもなく状態は万全」(李)。左利きの攻撃的なサイドバックがいきなりデビューするか。
JFL後期2節 佐川印刷に6−0で圧勝 3位浮上    (2011年7月12日号より)
JFLは8−10日、後期2節の9試合を行った。8位の松本山雅FCは9日、11位の佐川印刷SC(京都)と松本市のアルウィンで対戦し、木島徹のハットトリックなどで今季最多得点を挙げて6−0と大勝。山雅は前節の引き分けを挟み4連勝。JFL2季目で初の3位に浮上した。
5戦ぶりのホーム試合は今季初のナイター。山雅は前半19分、左でパスを受けたMF木島徹がミドルシュートを決めて先制。4分後にも相手のパスミスでボールを得たFW片山が、木島徹にアシストして前半は2得点。
山雅は後半も攻め続けて25分、片山がペナルティーエリアのすぐ外側で倒されて得たFKを、DF鉄戸が直接決めて3点目。その後も集中力が切れた相手からMF弦巻、片山が加点し、終了間際に木島徹が自身3点目を奪って圧倒した。
上位はSAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCが首位を守り、カマタマーレ讃岐(香川)が2位。次いで3チームが勝ち点22で並び、大量得点した山雅が得失点差で3位。

昨季終盤、11戦負けなしの上に5連勝と、Jリーグ入りの希望が膨らんだ山雅の快進撃をストップさせ、今季も開幕3戦目に引き分けた難敵を、完膚なきまでたたきのめした。
就任5戦目の加藤監督は「攻守の約束事に対し、選手の体が本能的に動くようになった。5試合での蓄積が形になっている」。限りある体力をより攻撃に費やすよう、効率的な守備を追求した成果が現れている−と、手応えを口にした。
その采配もさえた。FW塩沢と初先発の片山で2トップを組み、木島徹を左MFに据えた。高さと馬力の2トップが中央で相手守備に圧力を掛ければ、サイドの木島徹が動きやすい状況がつくれる−という読みが当たり、前半の2得点が生まれた。
3点を加えて今季10得点とし、ランキング首位に1点差に迫った木島徹は「今は『Jに上がりたい』という気持ちしかない」。巧みな緩急と一瞬の身の返しで相手を振り切り、ゴールを量産するストライカーの意識は、昨季と全く異なる。
鮮やかなFKで試合を決める3点目を挙げた鉄戸も「どう戦えばいいかが分かり、チームに一体感が生まれている」と、表情に迷いがない。
次節は前回、先制しながら引き分けた長崎との再戦。その後も、先に完敗を喫したホンダ、好調時の破壊力は随一の町田、現在首位の佐川滋賀と、昨季上位との対戦が続く。監督交代後の進化と勢いは本物か。Jを望めるチームに変わったかどうかが試される。
(倉科美春・山岡史明)
10日柿本さん引退試合 元代表やOBも参加    (2011年7月7日号より)
JFLの松本山雅FC(松本市)は10日、昨季まで3年間エースとして活躍した柿本倫明さん(33)の引退試合を、同市のアルウィンで開くファン感謝デーの中で行う。柿本さんと親交がある元プロ選手らの「柿本ドリームス」と、山雅OBと現役選手の選抜チームが対戦する。
柿本さんは昨季で現役を引退。今年から山雅FCのアンバサダー(大使)として広報や選手育成に携わり、アマチュア選手として国体県選抜チームに参加している。
ドリームスには名波浩さん、西沢明訓さんら元日本代表10人を含む16人が参加。柿本さんは前後半でチームを換え、選抜と両方でプレーする。ドリームスのユニホームはオークションで販売し、当日行う募金と合わせて震災支援に充てる。
試合開始午後1時。ファンクラブ会員しか入場できないが、当日も会場で入会を受け付ける(年会費高校生以上3000円、小中学生500円)。松本山雅電話88・5490
次節展望(後期2節)対佐川印刷    (2011年7月7日号より)
JFLは8−10日、後期2節の9試合を行う。8位の松本山雅FCは9日、松本市のアルウィンで11位の佐川印刷SC(京都)と対戦。山雅は前節の信州ダービーでの引き分けを挟み3連勝中。5試合ぶりのホーム試合は今季初のナイター(午後6時半開始)だ。
山雅は前節退場のFW木島良と、DF飯田が警告の累積で出場停止と、攻守の主力を欠く。飯田の代わりにMF須藤をDFで起用するには、前節に今季初めて先発を外れたMF渡辺の復調が前提。出場停止明けのFW木島徹にも得点を期待したい。
前回の対戦で1−1と引き分けた佐川印刷はその後、上位に4連敗して順位を落としたが、直近は下位相手に2連勝。途中出場で決定的な仕事をするFW中筋は要注意だ。
信州ダービー 応援合戦も白熱    (2011年7月5日号より)
JFLの松本山雅FCは3日、後期1節でAC長野パルセイロと長野市南長野運動公園総合球技場で対戦した。今季2度目の信州ダービーは観客3849人を集め、山雅は前半に先制されたが、試合終了間際に追い付き、1―1で引き分けた。山雅の対長野戦は09年以降、8戦続けて負けなし。松本市のアルウィンで行ったパブリックビューイングでは、580人の山雅サポーターが試合中継を見ながら声援を送った。
スタジアムは厳しい日差しが照り付け、気温33度の中、試合前から長野、山雅両サポーターが応援合戦。
山雅側の宮沢萩奈さん(20、松本市村井)は「とても楽しみ。ダービーは気合の入り方が違う」と弾んだ声。長野側の田中秀明さん(41、長野市吉田)は「山雅に勝ってサポーターを増やしたい」と、気合十分だ。
山雅は前半13分に先制を許し、41分には退場者を出し一人少なくなる苦しい展開。しかし、敵地に駆け付けた800人余のサポーターの声援に後押しされて後半44分、途中出場のFW塩沢勝吾選手が頭でゴールを決めた。
痛み分けで山雅は6位から8位、長野は8位から9位に順位を落とした。両チームは天皇杯の県代表を争う県選手権で、それぞれ準決勝(8月14日)に勝つと、決勝(同28日)で今季3度目の対戦となる。
諦めず長野とドロー 多い警告・退場    (2011年7月5日号より)
監督交代後に3連勝で臨んだアウェー4連戦の最後は、宿敵AC長野パルセイロとの信州ダービー。前半で一人少なくなった松本山雅FCは、前節も見せた最後まで諦めない姿勢を貫き、劣勢をはねのけて引き分けに持ち込んだ。
「数的有利の意識から守備が甘くなった。負けに等しい」。前半に先制点を決めたFW宇野沢をはじめ、土壇場で追い付かれた長野の選手たちは試合後、一様にうなだれた。
山雅はMF松田からボールを受けたMF弦巻が、前線に上がっていたDF飯田とパス交換して同点弾を呼ぶクロス。「10人で戦い方が難しくなった中、勝ち点1が取れたのは成長の証し」と弦巻。
前節は出番がなかったFW塩沢は5試合ぶりの得点。「控えFW二人のうち、先に投入された喜び」を結果で表した。
前節の退場で出場停止のFW木島徹を欠いた山雅は、ワントップのFW木島良が相手DFのマークにいら立ち、肘打ちしたとの判定で一発退場。
「山雅は警告や出場停止のリスクを冒して厳しく当たってくる。相手が上手だった」。今季11戦して警告8、退場者もない長野の薩川監督は、逃した白星に皮肉とも冗談ともつかない調子。対する山雅は12戦して警告は4倍の33、退場者は延べ5人に上るが、両チームの勝ち点差は1にすぎない。
山雅の警告・退場は木島兄弟ら攻撃陣にも多いが、11得点でランキング首位の長崎FW有光は今季まだ警告ゼロ。目につくファウルをしたり、審判に文句を言わなくても点は取れる。
元Jリーガーが多い山雅に対する相手の守備や、審判の目は厳しい。が、「『やられることに価値がある』と思い、もう少し冷静にやってほしい」と加藤監督。すでにシーズンも半ば。選手は、ピッチに立てなければ戦力でないことを自覚すべきだろう。
(山岡史明)
信州ダービー アルウィンの中継に580人    (2011年7月5日号より)
信州ダービーを大画面で応援するパブリックビューイングが3日、松本市のアルウィンで初めて行われた。山雅サポーター580人がメーンスタンドに集まり、選手に声援を送った。
試合開始前からリーダーの掛け声に合わせ、選手の名前を呼んだり、歌ったりして後押し。だが、前半13分に先制され、その後、木島良が退場になると、大きなため息が漏れた。
一人少ないながらも一歩も譲らぬ展開に、応援の熱気は徐々に上昇。後半44分、塩沢が待望の同点ゴールを決めると、スタンドは歓喜の渦に包まれた。
家族5人で来た田村勤さん(40、同市野溝)は「勝てなかったのは悔しいが、最後に追い付けたことは大きな意味がある。次節以降も勝ちにこだわって24連勝してほしい」と話した。
パブリックビューイングは、長野市のNBSホールでもあった。
ボイスIの声 柿本倫明コラム(5)    (2011年6月30日号より)
7月10日にアルウィンで開く山雅のファン感謝デーで、「柿本メモリアル試合」の開催が決まりました。Jリーグ時代の先輩などでつくる「柿本DREAMS」と、OBと現役選手からなる山雅選抜が対戦します。
「柿本─」には、セレッソ大阪で一緒にプレーした、元日本代表の名波浩さんと、西沢明訓さんに加わっていただいています。二人は選手としてだけでなく、人間としても大きな影響を受けた先輩です。
名波さんは06年のシーズン途中、ジュビロ磐田から移籍してきました。その姿と名前に圧倒され緊張しましたが、後輩に壁をつくらない人で、3日で仲良くなりました。
西沢さんは当時、日本トップのポストプレーヤー。僕にとって毎日が勉強でした。オフにはよく後輩をご飯に誘ってくれる、兄貴のような存在でした。
また、二人はとても負けず嫌い。練習中の紅白戦でも常に全力プレーでした。そうした姿勢を、僕は山雅での手本にしていました。
「山雅選抜」にはかつてのチームメートが集まってくれます。電話で参加を頼むと、「ぜひ行きたいです」と言ってくれました。
また、地元の企業にも協力していただいています。今回初めて自分でスポンサーを集めましたが、「柿本さんならいいよ」と、1回限りの試合にもかかわらず、快諾してくださる方も。本当にありがたいです。
多くの人の協力で実現した試合です。当日は僕のゴールに期待してください。
次節展望(後期1節)対長野パルセイロ    (2011年6月30日号より)
JFLは7月2、3日、後期1節の9試合を各地で行う。3連勝で今季最高の6位に順位を上げた松本山雅FCは3日、勝ち点1差で8位のAC長野パルセイロと長野市南長野運動公園総合球技場で対戦する。敵地で迎える今季2度目の信州ダービーで、2009年から続く長野戦不敗を守りたい。
山雅はチーム最多の7得点で、前回の長野戦でも決勝点を挙げたFW木島徹が前節2度の警告で退場、今節は出場停止なのが痛い。ツートップはFW木島良と塩沢か。3戦連続得点と好調なMF弦巻、前節2得点に絡んだMF今井の起用法が鍵を握りそうだ。
山雅はあと1度の警告で、累積で出場停止になる選手が4人。ダービー特有の雰囲気に熱くなり、次節主力を一気に欠くことにならないよう注意したい。
JFL昇格初年の長野は2戦目で山雅に敗れたが、その後に上位のV・ファーレン長崎、HondaFCに完封勝ちの実力。前々節は町田ゼルビアに2度リードされながら追い付き、前節は控え組の活躍で下位に快勝するなど乗っている。
主将で司令塔のMF土橋はけがで出場が微妙だが、ツートップのFW宇野沢と藤田、新加入のMF向の3人が、ここまで5点ずつ挙げている。山雅は走力がある相手のペースにはまらず、まずは守りを固めてボールを奪い、スピードにやや難がある相手DFラインの裏を突きたい。
試合の入場券は前売りのみで完売した。両クラブなどでつくる実行委員会が当日、松本、長野両市でパブリックビューイングを行う。松本会場はアルウィンで開場午前11時半(試合開始午後1時)。
戦士の誓い(4)阿部琢久哉のキーワード「磨く!」    (2011年6月30日号より)
「縦パスか、横パスか−といった状況判断や、そのパスの精度、対面の相手にクロスを入れさせない守備…」。Jリーグでも通用することを目指し、チームはサッカーの質を変えつつある。「対応するためにスキルアップが必要」。阿部も自身の技術や判断力を磨く毎日だ。
サイドバックは攻守の両方を担い、チームで最も運動量が求められる。「攻撃のスイッチを入れ、守備では絶対にミスしてはいけないポジション」と位置付ける。
在籍4季目はMF今井に次ぐ古株。以前は試合に夢中で自分のプレーの善しあしが分からず、後で映像を見て気付くことも多かったという。が、「最近は『今のプレーは駄目だ』と、瞬時に分かるようになった」。
ここ2年はけがに泣いた。昨季は8月に右膝の半月板を損傷し、手術してシーズン後半を棒に振った。J1浦和を破った天皇杯で1ゴール1アシストするなど、記憶に残る活躍を見せたその前年も、開幕直後に左膝の同じ箇所を痛め、復帰はリーグ終了後だった。
昨季、戦列を離れていた間、けがをしない食生活やトレーニング方法を探った。同時に、現旧の日本代表の自伝や代表監督らの著書を読むように。「努力で彼らに負けたら、絶対に追い付けない」と、自戒の材料にしている。
自分を外から見る目を備え、心も磨き始めた今、選手として盛りを迎えつつある。
JFL前期17節 終盤逆転で3連勝 栃木ウーヴァに2−1    (2011年6月28日号より)
JFLは25、26日、前期17節の8試合を各地で行った。8位の松本山雅FCは26日、12位の栃木ウーヴァFCと栃木県栃木市総合運動公園陸上競技場で対戦し、後半終盤に2得点して2−1で逆転勝ちした。山雅は加藤監督就任後に3連勝で6位に浮上。首位に勝ち点3差と迫った。
山雅は前半3分、自陣中央からFKを直接決められて先制を許し、相手の高い位置からの守備に攻撃の形がつくれず苦戦。
後半14分に栃木が退場者を出すと山雅が主導権を握り30分、途中出場のMF今井の右クロスをMF木村が中央で落とし、FW木島徹が蹴り込んで同点。さらに終了間際、今井のシュートが相手DFに当たり、それたボールを左から詰めた途中出場のMF弦巻が押し込み、勝ち越した。弦巻は3戦連続の得点。
上位は1−7位が勝ち点3差の中にひしめく接戦。単独首位に立ったFC琉球は、各チーム11試合した時点で上位2チームに与えられる天皇杯のシード権獲得が確定。シード権を逃した山雅は県予選に出場し、準決勝(8月14日・伊那市陸上競技場)でアルティスタ東御と対戦する。
クラブ初代監督佐野さんと柿本さんが田川小で講演    (2011年6月28日号より)
松本市の田川小学校PTA(榊原健文会長)はこのほど、同小体育館に山雅サッカークラブの初代監督を務めた佐野耕一さんと松本山雅FCアンバサダーの柿本倫明さんを招き、児童、保護者ら約100人が参加して講演と交流会を開いた。
佐野さんは1967─69年に監督として指導。「クラブチームは珍しかった。やるからには県内ナンバーワンにしたかったし、サッカーの底辺を広げ、選手の受け皿となるチームを目指した」と振り返った。また、「松本でサッカーを根付かせるのは簡単ではない。観客に感動を与える試合を続けるなど、焦らずこつこつとチームづくりを」と、現チームへの注文も述べた。
柿本さんは「夢を形にするために」をテーマに話し、「何かになりたいという夢があるなら、一番大切なことは、なった自分を想像すること。そうすれば今何をすべきかが分かる」などと話した。
その後、柿本さんはゴール裏側に子どもらを集めてシュートを見せ、サイン会を開くなどして交流した。
次節展望(前期17節)対栃木ウーヴァ    (2011年6月23日号より)
JFLは25、26日、前期17節の8試合を行う。今季初の連勝で8位に浮上、首位との勝ち点差を4に縮めた松本山雅FCは26日、12位の栃木ウーヴァFCと栃木県栃木市総合運動公園陸上競技場で対戦。下位相手に3連勝と上位進出を狙う。
山雅は前節の退場で出場停止のGK石川に代わり、白井が6試合ぶりの先発。前節は前線で起点ができず、攻撃のリズムがつかめなかったが、FW木島徹の復帰で木島良との兄弟ツートップが威力を発揮するか。守備は無失点を継続したい。
栃木は、昨季の下位と対戦した序盤は上位をうかがったが、直近は昨季の中・上位を相手に3連敗中。昨季まで山雅に4季在籍したFW竹内が5得点と好調だ。今季3勝は全て無失点。山雅は先制して主導権を握りたい。
山雅今季初の連勝    (2011年6月21日号より)
JFLは18、19日、前期16節の8試合を各地で行った。10位の松本山雅FCは19日、17位ジェフリザーブズ(千葉)と千葉県総合スポーツセンター東総運動場(旭市)で対戦し、FW木島良の今季初得点などで2−0で勝った。山雅は今季初の連勝。
今季未勝利のジェフに対して山雅は前半開始直後、相手GKがはじいたシュートのこぼれ球をMF弦巻が蹴り込んで先制し、39分にもこぼれ球をさらった木島良が、GKの頭上を越すシュートで加点。
しかし、山雅は後半15分にGK石川が、抜け出した相手をペナルティーエリアの外で倒して一発退場になると劣勢に。ジェフに押し込まれて後半だけでシュート11本を浴びたが、代わったGK白井の好守もあり、無失点で切り抜けた。
山雅は勝ち点15とし、今季最高の8位に浮上。上位は同19でカマタマーレ讃岐が単独首位に立ち、同18で3チーム、同15で5チームが追う接戦。
ボイスIの声 柿本倫明コラム(4)    (2011年6月16日号より)
先日、吉沢監督が解任されました。いったんスタートしたチームがシーズン途中にこんな形で立て直しを図ることになってしまい、僕も悔しいし、応援してくれる人たちに申し訳なく思います。
今こそ選手は、自分が誰のためにプレーするのかを考える時です。一つの試合はボランティア、サポーター、スポンサーなど、多くの人に支えられ成り立っています。選手のためだけに用意された舞台ではありません。スタッフとして裏方に回ってみて、よく分かりました。
北信越リーグのころ、山雅は決してうまくなかったし、強くもなかった。それでも多くの人が応援に来てくれました。試合を重ねるごとに、スタンドの観客が増えていくのがうれしかった。「勝ちたい、昇格したい」という思いや、下手でも全員で必死に戦う姿を見てくれていたと思います。
今、これほど多くの人が、山雅を応援してくれるのは当たり前じゃない。当然だと思うのは、サポーターや山雅でプレーし、去っていった選手たちに失礼です。
試合が始まれば、戦うのは監督ではなく選手です。戦術も大切ですが、最後に勝敗を分けるのはやはり選手の気持ちです。
自分たちは「山雅」という大きな輪の一員なのだと自覚し、危機感を持って戦い、地域に愛され、感動を与えられるような、チームになってほしいです。
戦士の誓い(3)木島徹也のキーワード「得点王」    (2011年6月16日号より)
加藤新監督の初戦となった12日の高崎戦で2ゴールを挙げ、ここまでリーグ2位の6得点と、すでに自身が昨季記録した7得点に迫る勢い。山雅で今、最も輝いている存在といっていい。「結果を出すと次も期待される。それがいい重圧になっている」。得点王−。目標に充実感がにじむ。
練習試合で対戦したJクラブの指導者が「うちで通用する」と目を見張り、首脳陣もそろって能力の高さを認める。が、移籍1年目の昨季はリーグ29戦に出場したものの、ほぼ半分が後半途中から。
「かき回してチャンスをつくるだけと決めつけ、シュートの意識が低かった。『途中出場だし仕方ない』と言い訳していた」
象徴したのが昨年10月のホーム武蔵野戦。終盤に投入されてPKを得たが、キッカーを他の選手に譲ろうとしてじゃんけんに負け、自分で蹴って失敗。
しかし、今季は違う。5日の讃岐戦では自ら得たPKを、当然のように自分で決めた。「1点取られたぐらいで、どうこう言ってたらきりがない」。守備陣を責めず、勝ち越し点を奪えなかった悔しさをにじませた。
判定に不服そうなそぶりは観客に不評だ。「彼はまだ幼い。自分自身をコントロールできれば、もっと素晴らしい選手になる」。吉沢前監督が残した言葉を理解し、自分の価値に気付いた時、得点王のタイトルを手にJリーガーへの道は開けるだろう。
次節展望(前期16節)対ジェフリザーブズ    (2011年6月16日号より)
JFLは18、19日、前期16節の8試合を各地で行う。前節5得点の快勝で今季3勝目を挙げた10位の松本山雅FCは19日、17位のジェフリザーブズ(千葉)と千葉県総合スポーツセンター東総運動場(旭市)で対戦。下位に連勝して勢いに乗りたい。
山雅はチーム最多の6点を挙げているFW木島徹が警告の累積で出場停止。FW塩沢と、今季まだ無得点のFW木島良のツートップに期待が懸かる。各チーム11試合を終えた時点で上位2チームに与えられる天皇杯のシード権は、残り2戦に連勝しても絶望的。県予選で出場を目指すことになりそうだ。
今季未勝利のジェフは前節、初得点を決めて秋田と引き分け、8戦目でようやく勝ち点1を手にした。守備は開幕当初より改善されつつある。山雅は早い時間に先制、加点し、相手の戦意をそぎたい。
加藤新監督初試合 敵地で大勝    (2011年6月14日号より)
JFLの松本山雅FCは12日、今季9戦目となる前期15節でアルテ高崎(群馬)と群馬県立敷島公園サッカーラグビー場(前橋市)で対戦した。ここまで12位と低迷する山雅は、13位の高崎に5─1で大勝。加藤善之新監督が初めて指揮を執り、約1500人のサポーターが駆け付けた注目の一戦で今季最多得点を挙げ、アウェー初勝利を飾った。
山雅は前半からボールを支配し29分、DF鉄戸裕史選手が右から蹴ったフリーキックをDF飯田真輝選手が頭で合わせて先制。
後半4分に同点とされたが、17分に飯田選手が鉄戸選手の左クロスを再び頭で決めて勝ち越すと、FW木島徹也選手の2得点などで相手を突き放した。山雅は10位に順位を上げた。
試合を見守った角谷義夫さん(35、松本市寿台)は「監督交代はリスクを伴う決断だったと思うが、ひとまず結果が出て良かった。加藤監督に期待している。吉沢英生前監督のためにもJリーグを目指して全員で戦ってほしい」と話した。
JFL前期15節 J目指す責任自覚 高崎に5−1    (2011年6月14日号より)
成績不振を打開するため、シーズン序盤で監督交代という非常手段に打って出た山雅。チームに激震が走り、選手の心は揺れた。立て直しを担う加藤新監督は「勝つしかない」と、選手に厳しく結果を求め、危機感が生まれたチームは今季初の大勝。Jリーグ入りに向けて新たなスタートを切った。
今季先制した5戦は、引き分けと逆転負けが2度ずつ。この日も前半に先制し、後半早々に追い付かれる嫌な流れをDFコンビが断ち切った。鉄戸のピンポイントのクロスに飯田が頭で合わせる1点目と同じ形。鉄戸は「これまで自分が何度か失点に絡み、(監督解任に)責任を感じていた」。
「ヒデさん(吉沢前監督)の分まで」。試合後、何人もの選手がそう口にした。自分たちが結果を出せず、前監督だけに責任を負わせることになったという後悔がにじみ、大勝にも笑顔はなかった。
「(自分たちのサッカーの)形ができつつあった中での交代。新監督の下でやり続けていくしかない」と須藤主将。成績に結び付かないものの、選手間には確かな手応えがあったという。ある選手は「解任で(スローガンの)『ワン・ソウル』って何だろうと思った」と、割り切れない心情を吐露した。
得点してベンチに駆け寄る選手も多かった前監督の時と違い、この日は5得点しても加藤監督の元に向かう選手はいなかった。
「勝因は守備の意識付けをしっかりさせたこと。得点は、流れの中から取れていないので評価しない」。練習を含めて厳しさと高い要求を全面に打ち出し、ピッチに向かって叱咤(しった)し続ける新指揮官。選手との「距離」が、これまでにない緊張感をチームにもたらした。
「多くの人の思いを背負い、支えられてJを目指す責任」を選手が自覚したなら、今回の荒療治は成功だったと言える。「監督が代われば強くなるわけでも、勝てるわけでもない。選手たち自身に『変わろう』という姿勢が見えたことは評価したい」。新監督は初戦の感想をそう結んだ。
(山岡史明、倉科美春)
次節展望(前期15節)対高崎    (2011年6月9日号より)
JFLは6月11、12日、前期15節の8試合を行う。2勝3分け3敗、勝ち点9で12位の松本山雅FCは12日、勝ち点差1の13位アルテ高崎(群馬)と群馬県立敷島公園サッカーラグビー場(前橋市)で対戦。加藤新監督の初戦で、上位浮上への手掛かりをつかみたい。
山雅は故障者が相次ぎ、苦しい選手起用が続く。特に前線はFW木島徹が孤軍奮闘の状態。出場停止明けのFW片山ら控え組の奮起が不可欠だ。
昨季17位の高崎は入れ替え戦を制してJFLに残留。山雅とは昨季2戦2分けだった。今季目立った補強はないが、序盤好調の栃木ウーヴァやホンダロックと好勝負している。琉球戦で頭で2得点した長身のFW土井へのクロスは要注意だ。
指揮官交代 新監督に加藤GM    (2011年6月9日号より)
JFLの松本山雅FCは7日、吉沢英生監督(39)の解任と、加藤善之ゼネラルマネジャー(GM、46)の監督就任を発表した。山雅は今季ここまで8戦して18チーム中12位と振るわず、指揮官の交代を決断。加藤新監督の下で来季Jリーグ入り条件の4位以内を目指す。
加藤新監督は「選手の力を引き出し、その結集で総合力を高めたい。選手には能力や精神力の向上、グラウンド外を含めた行動に強い自覚を持ち、選手としての志を全うするよう訴えた」と話した。
同監督は09年、山雅のGMに就任。Jリーグの東京ヴェルディで13年間、チーム強化を担った経験を基に、クラブの財政強化や組織整備を進めてきた。
監督経験がなく手腕は未知数だが、吉沢前監督が不在だった昨季の一時期、練習を指導したこともあり、チーム編成の責任者として指揮を任された。GMは近く辞めるが、選手獲得などには引き続き携わる。
吉沢前監督は08年、当時北信越リーグ1部の山雅の監督に就任。JFLに昇格させた昨季は7位で、J入りを逃した。指導者を育てるクラブの方針で今季も指揮を執ったが、2年続けて序盤に出遅れた責任を問われた。山雅での公式戦全成績は68勝15分け31敗。
(山岡史明)
JFL前期14節 苦戦追い付き 讃岐と2−2    (2011年6月7日号より)
JFLは4、5日、前期14節の8試合を各地で行った。ここまで7戦して2勝2分け3敗、勝ち点8で12位の松本山雅FCは5日、3位カマタマーレ讃岐(香川)と松本市のアルウィンで対戦し、2度リードされる苦しい展開を追い付き、2−2で引き分けた。
前半、引いて守る相手を押し込みながら得点できなかった山雅は後半開始直後、ゴール前にロングパスを通され失点。
14分にFW木島徹がペナルティーエリア内で倒され、相手DFが2度目の警告で退場。PKで追い付いたが31分、FKから2点目を奪われた。38分にDF鉄戸の右クロスをMF松田が頭で決め、再び追い付いたが勝ち越せなかった。
山雅は勝ち点9で変わらず12位。上位はFC琉球が勝ち点18で単独首位に立ち、3差でSAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCとHonda(ホンダ)FC。ホンダを破ったAC長野パルセイロが4位に浮上した。

