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J2初年 反町康治監督の挑戦 勝利へ規律と自由   (2012年11月22日号より)
J222番目のチームとして今季参入した山雅が、12位でシーズンを終えた。アマチュアリーグでプレーしていた選手たちを、プロの世界で通用するまでに育てたのは、今季から指揮を執った反町康治監督だ。どのようにして彼らの意識を変え、勝てるチームをつくったのか。反町監督へのインタビューなどを通して探った。

「反則を犯したり、退場者を出さない試合をしてほしい」。反町監督が今年1月、あるスポンサー企業の社長から掛けられた言葉だ。
昨季は延べで、出場停止28回、退場者12人。J入りを決めた熱狂の陰に隠れたが、ラフプレーが多い山雅に嫌悪感を抱く人もいた。セットプレーからの得点が多いJで、相手より少ない人数で戦うのは戦略的にもマイナス。
「フェアな試合をする、クリーンなチームをつくります」と答えたという。
今季当初の32選手のうち、22人が昨季からの在籍者。意識を変えるために規律を定め、守らない選手は、たとえ昨季の主力であっても試合に出さなかった。
プレー中に転んでも痛がらずにすぐ立ち上がる、練習に遅刻しない−といったことのほか、喫煙者にはたばこの煙で黒くなった肺の写真を見せ、禁煙するよう訴えた。
規律を守れなければ、練習への参加停止も辞さなかった。警告の多いDF飯田には、29節の熊本戦(8月19日)からゲーム主将を任せ、自覚を促した。

厳しい規律の一方、プレーでは自由を与えた。守備のためのハードワークが第一だが、ピッチに送り出す際は「迷ったらトライしろ。好きにやっていい」と伝えた。
「事細かく禁止すれば、選手の表現力をつぶしてしまう。僕はプレーについてはほとんど怒らない。むしろ良いところを見つけ褒める」
こうした方針が、選手との間に信頼をもたらした。選手は厳しい練習に食らい付き、1試合当たり、相手選手より平均1キロ多く走れる体力を身に付けたことがデータ(38節徳島戦)にも出ている。リーグ後半21試合の成績は5番目。退場者はシーズンを通してゼロだった。

来季は目標の1桁順位に達するため、上位に勝てる選手、チームに育てなければならない。現段階で来季の加入が内定している選手は大卒、高卒が多く、戦力になるには時間がかかる可能性もある。
「特効薬はない。地道にやるだけ」。信念を貫き、地道なやり方を積み重ねることが、チームを強くすると証明した反町監督は、今季何度も口にした言葉を繰り返した。
(倉科美春)
今季もありがとう ファン感謝デーに3000人   (2012年11月22日号より)
松本山雅FCは18日、松本市のアルウィンで、サポーター会員を対象とした「ファン感謝デー」を開いた。約3000人が集まり、多彩なイベントで試合中とは異なる選手たちの魅力に触れた。
参加者はサイン会やミニゲーム、PK対決などで選手と交流。ピッチ上にしつらえられたメーンステージでは、クイズ大会や選手の私服ファッションコンテストなどもあった。
最後は反町監督や選手らがメーンステージに立ち、あいさつをした。この日はJ1昇格プレーオフの初日。反町監督は「今日ここにいるのがいいことかは分からない」としながら「1日楽しめたのは、皆さんのおかげで昇格初年を精いっぱい努力できたから。感謝してもし足りない」と話し、来季のいっそうの奮闘を誓った。
催しの後、今季限りでの退団が決まっている大橋、阿部、北村、石川、片山の5選手へのコールが観客席から起こり、5人が進み出て応える一幕もあった。
J初年終戦「よく戦った」 大分に0―0   (2012年11月15日号より)
冷たい雨が降りしきるピッチに、試合終了の笛が響いた。「お疲れさま」「よく戦ったぞ」―。うなだれ、座り込む山雅の選手たちに、今季の奮闘をたたえる言葉が観客席から飛んだ。J1自動昇格(2位以内)の可能性さえ残した4位・大分との最終節は、J参戦初年の成果と課題を象徴するかのような無得点ドローだった。
試合は終始、1点をもぎ取ろうとする激しい攻防だった。山雅は序盤こそ攻め込まれたものの、守備陣が踏ん張り、徐々に攻撃の流れをつかんでいく。FW船山が豊富な運動量で仕掛けると、FW塩沢、楠瀬らも最終ラインの裏を突き、何度もゴールを脅かした。
後半も「サポーターに向かって攻める時に、非常に勢いがある」と大分・田坂監督が評した攻勢。カウンターで迫る大分の攻撃をしのぎ切り、走り負けないサッカーを体現した。DF飯尾は「満点とは言えないが、やろうとしたことはかなりできた。プレーする楽しさも感じた」と話す。
一方で、相手を上回るシュート数とセットプレーの機会を得ながら得点できず、決定力不足もあらためて示した。FW塩沢は「今季が終わってどうこうより、今日勝てなかったことが悔しい」と、唇をかんだ。
来季も指揮を執る反町監督は試合後、ドイツ生まれのサッカー指導者デットマール・クラマーさんの「試合終了の笛は、次の試合開始の笛だ」という言葉を引き、「次に何ができるか、反省を踏まえ、すぐに考えてやっていかなくては」と来季を見据えた。
今季得たものを、どう糧とするか。2013年シーズンは、もう始まっているのかもしれない。
(長岩将弘、倉科美春)
「組織のプロ化」目指し 元選手で営業・神田文之さん  (2012年11月15日号より)
「トップチームが終盤まで昇格争いに絡んだのは頼もしい。選手のようにフロントやスタッフもハードワークをし、プロになっていくことが必要だと感じる」。力を込める神田文之さん(35)は、かつては選手として、現在はクラブ運営会社の営業社員として、山雅を支えている。
山梨県田富町(現中央市)生まれの神田さんは、東京学芸大を卒業し2000年、J2ヴァンフォーレ甲府に入団。同年はリーグ戦13試合に出場した。
当時の甲府は、チームの存続が危ぶまれるほどの経営危機のただ中。生活面の安定と、より成長できる環境を求めて翌年、当時群馬県リーグ1部だったFCフォルトナ(現アルテ高崎=活動休止中)への移籍を決断した。
05年8月、先の生活も見据えて引退を決意し退団。山雅に誘われたのはその時だ。
山雅は当時、北信越リーグ2部。「就職先が見つかるまででよければ」と出場した2試合に勝ち、山雅は1部昇格を果たした。
同年12月、東京で不動産会社の営業職に。「未経験の世界で大変だったが、やりがいはあり、勉強にもなった」という一方、「売るものが自分の夢を託せるものなら、もっと楽しいんじゃないか」との思いもあり続けた。
J2昇格を決めた山雅から営業職として招かれたのは、昨年12月だ。東京で積み重ねができ、葛藤もあったが、「夢を託せるのは、やはりサッカーだと思った。周囲も背中を押してくれました」。
今年は「松本での土台づくり」と位置づける。在籍当時どん底だった甲府は10年余を経て、人気、実力とも申し分ないクラブになった。「山雅は昇格初年で、リーグ有数の観客動員数。今後、もっとすごいことになるのではないかという気がする」と期待を寄せる。
「サポーターや地域の力を信頼し、ともに盛り上げていく方向性は合っている。いかに組織としてプロ化し、魅力を発信していけるかが、自分の役割ですね」。落ち着いた声音に、神田さんは決意をにじませる。
駆け続ける今井昌太 期限付き移籍先で奮闘  (2012年11月8日号より)
上松町出身で、山雅在籍最長6季目だったMF今井昌太がチームを離れて4カ月。「プロ選手として、もう一度はい上がりたい」と、期限付き移籍先のJFLブラウブリッツ秋田でプレーする。4日の長野パルセイロとの一戦(長野市南長野運動公園)には、松本平から約100人のファンが駆け付け、声援を送った。
ドリブルで相手DFを振り切り、サイドを駆け上がる。山雅サポーターを魅了したがむしゃらさはそのままだ。山雅で定位置だった右サイドハーフではなく秋田では左を任されているが、「やりやすい」と、不安はない。
移籍後の8月から全試合出場。最近では先発に定着し、長野戦もフル出場した。「個で突破できる選手。チームの推進力の弱さをカバーしてくれる」と、秋田の横山雄次監督も働きを評価する。
Jリーガーを目指し、北信越1部だった07年から山雅でプレーした。だが、クラブがJ入りを果たした今季の出場は、わずか2試合で計21分。
「出場機会が巡ってくるのを待つ選択肢もあった。でも、自分はピッチに立ってなんぼ。ゼロからJの舞台を目指すつもりで移籍を決めた」。ピッチへの渇望が、名前だけのJリーガーであることを許さなかった。
「最近は自分のプレーを取り戻せている」と、晴れやかな表情を浮かべる。
チームが0―1で敗れた試合終了後、スタンドへ深々と頭を下げると、その場のほとんどのファンが柵に駆け寄り握手を求めた。
「頑張れよ」「応援してる」。一人一人に激励される姿は、「たくさんの人に愛されたい」という多くの選手の願いを、すでに実現させているように見えた。「応援してくれる人たちのためにも、夢をかなえたい」と、力を込めた。
地元・神林地区がオリジナルのぼり旗製作  (2012年11月8日号より)
アルウィンがある松本市神林地区の町会連合会と、同地区の山雅サポーターでつくる「神林山雅の会」は、山雅を応援するためのオリジナルののぼり旗を作っている。「山雅を活用し、地域の新しい絆づくりをしよう」という取り組みの一つ。最終節の11日、アルウィン北側の県道や神林公民館前の市道沿いに掲げる。
旗は縦180センチ、横60センチで30本製作。「山雅街道」と「山雅の里」と書かれた2パターンがあり、ともに「ようこそかんばやし」という文字を入れた。
同地区はホーム戦の日に応援の声が聞こえたり、車の交通量が増えたり。住民は以前から山雅の存在を肌で感じてきた。
町会連合会が本格的に山雅に注目したきっかけは運動会だ。抽選会の賞品に選手のサイン入りボールをプレゼントしたところ、多くの人が集まり、「山雅の人気を実感した」(丸山克巳町会連合会長)という。
また、地域のサポーターの中にも、一昨年からホーム戦のある日などに旗や幕を自宅前に掲げ、道ゆく人を楽しませたり、応援の気持ちを示したりする人が増えていた。
そこで「山雅をコミュニケーションツールに、地域を盛り上げることができないか」と、町会連合会と山雅の会、同地区公民館が協力。県の元気づくり支援金を受けて準備してきた。来季までに自宅前に飾れる小さな旗なども作り、希望者に渡す予定だ。
山雅の会は今後、希望者を集めて懇親会を開くなど、親睦を深める活動をしていく計画。
丸山町会連合会長(70)は「若い住民の中には、地域に関心がなくても山雅には興味があるという人もいる。山雅を応援する中で古くからの地元住民と交流する機会が増え、地域に目を向けてもらえれば」と期待する。
(倉科美春)
Jユースカップ初戦は京都に完敗 同世代に挑み学ぶ  (2012年11月1日号より)
Jリーグのユース(高校生年代)40チームが出場し、日本一を決める「Jユースカップ」の予選が10月20日から各地で始まった。初出場の山雅U─18(18歳以下)は10月28日、初戦で昨年の8強、京都サンガU─18と松本市のアルウィンで対戦し、0─5で敗れた。
2年生が主体の京都に対し、山雅の先発はFW細川大樹(都市大塩尻3年)以外全員1年生。その力が現時点でどこまで通用するか、試金石となる一戦だ。
最終ラインを押し上げ、中盤でパスを回しながら攻める京都に対し、山雅は陣形をコンパクトにして守備を固め、カウンターで得点機を狙った。前半は0─2。後半も猛攻を受け3失点した。
しかし、山雅は体を張って守り、相手DFの裏に抜けて好機もつくり、点差ほど内容に開きはなかった。試合後、選手たちも「思った以上にできた」と、手応えを感じた様子。
MF篠原貫太(松商学園1年)は「相手は体が強く、競り合っても倒れなかった。ああいう体をつくらなくては」と、強豪から学んだ課題を口にした。
この日訪れた観客は225人。時折激しく雨が降る中、声援を送り続けた。
次戦は3日にヴァンフォーレ甲府(アルウィン)と、11日は清水エスパルス(清水ナショナルトレーニングセンター=静岡市)と対戦する。
(倉科美春)
「子どもの目に輝きを」育成の平林コーチ  (2012年11月1日号より)
大歓声を受け、ピッチで躍動するトップチームの選手だけが山雅ではない。それぞれの場所で力を尽くし、クラブを支えている人たちがいる。松川村出身の平林順さん(25、松本市里山辺)もその1人。今季から育成組織「ユースアカデミー」の指導者として、小学4年生以下チームの監督を務める。
アカデミー指導者の中で平林さんは最年少。21人の教え子に慕われる姿は、年が離れた兄のようだ。
小学1年生でサッカーを始め、中学時代はボニートンFC(池田町)でプレーし、高校からヴァンフォーレ甲府のユースへ。東海大卒業後、J2徳島ヴォルティスのジュニアユース(中学生年代)を2年間指導。「地元の子どもたちのために働きたい」と、山雅のJリーグ入りを機に故郷へ戻った。
平林さんは子どもと接する時、心掛けていることがある。「良いことも悪いことも見逃さず、その行動に対する評価をすぐに伝える」だ。
徳島時代、審判への抗議が目立つ教え子がいた。その場で注意できず、先輩から「何か起きた時にすぐ言わなければ、その子の成長が止まる」と指摘された。
「心の変化は、よく見なければ気付けない。練習ではまず子どもの目を見て、元気かどうか確認する」と平林さん。
育成組織の子どもにとって、チームは学校や家庭に次ぐ居場所。育てる責任と重みを背負いながら、ひた向きに夢を追うサッカー少年たちに寄り添う。
(倉科美春)
栃木に今季2敗 J1昇格消える  (2012年11月1日号より)
J2は10月28日、第40節を各地で行った。勝ち点58で今季最高の9位につけていた山雅は、11位の栃木SCと栃木県グリーンスタジアム(宇都宮市)で対戦して2−3で敗れ、勝ち点を積み上げられなかった。
2−6位の上位陣はそろって勝ち、J1昇格プレーオフ進出圏内となる6位の千葉は、勝ち点66とした。山雅は残り2試合で連勝しても勝ち点64で届かず、今季の昇格の可能性が消滅。来季もJ2の舞台で戦う。
山雅は試合開始直後に先制点を許す苦しい展開。後半9分に塩沢のゴールで追い付いたが、その3分後に勝ち越し点を奪われると、同34分にも被弾し突き放された。同43分に船山がミドルシュートを決め追い上げたが、及ばなかった。
次節は4日、敵地で千葉と対戦する。
(長岩将弘)
気持ちの勝利 水戸に2─1で挑戦大詰め  (2012年10月25日号より)
台風の影響で延期となっていた36節を含め、1週間でホーム3連戦という過密日程を、山雅は2勝1分けで乗り切った。中2日で迎えた最後の水戸戦(21日)は疲れが抜けきらない中ながら、チームの成長と選手たちの強い気持ちを感じさせる勝利。J1昇格プレーオフ進出の可能性も残り、終盤戦はいっそう熱を帯びそうだ。
これほど全員の意識がゴールに向いた試合はなかった。放ったシュートは今季最多の20本。実を結んだ2得点をアシストしたのが、12試合ぶりに先発出場した大橋だ。
後半2分は前線へ走り出した船山に素早くロングパス。29分にはボールを左右に持ち替えて相手DFのタイミングをずらしながら、ライン裏へ飛び出した塩沢に浮き球のパス。そのセンスは「天才的」と評されるが、「何度も練習した形が実った」と、影の努力を強調する。
ピッチ上で味方FWの動きを観察する集中力も高い。
「身体能力が高く、ボールを通せば必ず決めてくれるのが貴之(船山)」。「僕の状況に合わせて受け方を変えながら、体を張ってくれるのがシオ(塩沢)」。対照的な2人の特徴を理解し、それぞれに合ったボールを絶妙な位置に出す。
「大橋さんのパスはすごい。時が止まった。あまりにイメージ通り決まり、びっくりした」。塩沢は勝ち越しゴールの瞬間をそう振り返る。
「得点よりもアシストの方がうれしい」。大橋の言葉には、パサーとしての自負がのぞく。反町監督も「持てる力をよく発揮した」と、チームを勝利に導く働きを評価した。

「後半戦に入ってから、非常に良い形で進んでいる」という反町監督の言葉通り、22節以降の山雅はわずか2敗。これは21戦無敗でJ2記録を更新している甲府に次ぐ数字だ。
9位に上がった山雅は3試合を残し、プレーオフ進出圏内となる6位までの勝ち点差は5。栃木、千葉とのアウェー2連戦で、挑戦は大詰めを迎える。
(長岩将弘、倉科美春)
U─18監督に岸野靖之氏  (2012年10月25日号より)
山雅は育成組織のU─18(18歳以下)チームの新監督に、J2横浜FC前監督の岸野靖之氏(54)の就任を発表し、23日に松本市のアルウィンで会見を開いた。今季はアドバイザーとして関わり、来年2月から指揮をとる。契約期間は1年。会見要旨と取材に対する答えは次の通り。
─ユースの監督を引き受けた理由は
トップチームの監督でありたいという思いも強く、葛藤したが、山雅首脳陣の「ユースを強くしたい」という熱意に押された。
山雅サポーターの存在も大きい。ユース出身のトップ選手の誕生で、サポーターがさらに増え、アルウィンを2万人の観客で満員にすることにやりがいを感じた。
─どんな選手を育てたいか
全てを出し切る懸命さがあり、仕掛けられる選手。トップの練習に参加させたり、有望な選手について情報交換するなど、反町監督と連携したい。
まだメンバーに会っていないが、専用グラウンドがなく、厳しい練習環境だと聞く。一緒に泣いたり笑ったりしながら、彼らがアルウィンでプレーする日を目指す。

