2016年バックナンバー


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U-18 国内外強豪と対戦、糧に   (2016年12月29日号より)
国内外のユース(高校生)年代の有力8チームが競うサッカー大会「Jリーグインターナショナルユースカップ」は12月21、22、24、25日、長野市の2会場で開いた。昨年に続き2度目の開催。10〜11月のJユースカップJリーグユース選手権4強の実績で初出場した松本山雅U−18は、7位だった。
Jユース杯4強と、海外から招いた4チームが出場。国内と海外が2チームずつになるよう2組に分けて、組内で総当たり。その後、両組の1〜4位同士が対戦して、最終順位を決めた。
山雅は3年生が引退し、新チームとなって初の公式戦。Jユース杯覇者で、夏の日本クラブユース選手権(U−18)大会も制したFC東京U−18との初戦(21日)は、飛び級でU−19日本代表に選ばれた中学3年生のFW久保建英選手に2点を奪われ、0−3で完敗した。
その後は海外勢との2試合にも敗れ、グループ最下位。7、8位決定戦は、同じJユース杯4強の京都に3−2で競り勝った。
山雅の臼井弘貴監督(36)はFC東京戦の後、個の力と経験の差を指摘。走力など通用した点はあるとし、「格上との経験をもっと重ねていかなくては」と、チームづくりを見据えた。
フィゲレンセ(ブラジル)が優勝。2位は釜山アイパーク(韓国)、3位はFC東京だった。
現役引退 鐡戸に聞く決断への思いと今後   (2016年12月15日号より)
今季最後の試合となった11月27日のプレーオフ準決勝後、鐡戸裕史(34)が現役引退を表明した。北信越リーグ1部だった2009年途中から在籍するチーム最古参でJFL、J2、J1と3度の昇格に貢献した“レジェンド”は、来季からクラブのスタッフになる。選手生活を振り返ってもらいながら、現在の思いや今後について聞いた。

−引退を決めた今の気持ちは。
悔いが残らないように−との思いを持ってやってきたが、実は気持ちの整理がつかない。僕はエリートではなく、選手生活もアマチュア契約からのスタート。ようやくつかみ取ったプロへのこだわりもあり、自ら幕を引くのは勇気が要った。
−決断した決め手は。
試合出場を目指すのは当然だが、出られなくても練習に取り組む姿勢や裏方などで良い影響を与えられるなら、存在価値があると思いやってきた。来季もやれる自信はあるが、試合に出る機会が減っている自分にどれだけ説得力があるのか悩み、これ以上は難しいと思った。
−移籍して現役を続ける選択は。
ユニホームを脱ぐなら山雅でと決めていた。練習も多くの人が見に来て応援してくれる。これほどやりがいのある環境は他にない。
−山雅でプレーして印象に残ったことは。
たくさんあるが、加入初年は大きなシーズンだった。Jから地域に来て、チームの雰囲気や環境などギャップに悩んだ。「ここで負けたら先がない」という試合が続き、綱渡りのようだった。それまで以上に一日、一瞬に全力で臨むことを心掛け、自分も成長した。
JFL昇格を懸けた全国地域リーグ決勝大会決勝ラウンド最終戦(09年12月6日)はアルウィンの観客が1万人を超え、その光景は今でも鮮烈に覚えている。地域で1万人なんて、ちょっと信じられなかった。この熱を冷まさずJに持っていきたい、この人たちのためにも持っていかなければと強く思った。
−スタッフとして山雅や地域とどう関わっていくか。
具体的な仕事はまだ決まっていないが、指導、営業、経営などいろいろなことを学んで経験したい。チームと会社の一体感をより強くしたり、ファンやスポンサーなど地域を大事にしたりする、その象徴になりたい。どんな仕事でも、その力になれればいい。
(長岩将弘)
来季こそ サポーターやボランティアの思い   (2016年12月15日号より)
J1再昇格はならなかったが、今季もホーム競技場のアルウィンには1試合平均1万3631人のファン・サポーターが詰めかけて声援を送り、1試合当たり約120人のボランティアがスタジアムの運営を担った。それぞれの代表や関係者に思いを聞いた。

【サポーター「ウルトラスマツモト」コールリーダー 新関孝典さん】
悔しいシーズンでした。選手や監督、コーチ、スタッフ、みんなものすごい努力をして、あれだけの勝ち点を取ったのに、報われないなんて。
でも、けが人が続出する中、チーム全員で乗り越えたこと、そして若手からヒーローが生まれたことがうれしかったですね。
今季は、これまでで一番安定感があったのでは。序盤こそ新たなスタイル構築の過程で苦しみましたが、そこを耐えたらきちんと結果が出て、反町監督はすごいなと。
監督はいろんな覚悟を決めて、来季も引き受けたと思います。僕らもその覚悟に応えたいし、反町監督を男にしたい。勝ち点につながるように、声援を送ります。
山雅の魅力の一つは「温かさ」です。対戦相手のサポーターとも一緒に楽しむ。讃岐戦限定のチャント「釜玉より蕎麦(そば)」はその代表例。JFLの時は「松本ぼんぼん」を歌いました。勝ち負けだけではない楽しみ、ゲーム以外の楽しみをどんどんスタジアムにつくり出したい。
実は、幻になったJ1昇格プレーオフ決勝で、ある演出を用意していました。それは来季まで温めておきます。“その時”が来たら、観客の皆さん、ぜひ協力してください。

【試合運営ボランティア「チームバモス」代表豊岡圭さん】
1年で降格した次のシーズン。われわれにとっても大変でしたが、実りあるシーズンでした。
観客もボランティアも昨季より減るのは避けられないと思っていましたが、観客は一昨季を上回り、ボランティアも昨季とほぼ同数。さまざまなイベントや企画を仕掛けたクラブの努力のたまものだし、われわれの自信にもなりました。
ボランティアは14年以降、1シーズンの延べ参加人数は2480人ほどで、ほぼ変わりません。ただ、ボランティアの人数が少ない試合に、想定以上の観客が詰め掛けると大変です。今季もそういうケースがありました。
昨季はJ1を経験。ボランティアは、この人数を維持するのか、さらに参加者自体を増やしていくのか−。クラブとも連携して精査し、どうすれば力を発揮できるか、先を見据えて考えるべき時に来ているのかなと感じます。
ただ、カテゴリーがどこであれ、目指すのは入場から退場までを「当たり前」に過ごしてもらうこと。スムーズな着席や再入場、仕事の効率的な役割分担など、今年の経験を糧に、基本的な部分をよりステップアップさせたいと思っています。

【Jへの種まいた2人・高橋耕司さんと小林克也さん】
「トップチームがどのカテゴリーにいても、山雅が地域でやるべきことは変わらない」
山雅のJリーグ入りを最初に目指し、行動を起こした高橋耕司さん(53、松本市蟻ケ崎)と小林克也さん(53、同市里山辺)は「J1に再昇格できなかったのはショック」としながらも、「原点である“地域への感謝”をこれからも形にしていく」と口をそろえる。
2人は高校時代からの親友。アマチュア期の山雅でプレーし、チームが北信越リーグで低迷した2000年ごろ、指導者として二人三脚で立て直しを図る中で、プロ化を模索した。
「まずは地域貢献を」と03年、子どもにサッカーを教える「育成部」を立ち上げ、園児〜中学生45人で出発。最初のサポーターとして現在のゴール裏をつくった疋田幸也さん(41)にチームの応援を頼み、高校の後輩で後にクラブ運営団体の初代責任者を務めた八木誠さん(51)ら若手経営者にスポンサー獲得など資金集めを依頼。Jリーグ入りの種をまいた。
その後は元プロ選手や専門家にチームの指揮とクラブ運営を任せ、黒子として支えながら育成を担い、現在は山雅の小学生チームとサッカースクールを運営するNPO法人「松本山雅スポーツクラブ」の理事長と副理事長としてコンビを組む。「ビッグクラブではない山雅がJで生き残るには、自前の選手を育てるしかない」(小林さん)
また、「1人でも多くの人に山雅に触れてもらうことで、地域に根差せる」(高橋さん)と、今後は総合型スポーツクラブを目指し、サッカー以外の競技や、市民の健康づくりにつながる運動の普及に乗り出す。
11月に始めた「親子運動教室」は、幼児の運動神経の発達を促し、サッカーに限らず一流の競技者が育つ環境づくりが目的。トップチームが地域を挙げて応援されるようになった今、「山雅はこのまちで何ができるか」を問い、形にしていく。
(取材班)
J1へあと一歩 勝ち点は自動昇格の一昨季上回り   (2016年12月15日号より)
1年でJ2に降格した悔しさを晴らすべく、J1再昇格を掲げて戦った今季の山雅。新たな攻撃の形をものにして最終盤まで昇格争いを繰り広げながら、最後に生命線の堅守が崩れてJ1にあと一歩届かなかった。ただ、積み上げた勝ち点は2位で自動昇格した一昨季を上回り、来季への希望を十分に感じさせる戦いぶりだった。
反町監督が当初から「どんなクラブも降格した翌シーズンは、いろいろな意味で難しい」と漏らしていたように、結果的にハードルは高かった。
山雅は、資金力や豊富な戦力でJ1に返り咲けるビッグクラブではなく、一方でサポーターの期待は高く、重圧もあった。
降格で主力の一部は抜けたが、シュミットや宮阪ら穴を埋める選手を加えて戦力低下を阻止。オビナの離脱で3月に高崎を緊急獲得し、夏の移籍期間にはパウリーニョと三島が加入。シーズン途中に弱点やけが人をカバーする補強にも成功した。
J1で通用しなかった昨季の経験から、今季は縦への速さやセットプレーでの得点力、堅守、走力といった従来の強みを持ちつつ、パスをつないで主体的に相手を崩す新たな攻撃の形に挑戦。
序盤は新スタイルを確立できず、6節まで1勝3分け2敗で中〜下位をさまよったが、「思ったより早く形になった」と指揮官が振り返る通り、7節から3連勝で急浮上。14〜23節は9勝1敗と中盤戦で波に乗り、一昨季と同じ22節で自動昇格圏内の2位に。25〜40節はクラブ新記録の16試合無敗とした。
オビナや安藤、6月から約3カ月間チームを離れた田中ら、主力にけが人が相次いだが、代わって出番を得た飯尾や那須川らが予想以上に活躍。シーズン途中に加わった選手も力を発揮し、「誰が出ても遜色ない」(高崎)層の厚さで乗り切った。
最後の過密日程となった38〜40節は無失点で3連勝。40節を終えた時点で首位札幌と勝ち点で並び、得失点差1で2位と優勝に手が届く位置に。
全てが狂ったのは前半の2失点で敗れた次節の町田戦。今季大きく手を入れずに質を高め、実際に機能もしてきた守備がここから揺らぐ。最終節の横浜FC戦、岡山と争ったプレーオフ準決勝も、先制を許して複数失点する展開を繰り返した。
特に年間3位で回ったプレーオフは、6位の相手と引き分けても決勝進出という状況で、後半ロスタイムに勝ち越される「これまで何度もあった」(岩間)詰めの甘さを露呈。今季リーグ最少失点ながら、土壇場で踏ん張りが利かなかった。
ただ、1日に行った今季最後のミーティング後、反町監督は「勝ち点84は胸を張っていいと選手に伝えた。目標は達成できなかったが、チームとして新たなことに取り組み、充実していた」と、手応えも口にした。
指揮官は5日、「いばらの道は覚悟の上で、もう一度チャレンジしたい」と、来季の続投を表明。収穫を結果に結びつけるべく、「今季の上をいくチーム」をつくる戦いを始めた。
(長岩将弘)
反町監督続投へ「昇格へ意地、今季の上を行くチームを」   (2016年12月8日号より)
サッカーJ2松本山雅FCの反町康治監督(52)が、就任6年目となる来季もチームの指揮を執ることが決まった。今季の山雅は1年でのJ1返り咲きを掲げて戦ったが、最終盤でつまずき、惜しくも昇格はならず。反町監督の下、来季再びJ1昇格に挑むことになる。
反町監督は5日、松本市並柳のクラブ運営会社事務所で会見。「本来の目標には届かなかったが、その後、会社やファン、サポーターの真摯(しんし)な思いを受け止めた」とし、「松本を離れることは簡単だが、私にもクラブにも意地がある。いばらの道は承知の上で、もう一度チャレンジしたい気持ちに至った」と説明した。
来季のチームづくりについては「具体的なことはまだ何も描いていない」としながら、「今季の上を行くチームをつくり上げなくては目標は達成できない。それに向かい、まい進していくだけ」と、決意を話した。
クラブ側は監督の手腕を高く評価。強化の継続性も重視し9月に続投を要請したが、監督は「シーズンの戦いに集中したい」と、回答を保留していた。
今季は自動昇格圏内の2位を終盤まで維持したが、リーグ最終戦を残し3位に後退。そのまま2位・清水エスパルスに得失点差で逃げ切られると、最後の昇格枠を懸けて臨んだプレーオフ初戦では、ファジアーノ岡山に後半ロスタイムの失点で敗れた。
あと一歩で昇格を逃した衝撃は大きかったようで、今季最後のチームミーティングがあった1日の取材では「放心状態。(続投要請は)前向きにとらえたいが、気持ちの整理がつかない」と、胸中を明かしていた。
08年の北京五輪代表も率いた反町監督は、山雅がJ2に昇格した12年シーズンに就任。史上最短の3年でチームをJ1に導いたが、J1では苦戦し、1年でJ2に降格した。
J1昇格ならず 生命線の堅守破れ岡山に1−2   (2016年11月29日号より)
J1復帰かなわず−。サッカーJ2の松本山雅FCは27日、J1昇格の残り1枠を争うプレーオフの準決勝でファジアーノ岡山と松本市のアルウィンで対戦し、1−2で敗れた。降りしきる雨の中、1万人を超すサポーターが声をからして山雅を後押ししたが、あと一歩で決勝進出を逃した。
山雅は前半23分に先制される苦しい展開だったが、後半29分にパウリーニョ選手がコーナーキックに頭で合わせて同点にした。しかし、残り数分となった後半ロスタイムにまさかの失点。試合終了の笛が鳴り響くと選手はグラウンドに崩れ落ち、倒れ伏した。
決勝進出を確信していたサポーターもしばし沈黙したが、すぐに健闘した選手たちをスタンドからたたえ、「来シーズンこそJ1へ」と大きな声でエールを送った。
山雅を北信越リーグ時代から応援しているという菊田直由さん(40、笹賀)は「シーズン3位で来たのに、こういう結果は悔しい」としながらも「選手はみんな頑張った。J1だろうがJ2だろうが、山雅を応援する気持ちは変わらない」と来季を向いていた。

負ければ終わりのトーナメントで争うプレーオフの初戦。年間順位で上回る山雅はホーム開催で、引き分けでも決勝に進める有利な立場だったが、土壇場の失点で敗れた。「1年を通して、こういう場面は何度もあった。改善し切れなかった」と岩間が悔やんだ通り、最後も詰めの甘さに泣いた。
山雅はほぼボールを支配して攻め続けていた前半23分、カウンターのロングボールにヘディングで競り負け、拾った岡山FW押谷に決められ先制を許す。
後半も開始直後から何度も決定機をつくったが、時に5バックを敷いてブロックをつくる岡山は最後の一線を割らせない。それでも29分、途中出場の宮阪の左CKにパウリーニョが頭で合わせ、同点に追い付いた。
しかし、リーグ1〜40節は1試合平均0・7失点だったのが41、42節は2失点し、この日を含めて3戦続けて前半に先制された山雅は、生命線の「堅守」を取り戻せなかった。後半ロスタイム2分過ぎ、岡山FW赤嶺に最終ラインの裏にフリーで走り込まれ、勝ち越し点を奪われた。
年間勝ち点で2位清水と並びながら得失点差で自動昇格を逃し、勝ち点19差をつけた6位岡山に昇格の望みを絶たれる厳しい現実。
反町監督は「気持ちの整理がつかないが、実力がなかったということ。全て私の力不足」と責任を背負い、「これより強いチームをつくるのは至難の業。選手には、年間勝ち点84は胸を張っていいと伝えた」と健闘をたたえた。問われた来季の去就は明言を避けた。
打ちひしがれる選手が多い中、田中は「何かが足りないから負けた。悔しさをばねにその何かを見つけ、埋めていかなくては」と、必死で前を向いた。
試合後、今季限りでの現役引退を表明した在籍最長の鐡戸は「(加入した)09年からいろいろなことがあったが、山雅は着実に前に進んでいる」とし、「来季もチャンスはある。昇格、J1定着と前進し続けてほしい」。
それは雨の中、最後まで声をからしたファンやサポーターの願いでもある。ここから立ち上がり、新たな一歩を歩みだすことができるか。
プレーオフもう1試合の4位C大阪−5位京都は1−1の引き分け。年間順位で上回るC大阪が、J1昇格を懸けて12月4日の決勝で岡山と対戦する。
(取材班)
山雅J1懸けプレーオフへ 最終節勝利も自動昇格届かず   (2016年11月22日号より)
サッカーJ2は20日、最終節(第42節)を各地で行った。3位の松本山雅FCはJ1自動昇格(2位以内)を目指して8位横浜FCと松本市のアルウィンで対戦。3-2で勝ったものの、2位清水エスパルスが勝ち、1位北海道コンサドーレ札幌も引き分けたため、順位は3位のまま。3〜6位がJ1昇格の残り1枠を争う「プレーオフ」へと、決戦の舞台を移す。
自動昇格のためには勝利が絶対条件。選手の背中を押そうと、アルウィンには過去最多の1万9632人が詰め掛け、大声援を送った。
試合は前節同様、前半序盤に先制を許す厳しい立ち上がりだったが、前半ロスタイムと後半5分に高崎寛之選手が連続得点するなど攻勢。4分後に同点にされたが、37分に三島康平選手が値千金の決勝ゴールを決めた。
山雅はそのまま勝ちきったが、選手に笑顔はなし。サポーターも山雅と同時刻に行われた他会場の結果にかたずをのみ、アルウィンは静寂に包まれた。間を置かず清水と札幌の試合結果がスタジアムに流れると、サポーターは「あと2つ勝つぞ」と選手を鼓舞。
北信越リーグ時代から応援する田川正樹さん(39、島内)は、JFL昇格を懸けて4チームが戦った2009年の全国地域リーグ決勝大会決勝ラウンドを回想。「あの時もアルウィンで昇格を決めた。もう一度あの喜びをここで味わいたい」、小岩井尚直さん(39、里山辺)は「(プレーオフ初戦で対戦する)ファジアーノ岡山には10月にアルウィンで引き分けに持ち込まれた。まずそのリベンジをして弾みを付けたい」と力を込めた。