後半開始直後はマイボールのキックオフからボールを守備ラインの背後に放り込まれ、31分にはFKがDFの頭上を越えて相手の足元へ収まり、山雅は不意を突かれたようにこの日も2失点。
「主導権を握った前半の逸機、後半立ち上がりを含む試合が動く時間帯での不注意、数的優位だからこそ気をつけるべき相手のリスタート−。どれか一つでも消せれば、勝ち点3が取れた」と吉沢監督。分析に無念さがにじんだ。
カウンター狙いで引いて守る相手のゴールを脅かしながら、決定力を欠いた前半のつけが後半に回った。2度先行されても木島徹の突破と前線に上がった松田の執念で追い付いたが、10人の相手に勝ち越せなかった。
前節の先発メンバーからFW塩沢、MF木村をけがで、DF飯田を体調不良で欠き、4試合の出場停止が明けて後半途中からピッチに立ったFW木島良も、鋭い動きは見せたがけがを抱えて万全ではない。
松田は「結果は悔しいが、ボールを回し、つなぐ方向性はいい」と、Jリーグ入り後も見据えた戦い方が、チームに浸透しつつあると強調する。が、低迷する成績に故障者続出が追い打ちを掛け、上位浮上の兆しは見えてこない。
試合終了後、一部サポーターが運営会社の大月社長とクラブの加藤GMに吉沢監督や選手に対する不満をぶつけたのを受け、同社長は「監督には勝ち点などノルマを課すと同時に、J入りに向けた熱意や手法を示すよう伝えた。それが十分でなければ何らかの判断をする」と、指揮官交代の可能性にも触れた。
来季J入りのために荒療治をして結果を求めるのか、それともJで戦えるチームを目指して長期的な強化に取り組むのか。成績が伴わないため、相反して見えてしまう二つの課題。次節からは敵地で4連戦。チームはその間に、解決の糸口を見いだすことができるだろうか。
(山岡史明、倉科美春)
次節展望(前期14節)対讃岐   (2011年6月2日号より)
JFL前期14節は4、5日、各地で8試合を行う。ここまで2勝2分け3敗で勝ち点8、12位の松本山雅FCは5日、3位カマタマーレ讃岐(香川)と松本市のアルウィンで対戦。JFL新加入ながら3連勝中と波に乗る相手を食い止め、星を五分に戻せるか。
山雅は前々節は今季初の無失点だったが、前節は2失点。不安定な守備が成績に直結している。得点も1試合当たり平均1と物足りず、前節にFW塩沢が右脚を痛めるなど、不安要素も多い。4試合の出場停止から復帰するFW木島良の名誉挽回に期待が懸かる。
讃岐はここまで昨季の中位と6戦し、4勝。直近の2戦は先制されながら時間を置かずに追い付き、逆転勝ちと勝負強さが光る。FW西野が3ゴール、DF野口が2ゴールと際立つ得点源はいないが、1試合平均1失点の堅守がベースだ。
ボイスIの声 柿本倫明コラム(3)   (2011年6月2日号より)
アンバサダーの仕事を始め、4カ月がたちました。全てが初体験で戸惑うこともありましたが、ようやく仕事の流れがつかめてきました。
1週間の大半を占めるのが、子どもたちの指導です。山雅の育成組織であるユースアカデミーや地元の小学生チームを巡回したり、幼稚園や保育園でボール遊びをしたりしています。
僕は大学のころ、「将来の夢は保育士」とアンケートに書いたくらい、子どもが好きなんです。大学2年の時にめいが生まれ、実家に帰るたびに遊んでいたので、小さな子と触れ合うのはとても楽しいです。子どもたちも、僕が大きいからか、自然と寄って来てくれて、無邪気でかわいいです。
体が成長し、本格的なプレーができるようになる小学校高学年─高校生の指導もやりがいがあります。例えば練習を見ていると、「今のプレー、どうでしたか」と意見を求めてきて、アドバイスをすると試合で実践してくれる。育てる面白さがあります。
イベントや講演会などにも参加します。講演会はいまだにとても緊張します。200人の前で話すより、1万人の前でサッカーをする方がいいと思うくらい。でも、うまく話せなくても、本音を伝えようと心掛けています。
クラブを背負う一人として、たくさんの人に山雅を知ってもらうよう頑張ってます。じゃあ、また次回会いましょう。ばいばい。
戦士の誓い(2)飯田真輝のキーワード「マイペース」   (2011年6月2日号より)
町田戦で鉄戸のFKに反応、ヘディングシュートをゴールに突き刺し、チームに今季2勝目をもたらした。一方、本職の守備は、この試合が今季初の無失点。「点を取られる気がしなかった」と話す昨季終盤と比べ、不安定さが拭えない。
よりボールを支配する試合運びを目指す今季、チームはこれまでの4バックに加え、新たに3バックを併用。「基礎がないまま始めてしまった」という新布陣。飯田のペースも乱れた。
3バックは攻め手が増えるが、守りに回った時は左右のMFやボランチらが連動しなければ、最終ラインはたちまちピンチに。失点シーンを「後手、後手でずるずる引いてしまい、自分が相手と向かう時は、もう後がなかった」と、振り返る。
昨季途中にJ2東京Vからレンタル移籍。加入後は1試合当たりの失点が平均1・3から1に減った。完全移籍した今季は不動の「最後のとりで」として、その働きがチーム浮沈の鍵を握る。
「今、自分が最も高く“売れる”のがサッカー。だから選手をやっている」。稼げなければ、仕事としてのサッカーはやめる−。そう言ってはばからない、強いプロ意識の持ち主。
相手との激しい接触で、自身の歯が下唇を貫くけがは過去に3度。「サッカー以外の世界にも飛び込んでみたい」。体を張って戦う合間に、独りになって心の翼を広げるのも飯田のペースだ。
JFL前期13節 逆転負けで12位後退   (2011年5月31日号より)
JFLは28、29日、前期13節の8試合を各地で行った。前節まで6戦して2勝2分け2敗、勝ち点8で10位の松本山雅FCは29日、7位のSAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCと滋賀県守山市の守山陸上競技場で対戦し、後半に先制したものの2点を奪われ、1−2で逆転負けした。
両チーム無得点で折り返した後半4分、山雅はMF北村のシュートが相手に当たりこぼれたボールを、FW塩沢が蹴り込み先制。
しかし、その後は激しい雨の中でもきっちりとボールをつなぐ相手に対して寄せが甘くなり、15分に追い付かれると31分にも自陣左からパスをつながれて失点。
終盤は必死に追撃したが、塩沢が右太ももを痛めて退いた上、代わって入ったFW片山が2度の警告で退場して10人にもなり、得点できなかった。
山雅は12位に後退。上位は2位のFC琉球が勝ち点15で首位のHonda(ホンダ)FCと並び、今季新加入のカマタマーレ讃岐と佐川滋賀が同12で3、4位に浮上した。
次節展望(前期13節)対SAGAWA   (2011年5月26日号より)
JFLは28、29日、前期13節の8試合を行う。2勝2分け2敗と星を五分に戻し、勝ち点8で10位につける松本山雅FCは29日、7位のSAGAWASHIGA(佐川滋賀)FCと滋賀県守山市の守山陸上競技場で対戦。昨季の上位を相手に連勝を狙う。
山雅は前節、今季初の無失点で白星を呼び込んだ。4バックで守備の分担は明確になりつつある。攻守ともバランスが取れた相手に対し、カウンターに勝機を見いだしたい。
昨季2位の佐川滋賀は、27ゴールでJFL得点王になったFW御給が攻撃の軸だが、1試合平均2点を挙げた昨季と比べ、今季は6戦で6得点。うち3点はPKで、山雅はボールを持つ相手を早めにチェックし、エリア内への侵入を防ぎたい。
前期12節 町田を完封2−0   (2011年5月24日号より)
JFLは21、22日、前期12節の8試合を各地で行った。ここまで5試合して1勝2分け2敗、勝ち点5で16位の松本山雅FCは22日、4位町田ゼルビアと松本市のアルウィンで対戦。後半にセットプレーから2得点し、2−0で快勝した。
両チーム無得点で迎えた後半25分、山雅は左サイドで得たFKをDF鉄戸が後方からゴール前に入れ、DF飯田が頭で合わせて先制。
30分に与えたPKは町田が失敗。山雅は39分、左CKのこぼれ球を途中出場のMF須藤が押し込んで突き放した。山雅は今季初の無失点。
勝ち点8の山雅は順位を10位に上げた。上位はHonda(ホンダ)FCが首位を維持し、2位にFC琉球、3位に栃木ウーヴァFCが浮上。3−11位が勝ち点10−8でひしめく混戦模様が続いている。