【きしの・やすゆき】1958年、和歌山県出身。三菱重工業、読売クラブでプレーし90年に現役引退。ヴェルディ川崎(現東京V)のサテライト監督、東京Vトップチームコーチなどを経て、07年から当時J2のサガン鳥栖、10年から今年3月まで横浜FCの監督を務めた。
(倉科美春)
ホーム3連戦 初戦は徳島に痛恨ドロー  (2012年10月18日号より)
「今季の運命を左右する」(反町監督)ホーム3連戦の初戦、徳島ヴォルティス戦(14日・松本市のアルウィン)を、山雅は痛恨のドローで終えた。残り5試合で暫定13位の山雅は、J1昇格プレーオフ進出圏内となる6位まで、勝ち点差9。厳しい状況は変わらず、台風17号の影響で延期した36節のFC岐阜戦を、中3日で迎える。
徳島との試合後、反町監督は「どうしても、勝ち点1ではいけない試合だった」と絞り出した。
前半22分、右サイドからのMF楠瀬のFKを、「うまく相手のマークを外せた」というDF飯尾が頭で合わせて先制。その後も山雅の攻勢が続いたものの、追加点を奪えず折り返した。
後半は前線の選手を狙ってサイドからボールを入れ、ゴールを狙う徳島のペースに。9分、徳島DF那須川がドリブルで持ち込み、MFアレックスが同点弾。山雅は攻撃的な選手を投入し、MF喜山、MF鉄戸、FW船山らがゴールを脅かしたが、勝ち越し点を奪うことはできなかった。
個々の能力が高い選手がそろうチームを相手に「最後までよく戦ったと思う」と振り返りながらも、指揮官の表情は険しかった。
「リーグ戦では、まだ1点も決められていない」と悔しさをあらわにするのは、絶妙なFKで先制点をお膳立てした楠瀬だ。
序盤こそフル出場が続いたものの、5節以降は遠ざかり、この日も後半途中でベンチに下がった。「今は試合に出るのに精いっぱいだが、さらに技術を磨き、持ち味であるドリブルで魅せたい」と、ゴールへの渇望を口にする。
先制点の飯尾は「他のチームが試合のない日に、勝ち点を積み上げられるチャンス」と、岐阜戦を見据える。
次戦に出場すれば、J2出場通算300試合を達成。2001年、当時J2だったベガルタ仙台に所属し、昇格を経験したベテランは「J2参入1年目で昇格を目指して戦えるのは、チームとしても大事なこと」と力を込めた。
地の利を生かし、昇格の可能性をどこまでたぐり寄せられるか。岐阜戦は18日午後7時、アルウィンでキックオフだ。
(長岩将弘・倉科美春)
名称一般公募の「yamagaナイスシュー」発売  (2012年10月18日号より)
セブン−イレブン・ジャパン(本社・東京)は16日、安曇野産牛乳を使ったシュークリーム「yamagaナイスシュー」(税別120円)を、県内186店舗で発売した。山雅にちなんだ名称を一般から公募し、松本市寿台の会社員、柴田由紀さん(26)のアイデアを採用した。
ミルクホイップとカスタードの2種類のクリーム入り。安曇野地区の6軒の農家で生産する、こくと爽やかな後味が特徴の牛乳を、両方のクリームに使っている。
柴田さんは会社の同僚から聞き、名称の公募を知った。「シュークリーム」と「シュート」をかけた名前にしようと発想したという。
採用者として14日の徳島戦に招待された柴田さんは、同僚3人と試合を観戦し、ピッチに出る選手たちとハイタッチをしたり、選手と記念撮影をしたり。
柴田さんらはシュークリームの試食もし、「ミルク感があっておいしい」と笑顔。「さまざまな面で地域を巻き込んだ盛り上がりを感じる。J1へ、さらに上を目指して頑張ってほしい」と、山雅にエールを送った。
セブン−イレブン・ジャパン松本地区事務所電話35・9491
U―18 10月末からのJユースカップに初出場  (2012年10月11日号より)
山雅の選手育成組織「ユースアカデミー」には、Jリーガーを目指すユース(高校生年代)のU―18(18歳以下)チームがある。メンバーの中には県外からやって来て、下宿をしながら練習に励む選手もいる。10月末に始まる、Jリーグ下部チームの日本一を決める「Jユースカップ」に初出場する。
同大会にはJユースの40チームが出場。4チームずつ10組で予選リーグをし、各組上位2チームに、地区予選を勝ち抜いたJユース以外の4クラブチームを加えた計24チームで決勝トーナメントをする。
山雅U―18は予選で28日に京都サンガ、11月3日にヴァンフォーレ甲府(ともにアルウィン)、11日には昨年の4強、清水エスパルス(清水ナショナルトレーニングセンター=静岡市)と対戦する。
高橋耕司監督(49)は「プロを目指す同年代の選手と戦っていかなければ、プロにはなれない。1年生には非常に良い経験。相手に食らい付き、勝利したい」と話す。
【注目の1年生】
これまで県内ではプロ選手を目指す中学生の多くが高校サッカー部に進んだが、山雅U―18がJの下部組織になったことで今年は入団希望者が増えた。現在30人が所属。このうち20人が今季入団した1年生で、すでにチームの主力を担う。
山雅のU―15(中学生)チーム出身者が最も多いが、県外からも3人が入団。いずれも松商学園高に通いながら、アパートで暮らす。埼玉県出身の篠原貫太君(15)は、中学生の時に練習に参加したのがきっかけで入団を決めた。「皆が受け入れてくれてすぐに溶け込めた。ここで夢をかなえたい」と、張り切る。
【人を育てる】
山雅U―18は、長野パルセイロのトップチームや中学生チームを7年間指導した臼井弘貴さん(32)を今季から専任コーチに迎え、よりきめ細やかに指導できる体制にした。
練習は火―金曜の午後7―9時。土・日曜は社会人チームと練習したり、高校チームとのリーグ戦や大会に臨んだりしている。求めるのはハードワークできる体力。時には20キロマラソンを行うなど厳しい練習を重ねる。
だが、全ての選手がプロになれるわけではない。「山雅の指導者やスタッフになり、長野のサッカーの発展に貢献する人材を育てるのもわれわれの役目」と臼井さんは話す。
また、選手は一昨年からホーム試合の運営を手伝う。入場ゲートでチラシを配ったり、試合終了後にスポンサーの看板を片付けたり。たくさんの人に支えられ、試合が成り立っていることを学ぶためだ。
高校1年時から所属する細川大樹君(18、都市大塩尻高3年)は「トップがJに上がったことは、僕らにとってもすごくうれしく、刺激にもなった。1年生と競い合って向上し、強くなりたい」と決意を話す。
(倉科美春)
アンバサダーと2選手が相澤病院の祭りへ  (2012年10月11日号より)
松本山雅FCの柿本倫明アンバサダーと、北村隆二、片山真人両選手は10月7日、松本市の相澤病院ふれあい祭りに招かれた。トークショーやサッカークリニックで訪れた人たちと楽しいひとときを過ごした。
トークショーでは、好きな食べ物や本の話をしたり、片山選手が特技のけん玉を披露したり。司会者の「サッカーとは」の問いに、「楽しむもの。夢」と北村選手。片山選手は「24年サッカーしかしていないので、唯一無二のもの」と答えた。
サッカークリニックでは、参加した15人の小学生に「ボールの中心を見て」「真っすぐ上に上げて」などと声をかけてリフティングの楽しさを伝えた。
山雅の3人は、参加者の中から一人ずつを選び、Tシャツやボールをプレゼント。片山選手に「回数と左右のバランスなどが1番良かった」と選ばれた堀内陽斗君(8、上田市)は「クラブチームでサッカーをしている。選ばれてうれしい」と話した。
ほかにもガンズ君とじゃんけん大会などが行われた。
引退後の進路探る 選手会が話を聞く会  (2012年10月4日号より)
山雅の選手会はこのほど、J1浦和レッズ元選手でNHK名古屋放送局に勤務する中川直樹さん(28)を招き、選手引退後の進路選択について話を聞いた。日本人選手約30人が参加した。
中川さんは浦和レッズユースからプロになり、同チームで2年間プレーしたが20歳の時戦力外通告を受けた。他のプロチームから誘いがなかったため進学を決意。偏差値30から勉強を始め早稲田大に合格した。現在はディレクターとして番組制作に携わっている―などと歩んだ道を話し、「新聞を読んだり、人に会ったりして、自分が何に興味があるのかを探るのが指針になる」とアドバイス。
片山真人選手は「引退後の生き方については誰もが考えること。サッカーとは違う道に進んだ人の話は知る機会が少ないので参考になる」と話した。
企画したJリーグキャリアサポートセンターの八田茂さん(55)によると、昨季Jリーグの所属チームから契約を解除された選手は約160人。アマチュアチームへの移籍も含め、約110人が選手を続行し、それ以外はコーチや指導者になったり、就職や進学に切り替えたりしているという。
岐阜戦は10月18日に代替試合  (2012年10月4日号より)
松本山雅は10月2日、台風17号の影響で中止となったJ2第36節の山雅−FC岐阜戦(9月30日)の代替試合を、18日午後7時からアルウィンで行うと発表した。
9月30日分のチケットは代替試合入場時にそのまま利用でき、代替試合のチケットは4日午前10時から各所で取り扱う。当日券は午後4時から販売する。
食の戦いも白熱 アルウィンで2つのコンテスト  (2012年10月4日号より)
残り7試合となったリーグ戦同様、アルウィンでは食の戦いも白熱しそうだ。10月14日の徳島戦では、地元菓子店が考えたデザートの最優秀を選ぶ「スイーツコンテスト」、21日の水戸戦ではスタ飯のナンバーワンを決める「F(フーディアム)―1グランプリ」を行う。いずれも観客の投票で1位を決めるイベント。山雅は「食の魅力でアルウィンに足を運ぶきっかけに」と期待する。
コンテストは、「スイーツフェスタ2012」と銘打ち、松本信用金庫(本店・松本市丸の内1)が地域活性化を狙い、山雅、セブン−イレブン・ジャパン(本社・東京)と共同で企画した。
同信金と取引がある菓子店から山雅にちなんだデザートを募集。1次審査で選ばれた5店の品を徳島戦で販売し、来場者の投票で「最優秀スイーツ」1品を決める。最優秀賞を獲得した店舗は21日、11月11日のホーム戦でそれを販売できるほか、来年1月11日まで自店でも販売できる。
1次審査は2日、同信金本店で行い、山雅スタッフ5人が21店・40品の中から選んだ。
同信金業務部の山田智之・業務推進課長(36)は「予想以上の出品数。来年度以降も続けたい」と話した。
1次審査を通過した5店は次の通り。
▽ミルティーユ(松本市梓川)▽プリン専門店春夏秋冬(同市双葉)▽アトリエ・ド・ヒカリヤ(同市城西)▽菓子工房ミユキドウ(同市中央)▽小林製菓(安曇野市豊科)

F―1はアルウィンに出店する飲食店24店舗が1、2品ずつ自薦した中から1位を決める。候補のメニューは14日までにクラブのホームページで公開する予定。また、サービスや接客態度の向上につなげるため、店舗の1位も決める。共に11月11日の最終戦で結果を発表する。
山雅は「スタ飯が日本一おいしいスタジアム」を目指しており、アルウィンの名物が生まれるヒントになればと企画した。
投票日までのホーム戦は3試合。フーディアム担当の内田佑介さん(30)は「この機会に気になるメニューを食べ、これはと思う物に投票してほしい」と呼び掛ける。
(長岩将弘、倉科美春)
鳥取を上回った部分は─日本海新聞記者に聞く  (2012年9月27日号より)
J2初年で中位をキープし続ける山雅。かたや1年先輩の鳥取は、残り試合の成績によってはJ残留が危ぶまれる。山雅はどのような部分で彼らを上回っているのか。
鳥取を取材して5年目の日本海新聞(鳥取市)輔野沙織記者に、対戦を通じての山雅の印象を聞いた。

松本は今ある戦力を現実的にとらえ、できることを最大限にやっている。選手に躍動感があり、「ボールがここに出る」と信じて走っている。後半戦は14戦して2敗と、昨季の鳥取と違い「本当にJ1年目?」と思わせるしぶとさがある。
選手が監督の言葉を素直に受け止め、「自分たちは下手。これしかできない」と、必死にやっているのだろう。出足が一歩早いから、ボールはことごとく松本の選手の前に転がり、鳥取のクロスやシュートは全てはね返された。両チームともハードワークが身上だが、出足の違いが点差に表れた。
アルウィンの雰囲気は素晴らしい。サポーターが跳びはねるとスタンドが揺れ、タオルマフラーを振り回せば空気が動く。あのゴール裏の圧力はすごい。選手は山雅のために戦う気持ちになるはずだ。
鳥取のゴール裏はJ入り後、劇場的な楽しさがなくなり、選手とサポーターの距離が遠くなった。その差も成績の上下に反映しているのだろう。
吉澤監督率いる鳥取に7─1の大勝  (2012年9月27日号より)
J2最多タイとなる山雅の7得点に、サポーターのタオルマフラーが回り続けた第35節のガイナーレ鳥取戦(23日・松本市のアルウィン)。今季、1試合3得点が最高だった山雅が、この日は前半だけでも4ゴールの猛攻で相手を粉砕した。くしくも鳥取の指揮官は、昨季途中に山雅を解任された吉澤英生監督。JFL降格が現実味を帯びるような古巣相手の大敗に、「鳥取をJに残すよう、あと7試合に全力を尽くす」と、悲壮感を漂わせた。
鳥取は2010年、JFLに昇格した山雅に開幕戦で3−0と強烈な洗礼を浴びせ、同年のリーグを独走で制してJ2入りしたが、1年目の昨季は20チーム中19位。断トツの失点数の今季も、今節を終えて21位と低迷し、最下位の町田に勝ち点1差に迫られた。
鳥取は前々節は山形に競り勝ち、前節は首位甲府と引き分け。「状態は上向き」と山雅も警戒していたが、ロングボールを主体に攻めると前線でボールが奪えず、両サイドの守備も緩慢で早い時間帯に先制を許すと、気持ちの糸が切れたように失点を重ねた。
前回の対戦(20節=6月17日)は山雅が1−0で辛勝した。吉澤監督は「やられ方は(今回も)同じ。ボールを奪われ、素早く縦に入れられた。松本のほうが、やるべきサッカーをしている」。
在籍10季目の「ミスター・ガイナーレ」ことMF実信は「松本はやろうとしていることが明確。JFLで対戦した時と比べものにならないほどいいチームになり、われわれが追い付いていない」と、潔かった。
山雅の反町康治監督は「相手が先制していれば(7−1は)逆の結果でもおかしくなかった。攻守ともルーズなところが見え、そこを改めなければやられる」と、渋い表情。
今季、山雅の連勝は一度だけ(8−10節)。Jの厳しさを知り抜く指揮官は、慢心を招きかねない大勝にあえて注文をつけ、鳥取の大敗を「明日はわが身」と強調し、次節(30日)も下位の岐阜と対戦するチームを引き締めた。山雅は浮かれることなく、次の戦いに臨めるか。
(山岡史明、長岩将弘)
子どもたちが見たJ舞台裏・アルウィン自由研究作品紹介  (2012年9月20日号より)
山雅は8月、「アルウィン自由研究」と題し、小学5、6年生を対象にしたホーム競技場アルウィンの見学会を催した。
ホームページから応募した19人が参加。元選手で現在はクラブの広報を務める小澤修一さん(32)を案内役に、通常は入れない試合前の選手ロッカールームやピッチなどを回って写真を撮ったり、小澤さんや競技場を維持・管理するスタッフの仕事について説明を受けたりした。
普通の見学会と違うのは、参加者に「宿題」が出たこと。それぞれが興味や関心を持った点を写真や文章で説明し、夏休みのもう一つの自由研究としてまとめた。興奮のスタジアムの舞台裏をのぞいた、子どもたちの力作3点を紹介する。(抜粋、ほぼ原文のまま)

▽松本山雅新聞=高岡彩音さん(豊科東6、安曇野市豊科高家)
【広報の仕事は?】 チームから外部の人に対して情報を発信する仕事で、試合を見に来てもらえるように呼びかけたり、マッチデープログラムを作成しているとのこと。
小澤さんは選手の頃から山雅を知ってもらおうと、ブログで選手の気持ちなどを外部に発信し、「広報の仕事が合っている」と自分でもおっしゃっていました。
【ロッカールーム】 ここには今日ベンチ入りする選手のユニホームがかかっています。でも何かちょっと変です。
船山選手のユニホームはしわもなくてきれいなのに、飯田選手や喜山選手、楠瀬選手のユニホームはしわだらけ。みんな自分で洗濯しているのでしょうか。そうだとしたら、早くいい奥さんを見つけてほしいですね。

▽アルウィンのひみつ=小松慎太郎君(鎌田5、松本市井川城2)
【貴賓室】 たとえばエプソンの社長とか、日本代表のかんとくなどが来たときにすわる。中で食事もできる。
【ボール】 ボールは5号球、そして約20個。試合のボールは新しいものを使っている。Jリーグのマークが入っている。
【ピッチ】 アルウィンの芝は3種類ある。ケンタッキーブルーグラス、トールフェスク、ベレニアルライグラス。長さは25−30ミリ。淡水をやる。
【感想】
・ユニホームが2、3まいもあってびっくりした。
・エスコートキッズのときは、IDのうら(注=スタジアム内の立ち入れる場所を記載)がほとんど「×」だったけど、(今回は)全部「○」だから、すごかった。