プレーオフ初戦となる6位岡山との対戦は、27日午後3時半からアルウィン。リーグ戦とは別大会の扱いのため、別途観戦チケットが必要。
27日のチケットは価格・席種とも今季リーグ戦と同じで、23日午前10時から一般販売。各コンビニエンスストアなどで購入できる。
シーズンパス保持者とクラブガンズ会員には先行販売。詳細はクラブ公式サイト。問い合わせは株式会社松本山雅電話88・5490

◇  ◇  ◇

リーグ最終戦を白星で飾ったものの、勝ち点で並ぶ清水に得失点差で及ばず、昇格プレーオフへと進んだ山雅。ただ、田中は「勝って3位と負けて3位とでは、勢いの面で全然違う」と指摘。難しい試合を勝ちきったことは、プレーオフに向けた自信と手応えになるはずだ。
山雅の試合の立ち上がりはやや硬く、前半9分に一瞬の隙から自陣右サイドを破られ、先制を許した。
だが、その後は押され気味ながらも浮き足立つことなく冷静に試合を進め、徐々にリズムを引き寄せる。
すると前半ロスタイム、ペナルティーエリア内での相手ハンドでPKを獲得。これを高崎が落ち着いて決め、試合を振り出しに戻して折り返した。
高崎はさらに後半5分、工藤からのパスを左サイドで受けると、小さくヘディングで浮かせて巧みに抜け出し、そのままミドルシュート。リードを奪った。
しかしその4分後、自陣左CKに頭で合わせられ、再び同点に。
互いに攻撃的な選手を送り込んで3点目を狙う中、試合が動いたのは終盤の37分。途中出場した宮阪の左CKに、同じく途中出場の三島が倒れ込みながら頭で合わせ、勝ち越しゴール。これが決勝点となった。

プレーオフはトーナメント形式で、27日に3位山雅と6位岡山、4位C大阪と5位京都を行い、それぞれの勝者が12月4日の決勝へ。会場はいずれも年間順位上位クラブのホームで、引き分けの場合は上位クラブの勝ちとなる−など、リーグ戦結果の優位性が保たれる。
反町監督は試合後、「今にして思えば、勝ち点1の重みを痛感する」と悔しさものぞかせつつ、「これも42試合やってきた結果。真摯(しんし)に受け止め、次へのエネルギーとしなくては」ときっぱり。
選手たちも「また2試合、アルウィンで勝ちたい」(高崎)、「今まで通り、1試合ずつ集中するだけ」(工藤)と意気込む。
一昨季、山形で6位からプレーオフを勝ち上がってのJ1昇格を経験した宮阪は「前回のプレーオフは楽しかった」とし、「一発勝負の怖さはあるが、どれだけ自分たちのサッカーを自分たちらしく表現し、楽しめるかだと思う」と見据えた。
(取材班)
J2第41節 痛恨の敗戦で昇格争いは最終節へ   (2016年11月15日号より)
敵地で7位町田に敗れて17試合ぶりの黒星を喫し、山雅は自動昇格圏から滑り落ちた。首位の北海道コンサドーレ札幌、2位清水との自動昇格争いの決着は最終節に持ち越したが、勝ち点で並ばれた清水には得失点差で18上回られており、自力での自動昇格は事実上消えた。痛すぎる敗戦から立ち上がることができるか。
試合後、反町監督が「どこかに重圧や、普段なら出ないおごりがあった」と絞り出したように、動きが硬かった前半が勝負を決定づけた。
山雅は序盤から相手の速さや球際の激しさに負けて押し込まれた。12分、自陣右を破られ、逆サイドへのクロスに合わせられ先制を許した。
前半ロスタイムには再び自陣右をえぐられ、深い位置の折り返しから痛恨の2失点目。
相手の出足が鈍った後半は主導権を握り、21分に喜山、石原とつないだボールを高崎が決めて1点を返し、さらに宮阪ら攻撃的な選手を送り込んだが、追加点は遠かった。
前線からの圧力や、人数をかけるサイド攻撃など「狙いが明確。対策は立てやすい」と町田を評していた反町監督だが、「分かっていてやられてしまったのが恥ずかしい」と苦りきった。
飯田が「いつもより勝ちたい気持ちは強かったが、早い時間に失点し、前半はいい形で気持ちを出せなかった。守備ラインでゲームを壊した」と振り返れば、工藤は相手の圧力に屈した攻撃を「ボールの出どころが詰まった」と表現。
田中は「重圧はあるが、それをはねのけてこそ昇格できるチーム。自分たちの試合ができなかった自分たち自身に負けた」と唇をかんだ。
反町監督は「(昇格争いが)最終戦までもつれる経験は初めてではない。まず、指導陣がしっかり構えて精いっぱいの準備をし、選手を送り出す」と決意を語った。
最終節、山雅の自動昇格が決まるのは、勝って清水が引き分け以下の場合と、引き分けて清水が負けた場合。山雅と清水が勝って札幌が負けた場合は、山雅と札幌の得失点差の争いになるが、現状は札幌が3上回る。
3位になると、3〜6位で昇格1枠を争うプレーオフ(準決勝27日、決勝12月4日)に回る。山雅が出場した場合の試合会場は準決勝、決勝ともアルウィン。

昇格を信じて最後の一戦へ−。サッカーJ2の松本山雅FCは12日、FC町田ゼルビアと東京・町田市陸上競技場で対戦し、1−2で敗れた。山雅はこの日勝った清水エスパルスと入れ替わり、J1自動昇格圏内の2位から3位に後退した。
敵地に乗り込んだ山雅サポーターは約3500人。アウェー側のゴール裏を埋め尽くし、メインスタンドも半分近く緑で染めた。
前半に2失点した山雅が後半、反撃に出ると大声援を送り、押せ押せの雰囲気をつくった。試合後、沈痛な面持ちで引き揚げる選手に「次があるぞ」と力強く言葉をかけた。
近藤潔さん(48、松本市内田)は「まだ終わったわけではない」、長女の春菜さん(14)は「山雅のワンソウル(心を一つに)な感じが大好き。最後に昇格を決め、みんなで喜びを分かち合いたい」と話した。
最終節の20日、山雅は8位の横浜FCと松本市のアルウィンで午後2時から対戦する。

サッカーJ2松本山雅FCのJ1昇格が決まる可能性があった12日、敵地での試合を放映するパブリックビューイング(PV)が松本市と塩尻市で行われた。山雅は敗れて自動昇格争いで一歩後退したが、決着がつく20日の最終戦の会場は松本市のアルウィン。来場者は「次こそ目の前で昇格決定を」と願った。
イオン南松本店(松本市双葉)の立体駐車場で行ったPVは、山雅の運営会社の主催で約600人が来場。縦3・6メートル、横5・5メートルの大型スクリーンで、かたずをのんで試合の行方を見守った。
前半は2失点にため息が漏れ、相手のシュートが2度バーをたたいて悲鳴が上がった。それでも後半に1点を返すと歓声を上げ、ハイタッチをして喜び合ったが、追い付けず敗戦が決まると肩を落とした。
最前列で観戦した望月真奈美さん(55、安曇野市堀金)は「前半は迫力がなかった。せめて同点にしてほしかったが仕方ない。今日のことは忘れて次は勝って」と選手の奮起を期待した。

塩尻市大門一番町のウイングロードビル駐車場で行ったPV「塩尻エキサイティングビジョン」(しおじり街元気カンパニー主催)には380人が来場。塩尻中学校2年の青木樹さん(13、金井)は「後半は追い上げムードだったが、決め切れなかった。次はしっかり勝って昇格してほしい」と願っていた。
(取材班)
J2第40節3強し烈な戦い東京Vに2−0昇格争い残り2戦   (2016年11月8日号より)
J2は6日、第40節を各地で行った。J1自動昇格圏内の2位の山雅は、15位東京ヴェルディとアルウィンで対戦し、2−0で勝った。山雅は今季3位以上が確定。首位札幌が敗れ、山雅は得失点差1で順位は下回るものの勝ち点で並んだ。3位清水も勝ち、山雅との勝ち点差は3のまま。次節(12日)山雅が町田に勝ち清水が引き分け以下、または山雅が引き分けでも清水が負ければ、山雅の2度目のJ1昇格が決まる。
山雅は3日前の前節に続くホーム試合。8試合ぶりに先発した當間が3バックの左に入り、喜山を左ウイングバックで起用した。
コイントスで勝った山雅は前半に風上を選択し、攻撃のリズムをつかむ。前線から圧力を掛けて高い位置でボールを奪い、追い風に乗って手早く攻め込んだ。
23分、左サイドでボールを受けた石原が逆サイドの田中に長いパス。田中が折り返したボールに、石原が滑り込むように合わせて先制。
その6分後には、センターサークル付近で工藤がボールを奪い高崎へ。高崎はドリブルで駆け上がり、相手DFを冷静にかわしてシュート。2点リードで折り返した。
しかし、後半は選手の並びを修正した相手のペースに。山雅は押し込まれる時間が増えたが、シュミットが好セーブを連発するなど守備陣が踏ん張り、無失点でしのぎ切った。
最終盤の過密日程3戦を無失点で全勝し、連続無敗記録は16に。喜山が「全員が守備の戦術を徹底できている」と言えば、パウリーニョも「無失点は大事。チームの自信につながる」とうなずく。
札幌の失速で最終節で優勝の可能性も出てきたが、反町監督は過密日程を乗り切った選手たちをねぎらいつつ、「自分たちのリズムで、目の前の一戦に向けて良い準備をしていくだけ」と、これまで通りの姿勢を強調。
田中も「僕らにできるのは、勝ち点6を取ることだけ。そのためにどうすればいいかをしっかり考え、練習に取り組む」と、表情を引き締めた。
(長岩将弘、松尾尚久)
J2第39節 集中切らさず熊本を零封   (2016年11月5日号より)
J2は3日、第39節を各地で行った。J1自動昇格圏内の2位につける山雅は15位ロアッソ熊本とアルウィンで対戦し、1−0で勝って連続無敗記録を15に伸ばした。首位札幌、3位清水も勝ち、両者との勝ち点3差と順位は変わらず、自動昇格争いは混戦。残り3試合、緊迫した戦いが続く。

1週間で3試合を戦う今季最後の過密日程の2戦目。山雅は序盤からボールを保持し、両サイドを軸に攻撃を仕掛けて多くの好機をつくったが、決め切れない時間が続く。
31分に高崎が倒されてPKを獲得し、自ら蹴ったがGKに防がれた。山雅は前半だけで13本のシュートを放ったが0−0で折り返した。
後半も攻めあぐねたが、22分に試合が動く。パウリーニョから右サイドでボールを受けた工藤が、中央でフリーだった高崎目がけて後方からクロス。高崎は頭でどんぴしゃりのシュートを決め、待望の先制点を奪った。
熊本は前線の選手を入れ替え、長いボールを多用して攻勢を強めたが、山雅は集中を切らさず守り零封。33節(9月25日)清水戦以来のホームでの勝利にサポーターは沸き返った。
試合後、反町監督は「相手に合わせず、われわれが今までやってきたことを繰り返し、粘り強く戦った成果」と強調した。
残り3試合。自動昇格争いは4位C大阪がほぼ脱落し、上位3チームに絞られた。得失点差で17上回られている清水とは、反町監督が「勝ち点2差と考えている」と言う通り、山雅が負けて清水が勝てば順位が入れ替わる。
「みんな状況は分かっているし、チームの雰囲気もいい。俺から改めて言うことは何もない」と田中。
高崎が「他力本願ではなく、自分たちが勝つことが大事」と言えば、工藤も「勝ち続ければ昇格できる。残り試合は少ないが、チームとしてさらに高い完成度を目指し、戦っていくだけ」と力を込める。
指揮官は「この勝ちを無駄にしないためにも、さらにまい進したい」と中2日、ホームで迎える次節をにらんだ。
(取材班)
最終盤を展望 優勝狙い2位死守を   (2016年11月1日号より)
1年でのJ1復帰を目指し、今季J2で戦う山雅。10月30日に敵地で山形を1−0で下し、38節まで終えて21勝12分け5敗の勝ち点75。クラブ最長となる14試合無敗で、J1自動昇格圏内の2位を維持している。2位で昇格した2014年シーズンと比較し、ここまでの戦いぶりを振り返りながら、残り4試合の最終盤を展望する。
今季の山雅は昨季J1での苦戦を基に、縦への速さやセットプレーの強さ、堅い守りという従来の特長に加え、パスをつないで相手を崩す新たな攻撃の形に挑戦。
そのスタイルを確立し切れなかった序盤はもたついたが、7節から3連勝で急浮上すると、14〜23節は9勝1敗とし、中盤戦で波に乗った。14年シーズンと同じ22節でJ1自動昇格圏の2位に浮上し、以降は維持し続けている。
今季、思わぬ困難となったのが、けが人の多さだ。昨季は主力だったオビナ、安藤らが序盤で長期離脱し、6月初めには精神的支柱でもある田中が右目網膜剥離(はくり)のため、約3カ月間チームを離れた。
9月には一時10人以上を欠き、練習にも影響が出た。警告累積による出場停止も重なり、反町監督が「(選手のやりくりが)これほど厳しいのは初めて」と嘆くほどだった。
それでも、3月に緊急で獲得した高崎、夏の移籍期間に加わったパウリーニョら、途中加入の即戦力がチームに適合。けが人に代わり出場機会を得た飯尾、那須川らも遜色のない働きを見せ、敵地で札幌に惜敗した24節を最後に、38節まで3カ月以上負けていない。
36節には敵地で千葉に快勝し、J1昇格プレーオフ進出圏内の6位以上を確定させた。

38節終了時点の状況を前回J1昇格を決めた2年前と比較すると、山雅は同じ2位だが他の上位チームとの勝ち点差が開いておらず、混戦なのが大きな違いだ。
14年は、湘南が3節以降1度も首位を譲らない独走で2位以下を大きく引き離し、最終的に勝ち点101で優勝。山雅も38節時点で3位磐田に勝ち点10差をつけ、最終的には3位千葉を15上回る勝ち点83とした。
ところが今季は、1〜4位が勝ち点9差内にせめぎ合う。11節以降首位を維持し続けてきた札幌が37、38節と連敗し、2位山雅との差は1勝分の勝ち点3に縮まった。
札幌は中〜下位チームとの対戦を残すのみだが、山雅は残り4試合で優勝が狙える状況に。しかし、勝ち点3差で迫る3位清水は得失点差で山雅を15上回っており、このまま勝ち点で並ばれると順位が入れ替わる。
4位C大阪を含めて4チーム間の直接対決は全て終わっており、自動昇格争いは勝ち点を取りこぼしたチームが脱落するサバイバルレースだ。

38〜40節は、1週間で3試合を戦う最終盤のヤマ場だ。山雅は39節(3日)と40節(6日)は移動の負担がないホームでの連戦。好条件だが、重圧や隙といった“内なる敵”との戦いにもなる。
ここ14試合無敗だが、その内訳は7勝7分け。「引き分けが多過ぎる。『負けてない』という感覚はない」と田中が言う通り、強さが際立つという数字ではない。
しかし、けが人や出場停止が重なった時期を、無敗で乗り切ったのは大きい。現在、出場停止選手はおらず、警告あと1回で停止になるのは石原と飯尾だけ。練習には安藤、オビナ、柴田を除く全員が参加し、終盤を戦い抜く戦力は整った。
「どの相手も強敵。楽に勝てる試合など一つもない」と、反町監督は繰り返す。残り4試合、チームとクラブ、サポーターの総力を結集し、来季J1の舞台に戻る資格があることを証明したい。
(長岩将弘)
J2第37節 愛媛と1―1意地の勝ち点1   (2016年10月25日号より)
J2は22、23日、第37節を各地で行った。J1自動昇格圏内の2位の山雅は23日、9位の愛媛FCとアルウィンで対戦し、先制を許したがPKで追い付き、1−1で引き分けた。連勝はならなかったが、堅守の難敵から勝ち点1を挙げ、クラブ新記録のリーグ13試合無敗。22日に敗れた首位・札幌との勝ち点差は6、3位に浮上した清水とは3差。
GKの日本代表候補合宿(17〜19日)中に左足首を痛めたシュミットに代わり、白井が先発して昨年7月以来のリーグ戦出場。
前線から圧力を掛け、攻守を素早く切り替えて攻め立ててくる相手に対し、山雅も引かずに応戦し、序盤から両陣を目まぐるしくボールが行き来する激しい展開。互いに好機を得ながらも決め切れず、0−0で折り返す。
後半も一進一退の攻防が続いたが29分、自陣左からのクロスに合わせられたボールがポストに当たってゴール内へ転がり、先制を許す。
しかし、5分後に途中出場の三島が倒されてPKを獲得し、ゴール右隅に蹴り込んで同点に。追い付いた後は攻撃の勢いを増したが、集中を切らさず運動量も落ちない愛媛の守備をこじ開けることはできなかった。
反町監督は「非常に激しくタフな試合だった。これまでで一番強い相手だった」と振り返り、「だからこそ勝ちたかったし、そのチャンスもあったが、もう一歩足りない」。
7月の加入後初ゴールを決め、にこりともせず試合を再開させた三島は「ほっとした部分はあったが、それより追加点を挙げ、勝たなければならなかった」。
白井も「(失点の場面は)難しい状況だったが、何かできる手立てはあった。悔しい」と、硬い表情を崩さなかったが、反町監督は「苦しい時間帯に先制されても、下を向かず戦えた点は良かった」と評価した。
リーグは残り5試合。次節(30日)から8日間で3戦する最大のヤマ場を迎える。指揮官は「いい緊張感の中でやれている。その時の相手を見据え、精いっぱい準備をしていくだけ」と力を込めた。
(取材班)
緊迫した終盤戦続く中 次戦への選手の活力源は?   (2016年10月20日号より)
J2リーグ戦は36節まで終え、山雅はJ1プレーオフ進出圏内の6位以内を確定させた。ここ12試合無敗で自動昇格圏内の2位を維持しているが、3位C大阪との勝ち点差は4、4位清水も5差で続き、緊迫した終盤戦が続く。そんな中、選手はオフや空き時間にどのようにリフレッシュし、次戦への活力を蓄えているのだろうか。選手に聞いた。
活力の源は「家族の笑顔」という選手は多い。那須川は諏訪湖や善光寺など県内の観光地や温泉を家族で訪ね、「その土地のおいしい物を食べて、リラックスしてくる」。
めったにない連日オフを利用し、今月上旬に家族で白樺湖を訪れたのは宮阪。「息子にサプライズを」と、ホテルの「仮面ライダールーム」に泊まり、大はしゃぎだったそう。「子どもの面倒を見るのは好き。風呂に入れたり、一緒に買い物に行ったり、何でもない日常が活力になる」と“イクメン”ぶりをのぞかせる。
後藤は園児から乳児まで男子3人のパパ。「いつも元気で、こちらもテンションを上げないと付いていけない。オフの日も戦争」。長男と次男が園に行き、末っ子が寝付いた時に「やっと一息つける」と苦笑しつつ、「落ち込んでいる時は元気をもらえる」と目を細める。