前節は好調ホンダに0−3の完敗。スコア以上にボールを支配され、手も足も出なかった山雅は「誰が最初にボールを奪いに行くかを明確にする」(吉沢監督)ことで守備を立て直そうと、3バックよりマークする相手がはっきりし、昨季までやり慣れてもいる4バックで再起を図った。
右足首けがの木島徹に代えてキープ力がある北村をFWで使い、GKは今季初先発の石川。ミスが目立った主将の須藤は控えにし、選手起用でも不振を打開しようと試みた。
結果は上位の町田を相手に今季初の完封勝ち。2得点ともセットプレーで流れの中からでなく、相手のPK失敗や迫力を欠く攻めにも助けられた。が、最も変わったのは布陣でも顔ぶれでもなく、選手の意識だろう。
「JFLは『個』の力より、11人の組織力」と、後半途中からFWに変わり、最後までボールを追った松田は言う。これまでよく口にした「俺が…」というフレーズは、この日は聞かれなかった。
Jリーグ入りの条件がJFL4位以内になった2007年以降、J2入りした7チームのうち、開幕5戦の勝ち点が今季の山雅より少なかったのは08年の富山だけ。現状では優勝どころか来季J入りも見えないが、「何のために、どうやるか」という目的と手法が意志統一されれば、下位にいる戦力ではない。
「相手より走り、戦えば、このチームは伸びる。これまでは期待に応えたくて、うまく、きれいにやろうと勘違いしていた」。須藤に代わってキャプテンマークを付け、味方に指示を出しながら相手ボールに迫り続けたMF渡辺は、吹っ切れた表情。悩めるチームは進むべき方向を見いだしたようだ。
(山岡史明)
松大生が山雅弁当のレシピを考案   (2011年5月21日号より)
ホテルブエナビスタ(松本市本庄1)は18日、サッカーJFLの松本山雅FCが試合する22日に、同市神林のアルウィンで販売する弁当2種の試食会を開いた。松本大の学生が考案したレシピを、ホテルのシェフが調理。山雅FCの塩沢勝吾選手(28)らが味に太鼓判を押した。
塩沢選手の名前を付けた「三色勝吾飯」(650円)と「とんとん拍子に勝みそ丼」(500円)。100食ずつをファンクラブ入場開始の午前11時45分(一般の入場は正午)から販売する。
塩沢選手の出身地の上田市にちなみ、戦国武将の真田氏の家紋「六文銭」をかたどるため、シイタケの中央をくり抜くなど手が込んでいる。無添加にこだわり、保冷が必要。1日限りの限定販売で数にも限りがある。同ホテルは「好評なら第2弾を企画したい」。
山雅FCと松本大は連携協定を結び、提案を受けたブエナビスタが開業20周年記念事業の一つで商品化した。
次節展望(前期12節)対町田   (2011年5月19日号より)
JFL前期12節は5月21、22日、各地で8試合を行う。開幕から5試合して1勝2分け2敗と調子が上がらない松本山雅FCは22日、松本市のアルウィンで現在4位の町田ゼルビアと対戦。前節0−3の完敗を踏まえ、攻撃的な相手に対して堅守を徹底し、カウンターに勝機を見いだしたい。
山雅は前戦、中盤や守備陣の連携を欠いてボールを支配され続けた。各選手の役割分担や、攻守の約束事を明確にする必要がある。
町田は昨季16得点のFW木島良が山雅に移籍したが、リーグ最多の71点を挙げた攻撃サッカーは健在で、今季も5戦して計14得点は首位。うち4得点のFW勝又を出場停止で欠く今節は本来の迫力ではないが、新加入のFWディミッチ、3戦連続で得点中のMF鈴木らに警戒が必要だ。
戦士の誓い(1) 今井昌太のキーワード「全力」   (2011年5月19日号より)
サイドバックとウイングバック。攻守両面を担い、チームの誰より運動量が求められる。俊足ドリブラーの今井にとって、競技人生で初めて取り組むポジション。「毎試合が全力」との言葉に実感がこもる。
昨季はリーグ20試合に出場。山雅をJFL初勝利に導いた前期武蔵野戦、後半ロスタイムのゴールなど、スーパーサブとして記憶に残るプレーを見せた。が、フル出場はゼロ。
今季は慣れないポジションながら、開幕以来スタメンを続ける。「体力的にきついのは承知の上。昇格するしかないシーズンに、試合に出られている。だからこそ勝ちたい」
開幕・秋田戦の後半。秋田MF比嘉にワンツーパスでかわされ、同点ゴールを許して思い知った。「攻撃陣は何度外しても、1回ゴールを決めればいい。が、DFは一発やられたら終わり」。一つ一つのプレーに集中すること、気持ちを込めて戦うことの大切さをあらためて感じた。
在籍最長の5季目。クラブと共にステップアップしてきた。目標はJ2に上がるだけでなく、その上にJ1もある。「満足したら、そこで終わり。やり切ってやめる選手って、いるのか?」。どんなサッカー人生になっても、後悔はあるだろう。だから、今を全力で走り続ける。
ボイスIの声 柿本倫明コラム(2)   (2011年5月19日号より)
4月30日の信州ダービー終了後、スタッフとしてゴールを片付けていると、会場に残っていたサポーターが、僕の応援歌を歌ってくれました。
うれしくもあり、照れくさくもあり。まだ、皆とつながっているんだな─と感じました。
山雅に加わった3年前。初シーズンにもかかわらず、直前の練習試合で右足を肉離れしてしまい、4月の開幕戦に間に合わなかった。「期待されていたのに、迷惑を掛けてしまった」と、申し訳なさと焦りでいっぱいでした。
結局、出場は3試合目から。そんな僕をアルウィンで迎えてくれたのが、あの応援歌でした。
それまでプレーしたJのチームでは、個人の応援歌は活躍している選手にしかなく、僕も湘南ベルマーレに所属していた時しかありませんでした。
地域リーグの練習環境などは全て納得して松本に来た。でも、あんなに大勢の人が応援してくれるのは予想外。
もう一度サッカーをやると決めてよかった、ここでならやっていける−と感じたのを覚えています。
昨年末、引退を決意した後、実家がある福岡に帰ろうかとも考えました。葛藤の中で思い浮かんだのは、応援してくれた人たちの存在です。「僕を必要としてくれるなら、松本に残り、恩返ししよう」と、決めました。
皆さんの応援に今でも支えられています。これからも松本でやっていくつもりです。
山雅0-3ホンダに完敗   (2011年5月17日号より)
JFLは14、15日、前期11節の8試合を各地で行った。ここまで4試合して1勝2分け1敗、9位の松本山雅FCは15日、2位のHonda(ホンダ)FC(静岡)と浜松市のホンダ都田サッカー場で対戦し、0−3で完敗した。
攻撃的なホンダに対し、4バック・守備的MF(ボランチ)3人で臨んだ山雅だが中盤での連携を欠き、前半9分に左サイドを破られ先制されると、3分後にも相手のサイドチェンジからフリーで決められ序盤で2失点。
常に数的優位を保つ相手にボールを支配され続けた山雅は、後半途中からボランチを2人にして中盤のバランスを改善。しかし、36分にもミスからボールを失い3点目を奪われ、相手にほぼ4倍のシュートを打たれるなど、全くいいところがなかった。
山雅は勝ち点5で並んだ3チームのうち得失点差が最小で、16位まで後退。ホンダが単独首位に立ち、7−13位は勝ち点6で7チームがひしめいている。
次節展望(前期11節)対Honda   (2011年5月12日号より)
JFL前期11節は14、15日、各地で8試合をする。4試合を終えて1勝2分け1敗、勝ち点5で9位の松本山雅FCは15日、3勝1敗の勝ち点9で2位のHonda(ホンダ)FC(静岡)と浜松市のホンダ都田サッカー場で対戦。好調な相手を下し、浮上のきっかけをつかみたい。
山雅は昨季、上位相手では4位のホンダに唯一2連勝した。3トップを敷き、両サイドも攻め上がる攻撃的な相手を、2戦とも零封した堅守が勝因。今季もまずは、先に失点しないことが白星の前提になる。
ホンダは攻守の軸のベテラン2人が引退。新加入は大卒3人だけだが、すでに先発を担う。これまで昨季中位と4戦して6得点し、うち5点を前半に挙げる先手必勝のサッカーは健在。山雅は相手守備の裏を突き、3−0で快勝した昨季後期の対戦を再現したい。
前期10節 後半失速ドロー 長崎と1―1   (2011年5月10日号より)
JFLは7、8日、前期10節の8試合を各地でした。1勝1分け1敗で10位の松本山雅FCは、昨季5位のV・ファーレン長崎(長崎)と松本市のアルウィンで対戦し、1―1で引き分けた。
前半、山雅は再三のシュートを相手GKに阻まれたが45分、CK後の連続攻撃からDF松田がシュートし、相手DFが頭ではじいたこぼれ球をFW塩沢が押し込んで先制。
運動量が落ちた後半は長崎にペースを握られ、29分にカウンターを受けて相手FWを倒し、PKで追い付かれた。その後も決定機をつくられたが、何とかしのいだ。
山雅は勝ち点5で9位。上位はホンダロックSC(宮崎)が勝ち点10で首位をキープ。次いで勝ち点9でHonda(ホンダ)FC(静岡)とFC琉球(沖縄)が並んでいる。

今季先制した3戦は、いずれも追い付かれて引き分けか逆転負け。波に乗り切れないチーム状態を象徴する1戦に、吉沢監督は「自分たちでペースを乱して勝ち試合を引き分けている。もったいない」と嘆いた。
失点は自分たちのCK後。前線に上がっていたDF飯田が必死に戻ったが、「完全に後手を踏み、慌てて」長崎FW有光を倒した。昨季も長崎戦は2戦とも有光にPKを与えて1分け1敗。が、その因縁ではなく、運動量が落ちて主導権を握られた結果だ。
今季まだ無失点の試合がない山雅だが、攻め手に乏しいことの方が問題だろう。両サイドの上がりや中盤の押し上げが足りず、好調なFW木島徹が前線で孤立。塩沢の高さを生かすクロスも少なく、精度も低かった。
反則の多さも勝ち切れない要因だ。この試合、山雅が与えた直接FKは相手のほぼ3倍の23。1−3戦目も相手の2倍以上のファウルを犯し、イエローカードも1試合当たり3・25枚と多い。
「守りでならまだしも、攻撃時にボールを持った選手がファウルし、チャンスをつぶしている」と加藤GM。加えて「山雅はラフプレーや文句が多い」と、審判にレッテルを貼られたら、シーズンを通じて悪影響は避けられない。早急な改善が必要だ。
Jリーグ入りに向けて設定した「5試合ごとに勝ち点10」の目標ラインに、最初から届かない事態。「チームは1戦ごとに課題を克服している。5試合で何とかしたい」と松田。次の相手は今季好調なHondaFC。真価を見せられるか。