▽松本山雅 アルウィン&ガンズくん概要=宮崎彩穂さん(穂高西6、安曇野市穂高)
【芝の管理】 アルウィンは130×90メートルのフィールドの中の120×80メートルが天然芝です。その芝をトイボックスという会社が管理しています。
芝かりは気候や状況によって回数は変わりますが、年間100回ほど行われています。毎日ピッチにおりて状況を見て、25−30ミリに刈りそろえます。
また、水やりも芝生の状況を見て行われます。その時、「エアレーション」といって、芝に穴を開けて空気や水が通りやすくなるようにします。
【広報とは】 山雅について、外部の人に情報を発信する仕事。トップチームなどの練習にも行く。試合中は応援。ずっと仕事で休みがない。
マスコミやメディアの人からの取材やCM出演のお願いも、広報の人が相手と連絡し合って決めている。
松本山雅はいろいろな人の協力があって活動している。
天皇杯は初戦完敗 監督「退席覚悟」抗議も  (2012年9月13日号より)
2度のJ1撃破など山雅の名前を全国に知らしめ、格別な思いを持つファン・サポーターも多い天皇杯。J入り後初めての大会となった今回は、初戦の2回戦(8日・松本市のアルウィン)で、前回準優勝・同じJ2の京都に完敗した。6日前のリーグ戦から、けが人など先発5人を入れ替え、交代出場を含めて夏の移籍期間に獲得した新戦力5人をピッチに送ったが、序盤の2失点を覆せなかった。
1点を追う後半35分には、ピッチ上で治療を始めた京都DF黄選手に、外へ出るよう明確に指示しなかった主審のミスに端を発し、反町監督が「退席処分を覚悟で」ピッチ内に入り、激しく抗議する場面も。
再開前に同選手がピッチ内にいたため、主審の許可を得ずに戻った「無許可入」か、治療時に外に出ず試合の進行を遅らせたかで、いずれも警告に該当する−というのが山雅ベンチの主張。
が、指摘を受けた主審は、同選手をいったん外に出してから試合を再開。「(ピッチ内にいたのは)プレー中ではなかった」と不問にした。警告なら2度目で同選手は退場、試合の行方を左右しかねなかっただけに、山雅にとって納得のいかない判定になった。
(山岡史明)
横浜FC戦で場内放送担当 松本出身小松さん  (2012年9月13日号より)
J2第34節(17日)の横浜FC戦(横浜市・ニッパツ三ツ沢球技場)は、山雅の今月唯一のアウェー試合。その横浜FCのホーム戦で今季、場内放送を担当しているのが松本市神林出身で法政大3年の小松千絵さん(22)だ。
試合前の選手紹介で、アウェーチームの選手名を読み上げる小松さんは「呼応してくれるサポーターとうまく呼吸を合わせ、山雅を鼓舞したい」と、故郷のチームの「襲来」を心待ちにしている。
アナウンサー志望の小松さんは、携帯電話向け情報配信サイトの学生キャスターなどを務める傍ら、アナウンス学校の先輩の紹介で横浜FCのアナウンサーに。
実家がアルウィンに近く、家族全員が山雅ファン。「サポーターが多く、人情味あふれる熱いチーム」と、自身も帰省した時は「100%緑に染まる」。3日前の町田戦をアルウィンで観戦する予定といい、「両チームとサポーターの熱さを比べてみたい」と話す。
唯一の機会 チームバモスも観戦楽しむ  (2012年9月13日号より)
アルウィンでの天皇杯を運営するのは県サッカー協会。Jリーグの山雅のホーム試合でクラブに協力し、会場運営を担うボランティア「チームバモス」にとって、天皇杯はアルウィンで山雅の試合を見られる、ほぼ唯一の機会だ。この日はスタンドから声援を送ったメンバーも多かった。
バモス3季目の岩垂朋昭さん(51、松本市村井)は最近まで、入場口の責任者として観客の誘導などを担当。観戦したり、応援したりできるのは、家族と行くアウェー試合だけだった。「試合はもちろん見たいが、裏方がいないと成り立たない。山雅の役に立っているのがうれしい」と、メンバーの気持ちを代弁する。
FCコリアと練習試合 選手の刺激に  (2012年9月13日号より)
今季の山雅は公式戦の翌日に、控え選手のやる気や試合勘を維持するための練習試合を行っている。9日の相手は社会人関東リーグ1部のFCコリア(東京)。プロアマや立場の違いはあるが、「サッカーで人々を元気に」と、目的が共通する相手と汗を流した。
FCコリアは在日朝鮮・韓国人など朝鮮民族だけでつくるチーム。運営NPO法人の李清敬代表(53)が、山雅の柴田峡コーチ(46)と学友だった縁で松本遠征に応じた。
チームは前日、長野朝鮮初中級学校(松本市島内)を訪れてサッカー教室を開き、生徒らと焼き肉で交流。練習試合には、チームからプレゼントされたTシャツを着た保護者らが応援に駆け付けた。
選手兼任の黄永宗監督(32)は「全国の同胞に、夢と希望と感動を与えるチームになりたい」。柴田コーチは「日朝・日韓関係に問題はあるが、スポーツはその垣根を乗り越える」。異色の相手との対戦は選手の刺激にもなったようだ。
故郷への思い 力に 渡辺選手が被災家族らを招待  (2012年9月6日号より)
「縁あって松本に来た者同士。何かできないかと、ずっと思っていた」|。福島県いわき市出身の山雅DF渡辺匠選手(30)は、2日夜にアルウィンで行ったザスパ草津戦に、福島第1原発事故の影響で同県から松本市に避難している5家族ら20人余を招待した。この日の試合で出番はなかったが、終了後に同郷の人たちと交流。「避難者のためにも、もっと頑張りたい」と、決意を新たにした。
昨年3月の東日本大震災発生直後は、地元でフットサル場を経営する兄慎吾さん(36)に「お前が帰っても、できることは限られる。サッカーに集中しろ」と助言され、救援の行動を封じた渡辺選手。
山雅がJリーグ入りを決めた後の昨オフ、帰郷して子ども対象のサッカー教室を開いたほか、自分の目で津波や地震の被害を確認しようと、実家があるいわき市小名浜から海沿いに車を走らせた。が、変わり果てた光景に「(20キロほど北上した同市)四倉あたりで耐えられなくなり、引き返した」という。
中学卒業後にプロになる夢を追って故郷を離れ、川崎、山形、熊本と渡り歩いて昨季から山雅でプレーするベテランは「それぞれの土地のよさを知ったことで、故郷の素晴らしさを再認識した」。
今季もやり切れない思いを抱えてプレーする中で、具体的な支援の方法を探り続けていた。今後はチームメートにも、避難者との交流や支援を呼び掛けるつもりだ。
招待された藤田邦明さん(44)、香さん(42)、真歩ちゃん(6)一家は、渡辺選手の実家近くに住んでいた。母子は昨年8月に自主避難し、仕事があった藤田さんは今年6月に合流した。
渡辺選手と話し、同じ中学の後輩と知った藤田さんは「同郷の選手が松本にいるのはうれしい。(試合は)負けて残念だが、観戦して勇気をもらった」。自身は失業中で職探しに奔走、母子は外出の機会が少ないというが、「楽しかった。また来たい」と喜んだ。
招待は、避難者を支援している同市の主婦グループ「welcome(ウエルカム)松本」(松崎明美代表)の参加者に、渡辺選手の知人がいたことから実現。同選手の申し出を受け、クラブが協力した。
(山岡史明)
32節草津戦 8試合ぶりの黒星  (2012年9月6日号より)
前節を終えて13位の山雅は2日夜の第32節、16位の草津戦で8試合ぶりの黒星。各チームとの対戦が2巡目に入った7月以降、4勝5分け1敗と夏場の健闘が光ったが、この日は攻守ともにいいところがなかった。
MF鉄戸が右足を傷め、藤川に交代した直後の後半12分。自陣左で藤川、DF多々良とも相手に寄せずに中央へのクロスを許し、ミドルシュートで失点。
同じサイドで3分後、今度は2人がかりでボールを奪いに行き、FKを与えて2点目を失った。
前節の福岡戦に続く2失点。共通する問題について反町監督は「守備陣の反応が遅く、ボールを見てしまっている。チャレンジしていない」と指摘。
相手にマークをかわされ、2失点目のヘディングシュートを打たれた多々良は「自分の責任。力不足」と肩を落とし、「ボールを持たされ、相手守備ははね返すだけ。(攻守の切り替えが速い)自分たちの持ち味を消された」と嘆いた。
前節は今季初めて欠場し、2試合ぶりに復帰したDF飯尾は「もっと勇気を持ってボールを前に運んだり、体を張って防ぐべきだった。そういう部分が勝敗を分けると、もう一度全員が自覚しなければ」と話した。
スタ飯に松本の味 山雅観戦の楽しみ 24企業が工夫のメニュー  (2012年8月30日号より)
アルウィンで試合を観戦する楽しみとして欠かせないのが、スタジアムグルメ「スタ飯」だ。今季は県内の24企業が出店。ここでしか食べられないメニューを開発したり、地元の食材でアウェー客に松本の味をアピールしたりと工夫を凝らす。店主たちは「サッカーに興味のない人にも楽しめる場所にし、多くの人に足を運んでほしい」と、食で山雅を盛り上げる。山雅は今季からフードコートを「ヤマガフーディアム」と名付け、3つのゲート付近とメーンスタンド側、バックスタンド側に配置。店数は毎回20店舗で、16店舗が固定で出店し、残りの8店舗が1試合ごとに4店舗ずつ入れ替わる。
19日の熊本戦で、池田町の直売所「ニューウェイあぐりたかやま」は、ドリンクのおまけに熊本県の名産、馬肉の薫製やドライフルーツのミカンを渡した。「アウェーを食べよう」と毎回、対戦地域の特産品をサービスする。「利益の追求だけではなく、自分たちも山雅を盛り上げる一員として、楽しんでもらえるよう工夫する」と、高山健一代表(44)。
松本市大手4のレストラン「バーデン・バーデン」はソーセージなどを提供。「食べた料理がおいしければ、次は市内に足を運んでくれるかもしれない。松本の味を判断される場でもあるので、手を抜かない」(池田浩代表)と、店と同じ品質の物を出すことにこだわる。
(倉科美春)
29節熊本戦 お疲れドローも無失点  (2012年8月23日号より)
J2後半戦(22節以降)の7試合で、上位の京都、大分と並ぶ首位タイの12得点(1試合当たり1・7ゴール)を挙げている山雅。前半戦(同0・6ゴール)の決定力不足を拭い去ったかに見えたが、19日夜に松本市のアルウィンで行った第29節の熊本戦は8試合ぶりの無得点。暑さの中での練習の疲れからか、選手の足は重かった。
しかし、守備も4試合ぶりの無失点と踏ん張り、結果は引き分け。GK白井は今季初先発、9カ月ぶりのホームでも落ち着いたプレーを見せ、2試合の出場停止が解けたDF飯田は、左腕にキャプテンマークを巻いて戦列に復帰。ゴールを守り切った。

「『ノザ(野澤)さんがいないと駄目だな』と、チームメートにもサポーターにも思われたくない」
前節の富山戦、序盤に負傷退場したベテラン野澤に代わって出場し、この日も無失点で切り抜けた白井が言った。
開幕からベンチ入りを続けてきた第2GKは「位置取りや周囲への声掛けなど、ノザさんの良いところを吸収していたつもり。『代わりにやってやろう』と思うだけで、不安はない」と、言い切る。
「キックの精度は自慢できない。全体的にレベルアップを」(反町監督)と指揮官の注文も付く。思いがけずプロデビューした大卒2年目は「他選手のけがで出場機会が回ってきたのを『ラッキー』とは思わない。が、どう生かすかは自分次第」と、力を込めた。

「前半は完全に浮き足立った。『いいところを見せよう』としたのは、間違いなく(キャプテンマークを巻いた)左腕のせい」と、苦笑いしたのは飯田。
監督の指名で初のゲーム主将を務め、「特に意識しない」と言いながらも、その重みは格別だったようだ。
出場停止の間は若いDF伊藤が代役を務めたが、「不動の3バック」の一角を明け渡さずに復帰。「(伊藤)竜司のためにも勝たなければならなかった…」と、結果には満足していない。
「キャプテンマークを巻くと自覚が生まれる。多くの選手が経験するのはいいこと」とDF飯尾。次戦以降、ゲーム主将をどうするかは「検討する」(反町監督)という。
(山岡史明・倉科美春)
第2登録期間終了 6人獲得4人を放出  (2012年8月23日号より)
今季Jリーグの第2登録期間(移籍可能期間、7月20日―8月17日)が終了した。山雅はこの間にMF橘章斗(23、J1清水)、DF一柳夢吾(27、J2岡山)、DF藤川祐司(25、J2大分)、GK三浦雄也(23、J1柏)、FWアリソンリカルド(23、アダックス=ブラジル)を期限付き(レンタル)移籍で、MFチアゴシルバ(29、セントラル=ブラジル)を完全移籍で、それぞれ獲得した。
一方、MF久富賢(23)をJFL藤枝MYFC(静岡)にレンタルするなど4人を放出。特別指定のFW宮下を含め、現在の選手数は35人。
GK三浦は移籍直後の練習で負傷し、今季出場は絶望的。GKはけがなどの理由があれば、9月14日まで追加登録できる。
創造学園高FW宮下 特別指定選手に  (2012年8月23日号より)
山雅はこのほど、創造学園高3年のFW宮下周歩(17)を、大学や高校サッカー部などに所属しながらJリーグの試合に出場できる「特別指定選手」として日本サッカー協会に申請、承認された。山雅初の特別指定選手。今夏の全国高校総体(インターハイ)2試合で4得点と活躍した地元校のエースの、Jデビューに期待が集まる。
Jリーグでは今季これまでに22人が特別指定選手に。このうち高校生は宮下を含めて2人だけ。
宮下は中川村出身。創造高では1年秋から主力で、4月の山雅との練習試合で首脳陣の目に留まり、夏休み中などに山雅の練習に参加していた。反町監督は「体の強さや判断の速さなど、サッカーのフィーリングがいい」と評価。「プレッシャーが強いプロでやれば、より成長できる」と期待する。
背番号は41。宮下は「目標のプロ入りに近づくチャンス。試合に出てアピールしたい」と意気込み、同時に「山雅でプレーすることで運動量が増え、ボール扱いやドリブルもうまくなると思う。注目されるので、重圧をはね返す精神力も身に付けたい」と話す。
山雅は「地元選手を育てるのが特別指定の意義。県内の高校生トップを毎年1人ずつくらい指定したい」(加藤善之ゼネラルマネジャー)という。
インタビュー地域と共に―山雅力 松本山雅FCゼネラルマネジャー加藤善之さん  (2012年8月16日号より)
山雅には戦う「チーム」と、それを運営する「クラブ」の2つの顔がある。強いチームづくりには、地域のヒト・モノ・カネに支えられたクラブ経営が欠かせない。現場のトップとしてその両方を取り仕切る加藤善之ゼネラルマネジャー(GM、48)に、「愛されるチーム・クラブ」づくりのために何をするか聞いた。
−山雅のJ入りで地域との関係は変わったか
2004年にJを目指して以来、関係は変わらない。が、地域に潜んでいた熱が、年を追うごとに目に見えるようになってきた。Jを目指して必死に戦ってきたことが、評価されたとも言える。
私が来た3年前は、それほど目に見えなかったが、市民に喜んでもらえる活動をし、アルウィンを劇場化することで、その熱を引き出した。今後、さらなる熱をどう掘り起こしていくかが課題。
地域や住民、自治体とタイアップし、埋もれている熱意を見えるようにし、まちの財産にしていくことが重要だ。
−そのために何をするか
選手が町会イベントに参加したり、幼稚園や福祉施設を巡回するなど、市民とより密に接して身近な存在になりたい。子どもたちを含めて人々の手本にもなりたい。選手が「愛される人間」になればサポーターが増える。
|専用練習場の整備を松本市に要望する理由は
山雅のグラウンドは松本地域全体の「公民館」になり得る。そこに人々が集い、2次的なコミュニティーが生まれる。サッカーに関心がない人を含め、人々を結び付ける「接点」を増やしていくこと。それが山雅の生命線。地域スポーツ文化の発展のため、さまざまな人が絡まり合える立地を望みたい。
−山雅に対する市民の求めは。それにどう応えるか
ニーズ(必要性)はたとえば「サッカーが見たい」、ウォンツ(欲求)は「勝つ試合が見たい」、ディマンズ(需要)は「喜びを感じたい」。クラブはこの3つを提供する。試合に勝つことも大事だが、それ以上に地域の人々が誇りを持てるクラブづくり、喜びや感動に満ちたスタジアムづくりに力を入れる。

【かとう・よしゆき】東京都出身。暁星高−日大。現役時は読売クラブ、Jリーグのヴェルディ川崎などでプレー。引退後は東京ヴェルディのチーム編成部長や強化部長を歴任し、09年から山雅GM。昨季はシーズン途中から監督を兼任し、チームをJ2入りさせた。
(山岡史明)
好評サッカークリニック 柿本さんや現役選手が指導 小学生に楽しさ伝える  (2012年8月16日号より)
山雅の地域貢献活動の一つに、小学生対象のサッカークリニック(教室)がある。現役選手や元エースの柿本倫明アンバサダー(大使)が指導を通じて触れ合い、子どもたちがサッカーをより好きになり、プロを目指すきっかけにもなれば―と、今季は5―10月に20回開く計画。地元の山雅への関心や認知度を高める狙いもある。
山雅の選手育成組織「ユースアカデミー」のコーチ陣が参加者の学年などに応じてメニューをつくり、柿本さんやベンチ入りしなかった選手数人が子どもたちと一緒にボールを追う。練習後は選手に質問したりサイン会、写真撮影の時間も。
今季11度目の開催となった11日は、松川村に拠点を置くボニートン・ジュニアと、池田町スポーツ少年団の1|3年生計35人が参加して同村川西運動公園で開いた。柿本さんら4人のコーチが、正しいシュートの仕方を教えたり、一緒にミニゲームをしたりした。
滝澤大樹君(7、会染小2)は「足の甲で打つインステップキックが少しできるようになった」と、うれしそう。柿本さんは「時間が短いため細かい技術を教えるのは難しいが、『サッカーは楽しい』という本質を伝えられるように心掛けている」と話す。
MF今井がJFL秋田へ期限付き移籍、FW木島良はJ2東京Vへ完全移籍  (2012年8月16日号より)
山雅はこのほど、チーム在籍最長6季目のMF今井昌太(28、上松町出身)がJFLブラウブリッツ秋田へ期限付き(レンタル、来年1月末まで)移籍、チーム最年長のFW木島良輔(33)がJ2東京ヴェルディに完全移籍すると発表した。
すでに両選手とも移籍先に合流しており、サポーターへのあいさつの場や見送りの機会は設けられない。
若き「凸凹コンビ」躍動 DF伊藤とMF久富  (2012年8月9日号より)
技術や経験は足りなくても、自分の成長を信じて突き進むのが若さだ。5日夜に松本市のアルウィンで行った愛媛戦。J初スタメンのDF伊藤(22)が最終ラインで体を張れば、後半終盤にピッチに立ったMF久富(21)が劣勢をはね返す同点弾。共に1990年生まれのプロ入り同期、身長差26センチの「凸凹コンビ」が躍動した。「いつでも出番を待っている−」
J初ゴールを決め、控え選手らにもみくちゃにされた久富。歓喜の輪を離れ、遠く自陣で相手キックオフに備える伊藤に駆け寄った。
近づいてきた、自分より一回り小さい身長160センチの背中をたたき、「(同点にしてくれて)ありがとう」と声を掛けた伊藤は「泣きそうだった」。
2人は、3年前に高卒新人で横浜FCに入団。寮の部屋が隣同士、ポジションも同じ右サイドで、常に行動を共にした「親友以上の仲」(伊藤)。横浜で一緒に出場することはできなかったが、今季山雅で再会した。
伊藤のポジションは開幕から不動の3バックが占め、出場1試合は後半終盤の13分間だけ。スピードが武器の久富も、攻守のバランスの良さでレギュラーの玉林や鉄戸を超えられず、出場2戦はいずれもリードした試合の後半ロスタイム。
「『どうしたら試合に出られるかね。毎日の練習をしっかりやるしかないよね』と、2人で励まし合ってきた」(久富)という。
伊藤はユニークな髪形と186センチの長身で、キャラ立ちはチームナンバー1。DF飯田が今季2度目の警告累積で2試合の出場停止になり、チャンスが回ってきた。
パスや位置取りなどでミスも出たが、「カズ(飯尾)さんに『カバーし合えばいい。思い切りやれ』と言われ、ミスを続けないようにした。球際(の競り合い)とかは全然通用したし、経験を積めば問題ない」と、フル出場に自信をつかんだ様子。
久富も、「夏場になり調子を上げてきた。相手の左サイドバックが代わり、トミ(久富)を入れれば優位になる」(反町監督)と、状態と勢いのよさを買った指揮官の起用に応え、「ゴールに鳥肌が立った。目標はスタメン」と、力を込めた。
(山岡史明・倉科美春)
1万人が松田直樹さんをしのぶ  (2012年8月9日号より)
今季6度目の観客1万人超えとなった5日のホームゲーム。昨年8月4日に亡くなった松田直樹さんをしのぶ多くのサポーターやファンが開場前から訪れ、メモリアルフラッグにメッセージを記入したり、生前のプレー写真が貼られたパネルを撮影したり。試合前にはピッチ上の選手も含め、会場全体で黙とうをささげた。
「共にJ1に行こう」「サッカー楽しんでるよ」。入場ゲート付近の特設コーナーに置いたフラッグには、隙間を埋めるように次々とメッセージが書き込まれた。
「ありがとう」と書いた明善小1年の北林奏人君(6、松本市中山台)は9月から、地元のサッカーチームに入る。父親の佳典さん(38)と昨年から観戦し「マツみたいになりたい」とボールを蹴ることに。「大きくなったら山雅で3番を着けたい」と、笑顔で話した。
松田さんの遺志を継ぎ、親友だった元Jリーガー安永聡太郎さんが理事長を務める社団法人「松田直樹メモリアル」はこの日、山雅に自動体外式除細動器(AED)1台を寄贈した。
試合を観戦した松田さんの姉、真紀さん(43)は「悲しみの癒えない日々が続くが、皆さんのおかげで救われている。直樹が残したものは、皆さんの心の中にそれぞれある」と、感謝した。
今も「3」と共に リストバンドに込めた思い  (2012年8月2日号より)
山雅の選手たちが手首に巻く「3」のリストバンド。ある者は試合前にそれを握り、ある者は試合に勝った後に宙にかざし、それぞれの思いを彼に告げる。背番号3を背負った松田直樹が帰らぬ人となった、あの夏からずっと―。
「今日も一緒に戦ってください」。MF鉄戸は試合前、リストバンドをした左手首を握り締める。本来ならこの場にいるはずの彼の、魂だけでもピッチへ連れていく。
昨季、松田が出場した試合の映像を今も見返す。反町監督の下で、マツさんならどうプレーしただろうか。
「テッちゃん、もっと攻撃的な部分を出したほうがいいよ」。生前、そんなアドバイスを受けた。
それを痛感したのは今季、開幕4戦の先発を外れた時だ。スタンドから同じ左ウイングバックを争う楠瀬を見て気付いた。自分は前に仕掛ける意識が足りない─と。
「あの人は普通じゃ分からないところを見ていた。本当にすごい」。Jで通用する選手に育てようとしてくれていたのだと理解した。
「あのころに比べ、僕らも成長した。今こそ一緒にサッカーがしたい。亡くなった時よりも強く感じるんです」

昨季、ゴールを決めるたびにリストバンドを掲げたFW片山。今季まだ得点はないが、チームが勝った時は空に向けてかざし、「ほんまやったら一緒に戦っているはずのマツさん」に報告する。
苦しい時にリストバンドを着けるのはMF玉林。「マツさんと一緒にサッカーができたことは、一生の宝物」。リストバンドをすると、あの人の「気持ちの強さ」を分けてもらえる気がしている。
「余計なことをやろうとするな。ボールを奪うことで一番になれ」。MF小松は試合前にリストバンドを見て、やるべき仕事を確認する。マツさんに教わった自分の原点だ。
「ただ、今はさらに何ができるかが問われている。これから先は自分で成長して見つけていかなきゃ」