仲間同士で出掛けるのも気分転換法の一つ。ピッチ外でのコミュニケーションは、連帯感を強める効果もありそうだ。
石原は近ごろ、喜山らに誘われ、何人かで初秋の美ケ原高原や上高地を訪れた。「松本の豊かな自然を堪能している」という。
妻が出産で里帰り中の武井は、家族と離れて単身生活を送る工藤と食事や遊びに行くことが多いという。年齢が近いこともあり、今季加入した当初から気が合い、「サッカー以外のいろいろな話もし、週明けから新鮮な気持ちでまた練習に入れる」。
その工藤は、武井と2人で初めて行った松本城が印象に残っているそう。「こう言うと、なんかデートみたいですが…」

愛犬家も多い。雄のヨークシャーテリア「九兵衛」を飼う高崎は「犬と過ごす時間が一番の癒やし」と言い切り、安川は雌のフレンチブルドッグ「チャビー」と出掛ける時間がお気に入り。
「犬が大好き」というシュミットは、ファンサービスの時などにサポーターが連れている犬をかまうのが楽しみ。「犬を『わちゃわちゃ』するのが好き。一軒家で飼えるように頑張ります」

独身者はどうしているのか。三島は月に1度ほど実家がある埼玉に帰り、姉の子ども3人と遊んで気分転換するという。一番上が小学1年生のやんちゃ盛り。「1日一緒だとさすがに疲れる」と言いつつ、「『みっしー』って呼んで懐いてくれ、試合も水戸時代から時々見に来てくれる」とうれしそう。
なお、「ぼーっとする時間が好き」というのも三島。1人のときはソファに寝転がり、エネルギーを蓄えているそうだ。
前田は、高校(山梨学院大付属)時代の友人が多くいる山梨に行き、彼らと会うのが一番の楽しみで、休日はたいがい山梨にいるとか。最近、車を買ったそうで「行き来の自由度が増すので楽しみ」。1人の時はレンタル店でドラマや映画のDVDを借りて見たり、自分が出場した練習試合の映像を見たりしているという。
(長岩将弘)
山雅U-18 Jユース杯1回戦快勝   (2016年10月13日号より)
サッカーJリーグクラブ育成組織などのユース(高校年代)54チームがトーナメントで争う、Jユースカップ第24回Jリーグユース選手権の1回戦は10月16日まで、各地で行っている。松本山雅U−18は9日、松本市のアルウィンでAC長野パルセイロU−18を3−0で下し、アルビレックス新潟U−18との2回戦(23日・新潟県聖籠町)に進んだ。
前後半45分。山雅は前半、何度か好機をつくったが得点できず、34分、DF細田凌平(松本筑摩高2)が倒されて得たPKもFW小松蓮(松商学園高3)が外し、0−0で折り返した。
後半も立ち上がりこそ攻めあぐねたが10分、こぼれ球を細田がボレーで蹴り込み先制。山雅はこれでペースをつかみ、持ち前の走力を生かして攻勢を強め、42分に再びPKを得ると、今度は小松が落ち着いて決めて2点目。終了間際には途中出場のMF田辺行我(松商高3)が3点目を押し込んだ。
スコアは快勝だが、課題も残った。試合後、臼井弘貴監督は「今季ワースト3に入る試合。動きが硬く、ボールを失う回数が多すぎた」。シュート6本、PK2本で1得点にとどまった小松も「決めたい気持ちが強すぎて空回りした。チャンスで決めきれないのが実力」と厳しい表情。
県リーグ1部の山雅に対し、全国リーグで戦う新潟はカテゴリーが2つ上の格上。臼井監督は「次戦に向け相手を研究しつつ、ビルドアップなど攻撃面を構築する」と話した。
(大山博)
J2第35節 岡山と1−1、痛恨のドロー   (2016年10月13日号より)
J2は10月8日、第35節を各地で行った。2位の山雅は4位のファジアーノ岡山とアルウィンで対戦し、1−1で引き分けた。けがや出場停止で選手のやりくりが厳しいながら、数的優位にも乗じて先制。しかし、終盤に警戒していた相手セットプレーから失点し、勝ち点1に終わった。
山雅は守備の要の飯田と、前線の山本が警告累積で出場停止。飯田に代わり、3バックの中央に守備的MFの岩間が入ったが、安定した戦いぶり。
後半7分、石原を倒した岡山の渡邊が2度目の警告で退場。以後は引いて守る相手に攻勢を強めて17分、那須川の左クロスを高崎が頭で落とすと、工藤が相手をかわす巧みな動きから左足を振り抜き、先制点を挙げた。
31分、岡山は前線の3人を一挙に代えて諦めない姿勢を見せ、山雅は押されつつも決定機はつくらせなかったが42分、CKからリオ五輪日本代表の矢島に同点弾を許した。山雅は直近11戦を無敗としたが、逃した白星に観客席からため息が漏れた。
反町監督は「全体的に試合をうまくコントロールし、ほぼプラン通りに進んだ」と振り返りつつ、敗れた前回対戦(18節)の2失点もセットプレーからだったことについて「分かっていてもやられるのだから、われわれは強いとは言えない」。
高崎は「追加点を取れなかったのが課題。自分にも好機があった。しっかり決めないと」と責任を背負った。
J1自動昇格(1、2位)とプレーオフ(3〜6位)圏内のチームは今節、山雅と岡山を除き全て勝った。山雅の2位は変わらないが、首位札幌の背中が遠のくと同時に、3位C大阪に勝ち点2差に迫られた。
残り7試合。山雅は現在6位以内のチームとの対戦はなく、昇格は見えない敵との争いに。次節はパウリーニョが出場停止でベストメンバーが組めない状況は続くが、「その意味では、おそらく今日が底」と反町監督。「苦境を乗り越え、カウントダウンに向かいたい」と、2位確保への意気込みを口にした。
(取材班)
けがの予防や回復法など松原チーフトレーナーに聞く   (2016年10月6日号より)
サッカー選手を含むアスリートが避けて通れないのが「けが」だ。J1昇格争いの真っただ中にいる山雅も、相次ぐけが人で選手のやり繰りが厳しく、気掛かりな人も多いのではないか。サッカーで負いやすいけがや回復への取り組みについて、チーフアスレティックトレーナーの松原佑治さん(33)に聞いた。

−サッカー選手に多いけがは。
足でボールを扱い、接触も多い競技の性質上、下肢の打撲、足首やひざのねんざは頻発する。昨年の山雅の場合、けが全体の3割ほどを占めた。
ひざの関節にあって、太ももの骨とすねの骨をつなぐ「前十字じん帯」の損傷・断裂も多い。手術して修復するしかなく、回復まで時間がかかる。今季ほかのJクラブではミッチェル・デューク(清水)や米本拓司(F東京)らが傷めている。
接触はもちろんだが、体質というか、もともと個人が持っている原因で、ふとした拍子に傷めてしまうことも。米本や石川直宏(F東京)ら、繰り返し傷める選手はそのケースだろう。
山雅では、工藤が京都時代に傷めた。接触ではなかったそうで、以後は傷めていない。京都のトレーナーのやり方や理学療法士のケアが良かったのかもしれない。
−よく耳にする「半月板」損傷、「鼠径(そけい)部」痛とは。
ひざの関節でクッションの役割を果たすのが半月板。前十字じん帯と同時に傷めてしまうことがよくある。
こちらは程度や状況により、手術しなくてよい場合も。14年シーズンに田中が傷めた時は、手術をしない治療法を取った。
足の付け根から下腹部周辺の鼠径部が痛み、筋肉や関節の機能障害を生じる鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)も、サッカー選手に特徴的なけがといえる。
最初は、足を付け根から動かした時に「ひっかかる感じ」を訴える。個人が持つ原因による部分が大きく、傷める理由もさまざまだが、サッカーはシュートをはじめ体をひねる動作が多く、鼠径部に負担が掛かるのは確かだ。
山雅ではウィリアンスが昨季、2週間ほど離脱した。その時は軽かったが、ブラジル時代は5カ月ほど競技ができないこともあったそうだ。
ほかにも現役時代の田坂コーチや元日本代表の中田英寿さん、中山雅史さんら、苦しんだ人が少なくない。
−豊富な運動量や多様なセットプレーなど「山雅スタイル」が原因で起こりやすいけがはあるか。
接触が多いセットプレーの練習を真剣にやると、どうしても打撲が増える。仕方ないが、試合前日などははらはらしながら見ている。
私が加入した当初(13年)は、足腰に負担が掛かる人工芝で、シャトルランなど急激な方向転換を伴う練習をよくやっていた。足の甲の最も外側にある第5中足骨の疲労骨折(ジョーンズ骨折)を心配したが、なぜかほとんどなかったので、すごいと思った。
−けがの予防や回復にどう取り組んでいるか。
練習や試合後のケアはもちろんだが、フィジカルコーチのエルシオさんとも連携し、準備運動や練習の中にけがを予防する動きを落とし込んでいる。
離脱者は、全体練習に復帰させる期日の目標を立てて調整する。すぐに戻れそうな選手は軽めのメニューで体力維持に努め、時間が掛かりそうな選手は回復途上の期間も見込み、少し負荷が高い筋力トレーニングを課したりする。
ただ、方法は日進月歩。以前は効果的とされていたことが疑問視されるようになったり、その逆もある。知識や技術を学び続けることが欠かせない。
現在、かつてないほどけが人が出ており、原因を分析している。けがはいつ、誰の身に起きてもおかしくないとはいえ、トレーナーとしてリスク管理に責任を感じている。
今季も終盤。しっかり故障者を治し、これ以上けが人を出さないようにしてチームに貢献したい。
(長岩将弘)
難敵清水相手に完封、自動昇格圏2位を維持 J2第33節   (2016年9月27日号より)
J2は25、26日、第33節を各地で行った。J1自動昇格圏内の2位にいる山雅は25日、勝ち点4差で4位につける清水エスパルスとアルウィンで対戦し、1−0で勝った。今季最多の観客1万7880人の前でセットプレーから得点、衰えない走力で相手の攻撃を封じるなど攻守に“らしさ”を発揮。点差以上の完勝で、2位を維持した。
山雅は試合開始直後からペースを握った。セカンドボールをことごとく拾い、前線の選手がプレッシャーを掛け、リーグ最多得点の相手に攻撃のリズムをつくらせない。
前半24分、センターサークル内から喜山が蹴ったFKを山本が頭で落とし、工藤が滑り込むように合わせて先制。追加点は奪えなかったが、その後も主導権を握り続けた。
後半終盤は相次いで攻撃的な選手を投入した相手に押し込まれたが集中を切らさず、決定的な場面をつくらせず守り切った。
「現状の戦力はJ2で最も充実している」と、清水を警戒していた反町監督。荒れたピッチや相手のミスに救われた部分もあると認めつつ、「攻守に足を止めず、粘り強く戦えた」と選手をたたえた。
が、好内容にも飯田は「今季取り組んでいる、パスをつなぐサッカーがほとんどできなかった。できていれば、終盤も流れを取り戻せたはず」と課題を指摘。
田中も「次につながる内容だったが、勘違いしてはいけない。謙虚に、ひたむきに、こういう試合を続けることが大事」と、19位・讃岐との次節に向け、慢心を戒めた。
直近9戦を無敗とした山雅だが、3位C大阪も勝ち、勝ち点1差で追われる状況は変わらない。さらに次節は警告累積で山本と岩間が出場停止。リーグ終盤の戦いが厳しさを増す中、主力2人を同時に欠くのは痛いが、総力戦で乗り切る構えだ。
(取材班)
外国人選手を支える通訳2人の思い   (2016年9月22日号より)
外国人選手との意思疎通を担う通訳。今季はポルトガル語をブラジル人の橋本・フェリペ・タバレスさん(29)が、韓国語を李善雨(イ・スンウ)さん(38)が、それぞれ務めている。言葉を訳すだけでなく、母国を遠く離れてプレーする選手たちに寄り添い、生活や精神面のケアも担う。独自の信条や熱い思いを胸に奮闘している。

【フェリペさん】
フェリペさんは今季「新加入」。オビナ、ウィリアンス、パウリーニョの3選手とも日本での生活に慣れて家族もおり、「家族ぐるみで良い関係を築けている。楽しんでます」とほほ笑む。
試合・練習時や取材対応などに加え、選手の日々の暮らしにも通訳は欠かせない。病院や銀行、郵便局、市役所などで必要な手続きをサポートしたり、選手の気晴らしのために休日の外出に付き合ったり。
最も大事にしているのは「自分を取り繕わない」ことだ。
隠し事や知ったかぶりをせず、ありのままで接する。分からない日本語は「調べて後で伝える」とはっきり言う。誠実であることが信頼を得る一番の近道という。

Jクラブの通訳になり3年目。昨年、山雅の通訳だった古川宏人さん(現横浜FM)と以前から知り合いで、古川さんの紹介で松本へ。
サンパウロ生まれ。出稼ぎをする両親、兄と共に5歳で来日し、サッカーに親しみながら福島県や群馬県で少年時代を過ごした。
高校卒業後、選手として母国に帰り、2年間ほどプレーした。その後、日本に戻ったが、選手で食べていくのは無理と、早めに見切りを付けた。
21歳で日本人と結婚し、翌年に子どもが生まれた。両親が群馬で経営する在日ブラジル人向けの語学学校を手伝いながら大工、宅配便の運転手、役場の保健センターの通訳、パチンコ店の宣伝カーの運転手など職を転々。がむしゃらに働いた。
やがて、在日ブラジル人を支える両親の姿から「自分も日本で頑張るブラジル人の役に立ちたい」と思うように。兄がJクラブの通訳(現在は磐田)になった影響もあり、J1、J2の全クラブに手紙と履歴書を送り、14年に群馬の通訳に。
だが、「正直、甘かった」。ブラジル人について理解しているつもりだったが、信頼関係を築く難しさを痛感。サッカーの知識も高いレベルを求められた。翌15年は練習生も含めて一度に5人の面倒を見た時期も。手探りで努力を重ねた。

「周りのスタッフに助けてもらってばかりで、まだ未熟。指導陣からすれば、我慢して使っている部分もあるはず」とフェリペさん。「その時できることを精いっぱいやり、成長しながら貢献度を高めていく」と誓う。

【李善雨さん】
今季の山雅でただ一人の韓国人選手・韓承炯(ハン・スンヒョン)は、大卒新人で日本での生活も初めて。李さんは「選手と通訳の間柄というより、後輩を指導する感覚」と話し、「コミュニケーションを待つのではなく、自分から行動を起こし、溶け込んでいくよう助言している」という。
気に掛けつつも、私生活の細かい場面にはあまり立ち入らない。「言葉は違っても、互いにある程度なじみがある国で、文化的にかけ離れているわけでもない。『習うより慣れろ』です」
一方、ピッチでは「指導陣が求めるプレーを選手ができなければ、『きちんと訳しました』と言っても、言い訳にしかならない」と自戒する。指導者の言葉をそのまま訳すのではなく、ニュアンスや声の調子なども加味し、「選手が受け取りやすい伝え方」に心を砕く。
韓承炯は現在、けがをして別メニューで調整中。「こういう時は精神面のサポートが必要」と、小まめに声をかける。

釜山生まれ。通っていた小学校の部活は少年サッカーの名門。俊足を見込まれて4年生で始めるとすぐに頭角を現し、中学時代は全国大会でも活躍した。
高校2年への進級を前に、親の勧めや指導者の縁で来日し、大分高校に入学。高校選手権や国体にも出場し、桃山学院大(大阪)を卒業するまで日本で7年間を過ごした。
帰国後はKリーグの強豪・水原三星ブルーウィングス入り。加入初年の01〜02年シーズンはアジア・チャンピオンズリーグの前身「アジアクラブ選手権」に出場し、準決勝でゴールを挙げるなど2連覇に貢献した。
08年に引退。やり尽くした思いからサッカーを離れる考えもあったが、代理人として働くことに。昨年9月、韓国代表の金甫●{日の下に火}(キム・ボギョン)の山雅移籍が急きょ決まった際、通訳を探す時間がなかったため、以前から知り合いだった李さんに声が掛かり、再び来日することになった。