「やっとスタートラインに立てた」。今季初ゴールを決めた塩沢は、先発で結果を出したことを素直に喜んだ。
長身を生かしたポストプレーで、前線で攻撃の起点に。前半終了間際のシュートはフリー。得意の頭ではなく右足で蹴り込んだ。
上田市出身の元Jリーガー。昨季まで佐川印刷SC(京都)に2季在籍し、09年は17得点でJFL得点王に輝いた。山雅に移籍した今季は、スピードがある木島兄弟の控え。ベンチで出番を待った。
「まだレギュラーと控えの線上。結果を残し、チームの信頼を勝ち取りたい」。木島良の4試合出場停止で巡ってきたチャンス。確実にものにしようと、次節に向けて気を引き締めた。
(山岡史明、倉科美春)
前期9節 佐川印刷とドロー  (2011年5月7日号より)
JFLは3日、前期9節の8試合を各地でした。開幕2試合で1勝1敗の松本山雅FCは、昨季6位でここまで1勝1分けの佐川印刷SC(京都)と京都・太陽が丘陸上競技場(宇治市)で対戦。1−1で引き分けた。
山雅は3日前に今季初白星を挙げたAC長野パルセイロ戦と同じメンバーが先発。序盤から相手を圧倒し、前半16分にFW木島良の右クロスをFW木島徹が頭で決めて先制。木島徹は3試合連続の得点。
しかし、4分後に守りのミスを突かれて同点とされ、後半から昨季まで佐川印刷でプレーしたFW塩沢を投入したが無得点。31分には木島良が2度目の警告で退場して劣勢になったが、相手のシュートミスにも助けられて引き分けた。
山雅は勝ち点4で10位。上位はホンダロックSC(宮崎)が勝ち点7で単独首位に。次いで勝ち点6で長野など5チームが並んでいる。
ボイスIの声 柿本倫明コラム(1)   (2011年5月7日号より)
こんにちは、柿本です。引退後も、いろいろな場面で皆さんに声を掛けていただき、うれしく思っています。
約1カ月遅れた今季開幕の秋田戦、前半の山雅は、徹底して相手のディフェンスラインの裏を突く攻撃を試みているのがよく分かり、負ける気配はなかった。しかし、足が止まった後半は攻めの形が見いだせず、違うチームのようでした。
2戦目の信州ダービーでは、北村が先発で出場し、彼のサイドチェンジから今井の素晴らしいシュートにつながった。後半もボールを動かす意識が高く、途中出場の塩沢のポストプレーを有効に生かし、サイドに散らしたことが2点目を生みました。
今季はこれまでになく能力が高い選手たちが加入し、須藤選手が若き主将としてチームをまとめています。
正直、難しい部分もあるでしょう。ベテランは人より優れた何かを持っているから選手をやってこられた。そのため、自分に自信を持っている人が多い。しかし、チームをまとめるには、時にそれを抑える必要があります。
僕は若手に対し、最初は「聞きに来れば教える」というスタンスでした。しかし、主将になった2年目からは本音で語り合うため、こちらから積極的に話し掛けました。「聞きたくても、聞けない選手もいる」と思ったからです。
山雅はまだアマチュア。Jを経験していない選手もいます。ベテランが自ら心を開き、若手に経験を伝え、いいチームをつくってほしいです。

松本山雅FCで3季プレーし、大黒柱として活躍した柿本倫明さん。今季欠番の「背番号10」が、Jリーグ入りの夢を託したチームへの思いや、自身の活動について語ります。
【かきもと・みちあき】
1977年、福岡県生まれ。FWとしてJリーグの湘南ベルマーレなどで出場155試合29得点。2008年に当時北信越リーグ1部の山雅に加入し、09、10年は主将としてJFL昇格をけん引。昨季限りで現役を引退し、山雅の広報活動などをするアンバサダー(大使)に就任した。33歳。
次節展望(前期10節)対V・ファーレン長崎  (2011年5月7日号より)
JFL前期10節は7、8日、各地で8試合をする。山雅は8日、松本市のアルウィンで昨季5位のV・ファーレン長崎と対戦する。
山雅は佐川印刷戦で退場したFW木島良が出場停止。9日間で3戦目と選手に疲れが出始める中、途中出場を含む控え組の活躍が不可欠だ。
攻撃陣に元Jリーガーを加えた長崎は、今季3戦とも開始早々に先制しながら、逆転負けや2点差を追い付かれるなどでまだ白星がない。守備は3戦で計8失点と不安定。山雅は序盤の相手の攻撃を食い止め、じっくりと攻略したい。
前期8節 終了間際に逆転弾 長野に2−1  (2011年5月3日号より)
JFLは4月28−30日、前期8節の8試合を各地で行った。前節の開幕戦で敗れた松本山雅FCは30日、今季からJFLに昇格したAC長野パルセイロと松本市のアルウィンで対戦。後半ロスタイムにFW木島徹のゴールで逆転し、2−1でJFL初の「信州ダービー」を制して今季初白星を挙げた。
強い南風が吹く中、前半は風上の長野が主導権を握り、4分にMF土橋が先制。山雅は中盤を支配されて苦戦したが、ロスタイムにシュートのはね返りを右MF今井が決めて追い付いた。
後半は風上の山雅が積極的に攻めたが、GKの好守もあって得点できず、同点のまま終了かと思われた終了直前、今井−MF北村と渡ったパスを、ほぼ中央で受けた木島徹がシュートして勝ち越した。
上位はFC琉球(沖縄)とホンダロックSC(宮崎)が2連勝。山雅は前期9節(3日)、昨季6位の佐川印刷SC(京都)と京都・太陽が丘陸上競技場(宇治市)で対戦。

山雅戦は足かけ3年で5連敗。「1−1でもよかったのに最悪の終わり方。ちくしょう」。終了間際に勝ち越しを許した長野の薩川監督は「(山雅を)意識していない」と平静を装いながらも、悔しさは隠せなかった。
開幕戦の4バックから3バックに布陣を変えた山雅だが開始間もなく、長野のFW宇野沢と土橋の連携でたやすくゴールを割られた。しかし、焦らずに相手の時間帯をしのぎ、両サイドを使って攻めに転じると、今井が左足で豪快な同点弾。
相手守備の裏を狙う速攻にこだわり、スタミナが切れた前戦を反省。ボールを動かし、攻撃に「ため」をつくった。貴重な同点ゴールは北村のサイドチェンジを起点に生まれた。
追い付いて楽になった後半は、風上から相手の5倍のシュート10本を浴びせた。強風でボールの軌道が定まらず、狙い通りの形は少なかったが、「単にクロスを上げず、自分が仕掛ける」(今井)という工夫が逆転弾につながった。
初戦の白星で引き分けに意識が傾いた相手と対照的に、最後まで攻めて劇的な勝利を呼び込んだ。「粘り強くやったのは評価できる」と吉沢監督。難敵から挙げた2戦目での初白星が、今季の戦い方を指し示しそうだ。

2戦連続のゴールでチームを今季初勝利に導いた木島徹は「後ろに松さん(松田)らがいることで安心して攻め、シュートも慌てずに打てる」と、守備陣への信頼を口にした。
「一瞬のスピードと相手の逆を取る動きは並のJリーガーより上」と首脳陣に評されながら、出場29試合で7得点にとどまった昨季は「途中出場(15試合)も多く、結果を求めて焦っていた」。速さに加え、今季は決定力の高さが光る。
開幕戦から判定に異を唱える姿が目立つが、「サッカーで飯を食い、J入りに人生を懸けている。審判にも分かってほしい」。吉沢監督は「『大人にならない』から、彼は能力を発揮できる。自分でコントロールするのが課題」とかばった。
(山岡史明)
1万人が大歓声 信州ダービー  (2011年5月3日号より)
JFL初の信州ダービーは、山雅FCの有料ホーム試合で観客が初めて1万人を超えた。強風が吹き、小雨も交じるあいにくの空模様だったが、両チームのファンやサポーターら前週の開幕戦の2倍近い人たちが応援。試合は山雅FCが2−1で逆転勝ちした。
家族で訪れた新谷凌大君(8、松本市寿)は「松田選手が活躍して山雅に勝ってほしい」と、試合前からピッチに熱い視線を送った。長野サポーターも多く来場し、杉山朝夫さん(60、長野市)は「前回のダービー(昨年8月の天皇杯県予選決勝)も見に来た。今日は勝つと信じてる」。
大歓声の中、正午にキックオフ。開始間もなく長野が先制すると、山雅サポーターから悲鳴やため息が漏れたが、応援の声はやまない。
山雅は前半に同点に追い付き、後半の応援はいっそう熱を帯びる。終了直前に待望の勝ち越し点が入ると、スタンドの興奮は最高潮に。
試合が終わるとサポーターは拳を突き上げたり、近くの人と抱き合ったりして喜びを分かち合った。三沢竜平さん(34、松本市島内)は「最高でした。これで波に乗ってほしい」と、グラウンドから引き上げる選手を見送った。
サッカー見て元気になって  (2011年5月3日号より)
サッカーJFLの松本山雅FCとAC長野パルセイロが対戦した4月30日の「信州ダービー」。松本市のアルウィンに詰めかけた観客1万1663人の中に、山雅の2選手が「サッカーを見て元気になってほしい」と、この試合から自費で招き始めた子どもたちがいた。きっかけとなる手紙を書いた名古屋市の中学3年、瓜生直人君(14)も母親と招待され、憧れの鉄戸裕史選手(28)に声援を送り、試合後に励ましを受けるなど交流した。
瓜生君は不登校で、現在はフリースクールに通っている。小学2年生の時、父親の転勤で上田市から静岡市に転校。友達と離れたつらさに加え、4年生の時に同級生とのけんかを担任に責められたのがきっかけで、学校に行けなくなった。
卒業後に名古屋市に引っ越したが、中学に通う勇気が持てずにいた頃、祖母が住む松本市の山雅が天皇杯で浦和レッズに勝ったのを知って興味を持ち、昨年のホーム開幕試合を観戦。選手の熱のこもったプレーや、見知らぬ人と応援で一つになれる楽しさに「1週間を乗り切るパワーをもらった」。
その後は小遣いをため、普通列車で松本まで通っている。
サインをもらったのを機にファンになった鉄戸選手に昨年12月、自分の心境をつづった応援メッセージを送った。
鉄戸選手も小学1、2年時に不登校を経験。瓜生君に励ましの手紙を返し、同じ年の塩沢勝吾選手(28)と共に、アルウィンでの試合に毎回、応募のあったうち小中学生とその保護者5組を招待することにした。

「こんな前向きな人がいるチームで働けたら、面白いだろうな」。鉄戸選手の手紙を読み、瓜生君は将来、山雅のスタッフとして働きたいという気持ちを抱いた。そのためにも、高校へ行こうと考えている。
試合後に鉄戸選手を訪ね、自分の夢を伝えた瓜生君。鉄戸選手は、大学卒業後にアルバイトをしながら練習してプロ選手になったこと、山雅で再びJリーグを目指す志などを話し、「目標があるから頑張れる。俺も負けらんないね」と、笑顔で握手を交わした。
(倉科美春)
勝つのはどっちだ 30日信州ダービー  (2011年4月28日号より)
JFL前期8節、松本山雅FC−AC長野パルセイロは30日、松本市のアルウィンで行う。共に県内でJリーグ入りを目指す両チームの対戦「信州ダービー」が、JFLで初めて実現する。長野市の長野市民新聞社と協力し、対戦を前にした両チームの意気込みなどを取材した。
「ダービーマッチ」は、同じ市や都道府県、地方などに本拠地を構えるチーム同士の対戦を指す。両者の戦いは北信越リーグ時代から、それぞれのファンが地域間のライバル意識も投影し、盛り上がりを見せてきた。
山雅は昨年、JFLに昇格。Jリーグに準加盟し、クラブの財政や組織など経営面では見通しを立てたが、成績面の条件である4位以内を逃し、今年再びJ入りに挑む。
一方のパルセイロは、今年からJFLに参戦。基準を満たすホーム競技場がないなどの理由で準加盟申請を見送り、来季のJ入りはない。が、県内のファンやスポンサー獲得のため、打倒山雅に闘志を燃やす。
松本と長野−。地域の誇りも背負う両チームの試合は正午開始。勝つのはどっちだ。



【松本山雅FC】
リーグ初戦(24日)のブラウブリッツ秋田戦は、前半に先制しながら後半2失点で惜敗。元日本代表の松田ら新加入4人が先発したが、前半の飛ばし過ぎがたたり、後半は運動量が落ちた。
2トップを組む木島良と実弟の木島徹がスピードで相手守備の裏を狙い、特に前半は何度か得点機をつくった。一方で両サイドを使った攻めが少なく、セットプレーの精度も低いなど、決め手が少ないのが課題だ。
守備は相手の前線の人数に応じて3、4バックを使い分ける。2トップのパルセイロとの対戦では、松田を中央に置く3バックが濃厚だ。
再びJFL4位以内を目指す今季も黒星スタートになったが、戦力のレベルは高い。早く初勝利を挙げて波に乗りたい。
吉沢監督は「初戦の負けは痛いが、どう力にするか。『変わった』と評価されるようにしたい」。チームが目覚め、パルセイロにJFLの洗礼を浴びせることができるか。

須藤右介選手「信州ダービーは、昨年8月の天皇杯県予選決勝で一度だけ経験し、自分が決勝点を挙げた。北信越リーグ時代からの盛り上がりも聞いている。山雅は長野県になじみがない選手も多いが、今回はJリーグ入りを競うJFLの舞台。サポーターにも、より熱い思いがあるだろう。それに応えなければ。初戦で大勝した長野は、勢いに乗ってくるはず。こちらは初戦の結果を引きずらないよう、収穫と課題を確認し、しっかり準備する」

今井昌太選手「大卒新人だった2007年、初めて経験した信州ダービーで、アルウィンの観客6400人を前にプレーしたのが忘れられない。スタンドの盛り上がりに「いい所に来た」と、しみじみ感じた。上松町出身の自分に松本、長野両市間のライバル意識や、その背景はよく分からない。しかし、同じ県内で、同じJリーグを目指すパルセイロには絶対に負けられない。しかも今回はホームゲーム。どんな形でも勝たなければ」

ウルトラスマツモト コールリーダー小松洋平さん「パルセイロは山雅サポーターにとって特別な存在。勝つと最もうれしい相手だ。北信越リーグで、パルセイロと生きるか死ぬかの戦いをしたことで、山雅は強くなった。パルセイロがJFL昇格を決めた全国地域リーグ決勝大会(昨年12月・千葉県市原市)を見に行った。チームだけでなく、サポーターの数や応援の仕方など、クラブ全体が以前より成長していた。
今回のダービーは試合はもちろん、応援でも勝つ。遠慮なくやりたい」



【AC長野パルセイロ】
リーグ初戦(24日)のジェフリザーブズ戦は運動量で相手を上回り、セカンドボールを拾って保持率を高めるなど、攻守に相手を圧倒。4得点を挙げて最高のスタートを切った。
今季の基本布陣は4−4−2。「人とボールが動くサッカー」を目指し、組織的な守備でボールを奪い、複数の選手が連動して相手守備を崩すスタイルを追求する。
初戦は、目指すサッカーをピッチ上で体現。持ち前の走力で左右に流れてパスを引き出したFW宇野沢、シュート意識の高さで2得点したMF向、ボランチながらゴール前でも決定的な仕事をしたMF土橋ら、攻撃面で各選手の動きが際立った。
薩川監督は山雅について、「新加入も多いが、吉沢監督のサッカーがそれほど変わるとは思わない。4点も取れないだろうが、初戦のようなサッカーが展開できれば、対等に戦えるはず」と意欲を見せる。