今季、開幕から先発を続けるDF多々良の手首に、昨季はしていたリストバンドはない。「毎試合していると、ぼろぼろになりそうで…」
同じポジションの彼に教わったことを大切にし、「あの人が見ていた世界」に近づこうと努力している。リストバンドを着けようが着けまいが、それは変わらない。
「グラウンドにいると、マツさんに見られている気がする。ちゃんとやらないと怒られそう」。今季初めてJでプレーし、彼が見ていた風景が少しずつ見えてきた気がしている。
(倉科美春、山岡史明)
松田直樹さん追悼行事 5日ホーム試合で  (2012年8月2日号より)
山雅は、昨年8月4日に急死した元日本代表・松田直樹さんの1周忌で、5日に松本市のアルウィンで行う愛媛FC戦に合わせて追悼行事を予定している。
▽メモリアルフラッグに来場者がメッセージ記入(午後1時―試合開始の6時まで。4日午後2−4時も記入できる)▽メモリアルブース出展(写真パネル掲示、グッズ販売など)▽元Jリーガー安永聡太郎さん(社団法人「松田直樹メモリアル」代表、松田さんの親友)らによるサッカー教室(参加募集は締め切り済み)▽メモリアル映像上映−など。
「松本山雅劇場」刊行  (2012年8月2日号より)
2006年から山雅を取材しているサッカーライター宇都宮徹壱さんはこのほど、「松本山雅劇場松田直樹がいたシーズン」を刊行した。元日本代表DF松田さんの移籍や急逝、Jリーグ入り決定など、さまざまな出来事があった昨季を軸に、山雅の魅力に迫っている。
宇都宮さんは「松田が山雅にどんな変化をもたらすかに注目し取材を始めたが、一生忘れられないシーズンになった。記録に残す使命があると思った」と執筆。
ゲームリポートや関係者などへのインタビューで「なぜ山雅がこれほど人々を引きつけるのか」を分析。松田さんについては「死後さらに存在感が増している」とし、横浜F・マリノス解雇後に宇都宮さんが行ったインタビューも再録した。
四六判288ページ。1680円。問い合わせはカンゼン電話03・5295・7723
6年目の今井ついにピッチへ 25節岡山戦 3−0で勝利  (2012年7月26日号より)
「ゴー昌太 突き進め お前の力を見せてやれ!」(繰り返し8回)。
通常の4倍、1分半も歌い続けたチャントに、待ちわびたサポーターの思いがあふれた。22日夜の岡山戦。3−0と勝利が確実になった後半42分、MF今井がピッチに立った。「Jリーガーになるために山雅でプレーしてきた」上松町出身、在籍最長6季目の生え抜きが、ついにJ初出場を記録した。
クラブがJ入りを果たした今季、この日までベンチ入りも一度もなく、トレーニングと練習試合に明け暮れた。「守備面で監督が求めるプレーができず、練習試合で点が取れないなど持ち味も出せなかった」
公式戦から遠ざかり、気持ちが切れそうになった時も。が、「切らしたら終わり」と、まだ出場がないDF阿部(在籍5季目)と励まし合ってきたという。
「今井はここ2、3週間の練習でいい動きを見せた。頑張っている選手には『(指導者は)見ているよ』というメッセージを送ることが大切」(反町監督)と、わずか6分余りながら得たチャンス。J初シュートも放ったがゴール右に外れ、「完全に力んだ」と苦笑いした。
北信越リーグ時代の苦闘を知るサポーターは「昌太は、山雅でJ入りを果たせなかった選手たちや、長く応援してきたわれわれの気持ちを背負う存在」(根建勇二さん=47、松本市出川)。その思い入れには「感動と感謝。結果で恩返ししたい」と、繰り返した。
(山岡史明)
どうなる専用練習場 クラブライセンス制度にらみ  (2012年7月26日号より)
Jリーグは来季から、施設や財政面などで一定の条件を満たしたクラブだけがリーグに参加できる「クラブライセンス制度」を導入する。山雅はトップチームと育成組織の専用練習場、クラブハウスがないため必須要件が満たせず、松本市の支援でハードルをクリアしたい考え。市は支援の姿勢を明確にしたが、税金を投じる施設の整備や占有利用には市民の理解が不可欠だ。
山雅運営会社の大月弘士社長らが7月19日、菅谷市長にあらためて支援を要望。市長は「来年度の予算付けを念頭に、7月中に計画を固めたい」と言明した。
山雅が望む練習場は、トップチームは天然芝、ユースなどの育成組織用は人工芝でもよく、各1面以上。トップは今季、人工芝の市営サッカー場で主に練習しているが、市施設に天然芝のサッカー場はなく、新設して山雅に優先的に貸す方向。市は「設置場所によっては、市民の意見を聞く場も設ける」とする。
クラブハウスは山雅専用のため、山雅が建設して市が費用を援助する形になりそうだ。
ライセンスは現在、各クラブの申請に基づきJリーグが審査中。9月末に1回目の決定が出る。山雅は「どこも何らかの問題を抱えており、要件に満たない全てのクラブにライセンスが下りないことは考えられない」(加藤善之ゼネラルマネジャー)と見通すが、施設整備は避けて通れない課題。市民の理解を得る努力が必要だ。
ジュニアユースの柳澤慶吾君がJ選抜海外キャンプへ  (2012年7月26日号より)
山雅ジュニアユース(中学年代)の柳澤慶吾君(13、筑摩野中1年)が、Jリーグが育成年代向けに行う海外キャンプのメンバーに選ばれた。U―13(13歳以下)チームの一員として、7月30日−8月3日にタイで行うキャンプに参加。同国の同年代の選抜チームと対戦する。
Jリーグは今春、1、2部各クラブの育成チームが推薦した約50人を集めてトレーニングキャンプをし、18人を選んだ。
柳澤君は「ドリブル突破が武器」のFW。3歳上の兄の影響で保育園からサッカーを始め、小学生時は筑摩野スポーツ少年団に所属。父親の弦さん(49)と一緒に毎朝6時から練習して体を鍛えた。
「松本出身のJリーガーとして日本代表になるのが夢。同世代の仲間からいろいろ吸収したい」と意気込む。
街中に経済効果を 松本中心市街地の商店主ら模索  (2012年7月19日号より)
「街中に経済効果をもたらす」。山雅に期待される役割の一つだ。対戦相手のサポーターが訪れることによる大幅な売り上げアップなどはまだないというが、松本市の中心市街地の商店主たちは、観戦バスツアーを行ったり、サポーターの歓迎に取り組んだり。以前は関心が薄かった店主も含め、「山雅を活性化のきっかけに」との意識に変わりつつある。
6月のアビスパ福岡戦は、本町と中町の両商店街店主ら55人がバスでアルウィンを訪れ、観戦した。「両商店街が関わる機会はほとんどなく、初めて会う人も多かった。あいさつができるようになった」と中町商店街振興組合の水城利真理事長(54)は喜ぶ。
組合に加盟していない新しいテナントの店主も参加し、古くからの店主たちとのつながりも生まれた。
独自にツアーを企画していた、本町商店街の店主などでつくる本町ルネサンス倶楽部が、本年度から山雅のスポンサーになった同組合に声を掛けた。「アルウィンと中心市街地の温度差をなくしたい」と、発案者で同倶楽部理事の村山謙介さん(34)は話す。
同倶楽部は昨年スポンサーになったが、山雅がJFLだったこともあり、「なぜ自分たちがお金を出して応援するのか」と反対する組合員も多かった。このため、実際に試合を見て盛り上がりを知ろうと昨年8月、希望者を募りツアーを計画。山雅に関心を持つ店主が増えたという。
村山さんは「山雅という共通項により、店主同士、店主とお客さんの交流が進むことで、商店街に来るのが楽しいと感じる人が増え、昔のような活気が戻れば」と願う。

市街地を訪れるサポーターを歓迎しようという動きもある。本町のフタバ眼鏡店の宮重輝夫代表(69)はホーム戦に合わせ、「ウエルカムボード」を作製している。
縦38センチ、横55センチの板の左側に「歓迎○○○(相手チーム名)ご一行様」と書き、右側にはそのチームや所在する都府県のニュースや話題などを書いたウインドーに掲示。目に留めるサポーターがいると、「今日はお手柔らかにお願いします」と声を掛け、会話をしている。「人との出会いは、松本にもう一度足を運んでもらうきっかけになる。一人一人が観光大使」と宮重さんは考えている。
(倉科美春)
初のブラジル人選手 エイジソン契約解除  (2012年7月19日号より)
山雅初のブラジル人選手として今季入団したFWエイジソン(24)が12日、契約を解除された。J2開幕戦を含む8試合に出場して得点ゼロに終わり、戦力外に。今季途中の契約解除は先月末のDF李鍾民(イ・ジョンミン、25)に続き2人目。
―シーズン途中でチームを去る
「日本で結果を残したいので、まだ居たい。が、これで人生が終わったわけではない。またオファーがあれば、喜んで戻って来たい」
―結果が出せなかった理由は
「日本のサッカーに適応するのに時間がかかった。早くに1点取れれば、どんどんいけたかもしれないが、(得点できす)自分で自身にプレッシャーをかけてしまった。自分らしくできなかった。
反町監督から受けた指導や山雅での経験は、今後の自分にとって大きな糧になる」
22日岡山戦で女性ファン層拡大企画  (2012年7月19日号より)
松本山雅は、22日のファジアーノ岡山戦を「レディースデー」とし、シュシュ3種とヘアリボン1種計400個(各800円)を、会場のアルウィンで販売する。松本理容美容専門学校の美容科1年男女5人が午後3時半―6時、購入した希望者に無料でヘアアレンジする。
女性ファン層の拡大を目指して企画した。シュシュは緑、黒、白地に、それぞれハートやガンズくんなどを配したデザイン。ヘアアレンジは学生が考えた4パターンを基本に、髪の長さなどに応じてつくる。
池上侑希さん(18、伊那市)は「技術的に未熟だけれど、かわいく仕上げられるよう頑張ります」。
23節 東京Vを3−2で破る MF喜山「成長できた気がする」  (2012年7月12日号より)
首位の東京Vを破り、歓喜に包まれた8日夜のアルウィン。ホーム7戦ぶりの白星、今季2度目の1試合3ゴールに沸いた山雅には、かつて東京Vでプレーした選手が7人、ユースなど下部組織で育った選手は5人いる。彼らにとっては克(か)たなければならない相手でもあった。
終了の笛を聞き、ピッチに突っ伏して顔を覆ったのはMF喜山。昨季前半は東京Vに所属しながら、主力組の練習にもミーティングにも参加できず、居残りの体力づくりに耐える日々。「必ず皆と肩を並べて戦える実力になろうと言い聞かせ、つらい練習を積んだ。報われたと思った」
小学生から東京Vの育成チームを歩み、06年にトップ昇格。が、2年間で1試合に出ただけで、当時中国リーグの岡山へ移籍。岡山ではエースとしてJFL昇格とJ2入りを果たしたが、4年ぶりに戻った古巣で必要とされず、JFL讃岐を経て今季は山雅へ。
「ヴェルディの下部組織で育った選手は、ヴェルディで活躍するのが子どものころからの夢。そのチームに勝ち、成長できた気がする」と、涙を拭った。
MF須藤も小学生−高校年代まで東京Vの下部育ち。「攻撃的な守備で相手の良さを消す」(反町監督)ため、疲れが見えたFW弦巻と代わり後半途中から出場。4月15日の熊本戦以来となる今季2度目の出番、7カ月ぶりとなるアルウィンのピッチで、戦力復帰をアピールした。
東京Vには育成時代の先輩・後輩が何人かいるのに加え、「ヴェルディのユース(高校年代チーム)からトップに上がれなかったのは、山雅にいる選手では自分だけ」と、思いは複雑。が、1学年下でずっと一緒だった喜山の涙の意味を理解し、その背中を抱いた。
(山岡史明・倉科美春)
選手が中高生に薦める本 5図書館に特設コーナー  (2012年7月12日号より)
松本山雅FCと松本市、塩尻市、山形村、安曇野市は8月26日まで、選手が中高生に薦める本を紹介した特設コーナーを各市村図書館に設けている。
選手8人が協力し、松本市中央、同市空港、塩尻市立、山形村、安曇野市中央の計5館で実施。各館が週替わりで1人ずつ扱い、選手の写真パネルも置いている。
このうち、喜山康平選手は、百田尚樹さんの小説『永遠の0(ゼロ)』を推薦。理由について、「面白く読めて、生きる意味や、風化させてはいけない戦争という事実を考えさせられる」と話す。
『永遠の0』は、主人公の青年がフリーライターの姉の仕事を手伝い、太平洋戦争で特攻機に乗り戦死した祖父の人物像に迫るストーリー。
喜山選手は「特に戦争に詳しいわけでもない普通の青年が、姉との取材を通して学び、思いを深めていく様子には、中高生も感情移入しやすいのでは。謎めいた祖父という人物を解き明かす、推理小説的な一面もあり、飽きずに読めて感動できます」と話す。
J2第22節 今季初 追いつきドロー 湘南と1−1  (2012年7月5日号より)
J2は1日夜、第22節を行った。勝ち点24で16位の松本山雅FCは、神奈川県平塚市のShonanBMWスタジアム平塚で4位の湘南ベルマーレと対戦し、後半ロスタイムに船山のゴールで追い付き、1−1で引き分けた。山雅は勝ち点1を加えたが、順位は1つ落として17位。
山雅は新加入のFW崔守斌(チェ・スビン)が初先発したが、シュート2本はいずれも枠を外れ、前半36分に相手CKから攻撃を続けられて失点。
その後も攻め込まれ、相手に2倍以上のシュートを打たれたが、昨季まで湘南に所属したGK野澤の好守などでしのぐと土壇場で反撃。左CKに後半から出場の塩沢が頭で合わせ、こぼれ球に詰めた船山が相手GKらともつれながら体ごと押し込んだ。
山雅が今季、先制されながら負けなかったのは初めて。次節(8日)は首位の東京ヴェルディと松本市のアルウィンで対戦。試合は午後6時開始のナイター。
インタビュー地域と共に―山雅力  松本市政策部長 寺沢健さん  (2012年7月5日号より)
山雅が地域に根差したJクラブとして存続するには、ホームタウンとする地元自治体の協力が不可欠だ。松本市は山雅に2000万円を出資し、シャトルバス運行に助成金を出すなどしている。支援の窓口である市政策部の寺沢健部長(57)に、行政は「山雅力」をどのように活用しようとしているかを聞いた。
−市がプロサッカークラブの山雅に出資した目的は
山雅から要請もあったが、応援する大勢のサポーターや観客に菅谷市長が感動、サポーター同士が交流する姿に、山雅を通じて人々がつながる可能性を見いだしたから。Jリーグ入りし、山雅を通じて松本を全国にPRするチャンスが訪れた。
−山雅を地域づくりに活用する具体的な施策は
Jがある都市と交流が始まり、松本を知らなかった人たちともつながる。観光誘客や特産品の売り込みで、経済的活力を生みたい。
選手に施設を訪れたりイベントに参加してもらったりし、子どもをはじめ市民に夢や活力を与えてもらう場を増やせないか、市役所の中で検討している。
今季のホーム開幕戦で、大勢のサポーターがアルウィンの雪かきをしたと聞いた。そういう姿勢を持つ人々が、地域社会の絆づくりでも活躍してくれる可能性がある。
−山雅はユースなど育成組織の専用練習場整備、アルウィン周辺の駐車場整備などに市の支援を要望している
求められた支援に公的な意味があるか、山雅が自分たちでどこまでできるかを踏まえた上で、何ができるかを研究している。税金を投じて特定のプロスポーツを支援することについて、市の考えを整理する必要がある。
優良農地をつぶして駐車場にするのは、法規制もあり難しい。市は6月24日の試合から、松本駅とアルウィンを結ぶシャトルバス運行に助成し、便数は倍増した。アウェーの観客に滞在、観光してもらい、中心市街地に活力を及ぼすためにもシャトルバスが一番だ。

【てらさわ・たけし】松本市出身。1981年、同市職員に。市内農業の近代化や「平成の大合併」で旧1町4村との協議などに携わる。財政課長、政策課長を経て11年4月から政策部長。
(山岡史明)
そこが知りたい 試合中サッカー選手が飲むのものは?  (2012年7月3日号より)
サッカーをしている息子が「試合に持っていく水筒の中身は、水かスポーツドリンクだけ」と言う。松本山雅FCの選手がゲーム中に飲んでいるものも同じ?
(松本市・30代・女性)
これからの時期は、熱中症を予防するためにも欠かせない水分補給。長い間サッカーを取材してきたが、選手が口にするボトルの中身は聞いたことがなかった。
?!?
サッカー選手が試合中に飲めるものは決まっている。日本サッカー協会は昨年5月、「競技者が競技時間内に摂取できる飲料は、水のみならず、水以外の飲料(いわゆる“スポーツドリンク”等)であってもよい」という「通達」を、傘下の都道府県協会や連盟に宛てて出した。
それ以前の通達は1988(昭和63)年に出した「競技者が競技時間中に飲むことができる物は水に限られる」。つまり23年ぶりに規則が改定され、水のほかにスポーツドリンクも飲めるようになったのだ。
山雅の試合運営担当スタッフ・長谷川亘さんに尋ねると、改定以降は山雅も水に加え、スポーツドリンクより体液を調整する電解質の濃度が高い経口補水液をピッチ上に置く。補水液のボトルには色付きのテープを巻き、選手が見分けられるようにしている。
「ただし、水しか許可していないスタジアムもある」と長谷川さん。J2の山雅が今季試合する全国の21競技場のうち、6施設はピッチ上で飲めるものを水に限っているという。山雅のホーム競技場アルウィン(松本市)は両方OKだ。
アルウィンの芝生を管理するトイボックスの宮林健治さんは「塩分や糖分が入ったスポーツドリンクがかかると芝が弱るため、禁止する競技場もある。ピッチ上に吐き出さない、捨てない−などルールを守ってくれれば問題ない」とする。
!?!
プロや社会人、大学生では、試合を一時止める「飲水タイム」を設けず、水分補給は個々の判断で行う。観察すると、相手チームのボトルを口にしている選手もいるが、「『お互いさま』という、暗黙の了解」なのだとか。試合の中でうまく水分を補うことも、選手に必要な資質の一つだろう。
「守から攻」へ 前半戦16位6勝6分け9敗  (2012年6月28日号より)
J2は今季全42節のうち半分の21節を終えた。参入初年の松本山雅FCは6勝6分け9敗の勝ち点24で、22チーム中16位。ここまで最高は13位で、10位台半ばで一進一退が続き、一桁順位をうかがうまで至っていない。守備は比較的安定しているが、課題の得点力アップは手詰まり感も。各チームと2度目の対戦となる残り21試合をどう戦うか−。
「昨年の延長だと最下位近くの可能性が高かった」(反町監督)チームは、キャンプや練習で体力を培い、相手を上回る運動量でボールを奪って攻める「守から攻」の戦い方を目指した。
特に開幕前から重視して取り組んだ守備は、21戦で計22失点と全チームの平均(24・36)を下回った。ここまで挙げた6勝すべてが、相手を0点に抑えた完封勝ち。「頑張る選手を使う」(同監督)と、起用したMF小松やFW塩沢らが貢献し、昨季まで守備の意識が薄かった選手の動きも変わった。
一方、攻撃は21戦で13得点(1試合当たり0・62点)と、岐阜に次いで下から2番目。1点でも失った試合は白星がなく(3分け9敗)、相手に先制されると全敗というデータが、数字の厳しさを証明する。
特にFW陣は船山3、弦巻と塩沢が各2、木島徹が1得点にとどまり、エイジソンはまだ無得点。開幕当初に比べゴール前までボールを運ぶ攻めの形はできてきたが、シュートの精度やタイミングが改善されない。
反町監督は「チーム内の競争を激しくするためにも、最後のところで力を発揮できる選手が必要」とし、次の移籍可能期間(7月20日−8月17日)で他クラブからの戦力獲得も模索。
今月、韓国人2選手を加えてチームは34人の大所帯になり、現状も主力と控え組の練習時間をずらしている。控え主体の練習試合も毎週組んでいるが、今後も選手が増えれば、控えのレベルアップとモチベーション維持がいっそうの課題になりそうだ。
(山岡史明)
J2第21節 栃木に0−2 DF飯尾「悔い残る」  (2012年6月28日号より)
ホームのアルウィンでは9節(4月22日)以降、2カ月にわたり白星がない山雅。今季の折り返し点となる24日の21節も、栃木SCに0−2で敗れて9敗目を喫した。守備を統率するDF飯尾は「勝てば上位に食らいつける一戦。なのに、皆が頑張ったとは言えなかった」と、厳しい表情で試合を振り返った。
前線でボールを追うFW塩沢をけがで欠き、布陣が変わった影響か、山雅は攻撃時の推進力がいま一つ。守備も警戒していたセットプレーで2点目を失い、その後の相手の「いなし」をしのぐ運動量もなかった。
「最近は負けても『出し尽くした』試合が多く、すっきりしていた。が、今日は煮え切らなかった。チームも僕自身も『もっとできた』という悔いが残る」と飯尾。
このまま出場を続ければ、J2歴は今季終盤に300試合に達し、その厳しさを誰よりも知る。「強いチームは一つ勝っても次へのモチベーションが保てるが、(山雅は)安心してしまうのが現状」
アルウィンで力を出し切れない理由に、J2初年ながら最多の観客が詰めかける「居心地のよさ」への甘えはないか−。
「山雅はこれだけ多くの人が応援している。こういうチームはJ1年生だとしても、勝ち続けなければ」。もちろん、それが現実的でないことも、飯尾は誰よりもよく知っている。あえて口にするのは、信念が自身を、チームを突き動かすことも知っているからだ。
山形村が山雅に300万円出資  (2012年6月26日号より)
山形村は22日、サッカーJリーグ2部(J2)松本山雅FCの運営会社に300万円の出資を申し込んだ。地元自治体では松本市(2000万円)、塩尻市(500万円)に次ぐ出資で、住民1人当たりでは約340円と両市の4倍以上。「スポーツを通じた人間形成につながる」(清沢実視村長)と判断し、同社の要望に応じた。
村は同社の株(1株5万円)60株を取得。山雅はホームタウンに同村を加えるようJリーグに申請するほか、▽選手や指導者によるサッカー教室▽全国から観戦に訪れる他チームのサポーターへの村特産品のPR・販売や観光誘客−などで、村の青少年育成や経済活性化に協力する。
清沢村長は出資の目的を「これまで関心がなかった村民が山雅の試合を見に行くことなどの呼び水にし、ひいては村内の競技全体の振興につなげたい」と説明。スポーツの教育的な効用への理解や、競技者や団体を支援する意識が、村民の間に広がることを期待した。
運営会社には安曇野市も27日に500万円の出資を申し入れる予定。運営会社の資本金は約1億3000万円になる。
(山岡史明)
インタビュー地域と共に―山雅力  松本山雅FC監督 反町康治さん  (2012年6月21日号より)
ホーム1試合平均9500人を超えるJ2最多の観客動員、全国各地に観戦に出掛け、各地からも松本を訪れるサポーター…。アルウィンに満ちる“山雅力”を、まちの活性化や市民の元気づくりに、どう活用すればいいのだろうか。山雅のために市民ができること、山雅が市民のためにできることは何かを関係者に尋ねる。初回はサッカークラブと地域の関係にも詳しい反町康治監督(48)。