「大都市ではないのに、これだけファン・サポーターの熱が高いクラブは韓国にはない」と、松本と山雅に驚く李さん。
降格し、負けても優しく、力強い声援が飛ぶ。だからこそ、それに応えなければとの思いを強くし、「韓国人選手が活躍し、再びJ1昇格を果たせれば」と願う。
(長岩将弘)
J2第31節 京都に2−0 持ち味思い出し快勝   (2016年9月13日号より)
J2は9月11日、天皇杯1、2回戦を挟んで3週間ぶりに再開し、第31節を各地で行った。2位の山雅は6位の京都サンガとアルウィンで対戦し、2−0で勝った。完敗だった前週の天皇杯2回戦を反省し、気迫あふれるプレーを展開。右目網膜剥離(はくり)が完治した田中が戦列に復帰する好材料も得て、激しさを増す終盤戦へ弾みを付けた。
山雅は立ち上がりから、前線での守備や攻守の切り替えの早さ、労を惜しまない走りといった持ち味を発揮。
前半5分、FKのサインプレーで工藤と示し合わせたパウリーニョがマークを外し、密集の後方からシュートして先制。その後も主導権を握り続けた。
後半、京都は選手の並びを変え、中盤以降は長身のキロスを投入してパワープレーに。山雅はこれをしのいで42分、岩間からパスを受けた山本が中央で相手守備を引き付けてつぶれ、こぼれ球をフリーで抜け出した工藤が左から落ち着いて蹴り込み追加点。
25節の長崎戦以来、1カ月半ぶりのホームでの勝利に、観客は大いに沸いた。
試合後、反町監督は戦う姿勢を欠いて敗れた前週のJFL・ホンダFCとの試合を引き合いに出し、「あれで勝っていたら、今日は負けていたかもしれない。厳しく言ってきたことが実を結びうれしい」と、檄(げき)に応えた選手にほっとした様子。
田中も「あの敗戦は皆の責任。厳しいことも言ったが、今日は自分たちらしい試合ができた」とうなずいた。
上位は山雅以下、昇格プレーオフ進出圏内の6位京都まで、勝ち点9差内に5チームがひしめく混戦。取りこぼしが許されない、緊迫した戦いが続く。
「こういう試合を続けていかなくては意味がない」。指揮官と選手は異口同音に、この日の戦いぶりが「山雅らしさ」だと、自らに言い聞かせた。
(長岩将弘、松尾尚久)
ファン感謝デーに2800人   (2016年9月8日号より)
山雅は9月4日、サポーター会員を対象にした「ファン感謝デー」を松本市のアルウィンで開いた。約2800人が訪れ、試合とは違う表情をのぞかせる選手やスタッフらと多彩なイベントで交流。選手らは多くの笑顔や歓声に触れ、リーグ終盤戦に向けて気持ちを新たにしていた。
一連のイベントは選手やスタッフらがヤング、アダルトの2チームに分かれてピッチ上のステージで競った。コンコースや室内では来場者が参加する催しを行い、販売ブースには選手がデザインしたグッズが並んだ。
最後は恒例のPK対決。今年はヤング対アダルトで争い、敗れたアダルトチームは罰ゲームで「かえるの合唱」の輪唱を披露した。
閉会セレモニーでは、イベント中とはうってかわって表情を引き締めた反町監督があいさつ。前日の天皇杯敗退に触れ「それでも多くの人に来てもらい、支えを実感している」と感謝し、「リーグが終わったときも、今日のように皆さんと笑い合えるよう、精いっぱいやっていく」。
選手会長の白井も「今、リーグ2位にいられるのは皆さんのおかげ。死に物狂いで昇格を目指す」と力を込め、拍手を受けた。
(長岩将弘)
終盤戦へ「緑化作戦」 山雅と並柳商工会応援ムードさらに   (2016年9月8日号より)
サッカーJ2松本山雅FCと、50余の商店・事業所などでつくる並柳商工会は2日、山雅の事務所がある松本市並柳で、ポスターなどを配って掲示してもらう「並柳緑化作戦」を行った。
緑化作戦はJリーグ昇格以前から同市中心市街地などで行ってきたが、事務所所在地周辺では3月に初めて行い、今回は2回目。先月発表された第31節(9月11日)以降の試合開始時間が入った新たなポスターやポケット版の日程表を配り、終盤戦へ向けていっそうの応援ムード盛り上げを狙った。
同商工会からは青年部長の有川貴樹さん(43、眼鏡・補聴器専門店オプトアルファ店長)ら3人が、山雅側はホームタウン担当の小林陽介さん(33)と片山真人さん(32)が参加し、歩いて30カ所ほどをたずねた。
商店主らは「次も(試合を)見にいくよ」「この調子で頑張ってね」などと笑顔で応じ、さっそくポスターを張り替える人も。
東京靴流通センター松本並柳店では、前回のポケット日程表はすぐに終了。緑色の靴を集めた特設コーナーも好評で「人々の熱を感じる」と、スタッフの吉門明美さん(44)。「このまま駆け抜けて、J1に再昇格してほしい」と願った。
小林さんは「こうした足元からの盛り上げの機運は、とてもありがたく心強い」。
有川さんは「ポスターを余分にもらってくれるなど、前回よりも反応が良かった。今後も地域で後押しする雰囲気を高めていければいい」と話した。
(長岩将弘)
天皇杯2回戦 後手踏みホンダFCに「完敗」   (2016年9月6日号より)
サッカーの第96回天皇杯全日本選手権は3日、2回戦20試合を各地で行った。4年連続の3回戦進出を狙ったJ2の松本山雅FCは、静岡県代表のJFL(日本フットボールリーグ)ホンダFCと松本市のアルウィンで対戦し、1−2で逆転負けした。
JFLはJ2より2つ下のカテゴリー。山雅が12年のJリーグ入り以降に、天皇杯で下のカテゴリーのチームに敗れたのは初めて。

挑戦者として果敢に向かってきた相手に対し、山雅はほぼ主力メンバーで臨みながら受け身に回り、「完敗」(反町監督)した。
球際で激しくボールを奪い、徹底して短いパスをつないで迫ってくる相手に気おされたように、山雅は序盤から後手を踏んだ。
それでも前半26分、工藤が奪ったボールを三島がつなぎ、高崎が決めて先制。しかし、その3分後、右サイドを崩されてクロスから失点し、追い付かれた。
後半も相手の動きは衰えず22分、左からのクロスを合わせられて逆転を許す。山本、ウィリアンスらを投入して攻撃のギアを上げたが、得点できなかった。
反町監督は「サッカーの原点に立ち返らなければならない内容。技術的な問題でなく、フットボーラーとしてファイトできていたのかどうか」と指摘。
先制点が実らなかった高崎も「気の緩みがあったと思われても仕方ない。リーグ戦でなくて良かったと考えるしかない」と、硬い表情で振り返った。
リーグは11日に再開し、2位の山雅は6位の京都を迎え撃つ。天皇杯敗退は、J1昇格を目指すリーグでの戦いに吉と出るか凶と出るか。反町監督は「もっと精進し、今日の負けを次に生かさなくては」と前を見た。
(長岩将弘、田中信太郎)
天皇杯1回戦 若手躍動で大勝 内容に課題も   (2016年8月30日号より)
サッカーの第96回天皇杯全日本選手権は27、28日、各地で1回戦36試合を行った。山雅は28日、山口県代表の徳山大学とアルウィンで対戦し、6−0で大勝した。リーグ戦で出場機会がない若手らが躍動した一方、大学生の相手にペースを握られる時間帯も長く、課題を残した。
山雅は直近のリーグ戦(21日)から先発7人を入れ替え、3年目の柳下と高卒新人の前田が公式戦初先発。GKは今季初出場の白井。
前半はほぼ一方的な展開。山雅は開始直後から押し込み7分、前田が左サイド深くから上げたクロスに三島が滑り込みながら合わせて先制。28分にも安川が蹴ったFKの流れから後藤が頭で折り返し、三島が蹴り込んだ。
さらに1分後、ウィリアンスのシュートはゴールポストをたたいたが、跳ね返りを前田が蹴り込み3点目。42分にはゴール正面で前田から絶妙なヒールパスを受けたウィリアンスが決めて4−0。
しかし、後半は様相が一変。相手に中盤を支配され、セカンドボールを拾われ続けた。決定機こそつくらせなかったが、攻めあぐねる時間が続く。
潮目が変わったのは終盤。42分、柳下の右クロスを途中出場の石原が合わせて突き放し、ロスタイムには相手GKをかわした三島が途中出場の山本にゴールを譲って駄目を押した。
スコアは圧倒。しかし、反町監督は「練習で繰り返しているミスが出てしまい、大きな収穫とは言えない。もっとこだわりを持ってやってほしい」と、若手に一層の奮起を求めた。
前田は準公式戦(3月のプレシーズンマッチ)を除きプロ初得点を挙げたが、「ボールを失うことも多く、まだまだ。次の(出場)機会があれば頑張るだけ」と表情を緩めず、7月末の加入後、初ゴールを含め2得点の三島も「チャンスはもっとあった。悔しさの方が大きい。全体的にプレーも良くなく、特に後半は見つめ直す必要がある」。
次週(9月3日)の2回戦は、1回戦でJ2岐阜を破ったJFLのホンダFC(静岡県代表)をアルウィンに迎える。JFL時代の対戦成績は山雅の2勝1分け1敗。
(長岩将弘、田中信太郎)
暑さ乗り切るこつを選手に聞く   (2016年8月25日号より)
「酷暑」とされる今年の夏は、お盆を過ぎても暑い日が続いている。ナイトゲームとはいえ過密日程が相次ぎ、山雅の選手たちも体にかかる負担は軽くないはずだ。厳しい暑さや日程の中で良いプレーをするため、彼らはどんなことに気を付けているのだろう。夏場の疲労回復法や体調管理のこつなどを聞いた。
暑いと食も細りがちだが、そんな時こそしっかり栄養を取ることが大切。食事をポイントに挙げる選手は多い。
石原は「回数を分けたり、時間をかけてゆっくり」と食べ方を工夫。
那須川は「全体の量は減っても野菜や果物をきちんと取り、栄養のバランスが偏らないように気を付けている」そうだ。
「好物のうなぎを食べに行って夏を乗り切る」というのは飯尾。パウリーニョはフルーツゼリー。「食欲がなくても食べやすく、水分も取れる。何より好きだしね」
工藤は武井を誘って食事に行き、「明るい人と一緒だと楽しく食べられて食が進む」。雰囲気も大事だ。
逆に「夏場は体重が増えがち」というのは當間。沖縄出身で「ばてないように昔から夏は多めに食べるよう心掛けている。ついそういうペースに」なるそうだ。
ただ、山形在籍時代に食べ過ぎを気にしたあまり、体重が減り過ぎたことがあり、「量をセーブしつつ、意識し過ぎないようにしている」という。
休養も大きなポイント。シーズン中はまとまった休日が取れないため、日々の入浴や睡眠を大事にし、「疲れをためない」姿勢が共通する。工藤や飯尾、那須川、宮阪らは血行を良くして疲労回復を早めるという「温冷交代浴」の愛好者だ。
宮阪は寝る前に長めの半身浴でしっかり汗をかき、仕上げに冷水を浴びる。一気に体温を下げることで寝付きが良くなるそうで「プロになってから毎日続けている」。
三島は入浴施設でリラックスし、棒を使って入念にセルフマッサージ。なじみの東京の治療院で教わった方法で、マッサージ棒も同じものを使い続ける。水戸に加入した12年から続けており、「ルーティンになっている部分もある」。
「冷房はほぼ使わない」というつわものは前田。別に我慢しているのではなく、「大阪の実家にエアコンがなかったためか、暑くても割と平気」なのだとか。「松本は心地よい風が吹き、大阪や(高校時代を過ごした)山梨より過ごしやすい」と涼しい顔だ。
「特別なことはしない」という声もあり、高崎は「いつも変わらない生活のリズムを刻むことで、体調を保つ」。これも一つの工夫と言えそうだ。
(長岩将弘)
ブラジル人3選手に聞くリオ五輪への思い   (2016年8月18日号より)
日本勢の活躍でテレビの前での応援も盛り上がるブラジル・リオデジャネイロ五輪。熱戦の真っただ中だが、山雅に在籍する3人のブラジル人選手は、母国での一大イベントをどう見ているのだろう。開催への思いや注目の競技・選手、観戦エピソードなど、リオ五輪にまつわる話を聞いた。
■母国の良さ伝えるチャンス(オビナ)
南米大陸で初めて、さらに豪州以外の南半球でも初の五輪開催。3人は「うれしいことだが、いい部分も悪い部分もある」と冷静だ。
ウィリアンスが「明るい国民性や陽気な盛り上がりがポジティブな点」と言えば、オビナも「治安の悪さは心配だが、ブラジルの良い部分を世界の人たちに見てもらうチャンス」。
「ただし、熱狂で悪い部分が覆い隠されてしまわないか心配」とパウリーニョ。ウィリアンスは「貧富の差や不安定な政情は事実。この五輪が、より良い国になるきっかけになれば」と願う。
■サッカーで初の金メダルを(ウィリアンス)
注目競技を尋ねると、3人は「もちろん、男女のサッカーだよ」。
オビナは「オーバーエージ(OA)枠で出場、主将としてもチームを引っぱるFWネイマール(バルセロナ)に期待」。
ネイマールと交流試合で対戦経験があるウィリアンスは、個人的に接したこともあり、「人柄も素晴らしく、目標の選手」とリスペクト。「まだ金メダルを取ったことがないので、自国でぜひ果たしてほしい」。
パウリーニョはOA枠のGKフェルナンド・プラス(パルメイラス)と、母国のバスコ・ダ・ガマでチームメートだった。前評判に反して苦戦した予選について、「五輪で簡単に勝てる試合なんてない。厳しい戦いが続くだろうが頑張ってほしい」。
3人は予選で敗退した日本代表にも声援を送った。8日のコロンビア戦は山雅のチームメートらとクラブハウス内のテレビで観戦。「両方気になって」と、ウィリアンスは日本代表の試合を見ながら、同時刻の開催だったブラジル代表の試合をスマホでチェックした。
3人は他にバレーボールやビーチバレー、柔道などにも注目しているという。
■スポーツには大きな力ある(パウリーニョ)
ブラジルに今大会初の金メダルをもたらした柔道女子57キロ級のラファエラ・シルバは、貧民街に生まれ育ち、貧困や暴力、差別などと戦いながら栄冠をつかみ取った軌跡が日本でも紹介され、3人の間でも話題に。
ウィリアンスは「困難を乗り越え、多くの人に夢と勇気を与える姿は、同じアスリートとしても人間としても刺激を受ける」。
パウリーニョも難民選手団の初参加やドーピング問題を挙げ、「決して美しい物語ばかりに彩られているわけではない。が、スポーツには人の心を動かし、困難を克服させる大きな力がある」とうなずく。