土橋宏由樹選手「開幕戦で3得点に絡んだ自分も、チームも共に状態はいい。選手は皆、山雅との対戦を楽しみにしている。かつて山雅に所属した自分は、他のメンバーより信州ダービーに対する思い入れが強い。ここ2年は山雅に勝てていないので、白星で喜びたい。ただ、目標は山雅戦の1勝よりJFL4位以内。勝ち点を積み上げることが大切だ。今回はアウェー。リードしているか、されているかなど、状況を見極めた試合運びとプレーを心掛ける」

野沢健一選手「山雅は自分が生まれ育った松本のチーム。複雑な感情があるし、以前は「頑張ってほしい」と思っていた。しかし、パルセイロにとってはライバル。自分が入ってから一度も勝っていないので、必ず倒したい。開幕戦は控えからも外れて悔しかった。チームが好調で出場のチャンスは少ないが、可能性はゼロではない。長野県民として信州ダービーに出たい。「いつでも行ける」と監督にアピールし、ピッチ上で気持ちの入ったプレーを見せたい」

インチャーダ・ナガノ 古川康平代表「最近は山雅に勝てず悔しい思いをしてきたが、守備が安定した今季は勝てる。勝てば、ホームの観客も増えるはずだ。サポーター数やクラブ規模、知名度など、現時点では山雅が一歩先を行くが、われわれにも必ずできる。将来追い越せばいい。ダービーに勝たなければ「松本の方が強い」というイメージは取り払えず、勝つことでしかパルセイロの存在意義は示せない。1点勝負になると思うが、サポーターも気持ちで負けないように臨みたい」



信州ダービーに合わせ、山雅は県北部地震の復興を支援するチャリティー商品を作った。30日午前9時から、アルウィン南側の特設ブースで販売し、収益は県を通じて栄村に送る。
「SHINSHUOneSoul(信州ワン・ソウル=信州、思いは一つ)」とプリントしたタオルマフラー(2000円)と、缶バッジ3種類(各300円)。両チームのクラブ名やエンブレムが入るマフラーは300枚(一人1枚)、バッジは各200個(1種類につき一人1個)の限定販売。
(松本平タウン情報・長野市民新聞取材班)
山雅スタジアム食を販売  (2011年4月28日号より)
松本大学人間健康学部「山雅プロジェクトチーム」は、松本山雅FCのホームゲーム(松本市のアルウィン)で提供するスタジアム食を完成した。昨年7月、松本大と山雅が結んだ事業連携推進協定事業の第1弾で、丼やクッキーなど計4品。
30日にACパルセイロ長野と対戦する信州ダービーでは、オレンジ色の「TOFUどーなつ」(200円、30日のみ)と「やまがんず☆クッキー」(3枚入り300円)を販売。「とんとん拍子に勝!みそ丼」(500円)「三色勝吾飯」(650円)の丼2品は5月22日、緑のTOFUどーなつ(250円)は5月中に発売する。24日の開幕戦で用意したクッキーは完売した。
10年度の4年生3人、3年生7人、2年生2人の12人が担当。いずれも山雅ファンで、地域の活性化に学んだことを生かしたいとプロジェクトに参戦。今回は4品をホテルブエナビスタ、中島屋降旗米穀が製品化した。
尾和美沙紀さん(20、塩尻市旧塩尻)、土屋夕貴さん(20、松本市蟻ケ崎6)は、上田市出身で今年チームに入った塩沢勝吾選手にちなんだ「−勝吾飯」を開発した。炒り卵や鶏そぼろなどを入れた彩り豊かな丼で、シイタケで六文銭を表現。「チーム色の緑に、何の食材を使うかで苦労した。塩沢選手にもぜひ食べてほしい」
広田直子教授(58)は「開発するまでの過程が勉強でき、その製品が多くの人の手に渡るうれしい場を与えてもらい、ありがたい」と話した。
(八代啓子)
アンバサダーの柿本さんが読み聞かせ  (2011年4月28日号より)
○…松本市中央図書館で23日、サッカー松本山雅FC(同市)の主将を務め、今年から山雅FCのアンバサダー(大使)に就任した柿本倫明さん(33)が、親子連れなど約80人に絵本の読み聞かせをした。
○…スポーツ好きの子どもが図書館に足を向けるきっかけになるように、また山雅FCに興味を持ってもらおうと、同館が「子ども読書の日」に合わせ企画した。柿本さんは「ライオンのおにごっこ」など2作品を読み、「初めての経験で緊張したけれど、皆に楽しんでもらえてよかった」とにっこり。
○…柿本さんが大好きだという安曇野市三郷の今溝陽菜ちゃん(5)は、寝る前に本を読んでもらっている父親の英樹さん(39)に、「パパより上手だった?」と聞かれ、「うん」。
JFL開幕 山雅黒星スタート  (2011年4月26日号より)
東日本大震災の影響で開幕が1カ月余り遅れたサッカーのJFLは、23、24日の前期7節から今季が始まった。松本山雅FCは24日、松本市のアルウィンでブラウブリッツ秋田と対戦。待ちわびた初戦を見ようと観客6319人が詰めかけたが、山雅は1─2で逆転負け。Jリーグ入りに挑む2年目の今季も黒星スタートになった。
前日の雨空が一転、晴天に恵まれた暖かな陽気に。開場の正午には、アルウィンの二つの入場口に500メートルほどの長い列ができた。午前5時半から並んだという最前列の小川邦生さん(40、同市笹賀)は「『やっと開幕してくれて、ありがとう』という気持ちでいっぱい」と、待ち切れない様子。
試合開始1時間前には、秋田サポーターが「栄村」、山雅サポーターは「頑張ろう東北」とそれぞれ連呼し、被災者を応援する気持ちを表した。
「さあ行くぞ」「勝ってくれ!」。声援が響く中、午後2時に試合開始。
山雅は新加入の元日本代表・松田直樹選手もMFで先発。躍動的にボールを回してゴールに迫り、前半31分にFW木島徹也選手が先制点を挙げると、スタジアムは大歓声に包まれた。
降旗晃子さん(24、安曇野市三郷)は「すごい」と友人と抱き合い、待望の今季初ゴールを喜んだ。千葉県船橋市から駆け付けた木立美智子さんは、12年ほど前から松田選手を応援しているといい、「山雅はサポーターもスタジアムもとてもいい。松田選手は地元に愛されてほしい」。
前半の勢いで初戦をものにしたかった山雅だが、後半は運動量が落ちて流れが一変。相手にボールを支配され、16分に同点に追い付かれ、終盤の43分に2点目を奪われた。最後までチームを鼓舞したサポーターも、終了の笛が鳴るとがっくりと肩を落とした。
鈴木由喜雄さん(41、安曇野市豊科)は「(決定機を逃したり、初戦に弱かったりと)『やはり山雅は山雅か』と残念な気持ち。個人技だけでなく、チームとしての戦い方を確立してほしい」と叱咤(しった)した。
山雅の次節の相手は今年、JFLに昇格したAC長野パルセイロ。30日のアルウィンでの「信州ダービー」で今季初勝利を目指す。
(山雅取材班)
前半のペース続かず  (2011年4月26日号より)
元日本代表の松田というJFLで桁違いの補強をし、戦力的にJに最も近いと目される山雅。開幕を待ったサポーターに、その実力を示したい−と、前半は俊足ツートップの木島兄弟を走らせ、ボランチ松田も再三、攻め上がってスタンドを沸かせた。が、そのチームの気負いがスタミナを奪い、手痛い逆転負けを喫した。
「スピードがない相手DFの裏を突く」(吉沢監督)作戦がはまった前半は、プレスが効かない相手から奪ったボールやゴールキックを、木島兄弟があっという間にゴール前へ運んだ。先制点も自陣右サイドから須藤が出したロングボールを木島徹が受け、追い付いたDFをうまくかわして蹴り込んだ。
しかし後半早々に須藤、MF弦巻、松田と主軸の足が止まり、ツートップも片方しか守備に戻れなくなり、中盤での優位を失った。
相手に「ボールを動かし、主導権を握る理想のサッカーができた」(秋田・横山監督)と言わしめる展開になり、自陣右サイドからループ気味のシュートを決められ同点。さらに最後のCKでの失点は、それまで抑え込んでいた秋田のエース松田に一瞬マークを外され、頭でたたき込まれた。
「追加点を奪えなかったのが敗因。前半がいいイメージだったため、それが続かなくなった後半は受け身になった」と吉沢監督。山雅の柴田コーチは「前半がオーバーペース。気持ちがはやった上にグラウンド状態も悪く、ボールを動かすのを怖がって速い攻め一辺倒だった」と、振り返った。
昨季、敵地の開幕戦で敗れた相手のガイナーレ鳥取は、独走優勝でJ2へ。「J入りは絶対に譲れない」。鳥取に感じた意気込みを、今季は自分たちが示そうと臨んだホーム開幕戦の黒星。「すぐに反省点を話し合うなど、みんな冷静に次を見ている。今後につながる負けに」。主将の須藤がチームの思いを代弁した。

○…FW木島徹(先制点を挙げる)「前半が自分たちのペースだったため、勝てると過信してしまった。前半に兄と二人であと2、3点取れたが、決め切れなかったのが敗因」
○…FW木島良(町田で昨季16得点)「もっとシュートを決めなければいけないし、失点後に立て直す力も足りなかった。しっかり前を向き、次に勝つしかない」
(山岡史明)
「自分の責任」ボランチ出場の松田  (2011年4月26日号より)
「勝てなかったのは、助っ人として来た自分の責任」。自らのJFL初戦を飾れなかった山雅の松田は「自分のせい」と繰り返し、悔しさの中に強烈な自負をのぞかせた。
前線の人数が多い秋田に対応し、4バックで臨んだこの日は、練習試合で多かった3バックの中央ではなく、ボランチでプレー。前半6分にシュートを放つなど積極的に攻撃参加したが、「仲間への指示や位置取りなど、2失点とも自分の責任」と、守りで存在感を示せなかった後半を悔やんだ。
練習試合で一度もJFL勢と対戦しなかったことに、漏らしていた不安が現実に。「『やられないだろう』という甘さがあった。それを打ち破るのも自分」と、足早にアルウィンを後にした。
(山岡史明)
質の高さで白星を 24日秋田と開幕戦  (2011年4月19日号より)
東日本大震災の影響で開幕が予定より1カ月余り遅れたJFLは、23、24日の前期7節から今季が始まる。松本山雅FCは24日、松本市のアルウィンでブラウブリッツ秋田と対戦。昨季は開幕2連敗など前半戦のつまずきがJリーグ入りを逃す要因となっただけに、仕切り直しの初戦を白星で飾って弾みを付けたい。
山雅は、チャリティー試合のJ2FC東京戦(3日)後に左脚を痛めていたFW木島良が初戦に間に合った。弟のFW木島徹と組み、スピードがある2トップで得点を狙う。
布陣は、相手が1トップなら4バック、2トップなら3バックと「相手の出方に応じて変え、主導権を握れる」(吉沢監督)よう、Jリーグ勢などと重ねた練習試合で、さまざまな形を試してきた。
元日本代表の松田はボランチか3バックの中央に陣取る。守りで危険な箇所をいち早くカバーし、ボランチ時は攻撃の起点に。GKは大卒新人の白井が、カウンターにつながる精度の高いキックで抜てきされた。
秋田は昨季、7位の山雅と勝ち点差1の8位。対戦成績も1勝1敗と拮抗(きっこう)した。昨季リーグ2位の24点を挙げたFW松田が攻撃の絶対的な軸で、今季は08年に山雅でもプレーしたMF川田らJリーグ経験者7人を補強。17日の練習試合でJ1山形に3−2で競り勝つなど、まったく侮れない相手だ。
「開幕戦特有の緊張感で、自分たちがやりたいことはできないだろうが、相手にもさせない。最後は『質の差』が決め手に」と吉沢監督。相手の時間帯をしのぎ切り、少ないチャンスをものにできるかが勝負の鍵を握る。
(山岡史明)
JFL日程決まる 山雅24日に初戦  (2011年4月12日号より)
東日本大震災の影響で1−6節が中止されたJFLは、前期7節(23、24日)からの開始が決まった。昨季7位の松本山雅FCは24日、昨季8位のブラウブリッツ秋田と松本市のアルウィンで対戦。中止分の代替開催で、後期は11月が6試合(予定)になるなど日程が過密に。山雅は早めに来季Jリーグ入り条件の4位以内を確実にして終盤に臨めるよう、開幕ダッシュを決めたい。
毎年、戦力を大幅に入れ替える半面、選手間の連携が未熟だったり、的確な戦術が見いだせないなどで、シーズン前半は苦戦が目立つ山雅。
今季は開幕が1カ月余り遅れ、その間にJリーグ勢と練習試合を重ねるなど、チームづくりに時間をかけられたことは明らかなプラスだ。吉沢監督は「寒さでもたついた過去3年と比べ、暖かくなり体が動くのも大きい」と話す。
昨季は8−9月のリーグ中断期間に再度の補強をして追い上げたが、今季は8月に代替2試合が組まれた上、昨季は決勝だけだった同月の天皇杯県予選も、今季は準決勝からの出場に。
同監督は夏場にコンディションを整えるため、前期17節終了時のJFL上位2チームに与えられる天皇杯のシード権を得て県予選を回避したいとし、「前期を2位以内で終えれば、後期も高い意欲で挑めるはず」と、当面の目標に据える。
被災地が拠点のソニー仙台FCは後期からリーグに参加する意向で、その場合は他チームより11試合少ないため、今季の順位の決め方はあらためて発表される。ソニーが後期以降も不参加の場合、山雅は12月第2週に予定される最終節の試合がなくなる。
(山岡史明)
JFL 代替開催含め新日程を発表  (2011年4月7日号より)
サッカーの日本フットボールリーグ(JFL)は5日、東日本大震災の影響で中止した3、4月の前期1−6節の代替開催日を含む、これまでに決まった今季の新日程を発表した。リーグは4月23、24日の前期7節からスタートし、松本山雅FCは24日午後2時から、松本市のアルウィンでブラウブリッツ秋田と対戦する。
代替開催は、8月の平日や11月の祝日、12月1、2週の週末を中心に組まれた。対戦チーム間で日程や会場の調整がつかなかった試合を含め、未定分は7月5日までに発表される。全日程終了は12月11日の見込み。
山雅FCの代替6試合は、FC琉球(8月31日・アルウィン)、横河武蔵野FC(11月3日・同)、ツエーゲン金沢(11月23日・金沢市)との3戦が日時、会場とも決定。アウェーのMIOびわこ草津とホンダロックSC戦、ホームのソニー仙台FC戦は未定。
山雅FCの代替開催を除く28試合は日時、会場とも当初発表された通りで変更はない。震災で大きな被害を受けた宮城県多賀城市に拠点を置くソニー仙台FCは、前期7−17節は参加しない。
J2強敵に完敗 FC東京に0―4  (2011年4月5日号より)
JFLの松本山雅FCは3日、東日本大震災復興支援チャリティー試合でJ2FC東京と松本市のアルウィンで対戦した。山雅は個々の技術やスピードで上回る相手に主導権を握られ、0−4で完敗した。
震災の影響でJFLは1−6節、J2は2−7節が中止に。山雅は24日に想定される開幕戦に向け、FC東京は同日のリーグ再開に向け、チャリティーながらともに練習試合の意味合いが強い一戦。
前週のJ1甲府との練習試合と同じ3バックの布陣で臨んだ山雅は、両サイドを中心に多彩な攻めを見せる相手に押し込まれ、前半30分にミドルシュートで先制された。
前半終盤から徐々に攻めの形ができ始めた山雅は、後半に入ってFW木島良の突破で再三チャンスをつくったが無得点。30分にMF須藤のパスミスで2点目を失い、41分にカウンターで3点目を奪われると集中力が切れ、直後に連続失点した。
山雅はDF松田を中心に相手の決定機を何度かしのいだが、守備に人数を割いた分、攻撃に移った時の押し上げが足りず単発。決定力も欠いた。
吉沢監督は「個々の技術や判断の速さに差があった。開幕が近づいているのに課題や足りないものが多い」と話した。