―監督に就いて5カ月。山雅と松本の関係をどう見ていますか市内の至るところにのぼり旗が立ち、ポスターが張ってある。テレビではほとんどの局がトピックを取り上げている。地域における山雅の重要度を実感している。13日の福岡戦は平日のナイターにかかわらず観客は7000人以上。どんな条件でも来てくれる固定客が増えたのがうれしい。熱狂的だけれど、山雅というものを冷静に見てる人が多い。そこが長野県民かな。そういうスタンスって大事ですよ。バブルみたいに一気に盛り上がり、はじけてしまうと後が大変だから。
―街中に経済効果をもたらすアイデアはありますか
試合終了後にサポーターが集まって、録画した試合をもう一度見られるバーや居酒屋があるといい。その店は駅前で告知のチラシを配るとか。サポーターが市内にお金を落としてくれるような仕組みができるといいね。
―山雅が地域にすべきことはなんでしょう
とにかく強くなること。強くなるほど(全国から)注目を浴びるし話題も増える。それから下部組織を強化し、地元出身の選手を増やすこと。そういう選手がいて、初めて地元に根付いたクラブになる。地方ならではの育成システムができるかもしれない。都市部だと土地がないので練習場所は年代によって違う。それを1カ所に集中し、トップチームの隣で子どもたちが練習できるようにする。憧れの存在を身近に感じながら育つような環境をつくることが大切だ。
―そういう意味で、山雅の選手や監督は、「松本のサッカー文化の手本となる存在」と感じます
そう。社会的な影響力が非常に大きい。子どもはまねをするし、プロサッカーを初めて見る人が多い地域において、第一印象は大切。模範となる行動ができなければ応援してくれる人はいなくなる。
だから、選手には厳しい規律を定めている。プレースタイルだけでなく、練習中にガムをかんだり、サンダルで帰ったりするのも許さない。ピッチの内外でプロフェッショナルな振る舞いを見せ続ける。それが、皆に愛されるクラブをつくるために監督としてやるべき仕事だ。

【そりまち・やすはる】埼玉県出身。静岡・清水東高、慶大を経て全日空、Jリーグの横浜フリューゲルス、ベルマーレ平塚(現湘南)でプレー。指導者として新潟、湘南の監督を務め、ともにJ1昇格に導いた。08年北京五輪男子日本代表監督。今季、山雅の監督に就任した。
(倉科美春)
6試合ぶりの白星 鳥取に1−0  (2012年6月21日号より)
J2は17日夜、第20節を行った。勝ち点21で16位の松本山雅FCは、同14で20位のガイナーレ鳥取と鳥取市とりぎんバードスタジアムで対戦し、前半33分にFW船山がゴールを決めて1−0で勝った。山雅は6試合ぶりの白星で今季6勝目。順位は変わらなかった。
山雅は前節に右足を痛めた尹誠悦(ユン・ソンヨル)に代わり、大橋がボランチで今季初先発。得点はカウンターから木島徹が右に長いパスを送り、玉林が中央にクロス。相手守備の前にうまく入った船山が、ワンバウンドしたボールに頭で合わせた。
中3日での3連戦の最後で選手の動きが重い中、山雅は後半途中からエイジソンを投入するなど追加点を狙ったが1点止まり。終盤にパワープレーを仕掛けた相手の攻勢をしのいで逃げ切った。
次節は24日。今季全42節の折り返し点で、各チームの対戦が一回りする。山雅は13位の栃木SCと松本市のアルウィンで対戦。午後6時開始のナイター。
J2第19節 先制、2得点も福岡にドロー  (2012年6月16日号より)
J2は13日夜、第19節の11試合を各地で行った。勝ち点20で15位の松本山雅FCは同24で13位のアビスパ福岡と松本市のアルウィンで対戦し、2−2で引き分けた。山雅は勝ち点1を加えたが、順位を16位に落とした。
山雅は前半8分、カウンターから木島徹が抜け出し、クロスに塩沢が合わせて先制。しかし、15分に多々良のクリアミスがオウンゴールになって同点とされ、直後に約60メートルのロングシュートを決められ逆転された。
後半は運動量で勝る山雅がボールを支配し、25分にゴール前で倒された木島徹が、自身Jリーグ初得点となるPKを決めて追い付いた。山雅が今季1試合で2点以上取ったのは8節の熊本戦(3得点)以来。
次節は17日。山雅は昨季途中までチームを指揮した吉澤英生監督が率いる20位ガイナーレ鳥取と、とりぎんバードスタジアム(鳥取市)で対戦する。

「(得点できない)責任を感じていた。前の試合でシュートできる場面でパスを選択し、ミスになり相手に奪われるなど悔いが残った。そういうプレーはしたくなかった」
今季の山雅で、最も早い時間の得点となる先制ゴールを決めた塩沢。試合は引き分けに終わったが、得点力不足が指摘されるチームで苦悩していたFWは、自身2カ月ぶりとなる今季2点目にほっとした表情を見せた。
「どっち付かずのボールに強い」(反町監督)など、運動量を買われて4月初旬から先発を13戦続けている。この日は主導権を握った後半の途中でベンチに下げられ、「攻撃の起点になり切れなかった。ふがいない」。
上田市(旧真田町)出身。水戸に所属した06−08年以来、4年ぶりにJ2の舞台に戻った信州産ストライカーに、ファンの期待や声援は大きい。
得点に加えて前線での守備も求められ、苦しくないか−との問いに、「苦しい中で、いかにプレーの精度を上げるか。自分はチャンスをもらい、苦しさより喜びを感じてプレーしている」。人懐こい顔が引き締まった。
(山岡史明、倉科美春)
J2第18節 大分崩せず0−2  (2012年6月12日号より)
J2は7、9日、第18節を行った。勝ち点20で15位の松本山雅FCは9日、同28で7位の大分トリニータと大分銀行ドーム(大分市)で対戦し、前後半に1点ずつ失い0−2で敗れた。山雅は4試合続けて白星なし。順位は変わらなかった。
山雅は新加入の尹誠悦(ユン・ソンヨル)がボランチで先発。前半8分、自陣左から攻め込まれ、ゴール前でクリアのこぼれ球を大分FW森島に決められ先制された。
その後は主導権を握ったが、CKに多々良が頭で合わせたシュートがポストをたたくなど逸機が続き、後半43分にはこの日J2通算200試合出場を果たしたGK野澤のミスで2点目を失った。
山雅は敵陣深くまでいい形でボールを運び、得点機をつくったがラストパスやシュートが雑。今季10度目の無得点に終わった。
J2次節は13日。山雅は13位アビスパ福岡と松本市のアルウィンで対戦する。午後7時開始。アルウィンでは今季初のナイター。
松本山雅の応援ソング CamelRushが発売  (2012年6月9日号より)
松本市を中心に活動する5人組バンド「CamelRush(キャメルラッシュ)」がこのほど、松本山雅FCの応援ソング「evergreen」を発売した。16日はサウンドホールa.C(同市大手1)でのライブで曲を披露する。
山雅のチームカラー緑をもとに、プレーの躍動感とサポーターとの一体感を表現。ラテンのリズムにラップなどを盛り込み、覚えやすい歌詞がバラエティー豊かなメロディーとともに続く。
「松本山雅オフィシャルDVD〜2011闘いの軌跡〜」のテーマ曲として制作依頼を受けた。その後、カップリング曲「enclosure」と合わせ、キャメルラッシュが独自にCD収録し、松本のライオン堂などで1枚500円で販売している。
現在は信越放送「いくJ1山雅TV」のオープニング曲として流れるほか、主にライブ会場で演奏。メンバーは「サポーターの皆さんにも知ってもらい、いつかはアルウィンで一緒に盛り上がりたい」と話している。
ライブは複数の出演者が登場し、午後6時開始。キャメルラッシュは9時ごろ出演予定。問い合わせはサウンドホールa.C電話39・3569
「よろしくね!」松本山雅ガンズくんが着ぐるみで登場  (2012年6月7日号より)
J2松本山雅FCのマスコットキャラクター「ガンズくん」の着ぐるみが2日、松本市のアルウィンで行ったヴァンフォーレ甲府との試合でデビューした。「甲信ダービー」と銘打った一戦で、1万2000人以上の観客を前に、甲府のマスコット「ヴァンくん」と一緒に踊るなど愛嬌(あいきょう)を振りまいた。
ガンズくんは山雅が北信越リーグ2部だった2005年、チームの愛称を公募で「ターミガンズ」(英語でライチョウ)としたのに合わせ、松本市出身のグラフィックデザイナー相河俊介さん(32、茨城県守谷市)がデザイン。タオルマフラーなどに使われ、サポーターには知られた存在で、今年Jリーグ入りしたクラブが公式マスコットに認定した。
誕生当時はスリムな体形だったが、JFL時代に「より親しみやすく」と、ふっくらとさせた。今回、観客と握手するために翼を手に変えるなど細部を手直しした。
相河さんは「生まれて7年。立体化され皆の前に居るのは感慨深い。子どもたちが、会うのを楽しみにする存在になってほしい」
劣勢耐えドロー J2第17節上位甲府に全員守備  (2012年6月5日号より)
J2は1、2日、第17節を行った。勝ち点19で15位の松本山雅FCは2日、同29で5位のヴァンフォーレ甲府と松本市のアルウィンで対戦し、1−1で引き分けた。山雅は2試合連続の引き分け。勝ち点1を加え、順位は変わらなかった。
前半序盤から甲府が攻勢だったが、山雅は22分、カウンターからパスをつなぎ、玉林の右クロスに鉄戸が合わせて先制。
しかし36分、J2得点ランク首位の甲府FWダヴィに同点ゴールを決められ、後半はさらに押し込まれたが、GKの野澤の好守などでピンチをしのいだ。
「甲信ダービー」と銘打った一戦には甲府サポーター約3000人も来場し、入場者数は山雅のホーム試合で今季3番目の1万2300人余だった。山雅は次節の9日、7位大分トリニータと大分銀行ドーム(大分市)で対戦する。

「1失点で済んだのは、皆が守ってくれたおかげ。まさに全員守備ができた」と、絶体絶命のピンチで好セーブを連発したGK野澤。山雅は自軍の2倍以上のシュート18本を浴びたが、攻撃力の差を補う粘りの守備で、劣勢の試合を引き分けに持ち込んだ。
先制したのは山雅。カウンターから楠瀬、船山、玉林とつなぎ、自陣ゴール前から前線まで一気に走った鉄戸が、相手守備が手薄な逆サイドに詰めた。
「われわれは長い距離を走って相手を追い越して点を取り、(守備になれば)相手を追い越して戻らなければならない」(反町監督)という指揮官の求めに応える、チーム2試合ぶりの得点。
その後に追い付かれたが、最少失点に食い止めた。鉄戸は「『こんなチームに1−1かよ』と、相手選手が吐き捨てたのが聞こえて腹が立った。絶対に負けたくなかった」と、昨季までJ1だった格上相手に闘争心を燃やした選手の気持ちを代弁した。
(山岡史明、倉科美春)
攻勢も無得点 草津に0−0  (2012年5月29日号より)
J2は26、27日、第16節を行った。勝ち点18で15位の松本山雅FCは27日、18位ザスパ草津と正田醤油スタジアム群馬(前橋市)で対戦し、0−0で引き分けた。山雅は勝ち点1を加え、順位は変わらなかった。
7連敗中の草津に対し、山雅は開始早々の船山のシュートを皮切りに小松のミドルや鉄戸のFK、オーバーラップした多々良のシュートなどで攻め立てた。前線からの守備や中盤でのボール支配など、あらゆる局面で優位に立ったが無得点。後半終盤の相手の攻勢はGK野澤の好守などでしのぎ切った。
負けが込んでいる相手との、暑さの中での一戦。FW塩沢は「先制すれば一気に自分たちのペースに引き込めるのに、できなかった」と、悔しがった。
山雅の得点力不足は深刻だが、ここ数戦は前半に決定機をつくっており、何とか先制点がほしい。
先発メンバーを固定していることについて反町監督は「得点できないからといって、選手を代えることはしない。練習を見ているのは僕。その中で0・1%でも点を取る可能性が高い選手を選んでいる」と話した。
山雅は次節の6月2日、5位ヴァンフォーレ甲府と松本市のアルウィンで対戦する。
開かぬゴール 横浜FCに0−2  (2012年5月22日号より)
J2は5月20日、第15節を行った。勝ち点18で13位の松本山雅FCは15位の横浜FCと松本市のアルウィンで対戦し、後半に2失点して0−2で敗れ、順位を15位に下げた。
山雅は前半、左サイドのFW船山、MF鉄戸らがチャンスをつくり、喜山、小松の両ボランチもよくボールを奪い、相手を押し込んでシュート7本を放ったが無得点。
相手が右サイドバックを代えて修正を図った後半も互角に攻め合ったが、24分にミドルシュートで先制を許すと、33分にも相手FKから失点。DF飯田を前線に上げるパワープレーも実らなかった。
山雅は次節の27日、18位ザスパ草津と正田醤油スタジアム群馬(前橋市)で対戦する。

山雅が2点以上失ったのは9試合ぶり。後半24分に先制されたシーンは、一瞬の隙を突かれたかのようだった。
ボールの出しどころがない横浜は、守備陣が1分間ほどボール回しを続け、山雅サポーターからあざけるようなブーイングも起きた。が、その直後、ギアチェンジした相手に一気に前線へパスをつながれ、「ドライブが掛かったような」(GK野澤)ミドルシュートを決められた。
今季、相手に得点された試合は白星がないチームに、1失点が重くのしかかる。反町監督は「ボランチがボールを持ち過ぎ、攻撃の起点になっていない」と判断。
約15分残して「さらに失点のリスクもあったが、あえてトライした」と、187センチの飯田を前線に据え、中盤を省略してボールを放り込むパワープレーを選択した。
飯田に代わる3バックの右には今季初出場の伊藤。「練習でやったことがない」(DF飯尾)急な作戦変更に選手は戸惑い、マークの受け渡しもずれて、直後のFKで横浜のMF佐藤をフリーにして決定的な2点目を奪われた。
試合後、「あの布陣は今後のパターンの一つに成り得るか」と問われた反町監督は「いいえ」と否定。が、その大胆な采配には、サッカーの面白さや攻撃の新しい可能性も感じた。練習を重ね、選手に徹底すれば通用するのではないか。
15戦して計9得点はJ2の22チーム中21番目と、決定力不足は明らか。開幕当初と違い、シュートまでの形はつくれるようになったが、ゴールをこじ開けられない。その苦肉の策から、現状を打開したい指揮官の思いがひしひしと伝わった。
○…山雅DF伊藤(今季新加入。Jリーグ初出場)
「敗れはしたが、試合に出て自分の経験値は上がった。常に準備はしているが、今日は相手が(以前在籍した)横浜FCということで意識していた。今後パワープレーで前線に投入されることがあれば(武器の)ヘディングを生かしたい」
(山岡史明、倉科美春)
J2第14節 守りきり岐阜に1−0  (2012年5月15日号より)
J2は12、13日、第14節を行った。勝ち点15で14位の松本山雅FCは13日、22位のFC岐阜と岐阜メモリアルセンター長良川競技場で対戦し、1−0で競り勝った。山雅は4試合ぶりの白星。勝ち点3を加え、順位は1つ上げて13位になった。
今季開幕戦からフル出場を続けてきたDF飯田が警告の累積で出場停止の山雅は、3バックの右に渡辺を起用。
前半は運動量が少なく、相手に主導権を握られたが決定機をしのぐと40分、玉林の右クロスに合わせた弦巻が、コースを変えるうまいシュートで先制。
相手の両サイドバックが積極的に攻撃参加した後半は、相手ボランチの運動量が落ちたこともあり逆にチャンスを多くつくったが、シュートが決まらず無得点。それでも守備は最後までほころびを見せず、3試合ぶりの無失点で切り抜けた。
反町監督は「立ち上がりが悪く、スピードもなく不満が残る内容」としたが、得点については「練習している形が出せた」。リーグは今節で全42戦の3分の1を消化し、「試合数(14)を上回る勝ち点が取れたことは評価できる」と話した。
次節(20日)、山雅は15位の横浜FCと松本市のアルウィンで対戦する。
終盤で痛い失点 湘南と1−1  (2012年5月8日号より)
J2は6日、第13節を行った。勝ち点14で14位の松本山雅FCは、同26で首位の湘南ベルマーレ(神奈川)と松本市のアルウィンで対戦し、後半40分にFW船山のゴールで先制したが3分後に失点し、1−1で引き分けた。山雅は勝ち点1を加え、順位は変わらなかった。
山雅は風上の前半、ミドルを主体に相手を上回るシュートを放ったが無得点。後半は逆に湘南がミドルシュートでゴールを脅かしたが、山雅はGK野澤の好守で防いだ。
山雅は後半途中から出場の弦巻が相手のパスを奪い、後半から出場した船山に送って決めたが、その後に相手ゴールキックからのカウンターで失点した。
山雅は次節の13日、22位のFC岐阜と岐阜メモリアルセンター長良川競技場で対戦する。