パウリーニョは母国の女子ハンドボール代表と縁がある。出身地のサンタカタリーナ州ブルメナウはハンドボールが盛んで、14年の世界最優秀選手に選ばれたエドゥアルダ・タレスカは同郷。今大会の代表チームの主力選手ジェシカ・キンチーノは、友人の恋人なのだとか。
ブラジル女子は13年の世界選手権を制した強豪。今大会は準々決勝(16日)でオランダに敗れてメダルは逃したが、ブラジル人選手の「イチオシ」競技にも注目してみては。
(長岩将弘)
J2第28節 岐阜と1−1 終了間際に追い付かれ   (2016年8月13日号より)
J2は8月11日、各地で第28節を行った。暫定2位の山雅は20位のFC岐阜とアルウィンで対戦し、1−1で引き分けた。山雅は3戦連続のドロー。3位岡山も引き分けたため順位は変わらなかったが、2戦前と同様に終了間際に追い付かれた。下位相手に勝ち切れない試合が続き、スタンドから厳しい声が飛んだ。
「2点目を取れなかったのが響いた。それと、2試合前と同じせりふで何を言っているんだと言われてしまうが、ラスト5分の戦い方を考えなくては」。反町監督は試合後、ぶぜんとした表情で振り返った。
8日間で3試合する過密日程の2戦目。山雅は選手の体調も考慮し、前節から先発5人を入れ替えた。夏の補強で加わったパウリーニョと三島が初先発。
開始直後にウィリアンスが負傷して退くアクシデントはあったが、山雅は序盤からペースを握った。相手がファウルを多発するのに乗じ、先制点はセットプレーから。前半18分、ペナルティーエリア手前右からの工藤のFKに、マーカーをうまく外して遠いサイドに回り込んだ後藤が頭で合わせた。
その後も優勢に試合を進めた山雅だが、追加点が遠い。後半20分には岩間の左クロスに飛び込んだ三島のヘディングが左ゴールポストをたたき、跳ね返りを蹴った工藤のボレーは右ポストに嫌われた。
そして45分、中央後方からのFKを頭で合わせられ痛恨の失点。石原を送り込んで5分のロスタイムで勝ち越しを狙ったが、かなわなかった。
「最後まで集中しろ」「いつになったら勝てるんだ」−。引きあげる選手たちの背に、叱咤(しった)する観客の声が降った。
次節は14日、今季初の中2日での試合で、勝ち点2差で3位に浮上したC大阪と敵地で対戦する。J1自動昇格圏を直接争う大一番だ。
「ストレスがたまる試合だったが、回復に努め、次で発散させる」と指揮官。工藤も「下を向いている暇はない。連戦の苦しさは相手も同じ。白星は勝ち点6の価値があり、それを手にするチャンス」と前を向いた。
(長岩将弘)
J2第27節 水戸と0−0 守る相手崩しきれず   (2016年8月9日号より)
J2は8月7日、各地で第27節を行った。暫定2位の山雅は14位の水戸ホーリーホックとアルウィンで対戦し、0−0で引き分けた。前回対戦(21節・7月3日)は前半0−2から後半3得点して逆転勝ちしたが、今回は守備の対策を徹底され、山雅は崩し切ることができず、前節に続く引き分け。ホームでの連勝は6で止まった。
8日間で3試合をこなす連戦の初戦。山雅は前半、相手に決定的な場面をつくらせなかった一方、球際に激しく穴のない相手守備を攻めあぐねた。33分、相手のトラップミスでボールを奪った工藤が前方にパス。抜け出した高崎のシュートはゴール左にそれた。
後半は山雅が徐々にペースを握ったが、相手守備にほころびは見えず、頼みの綱のセットプレーもことごとく跳ね返された。
終盤は高崎に代え、今季水戸で9得点して先月山雅に移籍した三島を投入したが、エースを引き抜かれた水戸は意地の守りで得点させず。試合終了の笛が響くと双方の選手がその場にしゃがみ込んだ。
反町監督は「前回の対戦のようなわけにはいかない。相手の対策を上回るよう考えていかなければ」と話し、工藤も「守備の意識を高めてくる相手をこじ開けなければいけない。普段の練習から追求しないと」と戒めた。
ただ、後半ロスタイムに追い付かれた前節を振りかえれば、攻撃が好調な水戸を零封したのは好材料だ。
中3日でアルウィンに岐阜を迎える次節(11日)は喜山が警告累積で出場停止。1試合多く残す首位札幌との勝ち点差は7に開き、背後に勝ち点3差で3位岡山が迫る。反町監督は「選手の疲労も考えながら、この引き分けをポジティブに捉えて次につなげる」と締めくくった。
(取材班)
J2第25節V・ファーレン長崎に1−0、最終盤で根比べ制す   (2016年7月26日号より)
J2は24、25日、各地で第25節を行った。前節まで暫定2位の山雅は24日、10位のV・ファーレン長崎とアルウィンで対戦し、1−0で勝った。北九州、札幌へ遠征した2戦を含め、9日間で3試合をこなす過密日程の最終戦。ここ6戦無敗と好調な相手との「根比べ」(反町監督)を最終盤の得点で制し、ホーム6連勝で自動昇格圏内を維持した。
4日前の前節は首位の札幌に敵地で惜敗。連勝は5で止まったが、「決して下を向くような内容ではなかった。われわれが持っているものを出し切り、連敗しないことが大事」と話した指揮官。それを実行し、厳しい試合を勝ちきった。
前半は連戦の疲れもあってかパスやクロス、ボールコントロールなどプレーの精度を欠く場面が散見された。相手に決定機は与えなかったものの、山雅の攻撃も迫力を欠き、0−0で折り返した。
後半は立ち上がりこそ攻め込まれたが、20分あたりから主導権を握り攻勢に。
41分、相手ボールを奪った後藤が工藤に預け、そのまま左へ駆け抜ける。工藤は中央をドリブルし、右を上がった高崎へパス。左から中央へ切れ込んだ後藤が相手DF2人を引き付け、高崎は左でフリーになった途中出場の山本へクロス。
終盤のカウンターで4人が前線へ駆け上がる走力に、今季攻撃の形として追求する連携が融合。山本は倒れ込みながらも左足を振り抜き、試合を決める先制点をもぎ取った。
石原らが復調した15節以降、先発が激減した山本。悔しさをばねに短い時間で結果を出し、「何も考えずに打った。守備陣も無失点で終えてくれ、みんなの勝利」と充実感を漂わせれば、指揮官も「チームの総合力で切り抜けることができた」と、うなずいた。
山雅は22日、水戸で今季チーム最多の9得点を挙げているFW三島の獲得を発表。ライバルが増える山本だが「自分の特長を生かし、負けないよう頑張る」。
チーム内の切磋琢磨(せっさたくま)もシーズン後半戦の推進力にしたい。
(長岩将弘、松尾尚久)
4連勝で2位に浮上 J2第22節 金沢に4−2苦しい展開乗り切る   (2016年7月12日号より)
J2は9、10日、各地で第22節を行った。前節まで暫定3位の山雅は10日、最下位のツエーゲン金沢とアルウィンで対戦し、4−2で勝った。2−0から追い付かれる苦しい展開だったが、最終盤に石原の加入後初ゴールを含む2得点。今季2度目の4連勝でJ1自動昇格圏内の2位に浮上し、シーズン後半を好発進した。
山雅は開始直後から相次ぎセットプレーを得るなど主導権を握り、攻め立てたが得点できず前半は0−0。
後半は一転、激しい点の取り合いに。山雅は5分、ペナルティーエリア左で宮阪が蹴ったFKを相手がクリアし、こぼれたボールを工藤が蹴り込み先制した。
さらに5分後、石原がドリブルで相手守備を中央に引きつけ、右から抜け出した高崎にパス。高崎がきっちり決めて加点した。
しかし19分、自陣左を深くえぐられ、クロスからシュートを許し1点を返されると、流れはじわじわと金沢へ。34分には右CKを頭で合わせられ追い付かれた。
諦めない山雅はロスタイム突入直前の44分、ゴール正面でボールを受けた高崎が相手と交錯しながら絶妙な落とし。走り込んだ岩間が落ち着いてゴール左隅に蹴り込み土壇場で勝ち越し、さらにロスタイムには中央付近でボールを受けた石原がドリブルで独走。相手2人を振り切って追加点を挙げ、試合を決めた。
試合後、反町監督は「2失点しても下を向かず前向きにプレーできた点はよかった。終盤で追い付かれた時の反応が昨季と違う。今季は試合を重ねながら自信が芽生えてきた」と選手をたたえた。
一方、前節に続くCKからの失点や、リードした時の不用意なプレーを挙げ、「相手が良かったというより、われわれに問題がある」と指摘した。
選手も苦しい試合を勝ち切った手応えとともに「2失点は自滅」(工藤)、「負けてもおかしくなかった」(飯田)と厳しい反省を口にした。
北九州と敵地でぶつかる次節(16日)を終えると、中3日で首位の札幌と敵地で対戦。今季を左右する大一番を含む連戦を、勢い付く攻撃と守備の修正で乗り切りたい。
(長岩将弘、松尾尚久)
育成が開く未来 U−18全国に挑む 日本クラブユース選手権   (2016年7月7日号より)
山雅の選手育成チームU−18(18歳以下=高校年代)が、全国のクラブチーム王者を決める第40回日本クラブユース選手権(25日〜8月4日・群馬県前橋市ほか)に出場する。北信越予選(5、6月)を3位で突破し、2011年以来2度目の出場。指導する臼井弘貴監督(36)と岸野靖之ユースアドバイザー(58)に、U−18の現状や大会への意気込みを聞いた。



【臼井弘貴U−18監督】

トップチームの良い部分を継承しつつ、この年代で必要なことを身に付けさせるのがわれわれの役目。鍛え上げてきたフィジカルの強さ、特に走力は全国の舞台でも通用するはずだ。
けが人が治ってきたし、チーム全体としても少しずつだが調子が上向きの手応えはある。過酷な日程や気候への備えも大きなポイント。厳しい暑さが予想される群馬で、4日間で予選3試合を行い、決勝トーナメントに進むと5日間で4試合を行うことになる。関東へ繰り返し遠征し、対策を進めている。
課題は大きく二つ。まずボールを簡単に失い、守備に走り回ることが多い点。こちらがボールを動かし、相手を走らせることができれば、持ち味の走力をさらに生かせる。
もう一つは試合中のメンタル面のコントロールだ。劣勢でも焦らない試合運びや、したたかさがほしい。
予選はどの試合も主導権を握り続けるのは難しいだろうし、押し込まれる時間も長くなるはず。その時々の個人の判断だったり、その結果でチームとしてどう戦えば良いか、考えられるようにならなければ。目標は予選グループ突破と個々の成長だ。
初戦(25日)の清水戦がとても大事。予選同組の中でおそらく最も手ごわい。別の見方をすれば、われわれが戦う長野県リーグ(1部)では得難い成長の場にもなる。
松本市かりがねサッカー場を昨年から使わせてもらい、今年はユニホームスポンサーもついた。1試合、1プレーにも責任があり、そこはプロと同じだと思っている。責任を自覚しつつ臆せず挑戦し、成果と成長の両方を持ち帰りたい。



【岸野靖之ユースアドバイザー】

クラブが「育成元年」と位置付ける今年、育成組織の最上年代チームが全国の舞台で戦う意義は大きい。
全国における自分たちの立ち位置を知るのはもちろん、サッカーをする中学生が進路を考える時の判断材料にもなり得る。その意味でも県内高校年代の代表という意識で戦わなければ。
高校年代がプレーする場として山雅はまだ形になっていない。こういうサッカーをするんだ、こういう選手を育成するんだ、という流れをつくる一つのステップにしたい。
予選で当たる3チームとも、力はわれわれより確実に上。1点も挙げられず全敗した前回出場時ほどではないにせよ、厳しい戦いになるだろう。まずは萎縮せず、思い切りぶつかることだ。
アルウィンで6月29日に行われたU−23代表の国際親善試合に際して、知り合いの関係者と話す機会があった。日本の若い世代のレベル向上を目の当たりにすると同時に、われわれがプロ選手や代表選手を輩出するには、指導陣やスタッフも含め、やることが多いとも感じた。
全ての試合で勝ちにこだわるのは当然。その中で選手には個人として、チームとして、何が通用し、何が足りないか、肌で感じてほしい。



【第40回日本クラブユース選手権(U−18)大会】
全国9地域の予選を勝ち上がったJクラブ育成と一般のクラブ計32(うち北信越3)チームが出場。4チームずつ8組に分かれて予選リーグを行い、上位各2チームが決勝トーナメントへ。山雅は予選で25日に清水エスパルス、26日にサガン鳥栖、28日に三菱養和SC(東京)と対戦する。
グッズ開発秘話 事業本部企画部の塩川さんに聞く   (2016年6月30日号より)
山雅を応援する気持ちを高めるグッズ。Jリーグ入り以降、クラブはホームゲームごとに新商品を発売し、その点数は色やサイズの違いなども含めると、ざっと1000点に上るそうだ。しかし、中には売れ行きが芳しくなく、在庫を抱えてしまっている物も…。事業本部企画部で公式グッズ開発を担当する塩川由貴さん(25)に、そんな知られざる商品とともに開発の苦労話を聞いた。
最も大事にしているのはお客さんの声。スタジアムの売店で見聞きする反応や、メールなどで寄せられる意見・要望を基に、季節感やホームゲームで行うイベントとの連動も考え、商品を企画するという。
ただ、「結局、売り出してみないと分からない。過不足のリスクは常にある」と塩川さん。
売れなくてもいけないが、欲しい人に行き渡らない事態も避けたい。製造コストとの兼ね合いもあり、「ニーズを読み切るのは本当に難しい。なかなかうまくいかないが、精度を上げる努力は続けている」。
今季は「選手グッズくじ」(1回300円)を発売。選手・監督の顔写真を1人ずつあしらったキーホルダーや缶バッジが当たる。
手頃な価格や「好きな選手を引き当てたい」という意欲をあおる要素もあってか好評。「これまであまりなかった、個々の選手をテーマにした商品も企画していければ」という。
スタジアムではもちろん、街を歩いている時などにグッズを身に付けた人を目にすると「日常生活に溶け込み、身近に感じてもらえているのがうれしい」と塩川さん。やりがいを胸に、より愛される商品開発に励んでいる。

【カーサンシェード】
車内の温度が上がるのを防ぐ「カーサンシェード」(日よけ)は14年夏に発売。中央に山雅のエンブレムとロゴをあしらった、インパクトがあるデザインだ。
車の内側から吸盤でフロントガラスに貼り付け、使わない時は折り畳んでおく。使用時のサイズは横125センチ、縦57センチ。
松本のような地方都市で車は欠かせない移動手段。これまで売り出したグッズの中でも、ステッカー類をはじめカー用品は人気が高い。サンシェードについても発売以前から要望があったという。
反町監督や選手たちからも「売れそうだね」と声を掛けられたといい、「満を持して発売!という感じだったのですが…」と塩川さん。
コストの制約もあり1サイズだけ製造・販売したため、「もしかしたら使いづらいサイズだったのかも」と推測するが、車用品専門メーカーの製品で品質は高い。
「日差しが強いこれからの時季は役立つはず。ぜひ使ってください」。1800円。

【レトロシャツ】
山雅草創期のユニホームを模した「レトロシャツ」は、クラブ創設50周年でもあった昨年の8月、記念グッズの一つとして発売した。
海外メーカーと協力し、完全オーダーメードで半年ほどかけて開発した。「このデザインに思い入れのある人もいるはず。記念グッズでもあり、力を入れました」と塩川さん。
創設時のOBからユニホームの実物を借り、メーカーに送り分析。生地の質感や独特の厚みなどを可能な限り再現した。色にもこだわり、襟や袖口の黄味がかった白色も生地の色ではなく、わざわざ染めたもの。胸の「山雅」や背番号「12」といったワッペンは既存の書体でなく、レトロシャツ専用のオリジナルだ。
創設当時、左胸のワッペンが手違いで「山稚」になってしまったとのエピソードもある。数ある歴代ユニホームの中から「物語性を含めて楽しんでもらえれば」と、このデザインを選んだ。
ただ、思ったほど売れず、塩川さんは「必ずしも万人に受けるものではなかったようで…」。
それでも「好評もいただき、思いは届いたのかなと感じる一方、数量を売らなくてはいけない難しさも感じた商品」と話す。
「再生産しないので、在庫があるうちにぜひ手に入れて」とPRする。S、M、L、LLの4サイズ。色はチャコールグレーもあり。各5000円。
(長岩将弘)
J2第19節 飯尾プロ初ゴール 山形に1−0 「我慢比べ」制す   (2016年6月21日号より)
J2は12日、各地で第19節のうち10試合を行った。前節まで暫定5位の山雅は同10位のモンテディオ山形とアルウィンで対戦。最終盤に得点し1−0で競り勝った。時折強まる雨の中、互いに決定機まで持ち込ませない「我慢比べ」(山雅・反町監督)を飯尾のプロ初ゴールで制し、前半戦最後のホームゲームを4試合ぶりの完封勝利で飾った。
反町監督が試合後、「今季ここまでで一番苦しい試合だった。それだけ我慢強く戦わなければならなかった」と振り返った通り、終盤まで一進一退の攻防が続いた。
山雅はここまで全試合に先発出場していた當間に代わり、後藤が今季初出場。それでも守備の連携に大きなほころびはなく、両サイドを軸とした相手の攻撃をはね返し続けた。
一方の攻撃は高崎、工藤らがゴールに迫るが、山形GK山岸の好守にも阻まれ、互いに無得点で折り返した。
後半も競り合いが続いたが、中盤の出足が鈍り始めた相手に対し、山雅がじわじわと攻撃の機会を増やしていく。
試合が動いたのはロスタイム突入直前の45分。喜山の正確なロングボールをペナルティーアーク付近で受けた山本が、右サイドを駆け上がり追い越していく飯尾へ絶妙なパス。飯尾は冷静に遠いサイドへ蹴り込み、決勝点をもぎ取った。
田中が右目の網膜剥離で離脱し、飯尾が右ウイングバックで先発して3戦目。田中がリーグ全試合で先発した昨季は、本職ではない左で6試合(うち先発5)出場にとどまったが、チームの支柱を欠く緊迫した局面で、4年目の生え抜きの初得点が試合を決めた。
飯尾は「あの時間帯でも走り切るのが自分の持ち味。今まで何度も外して悔しかったが、やっと決められた」と充実の表情。
「主力も脇役もなく、その時々でベストの11人を選んでいる」と言い切る反町監督は「けが人が増えてきた中、こうしたタフな接戦で勝ち点3を取れてうれしく思う」と選手をたたえた。

前節までの3試合は全てCKがらみで失点していた山雅。指揮官は「相手にCKを与えなかったのがよかった」と自嘲気味に振り返ったが、苦しい試合でも安易にCKを与えず、高い守備意識を保った点は収穫だ。
Jリーグ入りした12年以降、8戦未勝利(5分け3敗)だった山形に初めて勝ったのも大きい。飯田は「(対戦成績は)気にしていなかった」としながら、「今回は力の差を感じなかったし、主導権を握った時間帯もある。過去の成績を抜きにしても、手応えを感じる」とうなずいた。
次節からは、前半戦を締めくくるアウェー2連戦。敵地でもチームの総合力を示したい。
(長岩将弘、大山博)
シーズン折り返し間近 18節までを振り返り、今後を展望   (2016年6月16日号より)
1年でのJ1復帰を目指し、2年ぶりにJ2で戦う松本山雅FC。シーズン折り返しに近い18節を終えた現時点で9勝5分け4敗、勝ち点32の5位と、1〜6位が勝ち点4差内にひしめく上位で戦い続けている。年間2位でJ1に自動昇格した14年シーズンと比較しながら、ここまでの戦いを振り返り、今後を展望する(熊本地震の影響で8節以降の順位は暫定)。
昨季J1で苦しんだ経験から、今季は縦への速さやセットプレーといったこれまでの武器を維持しつつ、パスをつないで崩す新たな攻め手にも挑戦。
シーズン序盤こそもたついたが、7節(4月9日)から3連勝で浮上し、12節(5月7日)〜18節(6月12日)は5勝1分け1敗でJ1昇格プレーオフ出場圏の6位以内を維持している。
しかし、今季もフル出場を続けてきた田中が、右目の網膜剥離(はくり)のため今月4日の16節北九州戦後にチームを離れた。8日に横浜市内の病院で手術を受け、長期の離脱は決定的だ。
豊富な経験を持ち、精神的支柱でもある田中の不在をどう乗り切るか。今後の戦いの鍵になりそうだ。

「スタートダッシュ」を掲げて成功した14年に対し、今季序盤は新スタイルの確立に苦しみ、もたついた。
熊本との開幕戦はPKで失った1点を守り切られ黒星。ホーム開幕の4節千葉戦は、終始主導権を握りながらゴールが奪えず、逆に少ないチャンスを確実に決められ0−1で敗れた。
ホーム連戦で盛り返したかった5節山口戦は1−2から逆転したが、残り1分を切って同点とされ3−3の引き分け。選手に対し観客席から厳しい声が飛んだ。
しかし、7節徳島戦から3連勝し、12節東京V戦からは引き分け一つを含めて6戦無敗と、チーム状態は上向きに。
16節北九州戦、17節札幌戦はともに2−0から反撃を受けて失点する展開だったが、リードを守り切ったり、追加点で突き放したりして、きっちりと勝ち点3を獲得。シーズン序盤に希薄だった勝負強さを身に付けた。
特に札幌戦は当時9戦無敗で首位を走っていた相手の勢いをそぎ、勝ち点1差の2位まで浮上。選手は自信と手応えを得た。