●…山雅・DF松田「結果が全て。チャリティー試合で勝負にこだわらない部分もあったが、開幕までにチームの意識を変えなくては。(開幕前に)アルウィンで試合ができて本当によかった」
○…FC東京・大熊監督「うちも体を張って守ったが、山雅はチャンスをきちんとつくっていた。個性や怖さがある選手も多く、結果を出してJに上がってほしい」
(山岡史明)
選手と被災地に1万人がエール  (2011年4月5日号より)
サッカーJFLの松本山雅FCとJリーグ2部のFC東京は3日、東日本大震災と県北部地震の被災地復興支援を目的にしたチャリティー試合を松本市のアルウィンで行った。両チームのファンなど1万98人が来場。今季初のアルウィンでの試合観戦を楽しむとともに、募金や応援を通じて被災地へ思いを送った。
安曇野市三郷の金子リサさん(10)は、家族で作った「WE(ハート)JAPAN今こそひとつにONESOUL(ワン・ソウル)」と書いたボードを手に応援。「子どもたちが、また外で走り回れますように」との願いを込めた。
地震と原発事故の被害を受けた福島県いわき市からは、山雅の渡辺匠選手(29)の両親や知り合いが駆け付けた。いまだに給油制限があり、この日のためにガソリンスタンドに通い、燃料をためたという。
長年、渡辺選手を応援している打越照子さん(59)は、仲間と作った「全国の皆様多大なご支援本当にありがとう!がんばっぺ!いわき」と書いたボードを持参。「私たちの元気な姿を見せることが、せめてものお礼になれば。栄村への募金もさせてもらった。復興のために皆で協力し合わなければ」と、笑顔で話した。
試合前には両チームの選手が募金箱を手に入場口に並び、山雅の選手が県北部地震、FC東京の選手は東日本大震災の義援金を募った。キックオフ前に犠牲者への黙とうもした。
この日、集まった募金は431万1681円。東日本大震災分は、チャリティーTシャツや飲食店の売り上げ211万5100円と、経費を差し引いた入場料収入を合わせ、Jリーグを通じて被災地に送る。
(倉科美春)
サッカーで元気を  (2011年4月5日号より)
福島県いわき市小名浜の実家で暮らす両親と兄、祖母が被災した。原発事故を受けて4人はいったん川崎市の叔母の所に身を寄せたが、ライフラインが復旧し、食料などが手に入るようになったため、両親と兄は福島に戻った。実家は自主避難を促された半径30キロ圏内ではないが、放射能が漏れたら30キロも45キロも同じだろう。
80代後半の祖母は家を離れたがらず、「死ぬなら小名浜で」と言う。実家は海から車で10分余りの所で、津波の被害はなかったが、海沿いは様相が一変しているらしい。
地震の直後は電話もつながらず、実家に駆け付けたかったが交通手段もなく、心配で眠れなかった。
3日後、地元でフットサル場を経営する兄から「お前が来ても仕方がない。いつJFLが開幕しても大丈夫なように、しっかり練習しろ」というメールをもらい、吹っ切れた。
中学まで福島で暮らしたが、原発を意識しなかったし、危険性を知らされてもいなかった。事故による2次被害が広がらないよう祈るしかない。
クラブやサポーターがいち早く募金活動に動いてくれてうれしかった。古里の様子や、友達の無事な顔をこの目で見て確かめたいが、グラウンドに立てば私情を挟むことはできない。
自分はサッカーで結果を出し、応援してくれる人たちや家族を元気づけたい。
(松本山雅FC選手・渡辺匠さん)
練習試合でJ1甲府に勝利  (2011年3月29日号より)
JFLの松本山雅FCは3月27日、J1ヴァンフォーレ甲府との練習試合を山梨県中央市の山梨大医学部グラウンドで行った。45分×3回の変則で対戦し、山雅はDF飯田の2得点で2−1で勝った。
山雅はけがのDF玉林と阿部を除く全選手が出場。
今季4年ぶりにJ1に復帰した甲府は、東日本大震災で2節以降が中止され、実戦は開幕戦以来ほぼ3週間ぶり。一時帰国した外国人勢や、29日のチャリティー試合で日本代表と対戦するJリーグ選抜のFWハーフナーらを除き、元日本代表のMF伊東らほぼ全選手が顔をそろえた。
1回目と2回目の25分間は、両チームとも現時点のベストメンバー。山雅は1回目の17分、左CKのこぼれ球をMF須藤が折り返し、飯田が頭で決めて先制。
2回目の途中以降と3回目は両チームとも控え中心にし、山雅は3回目の開始直後、左CKに飯田が再び頭で合わせて加点。27分に失点したが、前週のJ2FC岐阜戦に続き、格上を相手に1点差で競り勝った。
山雅は須藤らMF陣が豊富な運動量で相手ボールを奪うと、ワンタッチでの素早いパス回しや、ツートップの木島徹と木島良の好連係でゴールに迫るなど、攻撃に速さが出てきた。攻守でポジションを流動的に変えるなど、選手が高い能力を発揮し始めた印象だ。
今季の開幕はほぼ1カ月後の見通し。吉沢監督は「それまでの間、個の質を高めることで、チーム力を上げていく」と話した。
○…山雅・須藤主将(昨季までの課題だった序盤のチームづくりは)開幕まで時間ができたので、コミュニケーションを取り、意志の疎通を図りたい。開幕が先になっても体をつくり、プレーの精度を高めるなど、やることは変わらない。
(山岡史明)
FC東京とチャリティー試合 4月3日アルウィン  (2011年3月29日号より)
松本山雅FCとJ2FC東京は4月3日、東日本大震災の復興支援チャリティー試合を松本市のアルウィンで行う。入場料収入から運営経費を差し引いた収益を義援金とし、Jリーグを通じて被災地に送る。
試合開始午後2時。入場前売り券(大人1500円、高校生以下500円)をコンビニエンスストアの端末などで発売中。当日券は大人2000円、高校生以下500円。山雅のJFLホーム試合用のシーズン券や招待券などでは観戦できない。
当日は各入場口に東日本大震災と県北部地震への義援金を募る募金箱も置き、飲食販売の収益の一部も義援金にする。
チャリティー試合はFC東京の呼び掛けで実現。Jリーグが東京電力管内での開催を許可しなかったため、会場と対戦相手を探していたFC東京が、県サッカー協会と山雅に打診した。
JFL7節開幕へ 4月24日秋田と対戦  (2011年3月29日号より)
JFLが3月24日、東日本大震災を受けて既に中止した3月の1−3節に加え、4月の4−6節(16、17日)の中止を決めたことで、今季は7節(23、24日)開幕の見通しになった。昨季7位の山雅は4月24日に松本市のアルウィンで、同8位のブラウブリッツ秋田との対戦が組まれている。
18チームの運営担当者を集めた24日の会議で、7節開幕の方向が示された。中止した1−6節は、事務局が示した代替開催日の案に沿い、ホーム試合の運営チームが会場確保を進めている。
地震で大きな被害を受けた宮城県多賀城市の工場に選手が勤めるソニー仙台FCも、今季リーグに参加する意向だが、開幕に間に合うかは未確定だ。
本来の日程が、11月末までほぼ毎週末に試合が組まれているため、代替開催を土・日曜だけで消化するのは困難だ。リーグが中断する8−9月の1カ月も、JFLチームの多くが天皇杯の都府県予選に出場。国体に臨むチームもある。
JFL事務局は「Jリーグ入りや地域リーグへの降格が懸かっており、全試合の実施が前提」とし、試合がない祝日や、平日や12月以降の開催も含む代替案を出したと見られ、各チームの回答を得て4月4日の臨時理事会で全日程を決め、5日に発表するとしている。
山雅全選手が街頭募金  (2011年3月19日号より)
サッカーJFLの松本山雅FC(松本市)は17日、同市のJR松本駅前で、東日本大震災と県北部地震の被災者に送る義援金を募った。全23選手と監督・コーチ、運営会社の社員ら計約40人と、サポーター有志約20人が参加。震災の影響でリーグ開催の見通しが立たない中、「まずは被災者支援を」と、市民に協力を呼び掛けた。
渡辺匠選手(29)は、両親と兄、祖母が住む福島県いわき市の実家が地震の被害を受けた上、原発事故で屋内退避の範囲に。「家族を松本に呼びたいが、燃料もわずかしか買えず、動けない状況。自分は支援活動を含め、できることをやるしかない」と、仲間と共に駅頭に立った。
支援活動は同じJFLのAC長野パルセイロ、BCリーグ(野球)の信濃グランセローズと歩調を合わせて行い、この日は3チームの選手らが県内で街頭募金をした。
山雅とAC長野のサポーター有志は19、20日も松本、長野の両駅前で募金を予定。山雅の運営会社は県北部地震の被災者に義援金を送ることも決めた。
(山岡史明)
JFL開幕戦 全9試合中止  (2011年3月15日号より)
サッカーJFLは、11日に起きた東日本大震災の影響で、13日に松本市のアルウィンで予定していた松本山雅FC−ソニー仙台FCを含む今季開幕の第1節全9試合を中止した。
信明中出身の宮田選手 恩師らが激励  (2011年3月12日号より)
13日に開幕するサッカーJFLの松本山雅FC(松本市)に今季加入した同市出身の宮田直樹選手(23)の小中学生時代の指導者らが10日、同選手の激励会を同市南部公民館で開いた。約20人を前に宮田選手は「山雅がJリーグに上がれるよう全力でプレーする」と誓った。
宮田選手は同市の筑摩野スポーツ少年団でサッカーを始め、信明中学校を経て高校時代はJリーグ1部アルビレックス新潟の育成チームでプレー。立正大を卒業した昨年、Jリーグ2部ファジアーノ岡山に入団し、期限付き(レンタル)移籍で山雅に加わった。
中学時代のサッカー部顧問、勝沢勝さん(48、現・創造学園大付属高監督)は「彼は『プロになって当然』という高い意識を持っていた。現状に満足せず、子どもたちに夢や憧れを抱かせる選手になってほしい」と話した。
宮田選手に花束を手渡した信明中サッカー部の倉田航主将(2年)は「自分も将来、山雅のようなチームでプレーしたい」と、先輩を見上げた。
JFL開幕へ 高まる山雅コール  (2011年3月10日号より)
サッカーのJFL(日本フットボールリーグ)は13日開幕する。昇格初年の昨季7位でJリーグ入り再挑戦を期す松本山雅FC(松本市)は、ホーム競技場のアルウィン(同市神林)で昨季14位のソニー仙台FC(宮城)と対戦。山雅を応援するファンや後援会は「今季こそ」と力が入り、アルウィンも選手や観客を迎える準備が進む。地域の熱と期待は、これまで以上に高まりつつある。

山雅最大のサポーター集団「ウルトラス松本」は今季も、「一部のJチーム以上」といわれる応援で選手を鼓舞する。その中で、松本地方以外にも自分たちの地域で山雅を盛り上げようと活動する団体が増えている。
伊那谷のサポーターでつくる「松本山雅南信ペーニャ」は08年に結成し、メンバーは14人。横断幕作りや、試合前にJR伊那市駅前などでチラシやティッシュ配りをしている。
同市ではまだ「松本平の出来事」として見る人が多いというが、「伊那市民も一緒になり、アルウィンを満員にできれば」と川田智弘代表(42)。
諏訪市のサポーターは06年に「諏訪雷跳(らいちょう)の会」を結成した。会員は約40人。諏訪でも徐々に注目が集まっており、「塩尻峠という壁を越え、一つになって応援したい」と鈴木啓会長(35)は話す。

「あらゆる立場の人が、純粋に山雅を応援する組織。願いはJリーグ入りに尽きる」。昨秋発足した山雅の後援会はこのほど、松本市内で初の総会を開催。会長を務める井上保・松本商工会議所会頭はそう強調し、懇親会で選手を激励した。
会員は現在、50企業・団体と60個人。年会費(企業・団体3万円、個人1万円)収入の3割をクラブに納め、経営を支援する。11年度は会員を100社・300人まで増やす計画。さらに県内各地に支部会や、職場ごとの部会ができるよう働き掛け、応援の輪を広げたいとする。
山雅のホーム試合入場者数は昨季、JFL新記録の1試合当たり5080人を記録し、今季は7000人以上を目標に掲げる。
山村和永・後援会理事長(42)は「地域を越え、これまで山雅に関心がなかった人たちを巻き込みたい」。山雅を核に人々をつなぐ後援会は、支援を「まちの総力戦」に発展させる方策を練る。

アルウィンは、グラウンドの芝を冷害から守る寒冷紗(しゃ)を5日に取り外した。7日に雪が6センチほど積もり関係者を慌てさせたが、8日の暖かさで解けた。表面の凸凹をならすため、芝の刈り込みや手作業で砂を入れる作業を進め、選手らは12日の練習で今季初めてピッチに立つ。
昨季は猛暑の影響で芝が枯れ、夏以降はプレーに影響するほど状態が悪かった。このため、本来は芝が芽吹かない秋−冬に種をまき、傷みがひどい部分は寒冷紗を二、三重に掛けて回復を試みた。
01年の開場から10年たったアルウィンは、芝の全面的な張り替えが必要な時期にきている。所有する県は山雅がJリーグ入りした場合、スポーツ振興くじの助成を受けての改修を検討している。
「日本で最も寒い場所にある天然芝の競技場の一つ。思ったより状態は良いが、3月に使い始めるための管理は試行錯誤」(管理する信州スカイパークサービスセンターの平林淳所長)という。
(山岡史明、倉科美春)
JFL3月13日開幕 初戦は仙台  (2011年3月10日号より)
3月13日に開幕する社会人サッカーの第13回JFL(日本フットボールリーグ)。Jリーグ入りに再挑戦する松本山雅FCは今季、元日本代表DFの松田直樹をはじめ、元Jリーグ選手7人を含む8人が新加入した。
1月末から重ねた練習試合は11戦して6勝1分け4敗。格上のJリーグ勢には1勝3敗と負け越し、特に宮崎合宿中はシュートすら打てないなど攻撃面の課題が目立ったが、徐々に改善されつつある。
注目の松田は古傷の右膝に不安を抱え、開幕1週前の最後の練習試合(6日)で「90分間プレーできたのは大きい」と話す状態。実戦に入り、どこまで力を発揮するか。守備陣への指示などピッチ上での存在感はさすがだ。
攻撃は技術の高い北村、須藤らMF陣がボールを奪い、時間を掛けずに2トップの木島良、木島徹へ。スピードがある二人の突破で相手守備の裏を狙う。
町田で昨季16得点の木島良はまだ本調子ではないが、一昨季のJFL得点王で高さがある塩沢、ゴール前の位置取りに優れる片山も控え、引いて守る相手にはサイドから二人へのクロスが有効だ。
JFLではレベルの高い選手がそろった今季だが、「全員が技術で相手を上回っているわけではなく、相手ボールは運動量の多さで奪わなければ。技術が生きるのは、相手の動きが鈍る後半」と吉沢監督。
優勝を目標に掲げ、最低でもJ入り条件の4位以上が求められる今季、目の色を変えて挑んでくる相手をしのぐ「Jへの意気込み」を見せることができるか。個々の選手にとっても、Jリーガーになれるかどうかの戦いが始まる。