大型連休中の中2日での4連戦で、山雅の最後の相手は今季4連勝が2度の首位湘南。連戦で2連敗後に引き分けと勢いに陰りが出たが、12試合で計25得点は山雅の3・5倍。そのJ2随一の攻撃を封じ、残り5分で先制した山雅だが、続いた攻勢が裏目に出て惜しい引き分けに。
「勝てたと言えるのか、引き分けでよかったと言えるのか…」。土壇場での得点と失点に複雑な表情を浮かべた反町監督だが、「ほぼ同じメンバーで戦った連戦の最後としては、走力とかゲームのクオリティーも高く、うれしく思う」と、選手を評価した。
攻守に負担が大きいFWの疲れを考慮し、開幕戦から先発を続けていた弦巻と、8戦連続だった船山はベンチスタート。が、後半開始から船山、12分には弦巻を早々に投入。塩沢を含め、結果的にはこの3人が前線で相手にプレッシャーを掛け続けたことが、相手のミスを誘い得点につながった。
「僕らが圧力を掛けることで前でボールが奪える。すぐに攻撃に移れる」と塩沢。弦巻も「守備陣から『(FWは)もう一つ前に出ろ』という声も掛かるようになった。全員守備でチームが一つになっている」と強調。
「よそとの力関係で、うちは1人でもさぼれば絶対にやられる。どうしても譲れない」と、指揮官が徹底して求める運動量は、攻守やポジションを問わず浸透している。
元J1の2チームとの対戦を含む4連戦を、1勝2分け1敗の五分で乗り切った。「下を向く必要はない。精神的に強くなれば、もっといける」。25歳のバースデーゴールは祝砲とはならなかったが、船山は確信した表情で言い切った。
(山岡史明、倉科美春)
決定機決められず5試合ぶり黒星  (2012年5月5日号より)
J2は3日、第12節を行った。勝ち点14で14位の松本山雅FCは、20位徳島ヴォルティスと徳島県鳴門市の鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムで対戦し、後半26分にCKから失点。得点できず0−1で敗れた。山雅は5試合ぶりの黒星。順位は変わらなかった。
90分間を通じてのシュート数は徳島7に対し山雅13。後半は相手の4倍の8本を放った山雅だが、決定的なチャンスを決め切ることができない中、相手に数少ない好機をものにされた。
山雅はサイドからのクロス、相手守備陣の裏を取る動き、セットプレーと攻撃パターンが増え、決定機も多かっただけに惜しい敗戦。
8節の熊本戦以降、相手の攻撃を抑えるとともに、上位にも臆することなくボールを支配し、ゲームを組み立ててシュートに結び付けている。課題は相手のゴールネットを何度揺らすことができるかだ。
反町監督は「開幕時に比べ、Jリーグのチームらしくなってきた」と話す。次節6日は現在首位の湘南ベルマーレと松本市のアルウィンで対戦。昨季まで湘南を指揮した反町監督が、強敵の古巣相手にどのような策を用いるかにも注目だ。
強豪京都を零封 攻めて引き分け  (2012年5月3日号より)
J2は4月30日、第11節を行った。ここまで4勝1分け5敗で勝ち点13、14位の松本山雅FCは、7位京都サンガと松本市のアルウィンで対戦。前後半を通して相手を上回る決定機をつくったがものにできず、0―0で引き分けた。山雅は勝ち点1を加え、順位は変わらず14位。
前節(27日)、町田ゼルビアに1―0で勝って連勝を3に伸ばした山雅は、前半はGK野澤のキックなどを起点にゴールに迫り、相手の2倍のシュート8本を放つなど攻勢。
後半も攻撃的な選手を投入して得点を狙ったが、シュートが決まらず、4試合ぶりの無得点。守備は、2連敗中と元気がない京都を運動量の多さで零封した。
山雅は次節(3日)、20位徳島ヴォルティスと鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムで対戦。

サッカーに判定があれば、前半は山雅の完勝だった。相手ボールを奪ったり、パスカットして攻撃に転じたのは15回以上と、相手のほぼ3倍。ボールへの執着心が攻守に表れ、戦力・経験とも上回るJ1昇格候補を押し込んだ。
相手が積極性を取り戻し、ボールを奪い合った後半も決定機の数で上回り、守備もよく足が出て開幕から10戦続けて得点中の相手をゼロに抑えた。
敵地での前節から中2日。「『連戦の疲れを理由にごまかすな』と選手に伝えた。決してごまかさず、適正なポジショニングと対応をした結果」と反町監督。短いパスを多用する京都は左右どちらかに人数が片寄るのを事前に把握し、手薄な逆サイドを突くなど戦術面の工夫も光った。
4連勝は逃したが、これで4試合連続の無失点。ボールを追い続けた小松、喜山の両ボランチは終了直後、放心したようにピッチに膝をついた。小松は「FW3人がよくボールを追ってくれる。全員がハードワークしているのが要因」。
前半にシュート3本をGKに止められ、後半は右目上を7針縫うけがを負いながらピッチに立った塩沢、2度の決定機をものにできなかった弦巻らを責める声はなく、「ゴールが決まるまで、何度でもチャンスをつくればいいだけ」と喜山。
DF飯田は「(無失点は)前線が我慢して守備をしてくれるおかげだが、人数が足りている場面でもFWが下がっていては(監督が目指す)攻撃的なサッカーにならない」と、先を見る。堅守で深めた自信がチームに一段階上を見させるなら、「前向きにとらえれば貴重な勝ち点1」(反町監督)だったと言えよう。
(山岡史明、倉科美春)
J入り後初の2連勝 千葉に1−0  (2012年4月24日号より)
J2は22日、第9節を行った。勝ち点7で17位の松本山雅FCは6位ジェフユナイテッド千葉と松本市のアルウィンで対戦し、後半39分にDF多々良が決勝点を挙げて1−0で競り勝った。山雅はJ入り後初の2連勝で勝ち点10とし、順位は2つ上げて15位とした。
山雅は前半、連続CKなどで押し込まれる時間が続き、後半も立ち上がりの得点機を逃すと相手に主導権を握られたが、ともに守備陣が粘り強く守り無失点。
得点はCK後に生まれ、前線に残っていた多々良がうまく抜け出し、相手DFとGKをかわしてシュートを決めた。
山雅は次節(27日)、18位町田ゼルビア(東京)と町田市陸上競技場で対戦する。

最後まで諦めずに走り、体を張って守る―。反町監督が選手に徹底してきたボールへの執念が実り、山雅はJ2屈指の戦力を持つ千葉を破り2連勝。
リーグ首位のパス回数が示す通り、主導権を握ったのは千葉だった。今春までイタリア・セリエAでプレーしたMFレジナルドらが再三ゴールに迫り、山雅は前半だけで11本のシュートを浴びた。
「サッカーに判定があれば、完全に負け」と反町監督。が、3バックや喜山、小松の両ボランチ、GK野澤が体を投げ出し、ゴールを割らせなかったことが最大の勝因だ。
反町監督は「相手にあれだけボールを動かされたら、足がつってもおかしくない。ゲーム体力が付いてきた」とし、終盤の得点にも課題克服の手応えをつかんだ様子。
2節から先発出場を続ける喜山は「攻め込まれた時間帯にどう動けばいいか、声に出さなくてもお互い分かるようになってきた」と、選手間の意思疎通の深まりを口にする。
「チームが良い方向に向かったのは、0―3で完敗した5戦前の愛媛戦がきっかけ」と語るのはゲーム主将の飯尾。「失点したが、ピンチに足を出すなど皆が細かいことを最後まで諦めずにやっていた。続ければ、いつか勝てると信じていた」
試合終了後、抱き合って喜ぶ選手の表情には、これまで積み重ねてきたものが連勝という形で表れた安堵(あんど)と自信が浮かんだ。
次節は同じく今季からJ2入りし、上位に4連敗するなど現在18位と振るわない町田が相手。今季の初勝利後や、好調な相手と引き分けた後に頭をもたげた精神的な緩みが払拭(ふっしょく)できるかも、試されそうだ。

多々良が前節の熊本戦に続き2試合連続のゴール。船山の左CKを遠いサイドで中央へ折り返し、このボールはクリアされたが、拾った鉄戸からのフィードを右前で受けてシュート。値千金の決勝弾に「頭の中が真っ白になった」。
得点より喜んだのが、これも2戦続けての無失点。「常に立ち返るのは運動量と守備。相手より走り、守りでリズムをつくって攻撃につなげる」意識がチーム全体に浸透したとし、「今季はやることが明確」と、反町監督の求めに忠実に応えようとしている。
不動の3バックの一角として、開幕からフル出場を続けるJ初年。大卒で入団したばかりだった2年前のJFL開幕戦で、相手にPK2つを与えて肩を落とした無名の新人は、Jを目指す戦いの中で着実に成長し、今やチームに欠かせない存在になった。
(山岡史明、倉科美春)
塩尻市が500万円出資 ホームタウン申請へ  (2012年4月24日号より)
塩尻市は17日、サッカーJリーグ2部(J2)松本山雅FCの運営会社に500万円の出資を申し込んだ。山雅とタイアップした特産物の販売や開発、全国から試合観戦に訪れる相手チームサポーターの観光誘客、イベントへの選手参加による集客増など、市の地域づくりや経済活性化につなげるのが目的だ。
市は同社の株(1株5万円)100株を取得する。自治体の山雅への出資は松本市(2000万円)に次いで2番目。山雅は、現在は松本市だけのホームタウンに塩尻市を加えるよう、Jリーグに申請する。
市役所で行った申し込み式で小口市長は「山雅は地域づくりの大きなサポーター。市は松本平の一員として応援する」。市農業公社が特産化を目指す緑色(山雅のチームカラー)大豆「あやみどり」を使った商品開発などに期待を寄せた。
山雅運営会社の大月弘士社長は「自治体の出資は税金。市民のために何ができるかを追求する」とし、具体的には「塩尻市デー」と題した試合を催すことや、サッカー教室の開催などを挙げた。
大月社長によると、同社がほかに出資を要望している安曇野市と山形村も前向きな姿勢といい、今後もホームタウンの広域化が進みそうだ。
(山岡史明)
初の3ゴールで熊本に快勝  (2012年4月17日号より)
J2は4月15日、第8節を行った。勝ち点4で20位の松本山雅FCは、15位ロアッソ熊本と熊本市水前寺競技場で対戦し、3−0で快勝した。山雅は5試合ぶりの白星で、1試合で2点以上挙げたのはJ入り後初めて。勝ち点7とし、順位は3つ上げて17位とした。
前半は一進一退の攻防が続く中、山雅は39分にセンターライン付近で塩沢が倒され、喜山のFKを多々良が中央へ折り返し、塩沢が得意の頭でゴールにたたき込んで先制。5試合ぶりに待望の得点を挙げた。
後半は、今季初出場のためか調子が上がらない須藤を小松に代え、ペースを握って27分に鉄戸、4分後に多々良が立て続けに得点。アウェー初勝利を挙げた反町監督、飯尾、多々良は口をそろえて「先制点」を勝因に挙げた。
山雅は後半、焦る相手に前線から激しくプレッシャーを掛けて自由にプレーさせず、前半以上にチャンスをつくり出すなど、攻撃面でこれまで以上にいい形が生まれた。
この日の3得点のうち2点はセットプレーからだが、試合を重ねるたびに流れの中からの好機も増えている。強豪の千葉をホームに迎える次節(22日)も、どこまでやれるか楽しみだ。
シュート数上回るも岡山に0ー1  (2012年4月10日号より)
J2は8日、7節を行った。勝ち点4で20位の松本山雅FCは、勝ち点8で12位のファジアーノ岡山と岡山市のカンコースタジアムで対戦し、0−1で敗れた。山雅は引き分けを挟み3連敗で、7戦して1勝1分け5敗。21位の横浜FCと22位の岐阜も敗れたため順位は変わらなかった。
山雅は立ち上がり中盤を支配したが前半24分、自陣右サイドからのクロスを相手FW川又に合わせられ失点。
後半は木島良や木島徹など攻撃的な選手を投入して攻め、前後半合わせたシュート数は相手を1本上回ったが、強固な守りを崩せず無得点で終わった。山雅は4試合連続無得点。決定力不足は深刻で、7試合で計2得点はリーグ最少。
山雅は次節の15日、2勝1分け4敗で15位のロアッソ熊本と、熊本市水前寺競技場で対戦する。
富山に完敗0−3 続く無得点苦悩の20位後退  (2012年4月3日号より)
J2は1日、6節を行った。勝ち点4で18位の松本山雅FCは、勝ち点2で20位のカターレ富山と松本市のアルウィンで対戦し、0−3で敗れた。山雅は6戦して1勝1分け4敗。順位を20位に落とした。
山雅は前半20分にミドルシュートで先制されると、43分にはFKから失点。後半17分にもFKから失点した。攻撃は再三、ゴールに迫ったがシュートが決まらず、富山の体を張った守備にも阻まれた。
山雅は次節(8日)、12位ファジアーノ岡山と岡山市のkankoスタジアムで対戦する。

山雅は、昨季J2(20チーム)16位で今季まだ白星がない富山に完敗。「トップ・オブ・北アルプス」と銘打ち、FC岐阜を加えた近県3クラブの対戦を盛り上げる企画を発表したばかりだったが、その初戦はアウェーの富山サポーターを喜ばせ、山雅サポーターからは試合後、珍しく罵声が飛んだ。
強風のせいか互いにパスがつながらず、序盤は相手ボールを奪ってカウンターを仕掛け合うばたばたした展開。前半17分に山雅が決定機を外すとその3分後、富山MF徐がボールを奪ってから間髪を入れない見事なミドルシュートで先制。
続く2、3点目はFKから失点。反町監督は、前日の練習でもセットプレー時の守備がまずく、回数を増やしたりミーティングで注意したと明かし、修正できないまま試合に臨んだことを悔やんだ。
「(徐がボールを持つとすぐにシュートを打ってくる)ビデオは夢に出るほど見させられたし、セットプレーも注意されていた。要は相手の頑張りに負けた」とDF飯田。
それにしても山雅の決定力不足は深刻だ。これで3戦連続ゴールなし、6試合で計2得点は横浜FCと並びリーグ最少。反町監督は「(好機でも)シュートを打とうとしない」と繰り返し嘆き、途中出場のFW木島良は「先発陣は体力の8、9割を守備に費やし、前線でボールを持っても絡んでくる味方がいない」とぼやく。
「同じ0−3だった(2戦前の)愛媛戦に比べ、試合の内容や選手の気持ちの入り方などは今日のほうが上」と反町監督。確かにチャンスも何度かつくり、シュート数もほぼ互角だったが、初年とはいえ結果が求められるのがプロの世界。「あきらめず、投げ出さず、やり続けるしかない」。指揮官はそう絞り出した。

前節に続き先発した山雅MF鉄戸は自身のホーム初戦を終え、「Jはあと1メートル、あと一歩の差が勝敗を分ける厳しい世界」と、唇をかんだ。
豊富な運動量と精度の高いクロスで、昨季までサイドバックとしてほぼ不動のレギュラーだった。しかし、今季は4節までベンチ入りすらなかった。
「自分には何が足りないのか」。同じ左ウイングバックの位置を争うMF楠瀬をスタンドから見るうちに気付いた。
「自分は前に仕掛けようとしていない。誰かにパスをしてから出方を考えるのではなく、まずドリブルで前に運ぼう」
それが体現できたという前半は、ゴール前に上げたクロスにFW弦巻がヘディングで飛び込んだり、自らシュートを放ったり。得点チャンスを何回かつくった。
「サポーターのためにも、これ以上ふがいない試合をしたくない」。あと一歩を踏み出すため、手探りで自分を変えようとしている。
○…山雅MF大橋(後半途中から今季初出場)「2点リードされた場面で投入されたので、パスを前につなぐことを意識したが、周りとうまく連携が取れない。お互いがやりたいことを分かり切っていないのかも。FW片山をもっと意識して使いたい」。
○…富山FW木村(昨季まで山雅でプレー。後半途中から出場)「個人的に山雅には絶対に負けたくなかった。チームの今季初白星という形で勝ててうれしい。アルウィンの雰囲気とサポーターは、敵として見てもやはりすごい」。
(山岡史明、倉科美春)
J2北ア3クラブが合同企画  (2012年3月31日号より)
サッカーJリーグ2部(J2)の松本山雅FC、カターレ富山、FC岐阜は今季、3クラブによる合同企画「TOPOF北アルプス」に取り組む。4月1日に松本市のアルウィンで行う山雅−富山戦を皮切りに、3チーム間のJ2リーグ戦計6試合に際して、特産品の販売やスタンプラリーなどを実施。地域間の交流や盛り上がりを図る。
現時点で決まっている内容は、▽3チーム間の対戦成績で順位を決め、表彰などをする▽ブースを設け、アウェーチームの県の特産品を販売▽6試合中4試合を観戦すると、オリジナルグッズなどがもらえるスタンプラリー(専用台紙は1日以降、試合会場で配布)▽恒例のホーム抽選会の賞品は、アウェーチームと試合のないチームの県の特産品に−の4点。今後も検討し、企画を増やしてきたい考えだ。
3県の中心にある北アルプスを連携の象徴とし、頂点を目指して競いながら地域交流を進めよう、との趣旨。岐阜と富山は、富山がJ2に参入した2009年から「東海北陸ダービー」と銘打ち、試合のPRイベントや物品販売などで交流してきた。
27日は山雅の大月弘士社長、富山の清原邦彦社長、岐阜の今西和男社長が出席し、アルウィンで企画発表の記者会見をした。大月社長は「縁の深い2県との合同企画はうれしい。勝敗も大事だが、それぞれの地域が大いにアピールし合い、互いの発展につながればいい」とあいさつ。清原社長は「山雅の集客力にも注目している。ファンやサポーターはもちろん、クラブ同士も交流を深め、集客の秘訣(ひけつ)などを学べれば」と期待した。
(長岩将弘)
上位水戸に山雅0−0 守備に手応え  (2012年3月27日号より)
J2は24、25日、5節を各地で行った。18位の松本山雅FCは24日、2位水戸ホーリーホックと水戸市のケーズデンキスタジアム水戸で対戦し、0−0で引き分けた。山雅は5戦して1勝3敗1分。勝ち点1を加え、順位は18位と変わらなかった。
好調な水戸に対し、ボールを支配される苦戦が予想された山雅だが、前半は相手と並ぶシュート5本を放ち、CKは相手の1本を大きく上回る4本と、上位相手に見劣りしない内容。後半は主導権を握られたが、堅守は最後まで崩れなかった。
山雅は前節、愛媛に完敗後、選手だけでミーティングを行い、試合に臨む気持ちや入り方を確認。一つ一つのプレーに対する気持ちは大きく変わり、ファン・サポーターに伝わった。
水戸の柱谷監督は「相手の試合運びは想定内。が、前節3失点の反省を生かした守備を崩せなかった」。山雅は初勝利を挙げた北九州戦のように、気持ちを引き締めれば、守備には手応えを感じる。
一方、流れの中からの得点はまだなく、山雅の反町監督は「日々のトレーニングを積み上げ、今やれる方法で、全力で戦う」と話した。
山雅は次節(4月1日)、20位カターレ富山と松本市のアルウィンで対戦する。
完敗 愛媛に0−3  (2012年3月22日号より)
Jリーグ2部(J2)は20日、4節を各地で行った。前節にJリーグでの初勝利を挙げた松本山雅FCは、愛媛FCと松山市のニンジニアスタジアムで対戦し、0−3で完敗した。山雅は4戦して1勝3敗となり、22チーム中、順位を15位から18位に下げた。
前節から中2日で敵地と厳しい条件の一戦に前戦と同じ先発メンバーで臨んだ山雅は、相手に中盤を支配されて前半14分、ミドルシュートのこぼれ球を決められて先制を許した。
後半はボールを持つ時間が増えたがゴールに迫ることができず、35、41分に追加点を奪われた。山雅は攻撃時の判断の早さやセカンドボールへの反応で相手に遅れを取り、決定機は前半の1度と後半の2度だけ。相手のGKの好守もあり、得点できなかった。
山雅は次節の24日、ここまで3勝1敗の2位と好調な水戸ホーリーホック(茨城)と、水戸市のケーズデンキスタジアム水戸で対戦する。
初白星 Jで響いた「勝利の街」  (2012年3月20日号より)
ホームで歓喜のJ初勝利−。サッカーJリーグ2部(J2)松本山雅FCは17日、ギラヴァンツ北九州(福岡)と松本市のアルウィンで対戦し、前半19分にコーナーキックからDF飯田真輝選手が頭で決めた1点を守り切り、1−0で勝ってJ入り3戦目で初白星を挙げた。開幕2連敗で先行きを心配していたサポーターや観客は喜びに沸き、山雅の勝利時に歌う凱歌(がいか)「勝利の街」が初めてJの舞台で鳴り響いた。
11日のホーム初戦は1万3000人以上の観客が詰めかけた。雨天のこの日は約4500人と、ほぼ3分の1。それでも歴史的な1勝を期待するサポーターはかっぱを着たり、びしょぬれになって声援を送った。
相手の北九州は昨年8位に躍進したが、J2入りした一昨年はわずか1勝しかできず、J初年の厳しさを肌で知る「先輩」。
北九州市や関東地方から駆け付けたサポーターは30人ほど。千葉市在住の松岡洸さん(27)は「成績を上げるよりサポーターを増やす方が難しい。松本のパワーを感じる」と、緑に染まった山雅の応援席を見て感心した。
試合は先制した前半と一転、後半は北九州の猛攻に山雅は防戦一方に。相手のシュートを防ぐたびにスタンドがどよめき、「耐えろ」と選手を鼓舞する叫び声が響いた。
初勝利の瞬間が近づくと、客席全体がチームスローガン「ワン・ソウル」の大合唱で後押し。終了後は出場した選手全員の名前を連呼したり、サポーター同士で肩を組んでラインダンスをするなど余韻に浸った。山雅の反町康治監督は「サポーターがずっと声を出し続けてくれたのが力になった。皆で取った勝ち点3」と感謝した。
サポーター集団「ウルトラスマツモト」代表の疋田幸也さん(36)は「雨の中、見届けるだけの価値があった。負けた2試合も手も足もでない感じではなかったが、(初勝利は)思ったより早かった」。
応援の横断幕作りなどをしてきた上原直樹さん(37、松本市和田)は「JFL昇格やJ入りを決めた試合より報われた気がする。これから結果が出ない時も支えたい」と、サポーターにとっても夢の舞台だったJでの1勝を喜んだ。
(山岡史明)
堅守光りJ初勝利 北九州に1−0  (2012年3月20日号より)
山雅のJ初勝利の相手は、攻撃的なパスサッカーを掲げて昨季はJ1昇格争いにも絡んだ北九州。後半は一方的にボールを支配されたが守備陣が踏ん張り、無失点に抑えたのが最大の勝因だ。前半はパスをつなぐ攻撃の形も見えたが、まだ得点にはいたらない。まずは失点を抑え、セットプレーなど少ないチャンスをものにすることが、現時点で山雅がJ2で勝つ方法と教えた一戦だった。
山雅の得点は前節に続きセットプレーから。「相手のメンバーが高さを欠いたので、そこを突こうと話していた。狙い通り」と反町監督。その3分前にはMF小松を起点に5本のパスをつなぎ、シュートまで流れるような攻撃も見せ、選手のアイデアが同調し始めたことを感じさせた。
しかし、後半は「疲れでボールを持った時には視界ゼロ」(反町監督)。ミスからボールを失うようになり、セカンドボールも拾えず、パスをつなぐ相手の攻撃を断ち切れない。前半に10本放ったシュートは、後半は逆に10本を浴びた。
光ったのは飯尾、飯田、多々良の3バックとGK野沢の好守だ。最終ラインが左右にスライドして両サイドまで守り、ボランチやウイングバックがその穴を埋めるなど、守備の連携は確実に向上。
相手の攻撃にさらされ続けた後半は、ボランチの小松、喜山らと共に体を張ってゴールを死守。野沢も接触を恐れない飛び出しで決定機を防ぎ、「後半は目指すサッカーができたが、松本の勝ちたい気持ちがまさったと思うしかない」と、北九州の三浦監督を悔しがらせた。
「ボールの奪い合いで相手が足を出しているところに頭を投げ出すなど、勝利を求める気持ちも見えた。チームの積み重ねになる」と反町監督。後半の運動量低下などまだ課題は多い―としながらも、開幕2連敗で得た糧を無駄にしない白星。チームは徐々に、指揮官が示す方向に歩み出しているようだ。