14年は18節を終えた時点で10勝4分け4敗、勝ち点34で3位。総得点27、総失点16だった。今季の特徴は失点の少なさだ。ここまで総失点は札幌、町田と並ぶリーグ最少の13。無失点は9試合、2失点以上は3試合と守備は安定している。
反町監督は「J1と比べ相手のミスやシュート精度の低さに救われている部分もある」と指摘するが、昨季のJ1での経験をうまく生かして戦っているとも言える。
一方で攻撃はもう一歩。総得点24は9位山口、8位千葉より少ないリーグ7番目。上を目指すには物足りない数字だ。
昨季チーム得点王のオビナが開幕直後の3月3日、練習中に左足じん帯を痛めて離脱したのをはじめ、序盤はけが人続きで前線が人数不足に。J1鹿島から急きょ獲得した高崎が苦境を救い、ここまでチーム最多の5得点。次いで工藤、山本が4得点と、攻撃陣にゴールが増えつつあるのは好材料だ。

一方で、先が見えない田中の状態は気がかりだ。南省吾テクニカルダイレクターによると、手術は成功したが安静状態。さらに手術が複数回に及ぶ可能性もあるとし、「今は復帰の時期を議論できない」と表情を曇らせる。
けがの那須川が17節札幌戦で戻り、18節岡山戦で安川が今季初出場、安藤の復帰も間近とみられ、陣容が整いつつあっただけに衝撃は大きい。
反町監督は「けがや故障はいつ、誰にでも起こり得る。常にそれを想定してチームマネージメントをしている」と言うが、大黒柱を襲った事態に「青天のへきれき」とショックを隠さなかった。
指揮官は「(田中の)貢献度が高いのは確かだが、いないから勝てないと言われたくない」。上位は混戦の度合いを深めており、チームの総合力がいっそう試される。

直近3年間に自動昇格した2位の最終勝ち点を見ると、13年が83(神戸)、14年も83(山雅)、15年が82(磐田)。単純に比較できないが、80以上が一つの目安になりそうだ。山雅は14年と同じ勝ち点を目標にすると、残り24試合で51の積み上げが必要。1試合平均2では届かない。
今季初めて自動昇格圏内につけた札幌戦後、指揮官は「まだ昇格どうこうと言える段階ではないし、われわれはまだまだ力不足」ときっぱり。「自分たちに目を向け、日々の練習の中で問題を一つずつ解決し、力量を上げていくだけ」と話した。
14年はシーズン後半最初の22節で2位に上がり、最後までその位置を譲らなかった。足元を見据え、勝ち点を積み重ねていけるか。今季も間もなく、山雅が得意とする夏場の戦いを迎える。
(長岩将弘)
J2第16節 3連勝で上位対戦へ 北九州に2−1   (2016年6月7日号より)
J2は4日、各地で第16節を行った。前節まで4位の山雅は21位のギラヴァンツ北九州とアルウィンで対戦し、2−1で勝った。9日間で3試合をこなす過密日程の初戦を競り勝ち、今季2度目の3連勝。5試合ぶりの失点を喫したが、白星で上位との対戦が続く次節以降に弾みを付けた(順位は暫定)。
前半序盤の一進一退から14分、右CKを相手GKがたたき落とし、後方で拾った岩間がドリブルで持ち込みシュート。ボールはGKの左手を弾いてゴールに吸い込まれた。
先制してリズムをつかんだ山雅はその後も好機をつくるが、加点できず前半終了。
後半も山雅が攻勢を続け16分、宮阪の右CKに遠いサイドへ走り込んだ當間が頭で合わせ、待望の追加点。
ところがその後は徐々に北九州のペースに。選手や並びを替えて攻撃に人数を割いた相手に山雅は後手に回る場面が目立ち、34分に左CKに合わせられ、今季初めてセットプレーから失点。終盤まで押し込まれたが、しのぎ切った。
主導権を奪われたことについて反町監督は「サッカーはメンタルスポーツ。あの時間帯に2−0になり、少し安心した部分はあるだろう」としつつ、「(1点を返した相手が)3失点目を防ぐより、2点目を奪いにきた。仕方ない面もある」。
選手も課題より勝ち点3を前向きにとらえる声が多かった。岩間は自らのゴールで勝ち越したものの、追い付かれて白星を逃した5節・山口戦を振り返り、「難しい試合を勝ち切れたことに、あのころよりチームの成長を感じる」とうなずいた。
山雅は3位に浮上し、中3日で首位の札幌と、さらに中3日で4位の岡山と対戦する。
「勝って反省することが大事」と決勝点を挙げた當間。慢心せず、連戦中にJ1自動昇格圏の2位以上をうかがう。
(長岩将弘、田中信太郎)
育成が開く未来 昨年までトップ指導の2コーチに聞く   (2016年6月2日号より)
JFL時代から昨年まで共に5年間、トップチームのコーチを務めた柴田峡さん(50)、GKコーチだった本間康貴さん(32)が今年からユースアカデミーに移り、育成年代を指導している。トップの指導経験者が育成に携わるのはクラブ初。「育成元年」に懸ける意気込みを表す体制だ。二人に育成への思いやここまでの手応え、課題を聞いた。



【柴田峡さん・ユースアドバイザー・U−15監督】

−育成年代の指導を引き受けた理由は。
「山雅に来た時から、トップチームは盛り上がっているが育成は時間がかかりそうだと感じていた。育成スタッフもかなり苦労していたと思う。
私は指導者のキャリアを育成から始め、15年ほどを育成の現場で過ごしてきた。ある程度勝手が分かっている。
クラブが育成強化を打ち出し、そのスピードをいかに早めるか、そのために自分に何ができるかを考えた」
−現在の仕事は。
「新設のユースアドバイザーと、U−15(中学年代)監督を兼ねている。
アドバイザーは同じ肩書きの岸野靖之さんと共に、全ての年代の指導を方向付けする。年代別に分担し、岸野さんが松本大(指導者派遣)とU−18(高校年代)、私がU−15とU−12(小学生)を見ているが、私は中学3年生が翌年所属するU|18の状況を把握するし、逆に岸野さんも小・中学年代に携わる。
時間の9割をU−15に割いているが、軸足を置くのでなく、全体の中で部分を担当しているというスタンス。そのほうが育成組織はスムーズに動く」
−中学年代の重要性は。
「最も多感な時期で、心も体も大きく変化する。高校年代で飛躍する子もいるが、中学生のうちに一つでも多くのものを獲得させ、次のカテゴリーに送らなくてはならない。
特に大きいのは『心』の部分。この年代でサッカーを嫌いにさせてはいけないが、大切に扱いすぎてその後の厳しい競争に入っていけなくても困る。ケアの仕方が大事だ」
−いち早くトップチームへ選手を送り出すための、育成の現状と課題は。
「スタッフの増強だけで育成を加速させるのは難しい。ハード面の環境をつくりながら、経験豊かな指導者を据える2本立てが必要。時間はかかるが、整えれば子どもたちは成長の軌道に乗っていく。
われわれは自前の練習施設を持っていない。照明付きの人工芝グラウンドだけでなく、練習に通いやすい立地、講義を受けたり食事を取ったりできるクラブハウス、寒い冬に保護者らが暖を取りながら練習を見られるスペースも必要だろう。
これらはサッカー文化の一つ。子どもたちの帰属意識を高め、『この場所いいな、ここでサッカーがしたいな』と思わせることが大切だ。
ソフト面では他地域と比較し、自分たちを相対的に位置付け、何が足りないか、何をすべきかを常に整理しなくてはならない。
ハードが全てではないし、すぐにどうこうできるわけでもない。今できることを最大限やり、例えば15年かかることを12年で成し遂げるような試みを、常にしていかなくてはならない」



【本間康貴さん・ユースアカデミーGKコーチ】

−育成を引き受けた理由は。

「指導者としてはトップチームに携わった経験しかなく、他のカテゴリーにも興味があった。クラブの求めに応え、指導者としての幅も広げられればと考えた」
−現在の仕事は。
「ユースアカデミーでただ一人のGKコーチ。小学生〜高校年代に加え、松本大とスクール(普及事業)も見ている。年代別チーム数でいえば10以上ある。同じコーチとはいえトップの指導とは別物。子どもたちに伝える、教える難しさを感じている。
ただ、そのぶんGKの本質について突き詰めて考え、自分の中で改めて整理できた。選手の成長を見る楽しさもあり、驚きと発見の毎日だ」
−トップ選手の輩出に向け、現状と課題は。
「比較材料を増やすため、できるだけ県外の子どもたちを見にいくようにしているが、『後進地域』を痛感する。GKに限らず、どの年代も1、2年は遅れている印象だ。
長野県の子どもだけが体格や素質で劣ることはあり得ない。今までと同じことをやっていても駄目。いろいろな所に目を配り、試行錯誤を繰り返し、危機感を持って取り組む必要がある。
プロ選手に共通するのは、自律して努力を重ね、チャンスをつかんでいく点。GKなら技術以上に『絶対にゴールを取らせない』気迫も大事だ。そういう部分もしっかり伝えていかなければ」
(長岩将弘)
J2第14節 町田に価値ある勝利   (2016年5月24日号より)
J2は22日、各地で第14節を行った。暫定6位の山雅は、同2位の町田ゼルビアとアルウィンで対戦し、1−0で勝った。会心の内容とは言えなかったが、「勝てば勝ち点6の価値がある」(反町監督)上位との対戦を無失点で制し、チームは手応えと自信を得た。順位は6位のまま。
今年4季ぶりにJ2で戦う町田。前評判を覆す快進撃を「妥当な結果」と評し、「相手のやりたいことをやらせず、いかにこちらのサッカーを貫くか」と警戒していた反町監督。試合後に「準備してきた成果は出せた」と、ほっとした表情を見せた。
前半に主導権を握ったのは町田。山雅は決定的な場面こそつくらせなかったものの、最終ラインを高く保って押し込んでくる相手に、自陣でのプレー時間が長くなった。攻めてもボールが落ち着かず、決定機に持ち込めない。
最終ラインの裏への長いボールや、球際で数的優位をつくることを徹底した後半、山雅は徐々にリズムをつくり出す。
15分、ショートCKから工藤が上げた左クロスに飯田が頭で合わせて先制。終盤はゴールに迫られる場面もあったが、しのぎ切った。
指揮官は「ロースコアの争いを勝ち切れたことはうれしい」としつつ、「全体的に体が重くてボールのコントロールも良くなく、つまらないミスが多かった」と指摘。
決勝点を挙げた飯田も「セットプレーからの1発で勝ち、ある意味では僕たちらしかったが、(パスをつないで崩すという)やりたいことは結局できなかった」と振り返った。
ただ、3試合連続の無失点は今季初。ここ5試合でも失点は1にとどまる。
工藤が攻撃陣のふがいなさに自戒を込め、「点も飯田が取り、守備陣の頑張りが際立った」と言う通り、守備の安定感は増しつつある。
反町監督は試合後のインタビューや会見で「連勝しなければ意味がない」と繰り返した。次節も勝てば、J1自動昇格圏の2位が見える。
(長岩将弘、大山博)
J2第13節 讃岐と0−0で引き分け   (2016年5月17日号より)
J2は15日、第13節を各地で行い、前節まで暫定6位の山雅は同11位のカマタマーレ讃岐とアルウィンで対戦し、0−0で引き分けた。相手の2倍近いシュートを放ち、終始主導権を握りながら、好機を逸し続けた上、相手の守備戦術も打ち破れなかった。指揮官が強調する「相手の対策の上をいく」難しさを突き付けられる一戦だった。
前節は東京Vに敵地で4|0と大勝。連勝で勢いに乗りたかったが、勝ち点の上積みは1にとどまった。
序盤からボールを保持し、ペースをつかんだのは山雅。が、シュートやクロスの精度を欠き、讃岐の粘り強い守備にも阻まれて決め切れない。
後半も攻勢を続けたが、攻めあぐねるまま時間が過ぎ、終盤になると讃岐は中盤の選手も下げ、5、6バックにも見える布陣で山雅の攻撃をはね返す。ロスタイム突入直前には飯田を前線に上げて力押しを仕掛けたが、ゴールをこじ開けることはできなかった。
「蟻地獄」。最終ラインと中盤で強固なブロックを築いた相手守備を、反町監督はそう表現した。最後まで足を止めずに攻め続けた選手をねぎらいつつも、「われわれの工夫が足りなかったかもしれないし、最後の所でうまく守られたとも言える。悔いの残るゲーム」と絞り出した。
「やりたいことが7割くらいしかできないまま進んでしまった。ペナルティーエリア前まではボールを運べたが、そこからどう崩すかが、まだ不十分」と、もどかしげに振り返ったのは飯田。
一朝一夕に向上する点ではないだけに、途中出場の鐡戸が「チャンスを決めていれば、勝てた試合。個人じゃなく、チームとして決め切る意識を持つことが大事」と指摘する通りだろう。
ホームでの連戦となる次節(22日)の相手は、暫定2位の町田。「相手は上位なので(勝てば)勝ち点6に値する試合。そこに向けて、しっかり準備をする」と、指揮官は顔を上げた。
(長岩将弘、田中信太郎)
育成が開く未来 指導者の増強、普及で地域と連携 「環境」の充実こそ   (2016年5月12日号より)
山雅の選手育成・普及組織ユースアカデミーが今年、大きな改革に乗り出した。昨季初めてJ1で戦った経験を通じ、クラブは育成環境を充実させる必要性を痛感。活動の柱の一つに据え、未来への投資に取り組む。動き出した新体制の手応えや課題などを、アカデミーを統括する山ア武ダイレクターの話を基にまとめた。
育成部門は指導者の増強に伴い、体制そのものが大きく変わった。
昨季まで5年間トップチームを指導した柴田峡コーチと本間康貴GKコーチ、当時J2鳥栖の監督などを歴任し、13〜14年は山雅U−18(高校年代)を率いた岸野靖之さんら計7人が新たに加わった。全員が山雅以外のJクラブで、トップチームやユースの指導に携わった経験を持つ。
小学生から高校生まで、年代別カテゴリーの垣根を越えて指導する「アドバイザー」を新設し、岸野さんと柴田さんが就任(岸野さんは指導者派遣による松本大監督と兼任)。「プロの世界を知り尽くした2人」(山アダイレクター)に、若手指導者を教える役割も期待する。
指導者が増え、各カテゴリーで試合に合わせた調整や、意図をより明確にした練習、試合のきめ細かい反省などがやりやすくなった。
人員配置も見直し、フィジカル専任トレーナーを置いて、さらなる技術の向上と習得に必要な体づくりを、普段の練習に取り入れる。
また時間の都合がつけば、全員が自身の担当と違うカテゴリーの練習や公式戦を見にいく。課題を共有し、より良くするための議論が日常的に交わされているという。
「カテゴリーを横断的に指導するアドバイザーに触発されてか、スタッフ間で自然にその雰囲気が生まれてきた」と、山アダイレクター。昨年、松本市かりがねサッカー場ができ、練習場所が集約されたことも大きいという。

普及面では、サッカースクールの塩尻校が開校。4月にオープンした塩尻市広丘堅石のフットサル場「綿半フットボールパークFUTSALPOINT(フットサル・ポイント)塩尻」を拠点としている。
にぎわい創出を狙いながら地域貢献、青少年育成も掲げる運営企業と、山雅の思惑が一致。普及の拠点が増えただけにとどまらず、「企業とのコラボレーションという新しい形。これまで県内クラブになかったハードを持てた」と、山アダイレクターはその意義を強調する。
スクールのスタッフだけでなく、アドバイザーを含む育成スタッフが普及に携わるのも、改革の一つ。個人の質を上げるため、トップから逆算して幼少期に何が必要か現場に伝え、落とし込んでいく−という考えだ。