【JFL(日本フットボールリーグ)】
18チームによるホーム&アウェー方式の総当たり2回戦(各チーム34試合)。6月までを前期、7月以降を後期とし、前後期に各チームが1度ずつ対戦。順位は勝ち点(勝ち=3、引き分け=1、負け=0)34試合分の合計で決める。
Jリーグ準加盟の4クラブ(山雅、町田ゼルビア、V・ファーレン長崎、カマタマーレ讃岐=今季新加入)は今季4位以上になり、かつホーム競技場やクラブの運営・経営が適当と認められれば、来季Jリーグ2部(J2)入りできる。
山雅のホーム試合は、総合球技場アルウィンで16試合と信州スカイパーク陸上競技場で1試合。前売り券はS席大人1500円(当日2000円)、高校生以下400円(同600円)、A席大人1000円(同1200円)、高校生200円(同400円)など。コンビニエンスストアの端末や、信濃毎日新聞の販売店などで購入できる。小中学生のA席は、学校を通じて招待券を配る。
ホーム17試合を観戦できるシーズンパスはS席大人1万5000円、高校生以下5000円、A席大人1万円、高校生2000円。
ホーム試合時は松本駅前の松本バスターミナルと山形村のアイシティ21から、競技場付近へのシャトルバス(有料)を運行する。問い合わせ松本山雅事務局電話88・5490
(山岡史明)
最後の練習試合名古屋に敗れる  (2011年3月8日号より)
JFLの松本山雅FCは6日、リーグ開幕(13日)を前に最後の練習試合をした。Jリーグ1部名古屋グランパスの2軍と愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで対戦し、1−3で敗れた。
前後半45分ずつ。前半19分に先制された山雅は、33分にも自陣でのバックパスをカットされ、追ったDFが相手を倒してPKを献上し、前半は0−2。
山雅は後半から出場したFW塩沢が前線への飛び出しで好機をつくると、全体の運動量が増えて15分、攻撃参加したDF松田がペナルティーエリア左外で倒されて得たFKを、MF弦巻が直接決めて1点を返した。
しかし34分、守備陣が左右に振られて計3失点。山雅は後半途中から出場のMF今井が切れのいい動きで何度か得点機をつくったが、加点できなかった。
山雅はこの日の布陣が開幕戦を想定したメンバーだったが、前半は運動量が少ない上にパスミスも多く、相手にボールを奪われる場面が目立ち、攻守に精彩を欠いた。
塩沢らが前線で相手に圧力を掛け、両サイドバックも上がり始めた後半はボールを支配する時間が増えたが、いくつかあった決定機を逃した。
吉沢監督は「相手が元気なうちに得点できなかったのは課題。不用意なミスで奪われた2点目も痛い。あと1週間でチーム一丸となるよう、スイッチを入れていく」と、気持ちの部分でのチーム状態の引き上げを期した。
(山岡史明)
長野銀行が3月から「山雅応援定期」  (2011年2月26日号より)
長野銀行(松本市)は3月から、サッカーJFL松本山雅FC(同市)の「応援定期預金」の取り扱いを始める。集まった預金総額の0.02%(上限100万円)を同行が負担し、山雅FCに活動費として寄付する。
預入期間1年のスーパー定期で、通常の金利に年0・08%を上乗せする。預入金額は10万円以上1000万円未満。募集総額は50億円。5月末まで取り扱う。
預金者に山雅FCのタオルマフラーかキーホルダーをプレゼントするほか、取り扱い開始の3月1日正午−午後1時、松本市渚2の本店営業部で山雅FC選手のサイン会を開く。松田直樹、須藤右介、今井昌太の3選手が参加を予定している。
同行は山雅FCのユニホームスポンサー。応援定期は昨年に続く募集で、昨年は104億5200万円が集まり、山雅FCに200万円を寄付した。
山雅PRイベントに900人  (2011年2月26日号より)
TOYBOX(トイボックス)信州スカイパークサービスセンターはこのほど、松本市の信州スカイパーク内にあるアルウィンで、「松本山雅FCと遊んで学んでスカイパーク!」を開いた。約900人が訪れ、ゲートフラッグ作りやそば打ち体験など多彩なイベントを楽しんだ。
キックターゲットや卓球、フラッグ作りなど、遊んだり作ったりできるメニューや、山雅の選手と触れ合えるメニューを用意。普段は入れないウォームアップ室やロッカー室も会場として開放した。そば打ち体験は、塩尻市出身の小松憲太選手と、佐藤由将選手が参加し、サークル蕎麦(そば)食人会メンバーの指導で、子どもから高齢者まで一緒になって楽しんだ。
会場入り口で家族とユニホームを見ていた西保木謙一さん(36、松本市里山辺)は「息子がサッカーをしている。選手に会ったらサインをしてもらおうとボールを持って来た」。初めてのそば打ちをした鈴木雄一郎さん(29、同市横田)は「控え室なども見ることができた」と満足した様子だった。
そば打ちに加わった小松選手は「サッカーと離れた所での一般の人との関わりは少ないので、楽しい」と話していた。
このイベントは、冬季の利用促進と普段は入れない場所を会場にして施設を知ってもらおうと、4年前から開いている。今年は、山雅の選手と触れ合える場所を多くした。
新戦力8 GK白井裕人  (2011年2月19日号より)
GKは1人しか試合に出られない。いったん監督の信頼を得ると使われ続けることが多く、途中交代もまれだ。その間、控え選手はいつ来るか分からない出場機会を待ち、ひたすら練習を続ける。
「腐ったらそこで終わり。いかに出番を待てるか」
大学の強豪、流通経済大(茨城)で昨季、1学年下の21歳以下日本代表・増田卓也選手の控えだった。関東大学リーグ22戦のうち、増田選手がけがや代表戦で不在だった5試合でゴールを守り、あとはベンチで見守った。
山雅のことはJFLで対戦した2軍(今季関東リーグに降格)の仲間から聞いた。「ホーム競技場はサッカー専用、サポーターの応援もすごい。共にJリーグ並み」。プロを目指す心が動いた。
1月に開いた一般公募の選手選考会に参加し、59人(うちGK6人)の中でただ一人合格。今は3番手の立場だが、GKは山雅でJリーグ経験者がいない唯一のポジションだ。
「PK戦は好き。だって、止めたら自分がヒーロー」。今季の新加入8人の中でただ1人の大卒新人は、若さに秘めた芯の強さでチャンスをうかがう。

しらい・ゆうと
千葉県柏市出身。流通経済大柏高−流通経済大。183センチ、75キロ。22歳。
新戦力7 FW木島良輔  (2011年2月17日号より)
ファンサービスや社会貢献活動への取り組み、スポンサーへの配慮など、ピッチ外でも選手が評価される時代。「ファンに好かれるためにサッカーをしているわけじゃない。自分のプレーを見てほしい」と言い切る。サッカーで結果を出し、文句は言わせない。古きプロフェッショナルの雰囲気を漂わせる。
昨季はJFL3位の町田ゼルビアで、リーグ4位の16得点。山雅戦でも2得点し、鋭い出足と突破力で存在感を見せつけた。「運動量も大事だが、ベテランならではの位置取りや周囲への気配りをしたい」。自分の得点でチームを勝たせる気持ちは誰より強い。
遊び好き、指導者やフロントの意に沿わない言動など「武勇伝」は多い。「自分は得点を奪うFW。ピッチの内外を問わず闘志はむき出し。それがなくなったら辞めるかも」。誰かにこびたり、自分を偽れば、選手としても終わりだと自分に言い聞かせる。
サッカーも個人よりチームが重視されるようになった。「部品」として扱われるのを拒む強烈な個性の居場所は狭くなりつつある。その生きづらさに逆らうように、己を信じてJリーグ復帰に挑む。取りあえず「いい子」になるつもりはない。

きじま・りょうすけ
千葉県長生村出身。帝京高−横浜M−ベルグラーノ(アルゼンチン)−横浜M−大分−東京V−熊本−町田。Jリーグ出場153試合20得点。166センチ、66キロ。31歳。
新戦力6 MF渡辺匠  (2011年2月15日号より)
もっとうまくなりたい、もっとピッチを駆け回りたい−。「自分にとって、今季が本当の再スタート」。新鮮な気持ちでプロ12年目を迎えた。
2004年に川崎フロンターレを、08年にはモンテディオ山形を、それぞれ主力選手としてJリーグ2部(J2)から1部へ昇格させた経験を持つ。豊富な運動量と安定した守備力を兼ね備えたボランチだ。
Jリーガーとして10年目の09年、山形を戦力外になり、現役引退を決意した。指導者資格も取り、区切りをつけるタイミングだと思ったが、山形の小林伸二監督が止めた。「お前はまだやれる」
迷いながらJ2ロアッソ熊本へ移籍し、けがもなく先発13戦を含む25試合に出場。再び戦力外になったが、「もっとやれる。ここでやめたら、続けた意味がない」と、Jを目指す山雅でのプレーを決めた。
同じ新加入で元日本代表の松田直樹選手をはじめ、JFLトップクラスの戦力がそろう今季の山雅だが、楽観はしていない。
「慢心があると、そこを突かれる。どのチームも『山雅にだけは負けない』と、挑んでくる。厳しい戦いになるだろう」。ベテランらしい冷静な読みで、チームを引き締める。

わたなべ・たくみ
福島県いわき市出身。桐光学園高−川崎−山形−熊本。Jリーグ出場226試合5得点。178センチ、72キロ。28歳。
新戦力5 MF久富賢  (2011年2月12日号より)
Jリーグ2部(J2)横浜FCで2年目の昨年夏、山雅への期限付き(レンタル)移籍を打診された。「ここにいた方が成長できる。調子もいい」。自身の判断で断ったが、出番はシーズン終盤の2試合にとどまった。
「結局、首になったけど後悔してない。一度断った自分を呼んでくれた山雅に感謝している」専用の練習場やクラブハウスを持ち、3度の食事も出る横浜FCの環境は「J2最上」といわれる。山雅にそれは望むべくもない。しかし、自分を必要としてくれる。20歳の若者はJリーガーだった誇りを胸に、選手として、社会人として、松本で新たな一歩を踏み出した。
50メートル5秒80の俊足で縦へ突破するサイドアタッカー。選手の中で目を引くほど小柄だが、「すり抜けたら、大きな相手は守りづらいはず」と、武器のスピードに絶対の自信を持つ。プロ1年目は途中出場6試合で計28分、2年目の昨季もフル出場は1試合だけ。体力面は大丈夫かと問われると、「若いし、絶対最後までやれる。どんどん使ってほしい」ときっぱり。語気を強めた口元に、チーム最年少に甘んじない闘志がにじんだ。

ひさとみ・けん
佐賀県唐津市出身。東海大五高−横浜FC。Jリーグ出場8試合。164センチ、60キロ。20歳。
新戦力4 FW片山真人  (2011年2月10日号より)
2007年に大卒新人ながらリーグ2位の14得点を挙げ、山雅を北信越1部優勝に導いたストライカー。
Jリーグ2部のFC岐阜に2季、水戸ホーリーホックに1季在籍した間に結婚、昨年6月には長女が誕生した。「背負っている責任が、あのころと違う」。チーム首位タイの6得点を挙げながら水戸を戦力外になり、古巣に復帰を決めた。
「なめられたら、あかん」。地域リーグからステップアップした自負を胸にJで奮闘し、08年は岐阜でチーム2位の8得点。経営難の水戸では選手会役員を買って出て、観客動員やファン獲得に取り組んだ。「ガチャ」の愛称と旺盛なサービス精神は、どこへ行っても変わらない。
4年ぶりの山雅はクラブが大きくなり、サポーターも増えたが、一緒にプレーした仲間で残るのは、同期入団のMF今井昌太選手だけ。「当時を知る者として、これまで山雅のために頑張ってきた選手、スタッフらの思いを背負って戦う」
いずれはJリーグ入りした山雅でプレーすると、サポーターに約束していた。「1年早かったが、あのとき果たせなかった昇格の喜びを、味わわせてやろうという導きかも」。気持ちとゴールを狙う姿勢は常に前向きだ。

かたやま・まさと
大阪府高槻市出身。ガンバ大阪ユース−近畿大−山雅−岐阜−水戸。Jリーグ出場76試合14得点。183センチ、78キロ。26歳。
新戦力3 FW塩沢勝吾  (2011年2月8日号より)
JFL佐川印刷SC(京都)の選手として昨季、山雅とアルウィンで対戦。ふるさと信州で敵として、熱狂的な応援や自軍のホーム試合ではあり得ない約4300人の観客をピッチから見上げた。その時、心はすでに決まっていた。「来季はここでプレーする」
Jリーグ2部水戸ホーリーホックを3季で戦力外になり、その後2年間は企業チームの佐川印刷で働きながらプレーした。高さとスピードを武器に、09年はJFL得点王(17得点)に輝いた。
右脚を痛めた昨季は不本意なシーズン。「あとどのくらいプレーできるか分からない。地元に、自分の選手としての足跡を刻みたい」と、帰郷を考える転機になった。
いずれは県内で高校教諭になるつもりだ。仲間と一緒に体を動かす楽しさを教えてくれた高校時代の担任、Jのチームで練習できるよう手配してくれた大学の監督…。「いつも誰かのおかげで道が開けた。自分も、子どもたちが夢に向かう後押しがしたい」と言う。
それまでは、もう一度Jの舞台を目指す。「自分が夢を追うのをあきらめたり、燃え尽きずに終わったら、子どもに教え切れないと思う」。試合中の表情とは違う、柔らかい笑顔を見せた。

しおざわ・しょうご
上田市(旧真田町)出身。上田高−上田ジェンシャン−山形大−水戸−佐川印刷。Jリーグ出場73試合8得点。182センチ、75キロ。28歳。
宮崎キャンプ地 練習拠点を変更  (2011年2月8日号より)
JFLの松本山雅FCは、15−20日に行う宮崎キャンプの拠点となる練習会場を、同県小林市から西都市に変更する。小林市は噴火が続く宮崎・鹿児島県境の霧島連山・新燃(しんもえ)岳に近く、降灰などの影響に配慮した。
J2愛媛FC(15日)、韓国Kリーグ城南一和(17日)などとの練習試合3戦は予定通り行う。すでに中止が決まっているJ2横浜FCとの練習試合は、日程と会場を変更して実施する見通し。
新戦力2 MF宮田直樹  (2011年2月5日号より)
Jリーグ2部ファジアーノ岡山から期限付き(レンタル)移籍し、ふるさとのチームでプレーすることになった。松本市出身では山雅初のJ経験者だ。
中学時代はMF小松憲太選手(23、塩尻市出身)と県選抜で一緒。プロを目指してJリーグ1部アルビレックス新潟のユース(高校年代チーム)に進み、立正大(東京都大学リーグ1部)を経て夢をかなえた。
攻守の切り替えを担うボランチ(守備的MF)。「ボールを持った相手に迫る、一歩目のダッシュ力は誰にも負けない」。相手のチャンスの芽を摘み取る鋭い出足が持ち味だ。
新人だった昨季はフル出場1試合を含めリーグ3試合でプレー。「試合前日に出場を告げられても、翌日になればベンチ外。調子がよくても突然メンバーから外されたり」と、プロの世界の厳しさを痛感した。「昨季は自分が甘かった。レンタルで呼んでもらい、今年が勝負の年。チームに溶け込みながら、自分の色を出したい」と、闘志を燃やす。
兄潤一さん(25)も、Jを目指し始めたころの山雅でプレーし、今は育成部門で小学生を指導する。「地元出身への期待は感じる。気負わず結果を出したい」。まずはレギュラー獲得が目標だ。

みやた・なおき
松本市出身。筑摩野スポーツ少年団−信明中−新潟ユース−立正大−岡山。Jリーグ出場3試合。182センチ、73キロ。23歳。
新戦力1 DF松田直樹  (2011年2月3日号より)
サッカーのJリーグ入りを目指し、2年目のJFLに挑む松本山雅FC。今季新たにJリーグ経験者7人を含む8選手が、期待を担ってチームに加わった。活躍を期す新戦力を紹介する。