昨季チーム2位の8点を挙げたヘディングはJでも健在だった。チームをJ初勝利へ導く虎の子の1点を挙げたDF飯田は試合後、鳴りやまないサポーターのコールに、何度も手を挙げて応えた。
得点は相手守備の観察から生まれた。15分のFKで自分をマークする北九州DFキローランが、中へ走り込んだDF多々良の動きにつられることを確認。得点シーンでは外へ動いた多々良をキローランが注視している間にマークを外してフリーになり、「アツ(多々良)との打ち合わせ通り」。
本職の守備でも後半の相手の攻勢をしのぎ切り、「相手シュートが体に当たる回数が増えている。寄せが早くなった証し」と、無失点に納得の表情だった。
東京VがJ1だった2008年に大卒新人で獲得した逸材。ヘディングの高さや相手をつぶす強さはJでも引けをとらないが、1対1への対応や、マークする相手との駆け引きに不安を残す。「攻めに入るタイミングは独特。守備の課題も頭の“中身”を使えば克服できる」と柴田コーチ。その可能性を、まずは攻撃面で示した。
J2ホーム初戦 1万3000人が大声援  (2012年3月13日号より)
サッカーJリーグ2部の松本山雅FCは11日、モンテディオ山形と松本市のアルウィンで対戦した。ファンやサポーターが待ちわびたJでのホーム初戦。1−2で敗れ、前週に続き初勝利は逃したが、観客1万3098人は山雅のホーム試合で過去最多。山雅側席は1万2285人を占め声援を送った。
午前10時半に開場し、ファンらが続々と入場。同市沢村の飯村美智子さん(36)ら母子4人は2月に茨城県つくば市から避難し、「山雅はJ昇格前から知っていた。生の試合観戦も久しぶりで楽しみ」。
山雅は先制されたが前半37分に追い付き、観客は総立ちに。応援は熱を帯びたが、後半に再び勝ち越された。
祖母と共に、山雅を北信越リーグ時代から応援している安曇野市堀金の一志瑠衣斗君(10)は「初勝利はホームで見たい」。祖母の千恵子さん(59)は「そう簡単には勝てないのがJ。まだまだこれから」と話した。
この日は東日本大震災からちょうど1年で、選手の直筆メッセージが入ったTシャツが当たるチャリティー抽選会など、復興支援の催しもあった。
あと一歩出ず2連敗 山形に1−2  (2012年3月13日号より)
山雅のホーム開幕戦の相手は、昨季J1最下位でJ2に降格した山形。Jのレベルを知るのに格好の相手に先制されたが追い付き、後半は何度かゴールに迫ったが得点できず、相手の思い切りのよいロングシュートに屈した。2連敗に反町監督は「試合に出ただけで満足しているから、最後の一歩で前に入れない。メンタリティーの差」と、勝利にこだわる強い気持ちを選手に求めた。
山雅は守備的MFの渡辺に代わり喜山が入ったほかは、1週前の東京V戦と同じ先発。
前半は開始直後から山形の猛攻に遭い、両サイドを使った攻めで揺さぶられた。28分にはゴール前にロングボールを放り込まれ、GK野澤のパンチングのこぼれ球を拾われて失点。
37分、FKの相手クリアを拾ったMF久木田がゴール前へ浮き球のパス。これを右足で受けた弦巻がもう一度右足でボールを浮かせ、左足ボレーの技ありシュート。チーム、自身ともJ初となるゴールで同点に。
相手の運動量が落ちた後半はボールを保持する時間が増え、後半から出場したMF玉林のクロスなどでチャンスをつくったが得点できず、27分、山形MF秋葉にこの日2得点となる約30メートルのシュートを決められた。

山雅の試合は開幕の前節に続き、今節もJ2最多の観客を動員した。「(ファンやサポーターに)温かく応援されるから『負けてもいいや』でなく、プロである以上は勝たなくては。その気持ちが足りない」と反町監督。
劣勢の前半をしのぎ、後半は互角の展開に持ち込んだが、放ったシュートは相手の10に対して4。山形の攻撃陣は常にシュートを狙う意識が際立ったのに比べ、山雅はボールを持ってもシュートまで行けず、ゴールを脅かす場面が少なかった。
相手DFに高さで競り負け、シュートもゼロに終わったFWエイジソンは「まだ日本流の相手マークに慣れず、味方との連携も不十分。シュートを打つスペースがつくれない」と、うつむいた。
「前半は『安全に』という意識が働き、消極的になった。後半のような攻撃が最初からできれば、結果は違った」と、得点した弦巻。途中出場で攻撃のリズムをつくった玉林は「相手の寄せが早いので、ワンテンポ早いパスやクロスを心掛けた」。その意識は「判断が遅く、余計なプレーが多い」と嘆く指揮官の求めと一致する。
「勝てないのは余裕がないから。自信を持ってやれば、もっとできるはず」と、3年ぶりにJの舞台に戻ったFW木島良。足りないのは勝利への気迫か、Jで通用するスピードか、それとも自信か…。
連敗した東京V、山形とも力はJ2上位。悲観することはないが、選手個々のレベル向上には時間が掛かり、自信は結果が伴わなければ生まれない。初勝利のために、まずはどのチームよりも強い執念を見せることが必要だろう。

結果は開幕戦に続き2失点。GK野澤は「3バックに不安は全くない。敗因は『このくらいやれば大丈夫』という油断が皆にあるから。判断も悪い」と、惜敗を振り返った。
象徴的だったのが後半27分の失点。それまで攻勢だったが、山形MF秋葉をフリーにした一瞬の隙を突かれ、ロングシュートを決められた。反町監督は「ああいう時間帯が一番危ない。野澤にも隙があった」。
J1、J2合わせ、昨季まで出場257試合のベテラン。そのうち8年間は反町監督の下でプレーし、Jの厳しさや監督の考えを誰よりも知る。自身に求められるものも、チームメートに求める基準も高い。
「JFLから上がってきたチームなので、ハングリー精神を秘めている。自分もリーダーシップを発揮し、それをもっと引き出したい」。次戦での初勝利に向け、チーム最年長は気を引き締めた。
(取材班)
山雅J初戦は黒星 東京Vに0−2 7000人が敵地で大声援  (2012年3月6日号より)
サッカーJリーグ2部(J2)は4日に開幕し、1節の11試合を各地で行った。今季からJ2に参入した松本山雅FCは、昨季5位の東京ヴェルディと東京・味の素スタジアム(調布市)で対戦。観客1万2432人のうち、半数以上の7000人近くが山雅側の席に陣取り声援を送ったが、チームは0−2で敗れてJデビュー戦を飾れなかった。
試合前、インターネットなどで広まっていた「敵地にサポーター5000人が乗り込む」という目標を上回り、山雅側のスタンドは通常は開放されない2階席の一部も緑に染まった。
この日が初観戦という松本市県の会社員片桐直利さん(64)は「応援が良い雰囲気でこちらも熱くなる。はまりそう」と、買ったばかりのタオルマフラーを首に巻いた。
注目の先発メンバーには塩尻市出身の小松憲太選手(24)も。小松選手と同学年で、小学生のころ同じチームでプレーした同市の崇原裕一朗さん、蟻川諒さん、岩附真さんは「子どものころから『Jリーガーになりたい』と言っていた憲太の夢が本当にかない、うれしくて仕方ない」と、晴れ姿を見守った。
前半は互いに譲らぬ展開で0―0。しかし、後半6分に先制されると一瞬静まり返り、13分に追加点を許したまま無得点で試合を終えると、スタンドからため息がもれた。
松本市梓川の会社員上兼裕さん(39)は「Jの実力を思い知らされたが、アルウィンにはもっと多くの人が来て、試合が盛り上がると思うとわくわくする」と、次節(11日)のホームゲームでの初勝利を期待する。
塩尻市桔梗小3年の吉村葵さん(9)も「JFLの時より全然良いプレー。次は勝ってほしい」と笑顔を見せた。

山雅のJ初戦に先立ち、松本市は観光パンフレットと同市産のエノキをセットにして東京ヴェルディサポーターらに配り、市のPRをした。
午前11時のスタジアム開場に合わせ、市や全農長野の職員8人が、東京側の入場ゲート付近で2000セットを配布。受け取った東京サポーターの中には「Jへようこそ」「いい試合にしましょう」などと声をかける人も。市のマスコットキャラクター「アルプちゃん」の着ぐるみも登場し、子どもと触れ合ったり、写真撮影に応じたりした。
受け取った東京都東久留米市の藤巻祐哉さん(22)は「松本には行ったことがなく、興味が湧いた」、埼玉県所沢市の田中雅章さん(26)は「サッカーに限らず、地方から元気を発信し、盛り上げてほしい」と話した。
山雅の試合に伴う敵地でのPRは、今後も何カ所かで行いたい考え。市農政課マーケティング担当の伊藤和宏係長は「相手サポーターにあらかじめ松本に関心を持ってもらい、観戦に訪れた際の滞在時間を少しでも延ばしたい」と話した。
Jの洗礼浴びるも、今後に光明  (2012年3月6日号より)
松本山雅FCの記念すべきJリーグ初戦の相手は、J発足時からの人気チームで、1リーグ時代には年間優勝2度の東京V。J1復帰を目指す優勝候補に挑んだ山雅は後半に2失点し、J初得点もならなかった。しかし、ほぼ互角の展開だった前半は、あと一歩でゴールの場面もつくり、守備も相手の強力攻撃陣を粘り強く封じた。Jの洗礼は浴びたが、今季J2で戦える可能性を感じさせた。
山雅は中盤の上下動で攻守とも人数をかける3バック、3トップの布陣。FW陣は2日前に加入したブラジル人エイジソンと、昨季チーム最多得点の木島徹が相手DFラインの裏を狙い、下がり目の弦巻やMF小松が飛び出して前半のシュート数は5対7。16分には木島徹とエイジソンが立て続けに決定的なシュートを放ったが、GKの好守に阻まれた。
後半、相手のミドルシュートがDF飯田に当たり、コースが変わる不運で先制されると、7分後には相手ツートップの連携でDF陣が中央に引き付けられ、自陣右からフリーで決められた。
その後は運動量が落ちて相手にボールを支配され、終了間際には右CKに合わせた飯田のヘディングがバーに当たる場面もあったが、これはファウル。後半は結局シュート1本に終わった。
ゲーム主将のDF飯尾は「J初戦でもあり、先制されるとチームが動揺するのは分かっていた。もっと冷静に対応できたはず」と、試合が決まった2失点目を悔やんだ。

「公式戦のゲーム体力ができていない。90分をしっかり戦い抜く必要を選手も肌で感じたはず」。山雅での初戦が黒星になった反町監督は敗因として、Jの経験がなかったり、Jからの移籍組でも実戦から遠ざかっていた選手が多い自チームと、昨季J2を戦い抜いた相手との試合感覚の差を挙げた。
特に2失点した後半は運動量が落ち、一つ一つのプレーも相手よりワンテンポ遅れて「後手を踏んだ」。
昨季J2最多得点の相手に、2失点目を除いて決定的な仕事をさせなかった守備には「3バックはしっかり対応した。リズムはできている」と及第点を与える一方、無得点に終わった攻撃は「偶然のチャンスが多い。ボールを前線へ運んだり前で動かしたり、いいところへ入れるスピードを上げて必然にしなければ」と強調。
「パンチを食らい、目が覚める選手がいるかも。もう一度、足元を見つめてやっていく契機に」と、敗戦を前向きにとらえた。

山雅の県内出身3選手のうち、チームと共にJ初舞台を踏んだのはMF小松。入団3年目で初の開幕先発のチャンスに「黒星は悔しいが、守備は結構やれる」と、プロとしての手応えをつかんだ。
反町監督が求めるのは長い距離を走り、広い範囲をカバーする守り。この日も東京Vの攻撃のキーマンMF小林やFWジョジマールを追い回し、課題とされる攻撃面も「シンプルにやる」ことを心掛け、木島徹と並ぶシュート2本を放ってサポーターを沸かせた。
後半23分には味方と接触して右膝を強打し、たんかでピッチ外に担ぎ出されたが、直後に復帰。「走り続けるのが自分の持ち味。できなくなったら(選手を)やめる」。その言葉や表情に、昨季までと違う自信が漂った。

GK(21)野澤「もっとやれるはず。粘り強い守備はできたので、それをどう攻撃につなげるか」
DF(4)飯田「先制され、浮き足だったところをすかさず決められ、相手の狙い通りにやられた。次節はなんとしても勝つ」
DF(23)多々良「自分たちでアクションを起こしている間はうまくいったが、相手カウンターなどリアクションになった時の対応が課題」
MF(8)弦巻「(攻守の)約束事はできていたが、それを上回る動きを相手にされることも。やることをやった上で応用を加えないと通用しない」
FW(9)エイジソン「ポストプレーやワンツーなどは出せたが、シュートが足りなかった。サッカーの質や仲間とのコミュニケーションなど、日本になじめばもっとやれる」
MF(13)木島徹「相手は個々の力もチーム力もJFLとは全く違い、決めるべきところで決めないとこうなる。細かくて早い連携を築かなくては」
新たな挑戦 4日J2開幕  (2012年3月1日号より)
今季のプロサッカーJリーグは4日に2部(J2)、10、11日に1部(J1)が開幕する。今季からJ2に参入する松本山雅FCは、開幕戦で昨季5位の東京ヴェルディと東京・味の素スタジアム(調布市)で対戦する。
Jリーグ元年の山雅は、過去に新潟、湘南をJ2からJ1に昇格させ、五輪代表も率いた反町康治監督(47)が指揮を執る。経験、実績とも申し分ない指導者の下、新加入9人を含む選手31人でシーズンを迎える。
反町監督がまず着手したのが、90分間を戦い抜く体力づくりだ。静岡と宮崎で行った計17日間に及ぶ合宿でも、スピードや持久力などの強化に多くの時間を充てた。
また、「攻撃は個々のイマジネーション(想像力)による部分があるが、守備は経験して判断材料を増やすことが必要。時間が掛かる」と、守りの練習に優先して取り組み、徐々に攻めの練習量を増やすなど、論理的かつ目的を明確に示す指導で、選手のやる気を引き出している。
開幕戦を想定したJ1名古屋との練習試合(2月25日)は、代表クラスも多い相手の主力組に対して無失点。「全員がカバーの意識が高く、昨季と全く違う安心感がある」(DF飯尾)、「相手に縦を割らせなかった。守りで取り組んできたことができた」(GK野澤)と、守備には選手も手応えを得ている。
とはいえ、見せ場が少なかった攻撃陣を含め、戦力的にはJFLで4位だった昨季がベース。新戦力も、昨季Jで完全にレギュラーだったといえる選手はおらず、「正直、どの程度できるか分からない」という指揮官の言葉は本音だろう。
「試合をやりながら鍛えていく」という、土台づくりのシーズンで、どこまで次の段階への可能性を見せることができるか。山雅の新たな挑戦が始まる。

【J2リーグ戦】 22チームによるホーム&アウェー方式の総当たり2回戦(各チーム42試合)。順位は各試合の勝ち点(勝ち=3、引き分け=1、負け=0)の合計で決め、勝ち点が並んだ場合は得失点差、総得点数の順。賞金は優勝2000万円、2位1000万円、3位500万円。
1、2位は来季J1に自動昇格。3番目の昇格クラブは、今季から新たに実施する昇格プレーオフで決める。リーグ戦の3−6位がトーナメント(準決勝11月18日、決勝同25日)で争い、優勝者がJ1昇格の権利を得る。
ただし、今年からJリーグが導入するクラブライセンス制度で、施設や組織、財務などがJ1の基準を満たしていないクラブは昇格できず、プレーオフにも出場できない。
【山雅のホーム試合】 総合球技場アルウィン(松本市神林)で21試合。前売り券はS席2500円(高校生以下1500円)、A席2000円(同1000円)、ホーム・アウェー自由席1200円(同500円)など。コンビニエンスストアの端末などで購入できる。
当日券は各500円増し(高校生以下は前売りと同額)。未就学児は大人1人につき1人まで無料。松本市と周辺の小中学生には学校を通じ、ホーム自由席の招待券を配る予定。
ホーム全試合を観戦できるシーズンパスはSS席(指定、限定300席)6万円、S席3万5000円(高校生以下1万6000円)、A席2万8000円(同1万2000円)、ホーム自由席1万8000円(同6000円)など。問い合わせ松本山雅事務局電話88・5490
(山岡史明)
開幕直前 守備に手応え J1名古屋などと練習試合  (2012年2月28日号より)
J2開幕を3月4日に控える松本山雅FCは25日にJ1名古屋と、26日は北信越リーグ1部のアンテロープ塩尻、北信越大学リーグ1部の松本大と練習試合をした。トヨタスポーツセンター(愛知県豊田市)で行った名古屋戦は開幕戦を想定したメンバーで臨み、45分×3回で計1−1だった。
山雅は名古屋戦の1、2回目を途中交代1人にとどめ、名古屋も元日本代表のGK楢崎やDF闘莉王、田中隼、五輪代表のFW永井ら主力組が2回目の途中までプレーした。
山雅はほとんどの時間帯で相手にボールを支配され、3バックの両サイドを突かれてのクロスに防戦一方の展開だったが、GK野澤やDF飯尾らが中央で粘り強くはね返し、2回を無失点で終えた。
攻撃はカウンターから2列目のMF弦巻や木島徹がゴール前に持ち込んだが単発。中盤の押し上げや、サイドを使う攻めはあまり見られず、1回目の終了間際に弦巻が放ったシュートを、楢崎に足で防がれたのがほぼ唯一の決定機だった。
3回目は両チームともメンバーを入れ替え、山雅は4分にCKから失点したが、2回目の途中から出場したMF木島良が14分、CKのこぼれ球を遠目から決めて追い付いた。
反町監督は「危なかったのは、自分たちの尺度でサッカーをしてしまった開始直後の10分間だけ。実りが多いゲームだった」と1、2回目の無失点を評価した。