育成各カテゴリーが参加する通年リーグ戦は5、6節まで終え、いずれも上位争いをしている。「結果が全てではないが、取り組みは間違っていない。そのスピード感を、結果や数字で示せているのでは」と、山アダイレクター。
また、3月にはU−18の3人を、J公式戦に出場可能な2種登録にした。トップチームにけが人が相次ぎ、緊急事態の側面があったとはいえ、山アダイレクターは「(トップ出場は)関係者の誰もが、まだ先と考えていた。夢が夢でないと知らしめ、きちんとU−18の選手を見てくれていた反町監督にも感謝」と、うなずく。
一方で明らかになってきた課題は、練習場所の不足だ。
現在はかりがねで、全カテゴリーが時間を区切って練習するが、食事や学習、睡眠など子どもの生活サイクルに配慮すると、練習に適切な時間帯が集中する。
山アダイレクターは「かりがねを補える自前のグラウンドがあればベスト」としつつ、「スクール塩尻校のような形で、地域の力を借りながら解決を探る方法も」と見る。
(長岩将弘)
3連勝で4位に浮上 J2第9節 群馬を2−1   (2016年4月26日号より)
J2は4月23日、各地で第9節を行った。前節まで8位の山雅はアルウィンで16位ザスパクサツ群馬を2−1で下し、3連勝で4位に浮上した。相手の3倍以上のシュート16本を放ちながら、PKを含む2得点に終わるなど課題も残ったが、白星を重ねてチームは上昇気流に乗りつつある。(熊本地震で中止の試合があり、順位は暫定)
山雅は前半からボールを支配し、主導権を握った。29分、那須川の縦パスに反応した工藤が、巧みなトラップで相手をかわし先制弾。群馬に決定機をつくらせず折り返した。
後半も攻勢を緩めない山雅は22分、山本が自ら得たPKを落ち着いて決め、リードを広げる。
しかし35分、カウンターからクロスを頭で合わせられて失点すると、勢いに乗った群馬が攻勢に。
ロスタイムに山本がPKを外すなど、最後まで流れを取り戻すことはできなかったが、追加点を許さずしのぎ切った。
山雅は最初の失点はもちろん、終了間際にも相手に決定機をつくらせるなど、終盤の守備にも気迫を欠いた。
反町監督は「全体的に悪くはなかった」と総括しつつ、「悪くなかったではなく、良かったと振り返りたい。改善が必要」。那須川も「勝っている時こそ課題にしっかり向き合い、引き締めないと」と、戒めた。
大型連休中の次節(29日)以降は、9日間で3試合の過密日程が待ち受ける。
「順位や勝敗を抜きにしても、チームの完成度は上がっている」と飯田。チームの基礎である「タフさ」がものをいう連戦で、技術を上乗せする今季の方向性への手応えを、確かなものにしたい。
(取材班)
選手らが熊本など被災地への募金活動   (2016年4月21日号より)
サッカーJ2松本山雅FCの選手会は19日朝、募金活動をJR松本駅前で行った。実家が被災した熊本県益城町出身の鐡戸裕史(33)、宇土市出身の山本大貴(24)両選手を含む25人が支援を呼び掛け、通勤・通学途中の人やサポーターらが寄付した。
鐡戸選手は両親と兄が暮らす住宅が被害を受け、夜は避難所に居るといい、「食料不足の今帰れば、自分の分も必要になる。家族にも『そちらで頑張れ』と言われた」と、募金箱を手に他の選手たちと少し離れた場所に一人立った。
友人3人と寄付した茂山鈴花さん(15、松本第一高1年)は「被災地は遠く、ほかに物資を送るぐらいしかできないが、力になりたい」。
約1時間半で71万円余が集まった。山雅は23日のホーム試合でも募金活動をする。
アルウィンにキテミテ! 来場者増狙い多彩な取り組み   (2016年4月21日号より)
山雅は今季、ホーム試合の来場者を増やそうと、「キテミテアルウィン」と題したキャンペーンに取り組んでいる。J1だった昨季より客数減が見込まれるため、より観戦しやすい仕組みや試合以外にも楽しめるイベントを充実させ、新たなファンの獲得を狙う。
全試合で季節や特定の客層に向けた「ガールズデー」などのテーマを設定。シャトルバス乗り場に近い信州スカイパーク12号広場を「ファンパーク」とうたい、10試合ほどでイベントを集約する。
ファンパークはここまで、3月26日の第5節・山口戦と9日の第7節・徳島戦で開催。
山口戦では入学・新生活シーズンにちなみ、撮影した写真が表紙になるオリジナルノートの作成・販売や新加入選手のサイン会、徳島戦では春の交通安全運動に合わせてパトカーや消防車を展示し、子ども免許証の作成体験ブースを設けるなどした。
大型連休中の5月3日、第11節・C大阪戦では、家族連れ向けの催しを計画。体のサイズを実感したり、練習メニューを体験したりと、選手をより身近に感じられる内容といい、大阪名物の飲食ブースも出店する予定だ。
運営会社の上條友也副社長(59)は「アルウィンから少し離れているが、走って駆け付けてくれたり、試合開始後もとどまる人がいたりと、取り組みに手応えを感じる」と話す。

このほか新たな集客策として、B席(前売り2700円)に4人1組で座れるグループシートを設定。1万円で毎試合6組分を販売し、土産のグッズも付けて割安感を出した。
また、無作為の8試合で、選手が人文字でアルファベットを描く「キテミテカード」を1種類ずつ配る。全て集めるとメッセージが完成する仕組みで、収集欲をくすぐる。
遅めに来場した人にもわくわく感を持ってもらおうと、毎試合1万人目の入場者にプレゼントを用意。選手の写真パネルとサイン入りマスコットボールがもらえる。
5月22日の第14節・町田戦では、来場者に占める割合が少ない学生をターゲットに、いっそう割安なグループシートを用意するなど「お得感」がある仕掛けを計画中という。
アイデアを出し具体化する企画部の櫻井千尋さん(28)は「試合以外でも『アルウィンに行ったら楽しかったよ』と、人が人を呼ぶつながりを広げたい」と話す。
問い合わせは松本山雅電話88・5490
(長岩将弘)
ホーム初勝利 浮上の弾みに J2第7節徳島に1−0   (2016年4月12日号より)
サッカーJリーグ2部(J2)第7節、松本山雅FCは9日、松本市アルウィンで徳島ヴォルティスを1−0で破り、今季ホーム初勝利を挙げた。サポーター1万人余りと喜びを分かち合った。
前半を0−0で折り返すと、山雅は後半10分に工藤浩平選手が先制点。後半ロスタイムにはサポーターが一丸となって「ワン・ソウル」コールを送り、選手を鼓舞。試合後は凱歌(がいか)「勝利の街」を高らかに歌い上げた。
工藤選手のサイン入りユニホームを着て応援した有賀大輝さん(26、安曇野市穂高)は「最高の気分。勝ち切れてほっとした」。2012年からサポーターの松井おりえさん(51、松本市寿)は「桜が咲いているときにホーム初勝利が味わえてうれしい。ダブルで春が来た」。昨年からアルウィンに通い詰める原弘さん(75、同市波田)は「得点後の選手の頑張りに体が熱くなった。今日もサポーターの一体感に感動。私も声が枯れちゃったよ」と大満足の様子だった。

今季ホームで初勝利を挙げ、第2節の横浜FC戦(3月6日)以来、約1カ月ぶりの勝ち点3を手にした山雅。待ちわびた1勝にアルウィンは沸いたが、2勝3分け2敗で14位と、苦しい状況は変わらない。白星を浮上のきっかけにできるか。真価が問われるのはここからだ。
前半は一進一退の攻防。山雅は相手の攻撃をきっちり抑えつつ、右の田中、左の那須川が何度か好機をつくるが決め切れず、前半は両者無得点。
試合が動いたのは後半10分。那須川の左クロスに遠いサイドの田中が頭で合わせてシュート。ボールはポストに跳ね返されたが、詰めていた工藤がすかさず蹴り込み先制した。
その後は、得点直後に失点する悪い癖をのぞかせることなく、集中力を持続。終盤は武井を投入して守りを引き締め、しのぎ切った。
反町監督は「(前節までの)6試合で学んだことは生かせた。チームも少し進歩した」と試合を振り返りつつ、「勝ったから全てOKというわけではない」。
無失点の守備についても、後半ロスタイムにゴールを直接狙える位置でFKを与える場面もあり、「安定しているとは思わない。特にラスト10分は、相手のミスに救われた部分もある」と指摘した。
ただ、ホーム3戦目でようやく得た白星に、選手たちがほっとしたのも事実だろう。田中が「課題はたくさんあるが、勝てたことを前向きにとらえ、続けていくのが大事」と強調した通り、自信につなげたい。
飯田は「次で勝ち点を落としたら意味がない」と力を込め、那須川は「この勝ちはいい意味で忘れ、また週明けからやっていく」と、次戦を見据えた。
(取材班)
序盤戦の手応え、決意は? 新加入選手に聞く   (2016年4月7日号より)
今季は開幕から新戦力の多くが出場機会をつかみ、ピッチ上で奮闘している。6節まで終えて1勝3分け2敗、16位と厳しい戦いが続いているが、新加入選手たちはここまでの戦いをどう捉えているのか。序盤戦の手応えや今後への決意、松本の印象などを聞いた。
開幕時点の新戦力9人のうち、6節まで全試合に先発出場を続けているのはGKシュミット、MF宮阪=写真、DF當間だ。
MF武井は6節は出番がなかったが、5試合に先発。FW山本は開幕戦で途中出場すると、2節以降は先発に定着した。FW前田は主に試合終盤に投入され、4試合でピッチに立った。
選手たちは、パスをつないで攻める新たなスタイルへの挑戦には一定の手応えを得つつ、結果が伴わないことにもがいている。
ゴールを守り続けるシュミットは「特に5節の山口戦は自分のミスもあり3失点。いいスタートは切れていない」。
FW陣も焦りや悔しさをあらわにする。徐々に出場時間が延びている前田は、「ゴールもアシストも挙げていない。手応えはまだ全然ない」。
2節の横浜FC戦で、開始1分足らずで鮮やかな先制弾を決めた山本も「決定機はたくさんある。決めるべき場面で決められず、悔しい思いばかり」と振り返る。
宮阪は山口戦について「(いったんは逆転した)速さや力強さは、加入前から感じていた山雅らしさだと思う。そういう変わらない点もどんどん出していかなくては」と言う。
「勝ち切る試合を増やすため、ぶれずに続けてバージョンアップしていくことが大切」と當間。武井は「難しいトライだが、今は我慢の時。歩幅は小さいかもしれないが、着実に歩みを進めていく」と、前を見た。

選手らが住み始めた松本について聞くと、時期的なこともあり「寒い」という印象が強かったようだ。
「(昨季まで4季過ごした)山形より寒いです」と苦笑する宮阪は、2年前に亡くなった母方の祖父が諏訪市出身。「今年が御柱祭という点でも、縁を感じる」と話す。
諏訪から駆けつけた人に声を掛けられることも多いといい、「うれしいし心強い。しっかり結果を残すことが、祖父の弔いにもなるはず」と、表情を引き締める。
山本は、仙台から期限付き移籍した14年以来の松本。「温かく『お帰りなさい』と受け入れてもらえている。期待に応えなくては」と、闘志をたぎらせる。
武井は「自然が豊かだし、街並みがごちゃごちゃしていなくて暮らしやすそう」。當間は「やっと過ごしやすい季節になってきた。これから楽しみですね」と話す。

3月30日にはJ1鹿島から高崎が期限付き移籍で加入。3日の第6節・長崎戦では1トップに入り、得点に絡んでさっそく存在感を示した。
まだ出場機会のないDF安川、FW韓承炯(ハン・スンヒョン)、MF志知も含め、新戦力のさらなる奮闘に期待だ。
(長岩将弘)
白星するり痛恨のドロー 山口に3―3 J2第5節   (2016年3月29日号より)
J2は26日、各地で第5節を行い、山雅はJ2昇格初年のレノファ山口をアルウィンに迎え、3−3で引き分けた。先制したものの逆転を許し、再び逆転したが終了間際に追い付かれる−という目まぐるしい展開。つかみかけていた白星を逃す幕切れに、観客席からは怒声も飛んだ。
「全て私の責任だが、いわば『安い失点』3つだった」。反町監督が険しい表情で振り返れば、田中は観客の罵声を甘んじて浴び、「その通りで、本当に情けなく、ふがいない」と、唇をかんだ。
前半立ち上がりは一進一退の攻防ながら22分、宮阪の右CKに飯田が頭で合わせて先制。これで流れを引き寄せた山雅は危なげなく試合を運び、リードして折り返した。
ところが、後半は序盤から相手ペース。
対応しきれず後手に回った山雅は浮き足立ち、7分に喜山が相手クロスをはじき切れずオウンゴール。さらに14分には、シュミットが喜山と交錯して捕り損ねたボールを押し込まれ、逆転を許した。
34分、田中が得たPKを自ら決めて追い付くと、3分後には岩間が勝ち越し弾を放つ。
一気に勝利を引き寄せたかに思われたが、ロスタイムに右クロスに合わせられ、痛恨の失点。長い笛が鳴ったのは、その1分余り後だった。

JFL、J3をわずか1季ずつで駆け上がってきた山口の実力は確かなもの。対する山雅はけが人が相次いでおり、急きょU−18の3選手をトップチーム登録(25日)するほど、台所事情は厳しい。
それでも多くの人にとって「昨季J1のクラブが、上がってきたばかりの相手にしてやられた」と映ったのは事実だろう。その時々の状況はあるにせよ、周囲の目を納得させる戦いも求められる。
ただ、全42節の戦いはまだ序盤。辛うじて得た勝ち点1と、早い段階で苦汁をなめたことを、前向きにとらえるしかない。
「われわれは徐々に力を上げていくスタンスのチームでもある。よく反省し、今後より良いチームを構築していく」と、指揮官は必死で前を向いた。
(長岩将弘、松尾尚久)
ホーム開幕戦は千葉に0−1● J2第4節   (2016年3月22日号より)
サッカーJ2の松本山雅FCは20日、松本市のアルウィンでジェフユナイテッド千葉と対戦し、0−1で敗れた。J1再昇格を目指すホーム開幕戦。スタジアムに駆け付けた約1万7000人のサポーターが熱い声援を送ったが、勝ち星を呼び込むことはできなかった。
山雅は、相手の倍以上の17本のシュートを放つも、ゴールネットを揺らすには至らず。好機を生かしきれない展開が続いた後半11分、こぼれ球を相手に押し込まれ失点すると、スタジアムには大きな悲鳴がこだました。
寒さが増す中も、サポーターは必死に声援を送り続けたが、無得点のまま試合終了のホイッスル。
山弘士さん(55、松本市大村)は「いろいろな意味で寒い試合だった」としながらも、「攻撃の良い面も見えた。次節に期待したい」。平田哲也さん(27、塩尻市片丘)は「決定力に欠けた印象は否めないが、若い選手も増え、シーズンを通して成長してくれると思うと楽しみ」と話した。
次節は26日、レノファ山口FCとアルウィンで対戦する。

今季4戦目にして、ようやくホームでの試合に臨んだ山雅。待ちわびた観客らの声援による後押しも受けて優勢に試合を運んだものの、結果は勝ち点0。模索中の新たな攻撃スタイルにも一定の手応えはあったが、内容と結果を同時に追う難しさを、あらためて突きつけられた。
「サッカーに判定勝ちはない。優勢に試合を進めても、負けは負け」と、試合後に反町監督は絞り出した。
山雅は序盤から攻撃のリズムをつかみ、右サイドの田中を軸に何度もチャンスを創出。守っても相手攻撃陣を封じ、決定的な場面はつくらせなかった。
前半ロスタイムには宮阪の右クロスに當間が頭で合わせ、クロスバーを直撃。勢いをそのままに後半序盤も攻めたが11分、相手クロスのクリアボールを押し込まれ、先制を許した。
山雅は攻撃的な選手を投入し、中盤の構成も変更。後半に限れば千葉の3倍に当たる12本のシュートを放ち、激しい攻めを見せたが、ゴールは遠かった。
「(今季ここまでの4試合中)3試合で点が取れていない。全員が得点への高い意識を持たなくては」と田中が危機感をあらわにすれば、飯田も「たくさんのお客さんが来てくれてうれしいが、今日のような試合をしていたら離れていくと思う」と戒めた。

J1で苦戦した昨季の経験から、今季はボールを支配し、最終ラインからパスをつなぐ攻撃も追求する山雅。
「やってきたことの狙いは出せたが、ゴールネットを揺らさなければ勝てないという現実も見せてもらった」と指揮官が振り返ったとおり、パスやトラップまで含めた最後の部分の精度は、まだ大きな課題と言える。
「今季のチーム立ち上げにあたり、目指すところを貫くためには、ある程度の覚悟はしている」。反町監督はスタイル変革の難しさを認めつつ、「ホーム戦が続くメリットを生かし、次は勝ち点3を取るゲームを」と、次節をにらんだ。
(長岩将弘、大山博)
J2開幕戦 黒星スタート 熊本に0−1   (2016年3月1日号より)
今季のプロサッカーJ2リーグは、2月28日に開幕した。昨季初めてJ1に挑んだが降格、2季ぶりにJ2で戦う松本山雅FCは、昨季J2で13位のロアッソ熊本と敵地で対戦、0−1で敗れた。1年でのJ1返り咲きを狙う再起のシーズンは、黒星で幕を開けた。
GKシュミット・ダニエル選手ら新加入4人が先発入りした山雅だが、序盤から動きが硬く、前半16分にはPKを与えて失点。その後も熊本に主導権を握られたまま、前半を終えた。
後半は持ち直して徐々に攻撃のペースをつかむが、相手の集中した守りを攻略しきれず、ゴールは遠かった。
塩尻市大門一番町の商業施設ウイングロードで開かれたテレビ中継観戦イベント「塩尻エキサイティングビジョン」(しおじり街元気カンパニー主催)には、ユニホームや応援グッズを身に付けた多くのファンらが集結。現地の応援に合わせて大型スクリーンに声援を送ったが、最後はため息が会場を包んだ。
松本市波田の今井環さん(44)は悔しがりつつも「思ったより新戦力もフィットしており、全体的な出来は悪くなかった」とし、「シーズンの先は長い。この試合を糧に、さらにチームの完成度を高めていってくれれば」。
同市寿の神戸須々奈さん(15、筑摩野中3)は「まだ始まったばかり。J1に戻れるよう、ここから頑張ってほしい」。
友人の二木直美さん(同)は、後半途中から出場したFW山本大貴選手のファン。「今日はゴールが見られなくて残念だったけれど、これからに期待したい」と、力を込めた。
28日、J2開幕 目指すは1年J1返り咲き   (2016年2月25日号より)
今季のプロサッカーJリーグは、27日にJ1、28日にJ2、3月13日にJ3が開幕する。昨季初めてJ1に挑んだが年間16位で降格、2季ぶりにJ2で戦う松本山雅FCは28日、ロアッソ熊本と敵地で初戦を迎える。目指すは1年でのJ1返り咲き。昨季の経験からJ1で戦える新たなスタイル構築も模索中で、結果と内容を同時に追う、厳しい戦いが待ち受ける。
指揮を執るのは5季目の反町康治監督。新加入9人を加えた計28選手と、4人中3人を入れ替えたコーチ陣で、開幕を迎える。
チームは1月15日に松本市かりがねサッカー場で始動。同18日から静岡県御殿場市、静岡市、鹿児島市で計3次にわたるキャンプをし、練習試合も6戦を行った。
2月24日からは、御殿場市で事実上の第4次キャンプを行って最終調整。そのまま開幕戦に臨む。
開幕戦でぶつかる熊本は、ここ2季連続で13位。昨季は前半こそ最下位に沈む時期もあったが、途中加入したGKシュミットらの奮戦もあり、終盤は昇格プレーオフ進出をうかがう位置にもつけた。
昨季12得点のFW齊藤和の他、シュミットやDF權韓眞ら守備を支えた主力もチームを離れたものの、13日の練習試合では横浜FCに7−0と大勝。戦力低下とは言い切れなさそうだ。
山雅は熊本とこれまでに6度対戦し、4勝1分け1敗。アウェー3試合は全て勝っており、相性の良さも追い風にしたい。