「松本になんか行かないだろ?」。16年間プレーしたJリーグ1部(J1)横浜F・マリノスを昨季限りで戦力外になり、クラブ幹部から掛けられた一言が耳に残った。「Jの方がいい」。親しい友人も反対した。しかし、昨年の大みそかに、次は松本でプレーすると決めた。
「山雅は地域に応援されている感じ。それが欲しかった。ファンがいなければ、自分の能力を超えるプレーはできない」。山雅のホーム競技場アルウィンは球技専用で陸上トラックがなく、選手と観客の距離が近い。
国内外のクラブから獲得の申し出が相次ぐ中、「ファンと一緒に、高いモチベーションで戦える」スタジアムの存在が、山雅を選ぶ決め手になった。
横浜Mで長年、守備の大黒柱として君臨し、J1出場数は史上9位の385試合。日本が16強入りした02年日韓ワールドカップの全4戦にフル出場したベテランだ。人気、実力とも、山雅Jリーグ入りの「切り札」として期待が懸かる。
「選手は実力で評価されるべき」と、出場機会がないのに不満を鳴らし、過去に日本代表を外された。横浜Mを戦力外になったのにも納得していない。「陰でこそこそされるくらいなら、けんかして分かち合いたい」。ストレートな物言いは、強烈な自信とプロ意識の表れだ。
JFL(日本フットボールリーグ)は待遇も練習環境もJ1とは雲泥の差。が、「逆に新鮮。マリノスしか知らずに終わっていたら、大した人間になれない」と、自分を見つめ直す目も備える。「こうなれば、山雅でとことんやりたい。まずJ2(Jリーグ2部)、そして本気でJ1入りを狙い、全国から観客が見に来るチームにする」。残りの競技人生の全てを新天地に懸ける。

まつだ・なおき
群馬県桐生市出身。前橋育英高−横浜M。Jリーグ出場385試合17得点。国際Aマッチ(日本代表)出場40試合1得点。2000、02年Jリーグベストイレブン。183センチ、78キロ。33歳。
「Jへ」熱いうねり 体制発表会に1300人  (2011年2月1日号より)
サッカーJFL(日本フットボールリーグ)の松本山雅FC(松本市)は1月30日、今季の体制発表会を同市まつもと市民芸術館で開いた。昨年の2倍以上のファンやサポーター約1300人が来場。リーグ開幕まで1カ月半。「山雅をJリーグへ」「山雅で地域を元気に」という市民の熱い思いはたぎる。
JFL初年の昨季は7位と、Jリーグ入り条件の4位以上に届かなかった山雅。今季は元日本代表DFで注目度抜群の松田直樹選手をはじめ、新たに8人を獲得して選手は計23人に。これまで不在だったコーチも2人加わった。
2月1日からチーム運営を移管された株式会社は、地元企業や個人持ち株会、松本市などから計9290万円の出資を集め、スタッフも大幅に増員した。
発表会では、4季目の指揮を執る吉沢英生監督(38)や選手が決意を述べ、チームスローガンや新しいデザインのユニホームなどを披露。松田選手ら新加入選手との交流会には、ホームページを通じて約800人が参加を申し込み、抽選で当たった200人がサインをもらったり、握手をした。
ファンクラブ「クラブガンズ会員」の入会受け付けや、ホーム17試合を観戦できるシーズン入場券の販売も会場で始まり、初日の収入は昨年の約2倍の計約1300万円。
予約販売のユニホームは、見込みを上回る800着以上の注文を受け、600着を超えた分は開幕戦(3月13日)までに納品が間に合わない状況だ。

山雅のホーム試合の運営ボランティア「チームバモス」の説明会は、体制発表会に先立ち松本市あがたの森文化会館で開いた。28人が出席し、新たに20人が参加を申し込んだ。
運営ボランティアは、総合球技場アルウィン(同市神林)で催す山雅の試合で、テント設営やグッズ販売、入場券もぎり、観客誘導などの仕事を担う。
岡村孝さん(68、同市野溝西)は、地域のスポーツを応援したいと登録。「山雅の試合を見て『いいな』と思った。体を動かし健康づくりにもつながる」。
3年前から試合を観戦しているという会社員百瀬恭二さん(40、同市波田)は「『まちを活気づける手段』に飢えていた。山雅が大きくなっていくのを見て、自分も何かできれば思った」と、参加する動機を話した。
ボランティアは昨季116人が登録し、17戦で延べ820人、1試合当たり48人が活動した。山雅が1試合の平均観客数7000人を目標に掲げる今季は、昨季からの継続を含めて150人以上の確保を目指し、2月中旬にも説明会を行う。
(山岡史明)
山雅今季初の練習試合  (2011年2月1日号より)
JFLの松本山雅FCは1月29日、今季初の練習試合をした。松本大を相手に、松本大グラウンドで30分間を3回の変則で行い、新加入のFW塩沢と片山がそれぞれ2得点、FW木島徹も2得点し、守備陣も完封して7−0で終えた。
今季23選手のうち、現時点で出場可能な21人が入れ替わりでピッチに立ち、J1横浜Mから移籍した元日本代表DF松田や、昨季JFL得点ランキング4位の16点を挙げたFW木島良ら、新加入8人のうち7人も出場した。
山雅は1回目に木島徹が先制。2回目は開始直後に塩沢が頭で決め、ゴール前の混戦から木島徹が続き、シュートのこぼれ球を新加入のMF久富が押し込んだ。
3回目は片山が右クロスを豪快に蹴り込むと、片山が自身で得たPKを決め、最後は右クロスに塩沢が頭で合わせた。
昨季より1週間早い実戦。吉沢監督は「パスミスもあり、連携も物足りないが、選手間で互いにプレーを見せ合えたのは、チームにとってプラス」。
引退した柿本に代わり、首脳陣から主将に指名されたMF須藤は「早い時期から試合慣れしておくのは大事。新加入選手とのかみ合わせはまだまだだが、昨季より良いチームをつくらないとJ入りできない」と、気を引き締めていた。
山雅はリーグ開幕まで週末を中心に練習試合を組む。15日から20日まで宮崎県小林市で予定しているキャンプは、宮崎・鹿児島県境の霧島連山・新燃(しんもえ)岳が噴火した影響が懸念されるが、「現地で練習試合する相手も、現時点でキャンプ地の変更は聞いていない」(加藤GM)と、実施する方向だ。
(山岡史明、長岩将弘)
Jへ再始動 選手21人が練習開始  (2011年1月18日号より)
サッカーJFLの松本山雅FC(フットボールクラブ)は17日、今季の練習を始めた。JFL2年目の今年は、Jリーグ1部・横浜F・マリノスから移籍した元日本代表DF松田直樹選手(33)らを加え、来年のJリーグ入りに挑む。
昨季から残る15選手と、今季これまでに入団が決まった7選手のうち、松田選手を含む計21人が集合。サポーター約100人が見守る中、松本市神林の信州スカイパーク多目的広場でランニングや、ボールを使った軽めの練習をした。
4季目の指揮を執る吉沢英生監督(38)は「昇格という明確な目標がある。選手の顔を見て、やってくれると確信した」と力を込めた。
今季のJFLはAC長野パルセイロ(長野市)など新規2チームが参入し、3月中旬に開幕。昨季7位の山雅は、ホーム競技場のアルウィン(同市神林)で開幕戦を迎える予定。1、2戦目の対戦相手は19日に発表される。
VS長野 信州ダービー再び  (2011年1月3日号より)
プロサッカーのJリーグを目指して今年、JFL(日本フットボールリーグ)2季目に臨む松本山雅FC。そのJFLに、県内でもう1チームJリーグ入りを掲げるAC長野パルセイロが昇格。北信越リーグ時代から県内で覇を競う2チームが、再び同じカテゴリーで激突する。社会人全国リーグで上位になるのはどちらか。そして、先にJに行くのは…。両雄の意地と誇りを懸けた「信州ダービー」に、長野県のサッカーが熱く燃える。
「ダービーマッチ」とは、同じ市や都道府県、地方に本拠地を構えるチーム同士の対戦を指す。
共に04年からJを目指し始めた両者の対戦が、「信州ダービー」と呼ばれるようになったのは06年。北信越リーグで前年に2部を制して1部に昇格した山雅と、前年1部優勝の長野エルザSC(現パルセイロ)が開幕戦で対戦した際、盛り上げを狙った山雅側が「ダービー」の名称を仕掛けたという。
北信越リーグ4季の対戦成績は山雅の通算3勝2敗3分けと、ほぼ拮抗(きっこう)。ただし、天皇杯の県代表を決める県選手権決勝は、昨年を含め山雅の4戦全勝。09年は全国社会人選手権の北信越大会と全国大会でも対戦し、いずれも山雅が勝ってJFL昇格に道を開くなど、ここ一番の勝負は山雅がものにしてきた。
J入りの競争は、すでにJに準加盟し、資金力や運営体制を整えた山雅が一歩先を行くが、成績は別。長野が山雅の前に立ちはだかる可能性は十分ある。

長野でただ一人の県関係選手が松本市出身の野沢健一(26)。2年目の昨季は攻守のMF、DFと複数ポジションでほぼフル出場し、豊富な運動量でJFL昇格に貢献した。
松本美須々ケ丘高−立正大を経てJFLのジェフリザーブズで2季、佐川印刷で1季プレーし、通算81試合(7得点)に出場。
「Jを目指すなら地元で」と、長野入りしたが、JFL昇格で山雅に先を越された昨季は「『来季昇格できなければチームがなくなる』という危機感があった」という。
今年再びJFLの舞台へ。「生まれ育った松本が好きだし、人も好き。が、必要としてくれるチームのため、自分のために戦う」と、「打倒山雅」を誓っている。
(山岡史明)
GM JFL サポーター 座談会  (2010年1月3日号より)
松本山雅FCはJFL7位に終わった昨季を糧に、今季をどう戦うのか−。チーム編成や運営を指揮する山雅の加藤善之ゼネラルマネジャー(GM、46)、Jリーグクラブの運営に携わった経験もあるJFLの上保毅彦運営部長(45)、サポーターグループ発起人で、山雅の試合に多くの観客が集まる礎をつくった疋田幸也さん(35)に、それぞれの視点で展望を話し合ってもらった。

─JFL昇格初年の昨季は7位。Jリーグ入り条件の4位に届かなかった。
【加藤】 圧倒的な力の差があったわけではない。が、前期は勝たなければいけない相手に負けた。選手を大幅に入れ替えるため、開幕までにチームがまとまらないのが毎年の課題だ。
【上保】 初勝利した武蔵野戦(昨年3月27日)を見て、18チームの中位ぐらいの実力と感じたが、町田に1─6で大敗した時(同4月25日)は、翌シーズンの開幕戦をホームで迎えられる9位以内も難しいと思った。
後期最初の琉球戦(同7月3日)で敗れ、守備を立て直してからは11戦負けなし。4位以内もあり得たが、鍵を握ったのは佐川印刷。09年得点王のFW塩沢(来季山雅に移籍、上田市出身)のけががなければ上位の力があり、どのチームにとっても要注意の存在だった。山雅も後期13節(同10月31日)に連勝を止められた。
【疋田】 前期の時点で4位以内はないと思った。パスや判断の速さにJFLのレベルの高さを感じた。

─昨季はクラブを運営する株式会社が発足し、資本やスタッフも増えた。J入りに不足な点は。
【加藤】 昨年整えた体制で問題ないが、さらに行政との関係を深めたい。
スポーツを取り入れた政策をつくる際に、山雅というツール(道具)を使ってほしいが、行政は受け身。
Jでは市職員がクラブに出向したり、クラブ職員が市の担当窓口にいたりする。そういう関係を築きたい。
【上保】 相手チームのサポーターを観光客と位置付けることで、行政が真剣に動く可能性が出てくる。J2(Jリーグ2部)熊本は相手チーム選手紹介時のブーイングを禁止したり、地元のお薦め店を尋ねられたら、三軒答えられるようにしてください─と、試合前にサポーターに呼び掛けた。
【疋田】 今季の観客動員目標を1試合当たり7000─8000人としているが、駐車場をもっと確保しないと厳しい。開始直前になるとアルウィン周辺は満車になり、遠い場所に止めざるを得ないため、観戦をためらう人もいる。
【加藤】 シャトルバスを無料にしたり乗車に付加価値を付けたりと、車以外の交通手段を積極的に利用してもらう工夫もしなければ。

−山雅の昨季ホームゲーム入場者数は、JFL過去最高の1試合平均5080人。支持される理由は。
【疋田】 サポーターを増やすためにいろいろ努力したが、それに応えてくれる人たちがいた。松本の人は郷土愛が強い。盛り上がる気質もある。
【上保】 山雅のサポーター集団は怖くなく、入りやすい雰囲気。スタジアムも食べ物が充実し、集客の努力が実っている。
【加藤】 今の山雅は選手とサポーターとの間に垣根がない。声も気軽に掛けられ、身近な存在に感じてもらえているのでは。
【疋田】 試合で結果が出ないと、やじられる選手もいる。そんな時は練習を見に行き、「愛があるからこそ」と声を掛けている。
【上保】 特筆すべきは、アウェーにも大勢のサポーターが応援に訪れたこと。あれだけの人数が敵地に行ったことは、JFLではこれまでなかった。人が行き来するようになれば互いの町が活性化し、JFLの存在価値も高まる。

−長野パルセイロが今季JFLに昇格し、県内でJリーグを目指す2チームが再び同じリーグに。共存は可能か。
【加藤】 可能だし、共にJを目指していい。が、共にビッグクラブにはなり得ない。お互いが20億円規模のクラブになれば、合わせて40億円。十分にJ1(Jリーグ1部)に行ける資力だ。
しかし、クラブが存続する意味はそれぞれある。J1で戦うだけがすべてではない。地域の中で、自分たちの役割を果たすことが最も大切だ。
【疋田】 地域に根付いていれば、共存は可能だろう。欧州などでは小さい町のクラブもやっていけている。どれだけ地域に根差し、支援を受けているかだ。
松本は人口や経済力で長野にかなわないが、「サッカーだけは負けちゃだめだ」という思いがある。サッカーで勝てなければ、全て持って行かれる−ぐらいの意識でいる。長野にだけは、絶対に勝ち続けなければ。
【上保】 山雅−長野の「信州ダービー」は、今季JFL最大の注目カード。マスメディアはサッカーを超えて「松本対長野」をあおるべき。盛り上がりが経済効果を生むのでは。とことんやってほしい。

−今季の選手補強のポイントは。J入りに向けてどういうチームをつくり、どう戦うか。
【加藤】 補強はとにかく攻撃陣。FWは塩沢、片山(J2水戸、07年に山雅に在籍)、MFはスピードがある久富(J2横浜C)らを獲得。ボランチの宮田(J2岡山、松本市出身)らと合わせ、ほぼ半数が新しい顔ぶれになる。選手を残した上で補強するのは「温かい」感じだが、われわれには時間がない。
「このクラブでJ1を目指す」という、強い思いを持った選手でなければ駄目。JFLやJ2を戦い抜くために、精神的にタフな選手が必要だ。
【疋田】 応援してきた選手がいなくなるのは寂しいが、J2に入るために必要なことだと理解している。
【上保】 今季はJ準加盟クラブが増えることが予想される上、企業チームの佐川滋賀やホンダ、佐川印刷も健在。鳥取が独走した昨季のようなことは考えづらく、1−10位くらいが勝ち点10前後の間にひしめく可能性も。
【加藤】 山雅との対戦は相手のモチベーションが高く、レベルががらっと変わる。相手を圧倒する気迫で攻め立てるしかない。受け身になったり、隙を見せたら駄目。相手が「まいった」と言うまで、前線から圧力を掛ける戦い方ができなければ、J2に行っても通用しない。
【疋田】 ホームのアルウィンで勝率が低いのを何とかしたい。「山雅を勝たせたい」という雰囲気にスタジアム全体が包まれていると、昨季のびわこ戦や鳥取戦のように、良い方に転ぶと実感した。サポーター一人一人が意識し、そういう雰囲気をつくり出したい。
(文中敬称略 山岡史明、倉科美春)


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