松本大、塩尻とは松本大グラウンド(松本市)で、それぞれ45分ずつ対戦。前日の3回目のメンバーや、遠征から漏れた選手が出場し、松本大と6−0、塩尻とは7−0だった。
1トップのFWは片山が松本大から、塩沢が塩尻からそれぞれ3得点し、開幕先発をアピールした。
(山岡史明・倉科美春)
開幕戦へ意気込み語る 山形で「キックオフイベント」  (2012年2月28日号より)
サッカーJリーグ2部の松本山雅FCは26日、山形村のアイシティ21で、「キックオフイベント」を開いた。反町康治監督と全31選手が、約1000人のファン・サポーターの前で、3月4日の開幕戦に向けた意気込みなどを語った。
選手一人一人が自己紹介も兼ね、ステージ上であいさつ。質問のコーナーで、今季の反町監督の印象を聞かれた野澤洋輔選手は「新潟、湘南と8年間監督の下でプレーしたが、年々厳しさが増している。今回のキャンプでも走るトレーニングを重点的にした。きつかった分、皆の体ができているのではないか」と答えた。
反町監督は、Jでの戦い方について「選手が自分の力を100%出せる環境を整え、攻撃的なサッカーをする」と話した。
参加した松本市両島の会社員唐沢伸仁さん(41)は「テンションが上がった。このチームならやってくれそう」と、開幕を待ち遠しそうだった。
今季初の練習試合 甲府と2−2 守備に手応え  (2012年2月7日号より)
J2松本山雅FCは静岡キャンプ5日目の2月4日、今季初の練習試合を同県御殿場市の時之栖(すみか)スポーツセンターで行った。J2甲府を相手に45分×3回で行い、合計2−2で引き分けた。
山雅は31選手中、けがのGK石川、白井らを除く28人が出場。
1、2回目は主に昨季リーグの主力とJからの移籍選手で戦い、新加入のFW久木田、MF喜山、DF吉田らが出た1回目は0−0。2回目は43分に自陣右を突かれて失点したが、直後にMF弦巻のマイナスのクロスをFW塩沢が右足で決めて1−1。
主に昨季の控えと新加入の高・大卒選手に練習生3人を加えた3回目は、23分に相手の連続CKから失点。ロスタイムに練習生が得点して追い付いた。
1、2回目の間にも守備の連携を練習させた反町監督は「守りは60−70点。今まで(の練習)は基本問題。今後は応用問題が解けるようにする」。
攻撃については「ボールに絡もうとする動きが少なく、チャンスはほとんどが偶然」とし、宮崎県での2次キャンプ(10−20日)で取り組むとした。
静岡キャンプは5日に終了。チームは2日間休んで8、9日は松本で練習し、9日夜に宮崎入りする。
(山岡史明)
静岡キャンプで戦う体力づくり  (2012年2月4日号より)
今季からJリーグ2部(J2)に参戦する松本山雅FCは5日まで、静岡県で1次キャンプを行っている。3月4日のリーグ開幕から約8カ月間に、42試合を戦うための体力づくりが中心。反町康治監督(47)の下、選手は午前・午後の2部練習で朝から暗くなるまで体を動かし、共同生活でコミュニケーションを深めている。
キャンプは1月31日にスタート。チームは御殿場市の宿泊施設に滞在し、施設に付属する2カ所のグラウンドを使っている。積雪はないが、日が陰ると富士山から吹き下ろす風が刺すように冷たい。
新任のエルシオ・フィジカルコーチ(55)の指導で、けがを防ぐ入念なストレッチや、体幹を鍛える体操などを取り入れている。ボールを使った練習も、体力強化を目的にしたものがメーンだ。
20メートルの往復ランニングで持久力を測定したり、新たに購入した機器を使い運動時の心拍数を図るなど、数値で個人の課題を把握する取り組みも。「走れない選手が多い。もっと強い体をつくらなければ」(反町監督)と、毎日の練習メニューは監督とコーチ陣が深夜まで話し合って決めている。
より実戦的な内容の2次キャンプは10−20日、宮崎県で行う。
(山岡史明)
新体制発表会 J2初年の意気込み語る  (2012年1月31日号より)
サッカーJリーグ2部(J2)の松本山雅FCは29日、今季の体制発表会を松本市まつもと市民芸術館で開いた。チームを指揮する反町新監督やコーチ陣、これまでに決まった新加入9人を含む全31選手がファン・サポーター約1500人と顔を合わせ、熱い声援を受けてJ2初年の意気込みなどを語った。
入場する選手へのコールや応援歌が客席から湧き上がり、反町監督は「非常にまとまりがある応援で驚いた。選手・スタッフが一つになり、いい成績とパフォーマンスで期待に応えたい」。
例年公表される主将は未定。「全員がキャプテンシーを持って臨んでほしい。主将を通じてでなく選手個々と話をするので、決める必要はない」と“反町流”を説明した。
今季のチームスローガン「ワン・ソウル−プロフェッショナルへの変革」や、新ユニホームの披露もあった。今季のクラブ予算は現時点で6億2000万円。
ファン・サポーターの発表会への参加は今年から申し込み制に。ホームページで受け付けた無料席は定員1300人に約4800通(1通で2人まで)の応募があり、抽選に。新加入選手のサインがもらえる200席は事前に販売した。
(山岡史明)
J2初の実戦沸く 横浜で松田さん追悼試合  (2012年1月24日号より)
松本山雅FCに昨季在籍し、昨年8月に急死した元日本代表DF松田直樹さんの追悼試合が22日、横浜市の日産スタジアムで開かれた。J2参入後、初の実戦となった山雅は、松田さんが16年間在籍したJ1横浜MのOBチームと30分1本で対戦し、FW片山が得点して会場を沸かせた。
山雅は今季の新加入選手は参加せず、昨季メンバーのうち23人が出場。途中で全選手を入れ替え、全員が短時間プレーした。
試合中盤にDF玉林の右クロスを頭で決めた片山は「(チーム練習開始から4日目だが)今季は昨季より早く体を動かしていたので反応できた」。
初めて試合での選手の動きを直接見た反町監督は「攻守ともスピードが足りず、判断も遅い。絶対にやらなければいけないこと、やってはいけないことを開幕までに徹底する」と話した。
追悼試合は松田さんと親交があった元選手らが企画し、日韓ワールドカップを松田さんと共に戦った中田英寿さんら元日本代表も多数参加。横浜Mの現役・OBと対戦し、約4万人が観戦した。松田さんと横浜M入団が同期の安永聡太郎・大会実行委員長は「直樹が倒れた松本でも今後、同様のイベントを開きたい」と話した。
「J2山雅」練習開始  (2012年1月21日号より)
今年からプロサッカーJリーグ2部(J2)に参戦する松本山雅FCは19日、今季のチーム練習を開始した。反町康治新監督(47)の下、昨季から残る22選手と、新加入9選手のうち大学生1人を除く計30人が松本市サッカー場で約1時間半、ランニングやパス回しなどに汗をかいた。
反町監督はボールを追う選手に「前を見ろ」「頭を使え」などと声を張り上げて指示した。初のミーティングでは選手に自立とプロの自覚を持つよう促したといい、「今日が一番、新鮮な気持ちのはず。シーズンを通じて忘れずにやってほしい」と求めた。
サポーターやファン約200人が見守る中、Jリーガー初練習に臨んだ塩尻市出身のMF小松憲太選手(24)は「昨季までは新加入の元Jリーガーの間で気後れしたが、今年はそれがない。自信を持ってプレーできそう」と、つかみ取ったプロの座を実感していた。
チームは22日、昨年8月に急死した故松田直樹さんの追悼試合(横浜市・日産スタジアム)に出場。25日から本格的なトレーニングに入る。3月4日のJ2開幕戦は東京ヴェルディと東京・味の素スタジアム(調布市)で対戦。松本市のアルウィンで行うホーム初戦は同11日、モンテディオ山形と戦う。
反町山雅始動へ 松本で新監督就任会見  (2012年1月10日号より)
今季からJ2に参入する松本山雅FCは、新監督に2008年北京五輪男子代表監督で昨季までJ2湘南ベルマーレの監督を務めた反町康治氏(47)の就任を発表し、7日、反町監督らが松本市内で会見した。同監督の契約期間は2年。
昨季からチームを指導する柴田峡コーチ(46)、本間康貴GKコーチ(28)は留任。反町監督の要請で、昨季まで湘南に在籍したブラジル人のエルシオ・フィジカルコーチ(55)の入団とベテランGK野沢洋輔(32)の獲得が内定し、新たに情報収集・分析担当のスタッフが加わる。加藤善之・前監督(47)はゼネラルマネジャーに復職した。
チームは19日に練習を開始。22日に横浜・日産スタジアムで行う故松田直樹さんの追悼試合が反町監督の初采配に。29日に今季の体制発表会を松本市内で行い、1次(31日−2月5日・静岡県)、2次(2月10−20日・宮崎県)のキャンプを経て、3月4日のリーグ開幕に備える。

山雅を率いることになった反町新監督は、理論と情熱を兼ね備えた指導者として知られる。過去に新潟、湘南をJ2からJ1に昇格させた実績もあり、Jに船出するチームの指揮官として最適任だ。
会見では「チャレンジ」という言葉を繰り返し、名実共にアマチュアからプロになる山雅の指揮が、自身にとっても新たな挑戦であることを強調した。
五輪代表監督の経歴は、日本人指導者の中では群を抜く。「(山雅の監督について)周囲には『やめたほうがいい』という声が多かったが、僕は“あまのじゃく”。そう言われると、やりたくなる」と笑わせた。が、その気骨が、Jではまだ弱小に過ぎないクラブにふさわしい。
チームはこれまでに新戦力6人の獲得を発表したが、昨季Jで完全なレギュラーだった選手は一人もおらず、昨季から残る戦力の底上げは不可欠だ。
「山雅はJで活躍できなかった選手の集合体。彼らをどうやって一人前のフットボーラーにするかを常に考えていく」。新たなやりがいを見いだした反町監督が、どう手腕を振るうかに期待が懸かる。

−監督を引き受けた理由は。
山雅はJを目指してからの歴史が浅く、やらなければならないことが多い。が、今後湧き上がってくる、たくさんのポテンシャルを持っている。ゼロからスタートする自分にとっても、やりやすい環境。もう一度トライしたい気持ちが強かった。
選手には常に「前からチャレンジしろ」と言っている。現場を離れてサッカーを客観的に見るのも大事だが、私自身が迷ってチャレンジしないのは、選手に言っていることと相反する。
−山雅の印象は。どんなスタイルのサッカーを目指すか。
昨年の天皇杯の映像を何試合か見た。非常に勢いがあるが、それだけでは勝てない。勢いをうまく利用しながら、細部にわたりチームを構築しなければ。最後の20分くらいは足が止まっている。肉体的に一つ、二つ上をいかないと長いシーズンは戦えない。
現代のサッカーは、どんなに守備を重んじても90分間で1失点はするため、より攻撃を重視したチームづくりをする。積極的にゴールに向かいチャレンジする選手が多そうなので、チームの武器として継承したい。
−今季は昨季の選手がベース。どの程度戦えるか。目標は。
戦術的に足りない部分があり、個々もJ2上位とは差がある。それぞれ向上させ、昨年まで半分アマチュアだった彼らがプロとして自立できるよう、見直していかなければ。
これは私にとっても新しいチャレンジ。今いる選手を鍛え上げることに力点を置く。選手が持つ力を生かすと同時に、まとまりがあるチームをつくらなければならない。
今季はまず土台を築き、最終的にひと桁の順位、もしくは上位を争えるような準備をしていく。
−新潟や湘南ではファンサービスや総合型スポーツクラブ創設にも携わった。
最も大切なのはクラブが地元の人たちに愛されること。総合型クラブは多様な種目を通じて地域の住民に愛されるが、山雅はまだそこまで整備されていない。サッカーがスポーツ文化の一つの中心になるように、J2の中から発信したい。
どのチームもお客が来るか来ないかが論点だが、山雅はその部分はかなりクリアしている。より集客するのが私の仕事。選手が躍動感ある攻撃的なサッカーをしなければ、客は離れてしまう。そこは譲らずにチームをつくり、魅力あるサッカーをしていきたい。

【そりまち・やすはる】1964年、埼玉県生まれ。静岡・清水東高−慶大−全日空サッカークラブ−横浜フリューゲルス−ベルマーレ平塚(現湘南)。現役時代は攻撃的MFで、日本代表は4試合出場。97年に引退後、スペインのFCバルセロナなどにコーチ留学。2001年、当時J2のアルビレックス新潟監督に就任し、04年にJ1昇格、05年退団。06年7月−08年8月、U−23日本代表監督(北京五輪出場)。09−11年は古巣の湘南を指揮し、2年目に11年ぶりのJ1復帰を果たしたが、昨季は再びJ2に降格し20チーム中14位。
(山岡史明)
仕事始め 監督に反町康治氏  (2012年1月7日号より)
今年からプロサッカーのJリーグ2部(J2)に参入する松本山雅FCの新監督が6日までに、08年北京五輪男子日本代表監督で昨季までJ2湘南ベルマーレを率いた反町康治氏(47)に決まった。
6日は山雅の運営会社が松本市芳野の事務所で仕事始め式を行い、大月弘士社長(46)がスタッフに「われわれのJリーグ元年が始まる。地域の多くの人たちの期待が懸かっており、それを誇りに頑張ってほしい」と呼び掛けた。
クラブは今季、ホーム1試合の平均観客数1万人以上を目標に掲げ、昨季1億9000万円だったスポンサー収入を3億円に増やし、計6億円の運営費を見込む。チームは今季6位以内を目標に、3年後をめどにJリーグ1部(J1)昇格を目指すとした。
山雅はこれまでに新加入6選手を発表。あと数人を加え、昨季から残留した選手と合わせて30人余で今季に臨む。反町監督の下で17日に始動し、キャンプなどを経て3月4日のJ2リーグ開幕に備える。
(山岡史明)
信州Jリーグ元年  (2012年1月3日号より)
信州Jリーグ元年−。昨季JFL(日本フットボールリーグ)で4位の成績を残し、県勢で初めてプロサッカーのJリーグ入りを果たした松本山雅FC(松本市)は今年、全国の22チームが争う2部(J2)に参戦する。
山雅は新監督の下、昨季在籍した選手約20人に新戦力10人程度を加え、1月17日に始動を予定。2月にキャンプを行い、開幕に備える。地元出身ではMF今井昌太(上松町)、MF小松憲太(塩尻市)の両選手が初めてJリーガーになり、夢の舞台に立つ。
J2は、ほかの21チームと本拠地と敵地で1試合ずつ戦うホーム&アウェー方式の総当たり2回戦。3月4日に開幕(1部=J1は3月10日)し、11月11日の最終節(J1は12月1日)まで各チーム42試合を戦う長丁場だ。
J2は今季から原則日曜の開催に。各チームの開幕カードが1月中旬、全ての対戦カードは2月初めにも発表される。新加入チームの通例で、山雅は敵地で開幕戦を迎える。
Jをみる〜ベガルタ仙台・ガイナーレ鳥取から  (2012年1月3日号より)
松本山雅FCが今年参入するJリーグは地域密着の理念を掲げ、各クラブはスポーツ振興やまちづくりにも取り組む。ホームタウンの熱心な支援を受ける1部(J1)ベガルタ仙台を訪ね、Jクラブが地域にもたらすメリットなどを聞いた。
また、山雅に先駆けて昨季2部(J2)入りしたガイナーレ鳥取は、苦闘の初シーズンを送った。JFL時代の2008年からチームを取材する日本海新聞(鳥取市)の輔野沙織記者に昨季を振り返り、山雅がいかに戦うべきか、寄稿してもらった。

東日本大震災の被災地がホームタウンのベガルタ仙台。昨季は終盤まで優勝争いに加わる奮闘でJ1でクラブ過去最高の4位という成績を収め、復興へ歩む市民を勇気づけた。
そんな中、昨季はJ2京都からDF角田誠選手を獲得したことが、地域との思いがけないつながりを生んだ。サポーターの呼び掛けを機に、県南部の角田市で同選手の後援会が発足したのだ。
クラブは角田選手を避難所に連れて行ったり、同市の夏祭りにマスコットやチアリーダーを出演さたりして盛り上げ、同市から仙台に応援ツアーが訪れるようにもなった。
クラブ運営会社の貝田真ホームタウン課長(36)は「選手やベガルタを材料に地域を盛り上げようという動きに呼応し、いいキャッチボールができている」と話す。
仙台市や商工会議所、市民後援会、地元マスコミなどでつくる支援組織「ホームタウン協議会」は、地下鉄の駅や車内にポスターを掲示したり、クラブからチケットを購入してお年寄りや障害者、福祉施設に配布したり。ベガルタが行うサッカー教室などでコーチの旅費も支給するなど、さまざまな支援を行っている。
経費は市が負担し、昨年度まで年約6000万円を計上。本年度は震災で1000万円を執行停止にしたが、行政の財政支援としては他のJクラブにない多さという。
同市にはベガルタのほか、プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルス、プロバスケットボールbjリーグの仙台89ERSも拠点を置く。それぞれの支援組織の事務局は全て市が担い、3チームの看板を並べたり、同じ日の昼と夜にあるそれぞれの試合を共同で宣伝するなど連携している。
協議会事務局を務める市スポーツ課の西本憲次さん(49)は「プロスポーツが地元にあることで『やってみたい』という子どもが増え、学校の部活動が盛んになり、市民のスポーツ熱が高まる。対戦相手のサポーターの滞在、マスメディアへの露出など経済効果も大きい」と、手厚い支援の理由を説明する。
(山岡史明)

昨季、山陰初のJクラブとして誕生したガイナーレ鳥取。前年JFL覇者の“J2元年”は38戦して8勝7分け23敗で、20チーム中19位。主力のほとんどがJ参入を勝ち取った現有戦力で、2010年に参入した北九州が36戦1勝、09年の岡山と栃木はどちらも51戦8勝だったのを考えれば、奮闘したと言える。
前線からの連動した守備でボールを奪い、攻撃に展開するアグレッシブサッカーで2戦目に初勝利。J1から降格してきた京都や湘南にも、挑戦者らしく走り勝った。5億6000万円というJ2下位の経営規模で2、3倍の予算を持つクラブを破った。
しかし、疲労が蓄積する夏場に足が止まりだし、苦戦が始まる。生命線の運動量を欠けば個々の差は歴然。パスのスピードや質はもちろん、トラップなどJFLでは見逃されていた細かなミスが、Jでは失点に直結した。1対1で競り負ける場面も多く、セットプレーでの失点は全体の約3割を占めた。
攻撃はポゼッションできても、ゴール前を崩す最後のアイデアと精度が足りなかった。得点、失点ともワースト2位。1点差の惜敗は13試合あったが、点差以上にレベルの違いは大きかった。経営規模が最終順位に比例したのも現実だ。
Jは甘くない−。そう痛感させられた1年目だったが、何よりチーム、そしてプロとして「戦う集団」になり切れなかった未熟さが、下位に甘んじた最大の要因だろう。
得点できず、勝てず、連敗が続く中、選手の方向性が「勝利」だけに向かわなくなった。個で劣るチームが一体感でつながる組織力を失えば、結果は見えている。いわば、自分たちに負けた。
JFLの時は「J昇格」という絶対的な目標があったが、J2の新参者がいきなりJ1昇格を争うのは難しい。苦しい状況に陥った時、目の前の1勝を挙げるために、どれだけ“チーム”として戦えるか。今季の松本山雅もきっと、同じことを問われるだろう。
(日本海新聞・輔野沙織記者)


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