今季の山雅は攻守にわたる運動量や縦に速い攻撃、セットプレーからの得点−といったこれまでのベースを継承しつつ、新たなスタイルとして、最終ラインからパスをつないで組み立てる攻撃も追求している。
ただ、16日のJ3鹿児島との練習試合は0−0、開幕前最後の練習試合となった20日のJ1名古屋戦(非公開)は0−2と、詰めの段階の実戦で無得点が続いた。
指揮官は、ボールを持っていない選手の動きなど「攻撃のダイナミックさがまだ足りない」と指摘する一方、「大事なのは本番で、ここで負けたことはよかった。開幕までに反省点をどう落とし込み、どう練習するかがわれわれの仕事」とにらんだ。

21日はかりがねサッカー場で軽めの練習をした後、山形村のアイシティ21で恒例のキックオフイベントを開いた。
反町監督や選手が地元のファンらの前に姿を見せるのは、約1カ月ぶり。サッカー通で知られるタレントの平畠啓史さんをゲスト司会者に迎え、選手全員が1人ずつ壇上に立って意気込みを語り、800人余の来場者とともに気勢を上げた。
反町監督は「けが人も少なく、順調に終えられた」とキャンプを振り返り、「昨季までと逆に、6対4くらいで攻撃に多く時間を割いた。主体的にアクションを起こす時間を増やしたいし、そういう力を出せる選手もそろってきている」と力を込めた。
2季前のJ2との違いを聞かれ、「やってみなければ分からないが、レベルは上がっているし、(自分たちの力に)あぐらをかいているチームもない。厳しいリーグになるだろう」と予想。「毎試合、120%の力を出していくしかない。この1週間は熊本戦のことだけを考え、一戦必勝でやっていく」と、決意を話した。
塩尻市柿沢の上條裕貴さん(22)は初の来場。2月初めにはキャンプを見学に行き、「あの時より、みんな自信に満ちた顔つきになった」との印象。
「一昨年より難しい試合も増えるかもしれないが、自動昇格圏(2位以上)を目指してほしい」と期待を寄せた。
(長岩将弘)
今季J2も22クラブ総当たり42節   (2016年2月25日号より)
今季のJ2に参戦するのは、山雅と共に降格した山形や清水、J3から昇格した町田、山口など22クラブ。本拠地と敵地で1戦ずつ行うホーム・アンド・アウェー方式の総当たり2回戦、全42節で争う。
順位は勝ち点(勝ち=3、引き分け=1、負け=0)の合計で決め、勝ち点が並んだ場合は、得失点差、総得点数、当該チーム間の対戦成績−の順で優劣を決める。
J1には3チームが昇格できる。年間1、2位は自動昇格し、3〜6位で残り1枠を争うトーナメント形式のプレーオフを行う。
プレーオフの準決勝(3位−6位、4位−5位)は11月27日、決勝は12月4日。いずれも90分間で決着がつかない場合は、年間順位上位のクラブが勝者となる。
ただしクラブライセンス制度により、財務や施設など各分野でJ1基準を満たしていないクラブは昇格できず、プレーオフにも出場できない(その場合も7位以下の繰り上げ出場はなし)。
またJ3でJ2基準を満たすクラブが上位になった場合は、21、22位が入れ替え戦などの対象となる。

【チケット情報】
ホーム試合は、松本市神林の総合球技場アルウィンで21試合を予定している。前売り券は大人がS席4500円(高校生以下2000円)、A席4000円(同1500円)、ホーム・アウェー側とも自由席2200円(同700円)など。各コンビニエンスストアの情報端末などで購入できる。
当日券はいずれも500円(高校生以下のホーム・アウェー自由席は300円)増し。未就学児は大人1人につき1人、車いす席は1人につき付き添い1人、それぞれ無料となる。試合によって、松本市や周辺自治体の小中学生には学校を通じ、ホーム自由席の招待券を配る予定だ。
ホーム全試合を割安に観戦でき、さまざまな特典も付く「シーズンパス」もある。問い合わせは株式会社松本山雅・電話88・5490
新体制発表会 「新・起動」スローガンに   (2016年1月26日号より)
サッカーJ2松本山雅FCは1月24日、松本市のまつもと市民芸術館で新体制発表会を開いた。反町康治監督や新加入9選手を含む28選手、指導陣らが勢ぞろいし、ファンやサポーター1500人余と対面。意気込みを語り、約1カ月後に迫った開幕へ気勢を上げた。
神田文之社長が、今季のスローガン「One Soul〜新・起動〜」を発表。「昨年でクラブは発足50年。今年はさらなる未来に向け、あらゆることを『新・起動』させる元年と位置付けたい」と説明した。
反町康治監督は「昨季の悔しさを胸に奮起し、ぜひともJ1への切符をゲットしたい」とあいさつ。
「新しい仲間やスタッフとともに、新たなチャレンジを結果に結びつけられるよう、情熱を持って最後まで諦めず戦う」(田中隼磨選手)、「持ち味のキックで決定的な仕事ができるよう頑張る」(宮阪政樹選手)など、選手らが一人ずつ思いを語った。
家族4人で訪れた小松誠さん(42、同市蟻ケ崎)は「サポーターもスローガン通り、あらためてやってやるという雰囲気に満ちていた」。長男の海斗君(10、開智小4)は新加入選手について「高さのある選手が多く、攻守で活躍してくれそう」と期待。「ぜひリーグ優勝を」と願っていた。
(長岩将弘)
東御に指導者派遣 未来への投資を強化   (2016年1月19日号より)
サッカー松本山雅FCは14日、横浜Mヘッドコーチなどを務めた小林慎二さん(52)をテクニカルアドバイザーに招き、北信越リーグ(HFL)1部の社会人チーム・アルティスタ東御に指導者(監督)として派遣すると発表した。指導者派遣は、12月に発表した松本大に続き2例目。他団体との連携を強化し、普及・育成の推進や県内の競技環境向上など、未来への投資に力を入れる。
かつてから関係者同士の交流があった縁で、2年ほど前に東御が提携を持ちかけ、模索してきたという。
松本市並柳のクラブ事務所で会見した山雅の神田文之社長は「互いにサッカーを取り巻く環境を整え、地域に影響を及ぼせるクラブに発展していきたい」と話した。
加藤善之副社長は「特定のクラブへの肩入れではなく、地域との連携強化の1つ」と強調。東信地域での普及拠点拡大や、東御がプロになれなかったりプロ契約を終えたりした選手の受け皿となる将来像なども見込む。
小林さんは現役時代、横浜フリューゲルス(当時)などで反町康治監督とともにプレーした経験もある。引退後は横浜Mで、育成年代からトップまでの指導に携わった。
小林さんは「プロでもアマチュアでも苦労はあり、強いメンタルが必要。難しい使命だが全力で成し遂げ、長野県のサッカーにも貢献できればいい」と、決意を話した。
HFLは日本フットボールリーグ(JFL)に次ぐ地域リーグの1つで、8チームずつの2部制。中信勢では、Jリーグ入りを目指すアンテロープ塩尻が1部に参戦している。
再び上目指し 選手28人で始動   (2016年1月16日号より)
サッカーのトップリーグJ1に昨季初めて参戦し、年間16位で降格、今季2年ぶりにJ2で戦う松本山雅FCは15日、松本市かりがねサッカー場で今年初めての練習を行い、本格始動した。13日にはアルウィンで新加入の選手・コーチ陣の記者会見を開いた。就任5季目の反町康治監督の下、新戦力9人を加えた選手計28人と、一新したコーチ陣3人で、再びJ1を目指す戦いが始まる。

初練習は28選手全員が参加した。詰め掛けた300人余の拍手と歓声に迎えられてグラウンドに登場し、体幹トレーニングやボール回しなど、軽めの練習で1時間余、汗を流した。
グラウンド北側のスタンドで見守った平賀純子さん(53、松本市征矢野)はJリーグに参戦して以来、初練習を毎年見学している。「新戦力では、2014年に所属し戻ってきてくれた山本大貴選手と、移籍した村山智彦選手の穴を埋めるシュミットダニエル選手に期待したい。1年でJ1へ、反町監督を信じています」と、力を込めた。
小林隆伸さん(30、同市深志)は「近年はホーム初勝利までが遠い。今季はホーム開幕戦(3月20日)で白星を」と期待する。
地元の少年クラブチームで田中隼磨選手の後輩だった小林さん。「今季はゴールが見たいですね」と、先輩の活躍も願った。

13日の記者会見には新加入の選手、コーチら全員が出席。自己紹介をして決意を述べた。
加藤善之副社長は選手補強のポイントを「若返りを進めつつ、各ポジションに同等の力の選手を2人以上そろえて、競争を促すようにした」と説明。
選手獲得を担う南省吾テクニカルダイレクターは「より強い個性や特徴を持った選手たちが加わった。そういった面でのプラスアルファを期待している」と話した。
新コーチには、大分や清水を率いて山雅と対戦経験もある田坂和昭さんも就任した。
「ここ(アルウィン)はまさにサポーターと一緒に戦っている雰囲気があり、対戦していて嫌だったが、これが味方になるのはうれしい」と話し、「J1に戻るのが最大の目標。持てるものを精いっぱい出して戦う」と力を込めた。
チームは18日から静岡県御殿場市でキャンプ。24日にまつもと市民芸術館で新体制発表会を開き、全選手や指導陣、スタッフがファンらと対面する。
26日から再び御殿場市などでのキャンプを経て2月28日、ロアッソ熊本と敵地での開幕戦に臨む。
(長岩将弘)
育成環境強化へユースアカデミーの体制を刷新   (2016年1月12日号より)
サッカーJ2松本山雅FCは今季、クラブの育成・普及組織ユースアカデミーの体制を刷新、拡充する。これまでNPO法人山雅スポーツクラブが担ってきた中学生年代の指導をクラブ運営会社に移し、指導陣も増強。従来の高校生年代と合わせ、育成は会社が担う。一方でNPOは普及事業に特化し、さらなる底辺拡大に注力。クラブが今後の柱の1つに据える育成環境強化へ、具体的な取り組みが緒に就いた。
昨季までトップチームのコーチを務めた柴田峡さんや本間康貴さんを含め、アカデミーには新たに7人の指導者が加わった。指導者派遣で松本大の監督に就任した岸野靖之さんもアドバイザーとして携わり、Jリーグでの豊富な指導経験を還元。質・量ともに充実の顔ぶれだ。
NPOはこれまで、主に保護者の会費収入で運営してきた。中学生年代の移管により経営面の負担も減らし、普及拠点の拡大や選手発掘などに集中できる環境を整える。
クラブによると、アカデミーの今季予算は昨季に比べ人件費が約3倍、運営費は約1.5倍になる見込み。加藤善之副社長は「トップチームの予算を削らず、育成に投資できる資源を確保できた」と明かす。
7日、市内で記者会見した神田文之社長は「この投資がどんな結果をもたらすかは全く未知。クラブとしても大きなチャレンジ」としつつ、「育成の大事さが理解されたということでもある。スピードを上げ、トップチームで活躍する地元選手を一日も早く出す」と力を込めた。
(長岩将弘)
試練の時どう乗り切るか 4者に聞く   (2016年1月1日号より)
県内サッカークラブで初めてJ1に挑んだ昨年だったが、降格が決まった松本山雅FC。これまで順調にステップを上がってきたクラブにとって、わずか1年でのカテゴリーのダウンは、初めて迎える「試練」と言ってもいい。
クラブと地域が手を携えて再びJ1へ、さらにその先へと成長曲線を描いていくために、2016年シーズンはどう臨めばよいか。山雅を取り巻くさまざまな立場の代表者に聞いた。

【ホームタウン】松本市文化スポーツ部長・寺沢和男さん
松本市では、昨年4月に完成したかりがねサッカー場の優先利用への配慮や、市内8カ所でのパブリックビューイング実施、アウェー観客向けの観光・グルメマップ作成・配布といった支援を行いました。クラブと地域の絆の後押しにできる範囲で徹する、側面支援のスタンスです。
昨年は4市1村合同のホームタウンデーを9月に初めて行い、横のつながりを広げることができた点も大きな収穫でした。今後さらに発展させ、連携を探りたいと考えています。
山雅のJ1参戦による県内への経済波及効果が54億円余にのぼったと、市内の民間シンクタンクが発表しました。すごかった前年の試算を11億6000万円上回っています。要因の1つとして、アウェー観客の入り込みは予想以上でした。
私もスタジアムに足を運び、アウェー観客と言葉を交わした中で、「山雅の一体感ある応援を見に来た」と聞いたのは、非常に印象的でした。
プレーするだけでなく、見る、支える、応援するといった、多様なスポーツとの関わり方とその楽しみを、山雅は教えてくれています。地域活性化と言うとき、山雅を軸に家族の絆が深まる、新たな仲間ができる、生きがいが生まれる−といった、数字や形に表れない効果こそが大事だと思っています。
アウェー観客は昨年より減るでしょう。J2クラブはJ1に比べ、総じて観客の絶対数が少ないので、仕方ない部分はあります。その減少分をどう受け止め、モチベーションを上げていけるか。今までの勢いを証明する正念場です。
ただ、結果はどうであれ、諦めず戦い抜く山雅スタイルにこそ、われわれは感動してきました。
悲観はしていないし、上位争いに絡めば、より盛り上がるかもしれない。引き続き、可能な限りの協力をしていきたいと思います。

【試合運営ボランティア】「チームバモス」代表・豊岡圭さん
想定通りできた部分と、そうでなかった部分とがありました。観戦ルールの変更もありましたし、J2の満員とJ1の満員とはやはり違い、大変でした。
アウェー観客が多くなるという点は分かっていましたが、想像以上に人の流れが速かったり、初めて来る人も多かったりと、14年までとは明らかに勝手が違った。昨年から行われた再入場の対応も、慣れるまでは時間がかかってしまいました。
日程の都合で連戦も多く、裏方として苦労した部分もありました。それでも、お客さんに大きなトラブルがなかったことには、胸をなで下ろしています。
昨年のボランティア登録者数366人は過去最大です。1試合あたりの参加者は120人余。14年までは多かったとも感じましたが、昨年は必要と見込んだ人数には結果的に足りなかった、という印象があります。
ただ、再入場担当者を置いたり、あまりできていなかったごみ回収を強化したりということもあり、単にJ1になったことだけが要因とは言い切れないでしょう。
もちろん人集めの難しさもある。「ここは警備員のほうがいい」「ここはお客さんの目線に近いボランティアがいい」といったように精査しながら、クラブと一緒に適正な人数を探っていくことが課題です。
J2降格が試練だとは思っていません。われわれが目指すのはカテゴリーに関係なく、「満員」の試合が続いても当たり前に観戦してもらえることです。
マラソンに例えれば、昨年は完走することに懸命でした。今年はペースも考えながら、勝てる走りを考えなくてはなりません。
昨年の反省を生かし、またJ1に上がったときに向けてベースをつくる、大事な年になるでしょう。

【運営会社】松本山雅副社長、事業本部長・上條友也さん
クラブの収益事業としては、広告、入場料、物販と、大きな3つの柱があります。昨年はそのどれもが14年より大幅に数字を伸ばし、全体の収入では2倍近くになりました。年初の見込みよりも大きな数字です。
J1に上がったことで広告料、入場料ともに引き上げたのですが、幸い多くのスポンサーの皆さまにご協力いただけましたし、スタジアムの観客収容率もJ1でトップ。クラブ創立50周年関係のプロモーションもあって、物販も好調でした。
もちろん課題はたくさんあり、これでいいというわけではありませんが、これまで積み上げてきたことのブラッシュアップ(磨き上げ)でJ1初年度を乗り切れたことは、クラブ運営の自信になりました。
J2で戦う今年、やはり入場者数が減ることは避けられないでしょう。それでも、再びJ1に上がった時の土台を築くためには、収入の維持が欠かせません。全般的に広告料と入場料は据え置き、特に入場料は一部引き上げを決めました。
広告料については、私も含む営業の努力でスポンサーに一層の理解と協力をお願いしていきます。入場料に関しては、集客のためのさらなる魅力づくりに取り組まなくてはなりません。
例えば、昨年はホーム試合時にイベントを行うファンパーク(12号広場)を活用しきれなかったという反省があります。ここを充実させ、試合以外に楽しんでもらえる催しをもっと増やすべく、知恵を絞っていきます。
引き続き地域を盛り上げていけるか、心配はあります。しかし何よりも、いかに魅力あるクラブにしていけるか、それを発信していけるか、われわれにかかっています。
社内でも、「われわれが今まで以上に汗をかかなくてはいけないよ」と伝えています。今年こそ、クラブの力が試されるでしょう。

【育成組織】ユースアカデミーダイレクター・山ア(●)武さん
昨年はU−18(18歳以下)の1stチームが県2部リーグで優勝し、1部に自動昇格。U−12が初めて全日本少年大会県予選を制し、全国大会に出場を決めるなど、トップチームのJ1昇格に後押しされるように、小、中、高、全ての年代が結果を出してくれました。
もちろん結果が全てではありませんが、やり続けてきたことは間違っていなかった、との思いを強めることができました。
トップがJ1で戦ったからこそ見えてきたものが、ユースにもあります。
松本市かりがねサッカー場ができて、トップの選手が練習している隣のグラウンドを使わせてもらい、これまで以上の注目を選手たちが実感しながら戦えたこともあるでしょう。
一方で、監督や選手があれだけ一生懸命やっても通用しない場合がある。子どもたちがJ1の厳しさを目の当たりにできたことも収穫です。
ただ、われわれの最大の使命は、地域貢献とプロ選手の輩出です。Jクラブの育成組織としては、本当にまだまだ。地域の既存団体とうまく連携しながら、県内の育成年代の「当たり前」のレベルを変え、プロ選手に至るモデルを示していかなくてはなりません。そのためには選手だけでなく、われわれ指導する大人も、もっと成長する必要があります。
それはもちろん、将来的にトップチームがJ1で効率よく戦い続けるための鍵でもある。今年、ユースアカデミーアドバイザーとして岸野靖之さんを招いたことは、クラブの決意表明でもあると考えています。
育成組織の場合、1段飛ばしの成長はできません。J2のアカデミーだからできない、やらないではなく、たゆまず歩みを進めるしかないと思っています。
●=崎の大が立の下の横棒なし
(長岩将弘)


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